表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレムは目指さない!~異世界探訪記  作者: ウルカムイ
第一章 ようこそ異世界へ
5/116

縁は異なもの味なもの

眠いです。

 そこに生まれた、まあ、生まれただろう、土人形はこちらをうかがうような仕種をすると、手を振った。


 か、かわええ。

 きめた!お前の名前は!



 いやいや、魔力が切れると崩れるだろう土人形に名前を付けてしまうのは、まずいだろう。

 変に懐かれるとしたら、別れが厳しくなる。。。


「ツッチー、おいで!」

 土人形が、ワキャワキャ向かってくる。


 か、かわええええ。


 小一時間ほどかまって遊んでしまった。

 そろそろ、本来の目的に戻らなくては。

 さて、どのくらいのことをやれるんだろうか?

 この大きさだと、夜に寝ているときに、なにか大きな動物が来たら起こしてもらうとか。

 大イノシシくらいのだと身の危険があるからね。

 それに、いつまで形を成しているのかも、調べないと。


 ツッチーを胸ポケットに入れると、また歩き始めた。

 しばらく上りが続いた後、下り坂が続いていた。

「あまり下りたくないんだけどなぁ。まあ、水場に出られるなら、それはそれでいいか。なあ、ツッチー」


 相当会話に飢えていたらしい。

 会社で話す以上にツッチーに話しかけている。

 そんなに寂しんぼうだったかな、自分。


 食べられそうな草や果実などないか探しながらも、おそらく西だと思われる方向に進んでいる。

 そのつもりだったが、どうもおかしい。

 傾きかけた太陽が前にではなく、左斜め前に傾いているように感じる。

 樹が高く生い茂っているおかげで、正確なところはわからないが、日が差す方向が左斜め前からのような気がする。

 少しずつ北に向かっている感じだ。

 獣道がゆえにそういうこともあるだろうと考えていた。

 そのことが甘い考えだった気付くには、まだ数日がかかった。


 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎


 土人形、ツッチーはまだ健在だった。

 簡単な命令なら、5個くらいまでは覚えてくれる。

 ちょっと難しくなると、1、2個でいっぱいいっぱいになり、ほかのことを忘れてしまう。

 たとえて言うなら、昔のフロッピーディスクのような感じか。


 夜中には、必ず起こされる。

 そして、あの行列のような気配を感じる。

 恐ろしくて、見ることはできないけど、そこには確かに存在を感じる、何かがいる。


 土魔法は初級なら全部使えたけど、中級は石槍だけが使えた。

 なんでだろう?

 なにか足りないものがあるんだろうなぁ。


 そして、赤イノシシも大イノシシもあの日以来見かけることはなかった。

 そもそも、地上の生き物自体、見かけることがなかった。

 鳥のような、そんな生き物が飛んでいるのは見ることはあっても、枝に鳥が止まるってことがない。

 ある意味、森が閑かなのだ。

 極端に動物の生息数が少ないだけなんだろうか。


 水場は、いままでで3か所、水が湧いているところがあった。

 もちろん、体の汚れを流したのは言うまでもない。

 食べるものは、とりあえずコシ草がたくさん生えているおかげで、極端におなかがすくということはなかった。

 ほかにヨンド草とウィドという果実を見つけた。


「ううむ、これだけ歩いてもまだ変化がないとは。なあ、ツッチー、これはどうしたものかなぁ」

 胸ポケットから取り出したツッチーに話しかけると、小首をかしげる仕種をする。


 かわえぇぇぇぇぇぇぇぇ。


 そこから少し歩いただろうか、すこし開けたところに出た。

 そこはかとなく見覚えのあるような景色・・・。

 まんじゅう盛り土がないだけで、大イノシシに出会った、あの広場に似ている。

 いや、あの広場だ!

 大イノシシがぶつかった樹の、へこんだ跡が残っているのを呆然と見ていた。


「一回りしてきたのか」

ヨンド草はセロリっぽいです

ウィドは、梨のような感じです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ