異邦人
≪≫が思いのほか小さく表示されたので、二か国語になるときには『』を使います。
前話は、適宜修正していきます。
『いほうじんって、なんだ?村長』
『古い民話だけどな、どこの国の出身でもない人の話があってな、それが異邦人と呼ばれていたらしい』
『へぇ、こいつがそうってことかい』
『そうかもしれないというあたりだな』
異邦人って、ZA○Dか!
でも、この世界の人間でないというなら、そうなんだろうな。
『なあ、あんた俺はサリバンという。しばらくの間は面倒を見ることになるんでな』
『名前はいえるかな』
「清貴」
『きょーたか?』
ちょっと考え込んで、
「セーキ」
『セーキ?』
肯定する。
『よし、セーキ。俺の家を教えるから、なにかあったら来てくれ、さあ、こっちだ』
手を取られて、引きずるように広場にまで連れていかれた。
『ここだ』
村長の家に近い小屋づくりの建物に連れてこられた。
『なにかあったら、まっすぐこの家に来てくれ』
肯定する。
『それでな、今すぐに覚えてもらわなくていいんだが、ここには4家というのがあってな。面倒くさい』
ちょっといやそうな顔をしながらいう。
『もしも、面倒なことになりそうだったら、俺んところに逃げ込んで来い』
肯定する。
『ところで、なにか食い物はあるのか?』
ブリーフケースからコシ草とウィドを見せた。
『おめぇ、それどこで見つけた?』
首をかしげると、
『ウィドだよ。このあたりだとないんだ』
あの蛇の頭があっただろう方向を指す。
『近いのか?』
人差し指と中指で歩く真似をする。
『歩いて行けるところ、ということか?』
肯定する。
『そうか。なら、明日朝に行こう。まずは、寝床だな』
村の入り口にあった見張り小屋まで連れてこられた。
『しばらくはここを使ってくれ。そのうち広場のところに住めるようになる』
中に入ると、
『ここらのものは自由に使っていい。畑も大したものはないが、食えるものなら使っていい。それとだな、村のものじゃないやつが来たら、お前さんがされたように、まず村長のところに連れて行ってくれ』
首をかしげていると、
『訪問者の判別を村長がやるのが仕事だ。そこからはじめて村の中を動くことができる』
「村人とそうでないものの区別はどうするんですか?」
身振り手振りで何とか伝えようとする。
『ん?ああ、外から来たものは、だいたい大きな荷物か馬車で来る。ここは町からも遠いし、乗り物なしでは来られないからな』
サリバンがちょっと遠い目をする。
『それだからな、お前さんは警戒されているんだ。まあ、悪いことをするようには見えないから、ここから始めるということだな』
納得したようにうなずくと、ちょっと真顔になる。
『まあ、深刻に考えるな。そのうち村と仲良くなればいいんだから』
大きくうなづくと、すこし微笑んだ。
『あと、奴隷がするのは人前で手を合わせることだ。平民はそんなことはしない。気を付けれよ』
肯定する。
『じゃあ、明日朝に来るからな』
手を振りながら広場のほうへと帰っていく。
「さてと」
胸ポケットからツッチーを解放してあげた。
モキュと動く。
「よくここまで我慢してたな、自由にしていいぞ」
そうすると、小屋の中を見て回り始めた、かわぇぇぇぇぇ。
「石人形君、待っててもらってありがとう。少し手伝ってくれるかい」
小屋の脇で体育座りしていた石人形が立ち上がって寄ってきた。
見張り小屋とあって、必要なものはそろっているようだったけど、乱雑になっていたので、片付けるところから始めようと思った。
きちんとした棚がなかったので、外から土を運ぶのを手伝ってもらう。
「そろそろいいかな」
地面に手を付き、
「土の加護、初級、土壁、土の加護、中級、石壁」
何度か繰り返し、棚の外側を作り上げた。
棚板を載せる部分は、石壁にする前に削ったりするくらいのことができる。
小屋外に積んであった平板を中に組んでそれっぽくした。
小屋の中に散らばっていた小物を押し込めると、そこそこ住める環境になった。
こんな感じでいいかな。
ふと外を見ると、何人かこっちをうかがっているのが見えた。
そっちを見るなり、その全員が一目散に逃げだしていった。
「珍獣…だな、これは」
畑から食べられそうなものを収穫した。
サターク草という、キャベツに似た野菜があったので、とりあえず石包丁で刻んでみた。
煮炊きできそうな釜と鍋もあったので、ようやくコシ草を煮てみた。
それはまさしく、うどんになった。
これで、なんとか食住の確保ができたな。
ん?なんか忘れている?