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ハーレムは目指さない!~異世界探訪記  作者: ウルカムイ
第六章 万物流転の常ならぬ世
114/116

失敗と失敗

野営していた跡が残るところまで戻ってきた。

昨夜、自分たちがしていたかは自信はないけど。

辺りを見渡しても人の気配はなかった。

あの家族やネモの姿も見当たらなかった。


残された荷物は多くはなかったが、この先のことを考えると、必要なものだけをもって進むのがいいかもしれないと考えた。

衣服は置いておく、とりあえず。

野営跡に置いたあと、街道筋を歩き始める。

イコンに向かいながら、会えたらいいな。


しばらく歩き進めると、村に行き着いた。

たしか、3日めに泊まる予定だったところだ。

村の入り口には囲いが重ねられていて、村人らしき人が立っていた。


「どこからきた」

「ドゥーンからきました」

「途中、何もなかったか?」

「なにかよくわからないものに、昨夜襲われました」

「サラサという人は知っているか」

「たしか護衛していた人のひとりです」

「いまこの村にいるが、ほかの者はどうなった」

「請負人のひとりは襲われてからはわかりません。もうひとりの請負人と他の家族は皆で逃げたあとはわかりません」

「そうか、大変だったな。中に入ったらまっすぐ進んで村長のところに行ってくれ」

「はい」


中に通されて、村の中を進む。

なんとなくこちらを伺う目線を感じる。

村長の家の前には、あの家族の奥さんが立っていた。


「あなた、守人よね。私の家族は、ノワルとヘルメ、トーゴはどうしたの?」

「逃げたとき、街道をはずれてしまって見失いました」

「そう。街道の途中まではいっしょだったの。トーゴがノワルを抱いていたところまでは見たんだけど、ヘルメが森に入り込んだからあとを追ったんだけど、見失ってね」

「そうだったんですか。気がついたら僕も森に入り込んでしまっていて、朝方までに野営したところまで戻ったんですが、誰とも会いませんでした」

「それで、あれはなんだったの」

「わかりません。ネモさんは半端ものといってましたが、僕は見たことがありません。あ、この中に集めた荷物があります、全部ではないですが」


荷物から家族の荷物を取り出しはじめた。


「服とか持ちきれないのは野営したところに置いてきました」

「そうね、まだいるかもしれないからね」

「はい」


すべてを出し終えると、サラサさんは黙ったまま建物の中へと入っていった。

入れ替わりに、村長らしい人がやってきた。


「君が護衛の仕事をしていた請負人かな」

「はい」

「少し話しをしてもらえるかな」

「もちろんです」


半端ものが現れてからの話しを村長にした。


「そうか、少なくともひとりは喰われたようだね」

「喰われる、ですか?」

「ああ、10日前くらいから村人3人がいなくなった。どうやらこのあたりをうろついているらしい」

「それは…」

「それで、君はどうするんだい」

「請負人のひとりと、護衛していた家族を待ちます」

「そうか。じゃあ、宿を紹介しよう」

「……あの、すみません。あまり路銀がなくて」

「ふむ、そのあたりは頼み込んでおこう。なにか手伝いでもしてくれればよい」

「ありがとうございます」


それから紹介された宿に行き、とりあえずの寝床を得ることができた。

サラサさんは村長宅に泊まるそうだ。

手伝いは、宿の下仕事と夜回りだった。

それから2日たった明けた朝にサラサさんがやってきた。


「野営したところまで行きたいの」

「わかりました、いきましょう」


宿の人と村長に立ち寄り、ドゥーンへの街道を歩き始めた。

陽が天辺になる前に野営跡に着くことができた。

残してきた荷物は、少し荒らされていたけど、だいたいは揃っていた。

サラサさんはそれからは何も言わずに、村まで戻った。

また宿に世話になり、下仕事をして眠った。


そして次の朝。

サラサさんが、村のはずれで亡くなっていたと、村人から伝えられた。

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