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ハーレムは目指さない!~異世界探訪記  作者: ウルカムイ
第一章 ようこそ異世界へ
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ようこそ異世界へ

現実逃避ですよ。

いろんなことがありました。

 朝、仕事に行こうとして玄関を開けたら、獣道の真ん中に立っていた。

 前も後ろも見回したが、うっそうと茂る森の中に細々と踏み均された小路が続いていた。


 竹中清貴。

 28歳。

 しがない土木業の零細企業に勤める設計士。

 家族は、田舎に残した母親だけ。

 友人は、高校時代にはそこそこいたが、社会に出て10年もたつと腹を割って話す奴はいない。


「さてと…どうしたものかな」

 持ち物を確認する。

 スマホ、あるが圏外。

 持ち帰り残業した設計書を入れていたブリーフケース。

 財布に小銭入れ。

 パスケース。

 歩きやすそうで助かったスニーカー。

 作業着。


「役に立ちそうなものは…ないな」

 少し動こうかと逡巡したが、先を見通せないせいか脇の茂みに立つ、登りやすそうな木をよじ登り始めた。

 腰を落ち着けそうな枝に腰掛ける。

「やはり遠くを見通すには低いな」

 何かが通るまでは少し待とうと考えていた。


 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎


「すまんの」

 ん?なんでしょうか?

「こちらの手違いというのは重々承知しているのだが、どうしようもないのだよ」

 どういうことですか?

「君らの文明レベルでは理解させるのはちと難しいのだが、いわば新世界を設置しているときに、干渉波が生じて空間の接続にエラーを起こしてしまっての」

 どこ○もドアが暴走した感じってことですか?

「ん?………そんな概念が通じるとは…まさにその通りじゃ」

 へぇ…自分にそういうことが起きるとは思いもしませんでしたよ。

「それでな、元の世界には戻すことは、今のままでは難しくてな」

 どうしてですか。

「新世界の設置が終わらなくてな、元の世界につなごうとしても、新世界に接近しすぎてな。せっかく安定しかけているところを揺らす結果になると、また納期が延びてしまうというわけじゃ」

 納期は守らないといけませんよね。

「そうじゃろ。それでな、しばらくの間、この世界で暮らしても困らない能力を預けておくので、なんとかしてもらいたいのじゃ」

 ずいぶん無責任な感じがしますね。

「そういわないでおくれ。それに見合っただけの能力をつけておくので、そうさなぁ、この世界の時間で2年ほどは待っておっておくれ」

 2年ですか、母親が心配するんですが。

「大丈夫じゃ、そこ辺りは空間の時間軸をちと調整してだな…まあ、心配はいらん」

 そうですか…。


 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎


 いつの間にか寝ていたらしい。

 枝の上で寝るとは器用になったものだ。

 気が付けば、なにかがさごそと茂みが揺れている音が聞こえてきた。

 イノシシか?

 いや、イノシシにしては少し色が赤く…あかく?

 目の前にウィンドウが現れた。

 ウィンドウには、赤イノシシと表示された。

 表示部分に意識を集中すると、

   HP120/MP10

   適正 物理 火/水

と表示された。

 その表示に気を取られていると、赤イノシシは樹上にいる自分に気づくことなく獣道を走り抜けていった。


「VR表示、だと?」

 ほかに意識を集中する。

 いま登っている樹は、

  エンドラ

   HP85/MP10

   適正 水/火

と表示された。

 ただの雑草と思っていた茂みは8種類が表示された。

 隣の樹は、

  イタヒ

   HP80/MP10

   適正 水/火

と表示された。

 自分の手の平を見る。

  竹中清貴

   HP180(+420)/MP10(+590)

   適正 土/火

   スキル 異言語理解 土の加護 鑑定(VR表示) アイテムボックス

   固有スキル サターンの加護


 サターン?

  サターン 農耕神。木星。悪魔を意味するサタンとは異なる。

 そ、そうだったのか。

 意外に便利だな、このVR表示。

 手の平を眺めていると表示が追加された。

   STR  90(+210)

   DEX  25(+275)

   INT 110(+190)

   LUK  35(+65)

   ATK  20(+380)/400

   DEF  23(+377)/400

   MPR  12(+388)/400

 たぶん(+210)あたりがサターンの加護なんだろうなぁ。

 ATKって攻撃力で、DEFが防御力はわかるけど、MPRはなんだろうなぁ?

  MPR 魔法抵抗力

 おお、ありがとう!VR表示!


「さてと…理解に間違いがなければ、さっきの赤イノシシは素手で倒せるってことですな」

 ようやく樹から降りて街を目指そうと思った。

 さて、どちらのほうに行こうか。

 赤イノシシを追いかけたほうがいいのかな。


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