分け入っても
気が付いたらブクマいただきました!
ブクマは書き手のごはんです!
そうそう、ここは目をそらさないように……。
それは熊と会ったときの話しだっけか?
むこうも、こちらをぐるりと見渡してきた。だんだんと、鼻息が荒くなり始めてきた。
目をそらさないでいると、向こうもじっと見てくる。
そろそろ5分もたつころだろうか。
お互いじれてきたような感じだ。
こうしてもいられないので、正面を向きながらゆっくりと下がる。
そうすると、それに合わせるように正位置に対峙してくる、大イノシシ。
えっと、そのままでいてくれないと困るんだけどねぇ。
それなりに距離をとれたときには、すっかり対峙しあう感じになった。
悪いことに、自分の後ろは樹があるらしい。
目をそらせないので、確認はできない。
正面に向かって跳ぶしかない感じだ。
そこまで考えていると、大イノシシは頭をぐっと下げてきた。
ヤバイ感じがムンムンしてくる。
突きか跳ぶか…………。
さて、どっちだろう。
大イノシシが、深く息を吐いた。
その分だけ大きく吸い始める。
身をかがめても、まだ迷う。
次の瞬間、まっすぐ来た!
大イノシシの頭に乗る感じに跳んだ!
え?
思いのほか跳びすぎて、大イノシシを超えてしまった。
かろうじて転がらないで姿勢を保ち、振り返ると、奴は樹の幹に突っ込んでいた。
そこを後ろから正拳突きのまねごとをする。
ブモモモモモモモモォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
すごい声が響き渡って、倒れこんだ。
なんか、急所を突いたらしい。
「いや、あっけなかったな」
もっといろいろと危ないことになるのかと思った。
「さて、生きてるのかな?」
聞き耳を立てると、どうやら呼吸はしているようだ。
なら、このまま寝かせておこうか。
ゆっくりとその場を離れる。
ええと、どっちから来たっけ?
「森からきて、こいつが真ん中にいたんだから、こっちか」
でも、どこまで続くんだろうなぁ…。
それから、体感的に1時間ほども歩いただろうか。
途中、動物らしい動物も見かけなかった。
赤イノシシはどこに行ったんだろう?
高く飛んでいる鳥のようなものは見かけることはあっても、地上では見かけなかった。
「おなかがすいたなぁ…」
辺りに目を凝らす。
いくつかの名前がポップするが、見覚えのあるような名前が出てこない。
「ん?詳しく見ていけばいいのか?」
ひとつの名前をじっと見る。
コシ草
HP10/MP2
適正 水/火
さらにじっと見る。
食用。煮るとすこし膨らむ。
お、食えそうだ。で、これは?
ヤギヤガタ
HP11/MP2
適正 水/火
毒。吐き気、腹痛を伴う。
これ、ダメなやつか。
辺りを探すが、コシ草以外は食べられそうなものは見つからなかった。
それでも両手にいっぱいは集めることができた。
「これは煮るということだけど…、ないよねー」
とりあえず噛んでみた。やっぱり青臭いな。それでも食べられないということはなさげだ。
ガムのように口の中で噛み続けながら歩き続けた。
少しは腹の足しになれば、いいな。
そろそろ暗くなり始めてきた。
地球的感覚でいえば、太陽が沈む方向、つまり西の方向にむかって歩いてきたことになる。
丈夫そうな樹を見つけてよじ登る。
高めの位置に落ち着く。
そういえば、魔法に使えそうなのあったな。
あれができれば野宿しなくてもよさげかな。
明日は、少し魔法を練習してみようかな。