表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレムは目指さない!~異世界探訪記  作者: ウルカムイ
第六章 万物流転の常ならぬ世
111/116

ドゥーン再び

話しを聞くとゲンローというのは、フンバルの実の息子で、家業の手伝いをしながら請負人もやっていたんだそうだ。

どこかの街でいい斡旋があったとかでこの街を離れた切り帰ってこなかったのが、3年前のことだ。


「そうか、生きていたか」


フンバルが一言もらしてからは、黙ったままになってしまった。

いつも怒るか渋い顔ばかりだったのに、やけに情けない顔になっていた。

長い沈黙に耐えきれず、話しかけた。


「その商隊で働くか死ぬのどっちしかないって、言ってました」

「そうか、たぶん闇商売だろうな。そうか、それじゃ戻ってこれないな」


闇商売は、金を稼ぐためなら何でもやるという。

ゲンローはそういった仕事をする連中にだまされたか、捕まったのか、どちらかなのかもしれない。


「ユーリ、しばらくここから出るな。闇商売のやつらがこの街に入るかもしれないからな」

「あ、はい。わかりました」


こうしてドゥーンに足止めされることとなった。


「まあ、せっかくだから、金物磨きしろよ。色は付けてやるよ」



そして、20日ほど過ぎ、散々手伝わされたころ、一人の男が訪ねてきた。

ドゥーンの斡旋組合の名はホッスという裏方の人だった。


「フンバルさんにお願いがあってきました」

「なにかな」

「息子さんにゲンローという人、いましたよね」

「ああ、確かにいたよ。いまじゃどこ行ったのかわからんけどね」

「3日前にイコンに向かう街道で、武装した商隊同士のいさかいがありまして、そのとき死んだ護衛の中にゲンローと呼ばれていたものがいました。前々からいたうちの人間に顔を見せたら、間違いないということです。それで、斡旋組合まで来ていただければと思うんですが」

「そうかね。一応は見てみようか」


捕まっていた商隊に見つかってはいけないと、一緒に連れて行ってくれなかったが、しっかりと金物磨きを言い渡されてしまった。

夜が近くなったころ、フンバルが大きな荷物を持って帰ってきた。


「ユーリ、すまねぇが、ひとりにしておいてくれないか」

「はい、わかりました。寝床にいます」

「そうしてくれ」


その夜、作業場からは嗚咽だけが響き渡っていた。


振り上げたこぶしの下ろし先が見つからず、結局こんな話になってしまいました。

すこし時間がかかってしまい、すみません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ