第三十五話 「賞金首(お尋ね者)」
少しずつレベルが上がってきていると自分では思っているので、これからもよろしくお願いします。
時間の関係もあって投稿が長くバラバラになると思いますが、長らくお付き合いください。
よろしくお願いします。では、また次回に。
・・・・・・・。
「ふぁ・・・・・くしゃんっ!!っと~」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫」
どうも。レイクード・バルケット、14歳です。
俺たちは帝国領のとある小さな町に立ち寄っているところです。また長い旅路に備えて食料調達と情報収集の為で。ここから、だいたい東に向かえばイディアールに到着する。
だが、めっちゃ遠い。
陸地が地球は海が7で陸が3であるが、この世界はユーラシアと南アメリカ大陸を合体させたような形の大陸、グランフィーニの面積が地球よりある。だから、陸は4以上はあると思われる。
この世界は、まだ地図が完全に埋まっていない。人が魔術で魔物に対抗できるようになってから数百年、未だ人が踏み入れない海域とかが存在している。
風が全くない海域とか、霧で行ったら帰ってこれない場所、新大陸とかが発見される可能性もある。
そして俺たちが住む大陸は、とりあえず飛竜を使って測量してこの大陸と周辺の島だけは地図が出来上がっている。地図によると目的地まで半年はかかる。シルクロード以上にあるかもしれんのだ。
フレイアに乗ってけって?
それはムリだ。いま置かれている俺たちの状況ではな。
「ごめんなさい。ちょっと目を離したらフレイアが勝手に酒場に入ってしまいました」
「いいよ。酒場なら情報が聴きやすくなる場所だから」
「いいんですか?」
「あれ―――」
「あ・・・なるほど」
俺はそのフレイアの入ったと思われる酒屋の看板を指さす。そこには〈大食い大会開催中!勝者は食費タダ〉と書かれていた。
俺の出費を抑えたい気持ちをマリーは理解したようだ。
その店に入ってみる。
「いらっしゃいませ。席に案内しま~す♪」
「いや、すでにあそこで食いついている子の連れですので、近くの空いてる席に座ります」
「ではごゆっくりー♪」
「フレイア、あなたはまた勝手に・・・・」
「二人も食べたら?焼き物が美味しいわよ」
「はぁ~(汗)。では適当に焼き物をお願いします」
「かしこまりました~♪」
この成長期のドラ娘は最盛期には街の出費に影響する程食いまくる。だから、このレルムッドへの帰還の旅で我慢を身に着けてもらう為に連れて来た。
ただし、こうゆうイベントには制限しない。教育は飴とムチってね。あわよくば賞金がもらえるかもだし。
さて、情報収集は――――。
「おい、お前」
ん?・・・誰だ?この青いヒゲ面のおっさん。ルナが怖がって小走りで俺のローブにしがみついて来たじゃないか。
なんで居るかって?それは後にしよう。
「僕ですか?」
「そうだ。悪いがちょっと面見せてくれ」
「・・・・・・・・」
「聞いていたのと違うな・・・・すまん。人違いだった」
「あなたのように聞いて来る人が多いんですよ。あの手配書の人に似ているからって」
俺は店の壁の張り紙を差した。手書きで書いたような似顔絵に、顔に傷があるなどの特徴などが書かれていた紙。
手配書だ。
俺ことレイクード・バルケットを、お尋ね者みたいにデカデカと貼っている。しかも重犯罪を犯した高額賞金首の犯罪者辺りに。見たところ殺人系の事柄がないので、殺人を問いただされるとか話じゃないけど、重犯罪者と同じように思われるじゃん。
「確かに歳は近いですが、特徴の髪の色じゃないでしょ?それに〈頭が切れる者〉と書いてあるんですよ?そんな人がこんな人の多い場所に来ますか?」
「確かにな・・・・悪かった」
「あ、何かその人の情報を掴んでいますか?」
「何故そんな事を聞く?」
「こちらとしては、早く捕まってほしいので他のギルドの人にも伝えようと思いまして」
「俺が知ってるのは迷いの森方向に行ったぐらいしか知らねえな。おまえは何か知ってるか?」
「ぼくもそれぐらいしか知らないですね」
「そうか、ありがとよ。そこの嬢ちゃんに何か食わせてやんな」
そうして、青ヒゲのおっさんがテーブルに大銅貨を置いた。怖がっているルナを見て憐れんだようだ。ちょっち良い奴。
でも、これだけではデザート代ぐらいにしかならないんだけど・・・。
まあいいや。そうだ、なぜルナールさんを連れて来たのかだった。
それは人に馴れてもらう為。こういった感じで普通の人でも怖がってしまう。生贄にされたのがきっかけなのだが、小さいうちに人に裏切られた所為だと思えばそうなっちまうよな。
最初は俺にもこんな感じだった。でも、向こうも努力してくれたおかげで何とか懐いてくれた。一年以上かかったけど・・・。
だが、他の人にも慣れてもらわないと自分が困るだろう。これから長い年月生きる彼女にとっては、それはあまりよろしくない。だから帰還の旅に少しでも馴れてもらおうと同行させたって訳。
「ありがとうございます。そういえば近くの町ってどんな感じですか?」
「ん~・・・まあ、とくに危険な魔物の話も聞かねえよ」
「どうもありがとうございました」
「おう。じゃあな」
そして俺が指名手配にされたのが、フレイアで飛んでいけない理由。
本当なら飛べば山谷川関係なしにひたすら真っ直ぐ突き抜けられる。休憩とか合わせても一ヶ月くらいで到着するのに。
フレイア自身も〈エンシェントドラゴンに乗ってる可能性あり〉と共犯者扱い。飛んでればこれ以上なく目立つし、しかも国境線はかなり警戒が厳重な筈だ。
だから直接「パッと行く?」もできず、地ベタをひたすら歩き進むしかない。ま、社会勉強だと思って帝国の内部事情も理解しておくのも一興か。
なぜお尋ね者にされたのかは、手配書を見るくらいで推測はできる。
手配書にはこう書いてある。〈決して手荒に扱うことなかれ〉と。
手配書を使ってお尋ね者のようにしながら手荒に扱うなって言うのはおかしい。しかも、生きて捕える事が絶対条件で〈望む額を与える〉とか。ギルドから聞いた話では情報さえも金を出すとの事。
帝国がバルケット領を押さえたとなれば、ガーランド(銃)が鹵獲されたと考える。となると、開発者を探し出して量産させる、とゆう考えが俺には思う。で、俺が作ったと分かったが居なくて。どうしてか、帝国領に入っちまった事がバレたと考えるべきだろう。そしてビラを撒いて探してる。
それを避けないとな。
今の状況から考えると、情報量は帝国もギルドも全く同じだと思われる。
でなきゃ、とっくに手を打たれてる。
だから、変装している。
特徴の顔の傷は自衛隊の化粧でメイクして消し、さらに髪の色も変えているから変装は完璧。髪の色を変えただけでも顔つきがガラッと変わるもんだからな。さらに別人にするために偽名で呼ぶことにした。
名前が近い「レイド」ってね。
「凄いです。あんなに言葉巧みに情報を聞き出すなんて」
「まあね。いろいろ鍛えられたから」
レへスティールに居る間に徹底的に「いろいろ」学んだからな。その間に体格も顔付きも判別できないくらいになっている。
レンヤに関しては尻尾が増えているし。
旅に必要な戦闘力を身につけるためにみんなに訓練したのだが、いつの間にか増えていたみたいで、俺が指摘するまで全く気がつかなかったらしいのだ。
限界突破の証なのか、存在進化なのかは分からない。
まあ、でもとにかく、みんないろいろ部分で成長している。
子供だったマリーも見違えた。
大人っぽい口調になったし、ちゃんと成長している。一部除き・・・・。まあ、俺より歳下なんだから、今後に期待。てゆうかチェーニ以外の俺の周りが一般より大(胸が)きいだけなんだけど。
「あの~、申し訳ありません・・・・」
「ん?何でしょう」
「あの小さな女の子の連れなんですよね?」
「まあそうですが?」
「もう、勘弁してください。こっちが破産してしまいます~~(涙)」
隣の席には人だかりができていた。
周りは「ひゅー」「いいぞ~嬢ちゃん」などと歓声を上げて酒の肴にしている。その中心にいる人物は自分の背丈以上の皿の山を何枚も積み重ねたフレイア。
そして、今食った皿を平らげ、「おかわり~」とねだる。
客も「おお~」とか歓声上げて大盛り上がり。
酒飲み客には、いい余興だろうが、店側はたまったもんじゃないな。ま、これで優勝したのも当然だし、可愛そうになってきたから出るか。
「申し訳ない。後は持ち帰りで連れて帰ります。あ、デザート追加で」
「もう帰って下さ~い~~~!」
さっさと必要な食料を買って、レンヤたちと合流するか。
・・・・。
・・・・・・・・。
『・・・―――ご主人様、聞こえますか?』
・・・んが・・・・あれ?寝てた?暗いし。っと、通信通信。
【情報通信耳飾り】―――耳につけるイヤリング型の通信端末。術式が込められた小さな魔石がついているので通話が可能。
「はいはい、聞こえているよ。どしたの?」
『はい。道の先から馬車が来ます。森に隠れてください』
「はいよ~」
「チェーニ、そこの茂みに入って。レンヤは合流」
「かしこまりました」
インフォカフス「略」は耳につける小型のものなので短距離の通信にしか使えない。この場合偵察に使っているのだが、遠距離との通信には背負うタイプのモジュールを使えばそのままで遠距離通信が可能になる。
この旅では可能な限り快適な旅となるように考えて、いろいろ準備したのだから。
現にこうして「高機動車」に乗って移動してるのだ。
移動は速いし、道がある程度悪くても酔わない。車内環境も、市販用の車と違ってクーラーが無いが、馬車以上に快適。運転手、助手含めると隊員10名乗車できる。ルナとフレイアで一人分。それにチェーニとマリー、そして俺と、正式従者になったレンヤでも十分の広さがある。
また女の子ばっかって?気にするな。戦争で男がほとんど戦死する確率が高い。
どうしても女性が多くなってしまうんだから仕方ない事だ。男は戦場、女は家事とか家で夫の帰りを待つなんて考えの時代なんだから。
それより、自衛隊車両は自然を意識した塗装が売りだからこうして森に溶け込みやすい。車を後ろから入れれば結構分かりにくい。
俺は車を隠させ降りた。
「よいしょ」
「レド様、お加減が悪いのですか?」
「ん?いいや?」
「マリーから聞いたのですがくしゃみをしていたみたいですが」
「大丈夫。噂か“これ”の影響かも知れないから」
【修行具】――――魔力を吸収し重力の魔術を発動させて自身の体重を2割~4割にすることができる修行装備。体力を付けられるだけでなく魔力も使っているから一緒に強化できるすぐれもの。
最初は病気になったみたいにダルくなるが、慣れれば戦闘可能だし複数装備して割り増しも可能である。形は腕輪から指輪、アクセサリーなどさまざま。ファッションにも合わせられ、日常生活を送りながら修行することができるのでかなりお手軽装備。
お値段なんと――――じゃなくて。本当は重力波を発生させ弾丸、魔術などを完全防御する鎧を開発中にできた思わぬ副産物だ。まだこいつの人体に及ぼす影響がまだ分からないが、今の所疲れて寝すぎるくらいの副作用があるって事は解る。
しかし、魔力を消費しているので今後観察しておく必要がある。
ちなみに俺は三つが限界。それで日常生活が出来る程度だ。
見つからないように木々を折って車に乗っけている間に俺は考えいる。こっちは森と同化してるから気づかず通過するだけだと思うけど。
そもそもなんで馬車が来るのかだ。
今は夜。夜は魔物が獲物を求めて活発に活動するから、普通人里で一夜過ごすのが一般的の筈。人気が無いと思って俺たちは夜間移動選んだのに。
まあ、いい。こっちに気づく事も無いだろうし。深く考えても仕方ないか。こっちはやり過ごせばいいのだから。
「オ待タセシマシタ」
「どのくらいで通過する?」
「早めに通過しそうですね。追われていましたから」(←変身解除)
「追われてた?」
「はい。馬車が限界まで走っていました。その数ミーグ後ろを馬に乗った一団が。恐らく盗賊集団に目を付けられ、逃げているものかと」
「ああ、盗賊ね。世知辛いもんだ・・・・・・」
なるほど、盗賊も夜に行動するんだっけか。
大方、途中で襲われて、逃げてるんだろう。近くに町が無くて、前の町に戻る事を選んで逃げてるのが今の現状って所か。
まあ、俺たちには関係ないか・・・・・(クイクイ)・・・。
「・・・・・ん?なに?ルナ」
「お願い、助けてあげて」
「いいの?ルナが怖がるような相手かもしれないだよ?」
「それでも・・・・・中にはやさしい人だっているんでしょ?」
ちょい疑問形だが・・・・・・でも、この小さい幼女が見上げてお願いする仕草、可愛いぃ~~♪しかも、その内容が純粋でいい。
メッチャ可愛ゆす。その願い叶えて守りたいこの笑顔。
「・・・分かったよ。ふむ・・・・・」
さて、どうする。
倒すこと自体造作もない・・・死体は・・・レンヤに獣化して、炎で一気に後処理でもして・・・・・おお、そうだ。変な噂が立てばギルドの連中が一時的に食いつくかも。完全獣化状態したレンヤを討伐依頼を出させるとか。
こっちは車で移動が速いから、出回る頃には俺たちは次かその次の町にいる頃。まさか、変身できるとは思わないだろうし、混乱している状況なら説明だってあやふや。人前で獣化しなきゃ問題ないだろう。
おし、完璧。
暗視スコープで敵を確認して、サプレッサ、別名サイレンサーで倒す。
暗視スコープもサプレッサもミリオタなら知っているだろう。夜でも見える道具と、完全ではないが音を消す道具、音を抑えるが正しい。
それを使って盗賊を倒す。
後はリアリティを持たせるために、レンヤには骨付き肉とトマトソースを口に含んでもらえば準備完了かな。
「よし、ライフルにサプレッサ、それと暗視スコープ用意。静かに射撃して、全滅させるよ。二人とも準備して」
「「かしこまりました。」」
二人に俺御手製のアサルトライフルを持たせている。
この銃には状況に合わせた装備を取り付ける事ができるデコボコがあり、そこにスコープをスライドさせて「カチっ」と固定。
銃口にサプレッサを回して取り付けてっと。
「レンヤは獣化して待機。それから〝これ″を口に含んで」
「かしこまりました」
「チェーニとマリーは一番後ろから順に敵を狙い撃って、できるだけ気づかれないように。気づいて混乱したところで僕はボスらしき人物を特定次第、射殺する」
「はい」「分かりました」
暗視スコープは、可視光線の波長の中間の色が緑色で最も知覚しやすい色とされている。スコープを覗くと景色が緑がかったように見えるのだ。
そしてその緑がかった景色から見えるのはさっきまで走っていた一本道。
両側を森で囲んっでいるので、もし逃げたいのなら森を突っ切るのも一手。だが魔物の脅威からなども考えるとこの一本道を通る確率が高い。
それなら基本戦術的は、まず前後を狙い撃って敵の足止がセオリー。
でも、今は俺たちの事を知られるのは得策ではなない。
だから、第一段階はまず後ろから敵を狙い撃って数を減らしつつ、仲間が潰されてるのに気づいた所で、仲間に指示を出すリーダーを特定して撃つ。
・・・・・・・・・・・・・・っと、来たな。
道に狙いを定める。
追われている馬車側・・・・・・おや?追われているのは青ひげのおっさんか。馬車に子供を乗っけてるってことは、そうゆうこと。
子供好きのいいおっさんって訳ね。顔はイカツイけど。
こっちは悪くないとして、後の馬群か。
剣とか武器を持っている。・・・・・・こっちだな。
「(よ~い・・・・・・撃て)」
静かに命令して、二人が発砲を開始。
引き金を引くたび「パシュ!パシュ!」と音がする。そして、その音の数だけ盗賊が倒れる。一人また一人、一番後ろの夜盗から仕留めていく。
撃ち漏らしが全く無いな。距離が比較的近いからかもしれないが、旅に出るのに俺と一緒にいろいろ訓練した成果もあろうな。
特にチェーニは凄い、暗視スコープなしでも当ててるんだから。
ダークエルフは【心眼】が使える。これで夜でも見えない状況でも物体の存在を把握できるのだ。銃とこの心眼を使えば【「夜の狩人」ナイトハンター】なんて称号をあげようか。
さて、そろそろ異変に気づいて、手下がオロオロし始め出し・・・・・・・あれだな。いかにも指示出してる感じで片手を突き出してる。
俺はターゲットスコープを覗いて、十字の線の中心に頭を合わせる。
「(悪いね。世知辛い世だけど、それ以上に不運だと諦めてくれ)」
パシュ!
「(っしゃあ!コールボアショットってな)」
【コールボアショット】―――銃身が熱を帯びる前の冷え切った状態からの第一射。これは狙撃に多く用いられ、それを決めるには風、距離、地球自転から重力なども計算して、一発で当てる技。
これはとてつもなく難しいが、今の状況ならそれが可能だった。
風は夜の雲がほとんど止まっている状態で、自転も距離が短いから気にする必要がなかったので一発で仕留められた。
その後は簡単にこと、混乱した手下を狙撃するだけだった。
少し残ったところで第二段階に移行する。
「(レンヤ、行って)」
「ハ!」
完全獣化のレンヤが飛び出して、残りの盗賊にファイアーボールを食らわせながら突進。その時、盗賊がランプを落として油が広がる。ファイアーボールで引火し、たちまち火の海となった。
広範囲の火の明かりで丸見えだ。
よく見ると手下にも火が燃え移って、炎だらけの地獄絵図。こっちまで断末魔が聞こえてくる。
遠くで見てもえげつねえな、俺が考えた作戦だけど。
作戦の最終段階。
レンヤは死体が燃える炎の中に飛び込んで頭を低くして不自然に上下に動く素振りを見せる。これでレンヤが化け物に見えて、人を食らってると思い込むだろう。
いきなり明るくなった目はよく見えない状況に、突進前に口に含んだトマトソースと骨付き肉でかなりリアルな演出な筈だ。
「ボキボキ」「グチャグチャ」言ってる。
でも腰が抜けて動けないのか。逃げていた馬車が硬直しちまってる。
これじゃあレンヤも動くに動けない。ネタを披露するもマジ過ぎて、静まり返った宴会場みたいになってる。
俺は緑の珠を出して、それに念じる。
(レンヤ、移動するように脅かして。腰が抜けていそうだから)(←念話)
『(分カリマシタ)』
「何ヲシテイル人間!早々(そうそう)ニコノ場カラ立チ去レッ!!」
「ひいぃぃぃーーー」
・・・・・・・やっと行ったか。
まあ威嚇して、鋭い歯に赤い血肉が付いてりゃ誰だって腰抜かすわな。まして、あんなにも大きいんだから。
「レンヤ、ご苦労さん」
『勿体無キオ言葉デス。ゴ主人様』
「じゃあ火を消して、撃った薬きょうを回収してから出発しようか」
「かしこまりました」(←変身解除)
証拠は残さずに、っと。
しっかし、念のためマキビさんから緑の球を借りておいてよかった。秘密に通信できた方が良いと思って借りて・・・いや、「拝借」してたんだけど。
獣化した耳だとカフスツールは合わないし見た目が良くない。念話だから他人に話を聞かれることもないしな。
作ればいいて?
ムリ。これはロストテクノロジーの塊のようなんだ。新型の小型無線機だって距離が限られているのにこれはそれを無視して遠くの人と念話できる。
軽く調べたが、メッチャ細かな魔法陣が何層にも組み込んであった。しかも誰もその魔法陣が理解していなくて、復元などは今のところは不可能。文字なのか、模様なのかも不明、少なくとも人工物であるのは確実だとゆうことだけ。
それが何処にあったかとゆうと、なんと、落っこちてたのだ。
聞く所によると、妖狐族が苦労して地下に降りて来たら偶然に見つけたらしい。当時の妖狐族が調べて、念話のようなことができ、マキビさんが使うと心も読みとれてしまう事が分かった。
マキビさん自体九尾で強い力と予知夢を見ることが出来るらしいが関係性も、どうしてあそこにあったのか、どうゆう仕組で模様か文字なのかも全て謎。
拝借せざるを得なかったのは、この緑の珠は三つあるが一つは研究用で他の二つはマキビさんが自由に俺と話ができないと、ダダこねられて貸してくれなかったんだ。あまつさえ「やだモン」とか言う始末。
使用時間を決めることで了承したみたいなんだけど、歳いってるのに、かなりカンベンな状況だったんだよな。
◇
数日後。
俺たちは今、森の中を移動している。こっちが近道だし、白昼堂々移動できるから速い筈・・・・・・・・なんだよな~~~。
一つ失念していた。
あまり人の来ない森では、動物たちの生活する世界だとゆうことを。
前世と違うのは魔物がいる所。当然いつも迂回して通り過ぎるこの森では魔物の数が多くなるのも必然。魔物だって人間の都合で殺されたくないだろうから、狩られる前に殺る。問答無用で襲いかかってくるから、今もこうして車を止めて迎撃している。
逃げようにも木が邪魔で速く走れないから。
「おーしっ!後は・・・・・マリーが多いか」
数が多いので振り分けたが、まだマリーが倒し切れていない。
ウルフと・・・・ち、嫌なのがいやがる。
援護するか。
ダンッ!ダンッ!
「ギギっ!?」
「あ、ありがとうございます」
「良いから。殲滅するよ!」
「はいっ!」
「・・・・・・・・・」
・・・・。
・・・・・・・・。
たく、こうも何度も来られたら、マジでイラつくほどになって来たぞ。つっても仕方ないか。俺が近いと選んだ事だし。
どうせなら装甲車にすれば良かったか?・・・・・キャタピラの痕跡が残るか。しっかし、こう何度も襲われてちゃ、さすがに腹立ってくる。
別の意味もあるけど・・・・。
「ご主人様。少しお聞きしたいことがあるのですが、よろしいですか?」
俺が気分転換に運転しているとレンヤが助手席に座った。普通車と違ってクーラーの部分がないから簡単に後ろと行き来ができていた。
「いいよ」
「では無礼承知でお聞きします。ご主人様は「虫」がお嫌いなのですか?」
(ドキっ!?)「な、なななんで、そう思うのかな?」
「戦い方を見ていましたが、どんな状況でもいち早く虫の魔物を先に倒していました。ヤンマヤンマなどのが特に真っ先に」
「う・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうなんだ。
俺は虫が嫌いだ。特にトンボがダメ。
この世界にヤンマヤンマとゆう魔物がいる。前世ではオニヤンマのような外見だが、ゲームで出てくるような大きさでデカイ。クラスは【C】とザコだが、この森では結構出て来る。
突然変異のダイオウヤンマヤンマとゆうのもいるが、それはかなり大きいとゆうことらしい。もう悪夢だ。
子供っぽいって?
その子供の頃あった出来事の所為なのだ。
「後ろの面々は疲れて寝ています」
「気使いありがと。まあ・・・・・子供の頃にあった事が原因でね」
「子供の頃とゆうと、前の世界の事ですか?」
「そう・・・・・」
レンヤなら話しても問題ないだろう。
・・・・・・・・・・・・・あれは、俺が5歳の頃。盆休みに爺ちゃんの家で夏休みを過ごした時の事だ・・・。
◇
・・・・・・・・・・前世、俺が5歳の頃。
家族がお盆休みで爺ちゃんの家に行った時。
俺は一人で畳にタオル一枚腹に乗っけて大の字で昼寝をしていた。
爺ちゃんや家族も親戚を招く為の買い出しに出ていた。夜に祭りがあって、親族がその祭りに参加する為に集まるのだ。その後も夜には宴会があってその食材を買いに行ったのだ。
買い出しに連れて行こうかと思ったらしいが近いし良く寝ていたらしいので俺を寝かせたまま出かけたらしい。
そして誰も居なくなって、寝てるとガラスを叩く音が聞こえた。割れそうなくらいの音で、何度も聞こえるから目が覚めちまった。
気になって行ってみたら、オニヤンマが家に入っていたのだ。夏だし暑いので窓を全開にしていた中、家に入ってしまったようだった。
音がうるさいし、自力で出られそうになかったから捕まえて外に出そうとした。両羽を掴んで外に出そうと思って、止まった時を見計らって両羽を掴もうとした。
だが、片方が掴めなくて、危機的状況と思ったのかオニヤンマは思いっきり俺の手を噛みやがった。
「その時、嫌いになったのですか?」
「それだけでは嫌いにはならんよ」
そう、その後の夏祭りにもあったのだ。
親戚が集まって、少し酒を飲んだ後、皆で祭り会場の広場に歩いて向かった。祭り自体は何ともなかった。綿菓子買って、金魚すくいとかもしたりと割と普通に楽しかった。
問題はその後。
帰り道に木製の支柱にライトが道を照らしていたのだが、その道に沿って並んでいた支柱の一本にクワガタがくっ付いていた。しかもオオクワガタ。
興味本位で掴んで、遊び半分で手に乗っけたのだが、そこでまた噛まれた。
「それでなったのですか?」
「いいや。噛まれて後ろに後ずさったら支柱にぶつかったんだけど、その時に気持ち悪い虫がたっぷり落っこちてな、それ以来嫌いになった」
「ああ――・・・・・・」
「特にオニヤンマが一番痛かったから印象に残っちまってる」
夜だったからライトに群がって集まった虫が大量に落ちて来たんだ。カミキリ、カメムシ、ガやらその他気色悪いいろんなのがたっぷりと。
それを頭からかぶったんだからトラウマにもなる。親戚や爺ちゃんも祭りだからと酒が大量に入ってたから、大笑いだった。
でも俺にとっては笑い事じゃない話。
「ふふ(笑い)」
「レンヤ?」
「失礼致しました。でも安心しました」
「なぜに?」
「ご主人様に弱点が無かったら私も立場がなくなります。街をあそこまで立て直した手腕と技術の発案、軍事、料理だってできますよね?」
「軽くね。一人暮らしだから、俺自身が食える程度だけど」
手腕も技術も俺の考えじゃなくて前世から学んだこと、戦術だって軍事オタだった頃の知識にすぎない。
前世の知識に頼った「コロンブスの卵」でしかない訳なのだが。まあ異世界なら無効かな。著作権も無ければ、奴隷が財産だと思ってる人がいる、人権だって存在しない世界だ。
さて、これからどうなるやら・・・・・・・。




