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とある転生者の革命戦記  作者: スピンドル
第四章 少年期 「帰還編」
46/46

第四十話「クモ討伐」

長らくお待たせしました。

日曜日しか時間が取れずに大変遅くなり申し訳ありませんでした。

カマトと言う少年が世話している子供たちは、小さな町で暮らしている。ケットシーのマオは、その子供達も村で生活できるように取り計らって欲しいとの事。

で、いろいろ終わらせてから八日の夜。その子供たちを迎えるために町に向かった。

場所はこの森と山を超えた川の近く。フレイアの一っ飛びで一時間もしないで到着。

そしてマオに指示された場所に向かった。

そこは巣穴と言って近いもの。魔物か動物が地面に穴掘って生活しているようなところだった。大きさも俺がかがんで入れるくらい。これがこの世界の子供の生活。

映画で昔のイギリスで子供のホームレスをやっていたのがあったがそれを思い出させる・・・いやそれよりも酷いかもしれない。

少し進むと小さな木製のドア。その前に子供が立っていて「カマトくんの知り合いだ」って言って通らせてもらった。

子供の人数は・・・12人。

事情を話しながら気づかれないように催眠魔術で眠らせて、内側にふわふわの毛布を敷き詰めた木箱に子供達を入れフレイアに運んでもらった。

子供たちが起きた時は少し警戒されたが、飯を食って少ししたら意外と簡単に懐いた。

そしてカマト自身が来て、彼を含めた13人とで一緒にアルト村で生活する理由を説明した。


「――――で、あなたが今、こうしていられる訳」

「じゃあ何か?あんたはあん時の猫だった、って事か?」

「そうです」

「ちなみにその時から好意に思っていますよ」

「・・・え、いや私は、そんな・・・うう~~/////」


はは、耳の先端まで真っ赤にして。説得力ゼロだぞ。

何よりも彼女が好意を持っているから、それを彼が理解してくれるかを確認してもらいたかった。

嫌々にやらせても脱走とかやりかねないし。

この村で生活していく上で、カマト以外の子供たちの中には乳飲み子もいるので慎重に考えて仕事をやらせてもらう事になっている。ある程度になったら畑仕事ぐらいの簡単な作業をしてもらう。

村の外にもあまり出せないから、理由がなければ続けていくことなんて出来やしない。

ま、転生すること自体を信じるかどうかもだが、村の中で信頼できる人も必要なわけで彼女を信じるかどうかが大事だ。一応「話せる」ぐらいの情報は提示した。それを信じるかどうかは彼自身。


「どうです?信じますか?」

「・・・・・・・・・ああ、信じるよ」

「そうですか。理由を聞いても?」

「マオ?だったか。あんたはあの森の時に助けようとしてくれたし、飯も用意してくれた。こうして生きていられるのはあんたのおかげだと知ればな。さすがに最後の飯ヌキはキツかったがな」

「そ、そうですか」


飯を抜いたのは、こいつのヤル気を見せるため。

もし、村に入るのに「腕試し」なんてことになったら圧倒的に分が悪すぎる。身体を見るに鍛えているが明らかに戦闘系じゃない。戦いになった場合、身体能力の違いで圧倒されるのがオチだ。

それを見込んで、俺が提案した。

彼の実力試しに「見張りを退かせて牢から出られるかを」と。影からこっそり見ることで刃を交えるより「状況の判断力」が分かるだけでなく、双方にケガのリスクも抑えられる。その意見が通って、見守ることになった。

まあ、俺と長猫の(鶴の一声)みたいな感じで決まったんだけど。

でも、結果は彼自身の里での「弔い」も評価されて、とりあえず許しが出た。

基本は村で田畑をして体力を付けつつ、もし人間側に同胞が捕まった場合、彼を、言い方は悪いが利用して助け出すとゆう形で、認めてくれた。

飯ヌキは今は余計なことは言わないでおこう・・・・。

ああでもしないと逃げ出す気を起こしてくれなさそうと思ったんで。


「それに、そんなに時間も経っていねえのに、弟たちも懐いているからな」

「うん♪なんか懐かしい感じがするんだ♪」


いつの間にか子供たちがマオの周りに集まっていた。


「みんな・・・・・・」

「そうか」


うんうん。いい話。子供が一番理解している。


「ねえ。さっきのおはなしの続きは?」

「さっきのって・・・?」

「クモをたおすおはなし」

「ああ。でも聞いても面白くないと思うよ?」

「「ええ~~~」」


皆まで言うなよ、あとフレイアも!


「それはオレも聞きたい。話してくれないか?」

「まあ・・・いいでしょう」

「やった~~~」

「ふう・・・。(助かった・・・・)」


露骨に願望が顔に出てるぞ~・・・まあ、いっか。


「では、長猫に作戦を話して、その作戦を開始した辺りから―――」


そうして、子供たちに昔話をするかのように話した。マオの膝に子供を乗っけて、カマト少年は食後の酒を飲みながら。

てか俺の立ち位置、マジで昔話を聞かせるおじいちゃんだ。


               ◇


作戦決行の日。空は青くていい天気。でも今は洞窟にいるから空は関係ないけど。

相手は苦手なクモ

俺はすでに山の洞窟の中で、単純な怖さとかはないが、マジで行きたくない。

ま、広い場所に出られるよりは、狭い閉鎖空間で相手の動きが制限されている場所で倒すのが定石だ。大型生物の討伐の大体のパーターンとして、狭い渓谷や尾根に誘い込むのが多いから少ない戦力でも倒すことは可能だ。(←映画知識)

そう考え自分を落ち着かせながら山の洞窟を進んでいる。

今いる洞窟は空調用の穴なのか、人一人が立って歩くぐらいの大きさの洞窟。そこを金属加工で飛散する鉄が目に入らないようにするサングラスのような形のバイザー、ヘッドゴーグルディスプレイを着けて進んでいる。

これは戦闘機などが使う、HUDヘッドアップディスプレイと同じ機能。

射撃管制とリンクしロックオンする機能が付いている。このバイザーはその機能が使える上に、こうして昨日作成したマップを表示して今どこにいるのかを確認できる。

そのバイザーの画面に昨晩収集した地下トンネルのマップが表示されている。それには一番奥の広間になっているところに赤いマーカーが表示されている。

それがターゲットだ。そこに繋がる道は他に二ヶ所。

まず俺が通っている洞窟は機体で入るには小さい人一人が丁度のトンネル。外から大広間に真っ直ぐ伸びている。

もう一つは機体で通り抜けられるほど大きなトンネルが二つ。だが大広間に向かうにはアリの巣みたいな迷路を抜ける必要がある。そこにはチェーニとマリーが行っている。

まず、二人より先に俺が到着するから威力偵察をする。


「ええい!邪魔だこのクモの巣!」


空調用だから俺みたいな奴が入らないようにするためのものか。

相手はクモ。虫の中では脳が一番に大きいから知性が結構高い。自分の糸を人間の投げ縄のようにして獲物を捕らえたりする種類もいるのだ。

そんな奴が喋るんだからどんな手を使うかわからない。

まあ、ドラゴンの必殺技「火炎のブレス」を無意味にする程に設計された機体だ。この程度の魔物に手こずってちゃ困る。

と、そろそろか。

相手に気づかないようにライトを消して、バイザーの暗視モードに切り替える。それによるとトンネルが切れていた。

ここで終わりか・・・・マップも合ってる。そこにターゲットがいるはず。


「(そ~・・・と見てみるよ~~・・・・・)」


げえ~~~居るし。居てもらわなくちゃ困るんだけどさ。

体長も一応このゴーグルで測定して・・・・・・さ、30メートル!?新記録更新かよ!

ケットシーの話では、クモ全体にあの気色わりい膜があってそれが魔術を無効化しちまうって事、それを剥がしても外殻の硬度もかなり高いって話だ。再生能力もあって、仲間の命を犠牲にして再生能力を弱める呪いを掛けて何日か行動不能にする程度しかできなかったとか。

そしゃそうだよなこんなにデカいんだもん。

この世界の倒し方で考えれば、硬度があるということは剣では辛い。魔術も効かないとなると、やっぱり落とし穴に落としてから、落石で膜を剥がしつつ動きを押さえて、大砲やらの物理火力、そして魔術を含めた全火力の集中砲火を食らわして、膜ごと剥がすのが精一杯かな。

それだって倒せるかどうかも確率は低そうだ。

機体を使えば問題はないがな。よし、マリーとチェーニの到着を待つか。

入口に到達したら、二人がまず飛び出して入口を塞ぐ。逃げられないようにする為だ。

脱出はこの穴を使えばいい。

次は動きを止めさせ、後はパンツァーファウストとかRPGとか装甲を打ち破るほどの実弾系の爆発で膜もろとも集中砲火で粉々にする。俺はここで指示を出しながら、弱点などを見極め電磁投射銃レールライフルで狙撃。こっちが押されたら殿しんがり役に回る。

完璧じゃん。

もし壁を突き破ってトンネルに逃げ込んでも、マップとレーダーで手に取るように位置が分かるので先回りも不意打ちを食らうことはない。通風口以外の入口の外には戦える部隊を待機させている。

奴は身体がデカイから他に逃げ出すこともできない。すでに戦う前から詰んでいる。

・・・・・・っと、そろそろ位置に着くか。

ゴーグルのマップに青い点が表示されている。これが味方、つまりマリーとチェーニ。

耳の通信機をよく聞こえるように指で抑えて、口の横のマイクに声を入れる。相手に気づかれないようにゆっくり、声を抑えて。


「(二人共、準備は?)」

『(こちらマリー、いつでもいけます)』

『(こちらチェーニ、指示をどうぞ)』

「(よし、作戦開始!)」

『(かしこまりました)』


そして、作戦は開始する。

突入する前にグレネードを置いてから大広間に突入する。その直ぐに爆発しガレキで出入り口を塞いだ。

もう後戻りもできない、いざ大ボス(トラウマ)に立ち向かう。

・・・・・・・・・・。


「それでそれで?」

「後は、以外に呆気なかったよ。ぼくの強力な魔術【死の侵蝕嵐デス・イクリプト・バースト】が炸裂したのさ!」

「カッコイイーー!」


本当は違うんだけどな。機体の事は話せないし、そもそもこんな厨二丸出しの魔術名なんてだれが使うか。

本当は倒しきれずに試作に作った武器を使うしかなかったのだがあまりに強すぎて、その事実を“隠す”必要があった。なにせ“山を丸々飲み込む”程の威力だったんだから・・・・・。


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


周りを土に囲まれた暗い空間。山の洞窟の深層にいる大きなクモの魔物を倒すために入り組んだ洞窟を進み、太陽さえ届かない闇の空間に銃声と機械音、そして声が響いていた。


「これでぇぇーーーッ!!」

ドダダダダ――――!!


ドーム状の限られた空間でスカートのような腰の装甲が特徴の鎧を身にまとい戦う二人の少女。

ダークエルフのチェーニはマニピュレーターにマシンガンとマナブレードを持ち、人間族のマリーは右腕にマシンガン左腕に大型シールドを装備し戦う。

何も見えない暗い深淵の中で戦えるのは、機体頭部のレーダーで空間内をスキャンして、HUDに地形を投影して戦っている。

この空間内にレーダー波を放ちこの地形の完全なデータを取り、どこに何があるのかを正確に表示している。目で見ている物体を認識するより正確だった。他に催眠魔術で惑わされない対策でもある。

地面や天井の突起した岩、その間にあるクモの巣も、敵がどんな形でどれくらいの大きさなのかも全て分かってしまう。

それがまるで目で見ているかのようにバイザーには投影されているのだ。


「ふん!こんなもの、音がうるさいだけではないか!」

「こいつ、今までカタコトで話す魔物とは違う!それに硬い」


まずはマシンガンである程度ダメージを負わせて動きを封じる作戦だった。だが予想以上に固く、さらに丸みをおびた身体が弾を受け流すようになっておりダメージになっていなかった。

それでもマシンガンを連射する。効かなくても黒い膜を剥がせていたので牽制くらいにはなっていたからだ。

そのうちチェーニの弾倉マガジン内の弾が尽きる。

マニピュレーターがマシンガンからカラ弾倉マガジンを捨て、腰のロッカーから新しい弾倉を出し装填する。空の弾倉は地面に落下していくが次第に小さくなりマギアロッカーに吸い込まれる。

マガジンなどの消耗品は自動的にロッカーに収納される仕組みになっていた。これで管理が楽になり鹵獲されることも、さらに弾薬のチェックがしやすく、横流しを防止する事もできた。


『足だ、足を狙って!』

「はっ!」

「マリー、援護して、あたしが切り込む!」


ブレードを構えたチェー二が突貫する。

クモもそうはさせまいと身体にまとわり付く黒い膜を弾のようにして打ち出す。

敵の攻撃を避けつつ、チェーニに当たりそうな弾をレドとマリーが撃ち落としていく。

そして、チェーニはすれ違う一瞬でクモの足の一本を切り落とす。


「やった!」

「ムダだーー!!!」

「がはッ!!」


チェーニはクモの別の足に叩かれ、壁に激突する。

振り向く一瞬で危機と感じたのか、とっさにマシンガンで受け止めた。

だが、銃が完全にくの字に折れ曲がってしまった。

幸いアーマーの【高精度防護ディフレクト領域】のおかげで激突したときのダメージはほとんど無かった。


【高精度防護領域】―――パイロット周りに展開する攻撃を完全に無効化する目に見えないシールド。パイロットへの攻撃を防御する。


機体の構造的にパイロットが露出する形になっているので、どんな攻撃も受け付かないシールドを開発していた。実体弾や魔術は重力波で方向性を曲げられ、魔術であればそれに使われたマナを霧のように空中に分散するようになっている。

しかし戦艦や戦車の徹甲弾の直撃などの激しい衝撃を受ければある程度ダメージになってしまう。エネルギー消耗も激しいため、一定のダメージ量を超えるとシールドは消失してしまう。

バックパックや改造でシールドエネルギーを増やす事が可能だが、武器を搭載する容量が減ってしまう。

二人の機体はバランスを考慮した機体状況コンディションになっている。


「チェーニ!!大丈夫!?」

「ああ。油断した。銃も使えない」

「いくら足を狙おうが無意味だ。見ろ!」


チェーニが攻撃した足を前に出す。切られた足は既に繋がっていた。


「足が・・・くっ!再生が早過ぎる!」

「再生能力を落としたんじゃなかったの!?」

「ふん!この二日でそんなもの無効化した」

「そんな・・・!」

『マリー、今度は四連装のコンテナミサイルで足を狙え!バランスを崩すんだ!!』

「はい!」


指示に従いマリーは大きなマギアロッカーから四角くの長い箱を取り出した。

断面には四つの穴が空いている。この四連装のミサイルランチャーは自衛隊の91式地対空誘導弾の機能をそっくりそのまま受け継いだ兵器。

バイザーのミサイル照準モードに切り替えて、中央のカーソルに目標を合わせると「ピ、ピ、ピ」と電子音が鳴る。「ピー」とカーソルが赤くなって目標をロックオンする音が鳴る。

後はミサイルの入ったコンテナのミサイルランチャーを持って、引きトリガーを引くだけ。相手に狙いを付ける必要はない。

91式地対空誘導弾はアメリカ軍の赤外線で目標を捉えるスティンガーミサイルの改良版。「画像認識」、目標の形を記憶して追尾する機能を搭載しているのでどこまででも付いてくる。

日本が世界に誇る画像追尾誘導式ミサイルである。

さらにこの四連装は機体に搭載してるレーダーと魔法陣ソフトをリンクし、捕捉した敵を最大で4っつもロックオン可能。1匹に4発でも、4匹に1発ずつでも狙うこともできる。

マリーはトリガーを引いてミサイルを一発発射する。

ミサイルコンテナの後ろからバックブラストを吐きながらミサイルは飛翔する。

クモは攻撃だと勘付いて避けようとするが、マッハ1、9でとらえるミサイルはクモを追うように曲がり足に命中、爆発する。


「がぁ、ああぁぁぁーーーー!!」


片方の足全てに損傷受けたクモはバランスを失い倒れる。


『よし!今だ、畳み掛けるぞ!!爆発系の実弾全てを叩き込め!』

「はッ!」


この四連装はまだ三発の余力がある。

さらにロッカーに格納されているグレネードから対戦車兵器などの武器も多種多様にあり、広範囲にダメージを与える武装も全てを叩き込んだ。

シールドがあるとは言え、このような閉鎖空間での爆発は高精度防護領域があっても衝撃波が人体に影響する。二人は体内の衝撃を逃がすために口を開けながら攻撃した。

もとより、二人はアドレナリンが大量に分泌し、叫びながらの攻撃で自然と口が開いていた。

ロッカー内の武器がなくなり、爆発音が収まると天上の石がパラパラと落ちる以外の音がしなくなる。


「やったの・・・?」

『チェーニ、それフラグ』

「!!見てください!」


それを聞いて皆、条件反射でクモの残骸を見る。

膜がクモの粉々になった残骸にまとわり付き、次々と繋がっていく。さらに損傷した残骸から小型のクモまで出てきた。膜付きで、ワラワラとこちらに向かってくる。


『キモッ!!』

「どうしよう!?火炎放射でないとこの大群を相手にするのは無理」

「だが火炎じゃ大元のクモが倒せない!・・・主様!指示を」

『・・・・・離脱する』

「え!?」

『最終手段を使う。巻き込まれる前に離脱するんだ』

「かしこまりました。」


そうして、二人は唯一の出口である穴に向かい、機体を解除する。

出口に向かう二人を確認し、レドはバックから筒のようなものを取り出す。

外見は「試」とゆう字が書かれたラベルに、無色透明のカプセルの形。中には黒光りした丸い小さな玉が入っていた。


「できれば使いたくなかったが、現状これ以外の破壊力でないと倒せない」


クモの再生能力がある以上、全火力の一斉攻撃が妥当だと判断したがダメだった。

時間稼ぎの意味はあるが決定打が足りなかったのだ。

自身の専用機の兵装も、また使用する魔術の最も高い火力では洞窟が崩れてしまい自身も生き埋めになってしまうので使えない。それにあの再生能力では、いくらやっても再生してしまうので、あのクモを「完全に消滅」させるしか考えられなかった。

時間もかけてられず、止む終えず“それ以上”の武器を使うしかなかった。超再生能力を無意味にするほどの力をぶつけるしかないと。

これがそう。【試・重力魔石爆弾グラヴィティー・ボム】である。


重力魔石爆弾グラヴィティー・ボム】―――重力魔石にタイマーを付け時間になったら魔石を割り、極小の超重力力場「ブラックホール」を発生させて敵を粉砕する爆弾。現段階では試作品の為「試」の字が有る。


機体背部のフロートユニットに使われる重力魔石。それを人為的に砕くことで一時的に発生する「光さえ吸収するほどの超重力力場」ブラックホールを生み出すことができ、そのものすごい重力で敵を押しつぶす。

大量に使用すれば、星の地軸がねじ曲がり、自転が変わるだけでなく、完全に空間に穴が空いた状態のブラックホールが形成され、星そのものすら飲み込まれかねない。

だからあまり、使おうとは思っていなかった。

しかしこれは比較的密度が低い魔石で作られているので、アニメの魔術師が使う極小のブラックホールと同じくらいの威力。他にも安全策として、砕くと同時に自動的で発動する結界術式(安全装置)が組んでいた。

対策がしてあった為、一度くらい使う分には問題ないと判断し決断した。

タイマーをセットしクモに投げる。


「じゃあな」


爆弾を投げ、すぐに最後の出口を閉じる。

そして、巻き込まれないように思いっきり駆け出す。

自分が持てる全部の力、身体強化で体を加速させ、風の魔術で追い風を作り外に向かって走る。

狭い空間に追い風でまるで自分が弾丸になったような気分にさせられる。

すると少しの時間で明かりが見えた。


「レド様!早く!」


数十分以上も暗いところに居た目が眩しさを感じ、半目で駆け続け、穴から飛び出る。

その後すぐだった。

爆弾が起爆する。

真っ先に再生中のクモを飲み込み、その余波は地上にも現れていた。


ゴ、ゴ、ゴ、ゴ―――――!!


山は不気味な地響じひびきを上げ、地面も草木も揺れだす。

誰もが恐れ、鳥や動物、魔物でさえ「ギャアギャア」と騒ぎ飛び出す。あのレンヤでさえも不安が顔に出てしまうほどの状況だった。

ケットシーたちは怖がり地面に身体を伏せて怯えている。


「きゃああああ」「こ、この世の終わりだぁーー!」

「くッ!」

「お~~痛って、後頭部打った」


その意外な言葉に皆顔を向ける。


「こんな状況で、何言ってんだ!怖くないのか!!?」

地震こんな自体ことは慣れてるからね。・・・・・まあ、確かに怖いと思えるね。あんな小さな装置で山がさ、あんなふうになっちゃうんだもん」


揺れが続く中、緑の山から真っ黒い球体が現れた。

球体は大きくなるに連れ、山全体を飲み込む。半分以上が飲まれると無事だった山の先端が崩れ、吸い込まれる。

皆それを見るなり無言になり恐怖してほとんどが腰を抜かして倒れる。

やがて黒い塊は、一瞬で収束し、消えた。

その後、周りは風の音しか聞こえなくなる。


「確認してくる」

「「お供します」」


レドは自分の機体を装着し、山の上空に飛ぶ。

それに続いてチェー二とマリーも飛び上がる。


「これは・・・・・」

「・・・・・スゴイ」


騒然と見つめる。

山がパックリ無くなっていた。下の部分は少しばかり名残のように残っているものの、頂上は無く、くぼんですり鉢状の穴がぽっかり空いていた。

それを見てレドは考えていた。これと先ほどの黒い球体の現象を見ると、第一と第二の結界でなんとか押さえ込んだ感じだった。威力も予想以上。

第一の結界ではそれ以上に力が行かないようにより強い重力で押さえ込むように術式が組んである。第二の結界は威力に合わせつつ範囲を拡大して、物質を取り込んで安定させる役割がある。

二つの安全装置はあったがギリギリ何とかなった感じである。

それを見てレドは「失敗した時の恐怖」と同時に「戦争の狂気」を予見した。

敵を倒すために相手はそれ以上の力を求める。その技術を何が何でもてに入れようとするのは当然のことだと理解していた。映画じゃなくとも裏切りや謀略、なんでもやる。それがこの世界でも起きないとは限らない。

それを理解しつつ他のことを考えていると、妙案を思いつく。


「・・・・よし!村を新しくここにつくろう」

「・・・はい?」


そう言い残して、皆が立っている地面に降りた。


・・・・・・。

あれから、村は大騒ぎ。敵が攻めてくるとか、子供がいなくなったとかの話ではない。

村総出で、家の土台を強化してさらに木と家を繋げているくいを外していく。

村中総出で引越しの真っ最中。

山の爆心地に村を作ることになり長猫もそれに従う形となった。

村を隠す塔は新しく作ったほうが早く、村の畑も不作に陥ていたので新しい土地を目指す考えてもいたので反対意見はなかった。

引っ越すことも簡単に行えた。

彼らの家は木の上に建てたツリーハウスで【重力浮遊グラビテーション】を使えば家を風船のように浮かべて簡単に運べる。家具を固定し、床下に魔法陣を描くことで誰でも簡単に移動可能。


「じゃあミリーさん。お願いしますね」

「お任せ下さい」

「・・・・・すごい力だな、あの人間の女性は何者だ?」

「聞かないほうが身の為です。・・・・ただ、言えるのは、みんなそれなりの過去を持っているということは理解してください(真顔)」

「そ、そうか・・・」


風船のように浮かせた家を運んでいく。ロープのくくりつけて運ぶ様は遊園地で子どもが持つ風船そのものだった。

だが、浮かせているとは言え、一軒一軒の運ぶ重量はかなり重い。家を複数持つだけでもかなりの力を必要とする。ケットシーたちでも家6個分を引く力を持っていない。

それを行える彼女を不審に思ったのだろう。

レドは話さない。話せなかった。彼女の事情も特殊すぎるから。


「じゃあ、マリー、チェーニ。頼むよ」

「は、かしこまりました」

ドルン!ド、ド、ド――――!


大型トラックのエンジン音に、荷台に乗ったケットシーたちが怯える。

浮かせた家と一緒では不安定になるため、人は地上輸送することになった。

使っているのは73式大型トラック。災害派遣によく見られる車両で、最大22人乗車できる。

向かうのはクレーターのできた山。

喋るクモの魔物、ゴライアスオオツチグモを倒す際に作ってしまったこのクレーターは、物理的の外壁になり。さらに視覚を強制的に「山があるよう」に見せる魔術を使って視覚面との二重の防御が可能となる良い立地条件だった。

クレーターの一番深いところに村を守るバリアーと視覚の結界、それを制御する塔を建て、その塔の下に長猫の屋敷をつくった。周りを少し埋め立て、盛り土のようにして住居を置き、そのさらに周りに段差式の畑を作った。上からセメントで造られた用水路に雨水などを流し、それを畑の隅々まで巡るようになっている。

そしてその水は地下に埋設された浄水器で綺麗にされ家々に渡り、またポンプで上へと運ばれ循環するようになっている。塔はそのポンプの制御も行えるようになっている。水は、埋め立てと同時にタンクも埋設されているので、雨が降らない時期でも水不足の心配はない。

現在はそこまで完成している。

後は家を運んで地盤から突き出たコンクリに載せ付けるだけだった。

旧村にある装置は完全に破壊され、やがて自然の一部となる。

新しい村の畑はまだ苗などは植えていないが、この畑の野菜などが常時収穫できるようになれば最低限の食料が確保できる。肉が欲しければ周りの森から動物を仕留めればいい。

現在、数人が早速畑に苗を植え付けている。ポンプも正常に機能し、村の周りは川のせせらぎのような音が聞こえる。

そして、数日後。この村づくりの功労者たちが村を出る日だった。


「本当にお世話になりました。お礼をしてもしきれません」

「いいえ。こちらもいろいろ提案をしたのでそれを守ってくれれば十分ですよ」


レドの提案。それはここを地上のレへスティールにすること。

正確に言えば帝国内の状況をさぐらせる一大拠点にすることだった。周りは森だらけで近づく人は滅多に現れない。山を削って村を作ったなどと誰も考えつかないような場所なので内情偵察を担当する人さえ気をつけていれば気づかれることは難しい。

戦略として考えていた。

そして、もう一つはカマトの件のことだ。


「念に言っておきませけど、カマトさんをあまりいじめないでくださいね。種族は違えど、ここに馴れるように努力しようとしてますから」

「わかっていますとも」

「ありがとう。なあ、ひとつ聞いていいか?」

「なんです?」

「ボスはどうなったのか教えてくれないか?逆恨みにでも来たら」

「ああ・・・・そのことはご心配なく」


苦笑し答える。


―――【猫の里】―――

里の住人である人たちが木の根元を見て騒いでいる。


「間違いない・・・こいつは猫を殺しちまった余所者よそものだ」


木の根元には人の形を保ったままの遺骨が一体。帽子をかぶり、手元には吸い欠けの葉巻が落ちていた。まるでその葉巻が線香のように煙を立てて。

その周りにも遺骨が何体も転がっていて、一人の男性が遺骨を埋葬しようと数えている。


「・・・・あれ?一体分足りないぞ?」

「あの、弔った少年ではないか?」

「多分・・・・だが、彼も生きてはおるまい」

「ああ。こいつらの仲間だしな、どこか別の場所でくたばってるな。可哀想に」


こうして里には伝承が引き継がれ、何年も猫を愛玩するための掟として残り、たてまつり、祭りなども開かれるようになった。猫たちも影で祭りに参加したりもして人間を見守る役割を担った。

里に何かあれば助けられるようにと。


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


[レイクード視点]

・・・・・・・まあ、こんな感じで新しい戦略拠点ができたわけだ。

この拠点は今後の物語で重要になってくるかもな。


「ここテストに出るよ」

「ご主人様?」

「っと、ごめんごめん考え事」

「・・・・・・で?わたしはどうしてこうなってるのかしら」


俺は自分のヒザの上にフレイアを乗っけている。

移動中こんなことは一度もない。

なのにどうしてこうしたかと言うと、ま、一種のご褒美だ。子供たちにあんなにもモミクチャになりながらも怒らないで遊んであげたことに対してのご褒美。

いや、感謝かな。俺だったら絶対に怒りそうな感じがするから。何しろ毎日村中の子供たちを相手にしていたんだが、借り家に帰ってきたら毎回ボロボロだったし、見た訳じゃないけど追いかけられたりしてたから。

そういえば、あれが決定的だったな。家に帰ったら身体中に凄んごいドロかぶった真っ黒の状態で帰ってきたことがあったけ。

そんなになる状況になったら、俺なら絶対キレてた。


「ダメ?」

「だめ・・・・じゃない、けど・・・(チラ)・・・・」


運転中のレンヤを見ている。

ああ、これを他人に見られてたくないか。印象は大事だもんな。


「レンヤ、このことは他言無用。絶対に明かさないで、後ネタにするのもダメ」

「は、心得ました」

「だ、そうだよ」

「・・・・・ふん」


そうして、俺が椅子になるような感じでフレイアが全体重を乗っけてきた。


「キャラ作りもいいけど、あまり気に負うことはないよ疲れるだけだから」

「キャラ作り?」

「あ、その言葉は忘れていいや。まあ、無理に自分を偽っても疲れるだけなんだからたまにはこうして自分をさらけ出すのもいいんじゃない?他は後ろで全員寝てることだし」


俺は後ろを見る。

車に揺られながら両方の縦に伸びた座席にルドルフさんとミリーさんが寝て、床に村からもらったフワフワのマットを敷いてマリーとチェーニが眠っている。

連日の作業で完全に疲れて眠ったようだ。これならちょっとやそっとでは起きはしない。

他人に知られたくないようなことを共有するのはエロゲーの基本ラブ設定だ。ツンデレにはこれが結構効果的。


「ね。レンヤには口外無用の命令を出したし、それをネタに嫌がらせもしないから安心して。今だけでいいから甘えていいんだよ?」


彼女には親というものを特に理解していない。

物心付くときには亡くなっている。親そのものの教育を受けていないんだ、家族とゆうのがどれほど大事か理解させなきゃ今後の生活に支障を来たすかも知れない。

必要なフラグは可能な限り立たせて、来るべき寝取られフラグを徹底的に折れるように前もって備えられるしな。


「・・・・・・・・考えておくわ」

「はいはい」

「・・・・・すこしでていいわよ」


・・・・・・・・フ。堕ちたな。

俺は心で笑い、優しく頭を撫でてやった。

嬉しそうに足までブラブラさせている。やっぱり、あの時の視線はなでて欲しさの視線だったか。

ツンデレの場合だと無理に言っても断れそうだし、明確な理由を付けないとこうしたイベントを攻略できないからな。

そうだとしてもリアルで選択肢が無い分、自由が効きすぎてどこの判断枠が有効なのかも難しいんだよな。まあ、これがリアルってやつなのかもしれんが。

乙女心はゲームか漫画程度の知識しか無いが、まあ予測、対策ぐらいはできるか。


これからも頑張って書いていきたいと思っていますので応援よろしくお願いします。

愛読者の皆さん今後とも続けて読んで頂ければ幸いですので。


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