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とある転生者の革命戦記  作者: スピンドル
第三章 少年期「故郷救済編」
35/46

第三十一話「陥落」

時刻は21時を少し経過した時。

空は暗く、月明かりと星の光だけで輝く時間帯。だが、暗い時間であるはずなのに空はまだ夕日みたいに赤く染まっている。

それは高くせり上がった炎の光。夜空すら照らす大きな光だった。

街の家とゆう家が広範囲に渡り炎で燃え、露店までも飲み込んで全てを焼き、火災旋風を巻き起こす程となっていた。街の周りには大きな壁が立っているが、外から見ると火の受け皿で、大き過ぎるかがり火を焚いている様にも見える。

街の名はテルミナス。

イディアール中立国バルケット領の統治者ローガン・G・バルケットの住まう街。その街全てが燃える中、唯一ローガンの屋敷は、かろうじて火災を逃れて無事だった。その屋敷には多数の住民が避難している。

避難民のほとんどは軽傷から重傷者まで怪我をしている人が大勢いた。だが、医療施設ではない為、最低限の治療はできても重症の人以外は廊下に座らせる事しかできなかった。

できることは、その避難民に対しては屋敷のメイドや使用人が食べ物を配り、手を怪我した人には食べさせるなどを行うことだけだった。

そんな住民たちが沢山いる屋敷の一室、銃を持った兵士や農機具を持った住民が大勢立っていた。真剣な顔をしているが不安を隠したような顔で、机に座る人物を見ている。

その人物こそ街の領主ローガン本人である。


「くそぉ!!何故だ!何故奴がこんなマネを!」

「落ち着いてください。傷に触ります。それに彼らがこのような行動を起こした時点で帝国に組したのは事実です。今行動を誤まれば」

「ええいっ!分かっておる!!ワシが気にしているのは、何故奴が裏切るのかだ!」


それは、今より数時間前、まだ日が高い頃。

テルミナスの街に帝国軍が攻めて来た。

先にビエノー村を墜とし、そこを補給基地として破竹の勢いで向かってきた。

事前に敵の攻撃を知ることができ、兵を街の壁に配置させた。

バルケット領土軍の全兵力は三個中隊規模。

それに対して帝国は、その数百倍以上の数で攻めてきた。補給基地を守るための兵力を裂いていてもだった。壁の外は帝国の兵で地面が見えなくなるほどだった。

そして、開戦の火蓋が切られた。


「全軍進めーーーっ!!領主の首を召し捕って名を上げろ!」

「おおーーーっ!!」


帝国指揮官の号令と共に、ラッパの音が戦場に響くと、兵士はテルミナスの防壁に突撃してきた。馬に乗り盾を持ったランスを構える兵を先頭にすごい速さで突進してくる。

中には馬の体と上半身が人間のケンタウロスも見受けられる。

彼らは奴隷。先人を切らせ、後方の主力の兵を温存するのが目的だった。


「帝国兵、間もなく射程距離に入ります」

「うむ。全員よく狙え!弾に余裕はないのだからなっ!!」

「はっ!」

「手りゅう弾の用意は」

「完了しています」


防壁の上にいる全員が帝国兵に銃口を向け構える。

何も知らない帝国兵は、そのまま“キルゾーン”へと侵入し――――。


「撃ち方ぁ!はじめぇぇーーーっ!!」


全ての銃口から光と煙が現れる。

帝国兵の一人は街の壁から光が放ったと思うとすぐ隣の兵士が突然何かにつまずいたかのか倒れる。そして、そのまま動かなくなった。

すぐにかけ寄ったが、フルフェイスの兜には穴が空いており、目を開けたままピクリとも動かなかった。その兜を外すと額には小さな穴が空いており男の目に生気が感じられない。

とにかく男を運ぶために呼ぼうと周りを見る。

しかし、周りはこの男の様に倒れている仲間、叫びとうめき声で倒れている者が大勢いた。そしてその数はどんどん増える。盾を構えているにも関わらず、盾、鎧もろとも穴が空いた。

ほとんどは、この兵士と同じ鎧や身体に小さな穴が空いてそこから出血している。足や腕から血を流している者は痛みとうめき声を上げているが、心臓近くまた頭の者は息をしていなかった。


「・・・・・魔術・・・・なのか・・・・?」


そして、防壁を見る。

光と音を発した後に兵士が倒れていく事が分かり、そこから攻撃しているんだと気付く。詠唱の時間から考えて魔術でないことは判ったが、どうすることもできない

弓すら持っていない自分では何もできなかった、っと。いや、例え魔術が使だったとしても、あの距離ではない事は解っていた。

現に魔術兵が、ファイヤーボールで攻撃するのが見えるが、防壁に届くどころか壁にすら当たらず、ただ地面に穴を空けるだけ。中には【ロックニードル】で攻撃する者もいるが地面に刺さる無意味なものだった。

そして、その魔術兵も同じように何かに殴られたように倒れ動かなくなった。

魔術すら届かない距離から攻撃され、着ていた鎧も意味を成さず、どうすることもできなかった。未だ距離があるこの場所まで容易に鎧を貫き命を奪うこの状況に、圧倒的敗北感を抱いた。


「これは、悪夢、か・・・・・・・」


だが、悪夢は続く。

防壁から、さらに何かが飛んで来る。

それはロッドのような形をしていた。それが地面に落ちるとすぐに爆発して、次々と兵の身体をバラバラに引き裂いた。それに驚く間もなく、兵は突如首が後ろに傾き、倒れ、それから動くことはなかった。


                ◇


数時間後、勝敗は決した。

ローガンは発砲を止めさせる号令を出し、今まで撃っていた戦場を見渡す。

死屍累々の兵士が倒れていた。

地面には穴が空き、壁近くの地面にはロックニードルで飛んできた石が突き刺さっていた。

木一本生えていない広い原っぱで、周りに身を隠すようなものがない射撃場と同じような場所。銃とゆう存在を知らない帝国兵は伏せる事もせずに壁に突撃して行き、動く的と、さほど変わりなかった。

狙うには容易い条件だ。


「凄い。第一波とはいえ、あの数を圧勝とは・・・・・・」

「うむ。遺体を焼く油は足りるか?」

「食堂の油を使ってなんとか」


しかばねはマナを得て【生きるゾンビ】と化す。そうならない為にも遺体を焼く必要があった。

後処理が大変だが、兵は皆、歓喜に沸いている。

そして、皆が歓声を上げる中、伝令の兵士がローガンに駆け寄る。


「報告します!バナック領軍、只今到着致しました!」

「おお!やっと来たか!散々待たされたがようやくか!」


帝国の戦力は世界一。

一部であってもこっちにとっては大戦力である。

第一線耐え抜いたとしても、こちらの戦力がいずれ消耗しきってしまうのは時間の問題。

そう考えたローガンは王都に応援要請を出す。

それに応じ、一番近かったバナック領土の群が到着した。

ローガンが安堵したその時だった。


ドスッ!「ッ!?」


ローガンは突然、膝をつく。彼の背中には矢が刺さっていた。


「ローガン様!!」

「帝国兵か!?」

「いや、戦場には死体しかない、ゾンビどもが弓を使う訳もない!」

「じゃあ、なんで矢が飛んで来たんだよ!!」

「俺が知るか!」


帝国の残存兵は攻撃できないほどまで撤退し、戦場には人っ子一人いない状態で反撃は不可能だと、誰もが思い油断していた。

しかし、よく考えると帝国兵では無理だとゆう事が分かった。

矢は戦場を見ていたローガンの背中に刺さっている。

つまり後ろから、誰かが放ったのだ。

魔術が施された矢であっても、ある程度射程は伸びるが、この数百メートル以上で目標を仕留められるのは銃以外考えられなかった。

例え届いたとしても、威力がないのに背中に回り込んで刺さるのはおかしい。

後から撃たれたとしか考えられなかった。

そして、街側の防壁の下に見慣れない黒い馬に乗って弓を構えた男がいた。


「貴様ぁー!よくもローガン様を!!」

「まあ、落ち着きなさい急所は外していますから。・・・・お久しぶりですねローガン将軍」

「お、お前は・・・・・!!」


ローブを着た男はゆっくりを素顔を見せた。

それは、ローガンが良く知っている人物。娘エレナ・バルケットとの一戦に勝利し、レドにスピード猛特訓をするきっかけをつくった人物。

ハヤル・アルマ・バナックであった。


「貴様!!どうゆうつもりだ!」

「残念ながら将軍。父も、私と同じ考えでここに来ています」

「なに!ぐっ・・・・!」

「急所は外していますが傷は深い、魔術も施していますから思うように戦うのはムリでしょう」

「くそぅっ!!」


すると街の方角から悲鳴が聞こえ、オレンジ色の光が現れた。


「将軍。投降の検討を願います。父は友人のよしみで、投降すれば帝国に話を通す考えです」

「・・・・・・・」


ローガンは少しの沈黙の後・・・・・。


「投稿などするかぁーー!!私は陛下の命令だけでここに居る訳では無いのだぞっ!!」

「・・・・・・・」

「全員に告げよ!生き残った者は屋敷に集まれと!!」

「はっ!」

「・・・・・・そうですか。そう父に伝えましょう」

「このまま逃がすと思うのか!」

「ローガン様の仇だ!撃てっ!撃てー!!」

「無駄だ・・・・・」


兵士が発砲しようと銃口を向ける。

が、馬は凄い速さで駆け出し、兵士の近くを這うようにすり抜けながら駆ける。この至近距離では、味方同士撃ち合いを警戒して銃口を向けるが誰も発砲する事ができなかった。

そして、ハヤルは街の細い道に逃げ、姿が消えてしまった。


「ちぃ、くそぅっ!」

「追う必要はない。それより・・住民たちを・・・屋敷に、避難させ・・・」

「ローガン様!?」

「はやく治癒魔術を!」


そうして、ローガンは倒れた。


               ◇


・・・・・ローガンが倒れて数時間後。

金に余裕がある者、身寄りのある者は事前に街を離れていた。その為、街に残っていたのはそれ以外の住民たち。その住民たちは街の中心にあるローガンの屋敷に向かっていた。

それを援護すべく、兵たちはバリケードなどでバナック兵を迎え撃つ。

奇襲で、しかもローガンの指示なしで混乱する中、敵の攻撃を受けながらも熟知している街の構造を利用し、兵士たちは奮闘する。

損害を出しながらも、ある程度の住民を助けることに成功した。

だが犠牲者の数も少なくない。そして、ローガンも屋敷に運ばれ治療を受け深いキズを負う。

ローガンは長い時間眠りに就くと誰もが思った。しかし数時間後、突然目を覚まし書斎に戦力となりそうな人物を集めて作戦会議を行っている。

-----------これが、ここまでの経緯である。


「これから、どう行動致しましょうか・・・・・」


現在の戦力はローガンと共に帝国兵を撃退した部隊しか残っていない。

バナック兵がこの街の戦力となりうる者を真っ先に攻撃し、ケガ人含めた民間人、その護衛に就いた一部の兵、そして屋敷の使用人だけだった。

一部では逃げるとゆう考えをしている者はいる。

だが、ケガ人を運んでの移動は危険を伴う為、誰もがそれを口にすることはなかった。もとい、ローガンは逃げるとゆう考えは頭にない事も住民たちは知っている。だからそれ以外の案が浮かばず皆黙っている心境だった。


「・・・・・・降伏しよう」

「!!」


皆、驚いた。

あの時、矢に撃たれながらも否定した言葉を口にしたからだ。


「だが、タダでは済まさん!!ナードレ以外は退席しろ」


そうして、一人の男性を残して皆を退出させた。


「何か?」

「うむ。お前にだけは話しておこう・・・・・・・」

「?」


誰にも聞かれないように近くに招きヒソヒソ話をするみたいに耳に小さな声で聞かせた。

目の周りは黒く変色し今にも倒れそうだった。体力も少なく気力だけで動いているようにも見えた。もはや先が短いと悟ったナードレは静かにそして、一字一句忘れないように神経を集中させて聞いた。


「そう、ですか・・・・分かりました一命を賭しても必ずや」

「頼む・・・・もう行って良いぞ」

「はっ!」


そして、ナードレは書斎から出て行った。

一人残されたローガンは机に座りペンを取り、走らせた。

現在、今日から明日に日付けが変わりそうな時間。

その頃の屋敷は、かがり火を炊いて周りの道に配置、屋敷を照らしている。その周りには帝国兵とその帝国側についたバナック兵が徘徊し見張っている状況になっていた。

その場所に近いちょっと高級感がある酒場。ここに帝国軍の指揮所を設ける。

テーブルを一つにして大きく使い、余ったテーブルはワザと倒して外にバリケード替わりにしていた。

一番奥に座る鎧を着た帝国指揮官は真横に座るドラドに尋ねる。


「・・・・・・で、いつになったら攻めるんだ?」

「相手の出方を待つのも一手だぞ?」

「こっちはな、とっとと攻略してあの武器を手に入れたいのだ。そうすりゃ皇帝陛下の近くに置いてくださるかもしれない。お前にもいい条件を出しやれるんだぞ」


彼の名はモーダル・ガルバンディ。

騎兵大隊の指揮官である。貴族の出ではあるが一定の地位を与えられたままの中間管理職者だ。

兵の失態で上から叱りを受けるわ、挙句の果てに下からも良く思われていない扱いを受けるわの立場だった。

その立場から、名を上げれば良い立場ところに引き上げるられると思い、この一戦に臨んだのだが、彼は兵をやられた。

普通なら失った兵の責任を問われると怒り狂う所だが、逆に彼にとっては良い誤算だったと思っている。

投入した兵力は、大抵の街や村を落とすのに十分な戦力だった。そんな兵力を簡単に撃退させられたのだ普通ではあり得ない、と思う所。だが彼は魔術だろうが武器だろうが、その一個大隊を壊滅させられそうな強い力が手に入る確率が高い事は容易に想像できた。

バナック領の謀反は何年も前から計画されており、街の制圧は時間の問題だと思っていた。

大隊指揮官の彼は特に目立つことはせず、大抵手柄は上司のアルゼイダー卿か、前線で活躍した一部の兵士で、自分の名が知れ渡るのは少ない。

そんな、彼にとって、特に力を手に入れることに執着し、武勲を上げることに執念に近いものを抱いていた。

〝それ〟がどんなものかは想像しなかったが、強力な力であることは理解していた。損害がその証拠であり、喉から手が出そうになるほど欲していたのだ。


「父上の言う通り。返り討ちにされるかもしれないんですから慎重に行動しないと」

「じゃあ、どうする。兵糧攻めにでもするのか?」

「いや。そんな時間は掛からんよ、俺の勘ではそろそろ・・・・・・」


モーダルが酒瓶を持ちラッパ飲みしているその時だった。

兵士が勢いよく酒場に入って来た。


「伝令!『領主が覚悟を決めた』だそうです」

「よし。では参いろうか」


ドラドは立ち上がり酒場を離れた。

モーダルは頭に「?」とゆう文字を浮かべて酒瓶を持ちながら後を追った。

ドラドは馬にも乗らずにゆっくりと兵士をかき分けローガンの屋敷の門の前に立つ。


「ローガン!決心はついたろう!武器を全てこっちに引き渡し投降しろぉ!!そして、先ほどの細長い武器もこちらに引き渡すんだ!!」


そう言い放つとローガンの声が屋敷から聞こえる。

通常でも大きな声であるためか拡声器で声を上げているみたいによく聞こえる。


「ああ、わかった!ただし、住民や兵には手を出すな!屋敷の者たちも含めてだ!!」

「よかろう。精霊に誓ってな!!」


それを聞いて、ドラドは指をパチっ!鳴らす。

すると馬車とそれを引く馬二頭が現れた。


「その馬車にそれを乗せろ。全部だ!」

「使用人にやらせる!」


屋敷の中からM1ガーランドを持った兵士や使用人が出てゆっくりと馬車に乗せていく。


「一応聞いておこう。これを作ったのはレドだろう?」

「なぜそう思う」

「ハヤルからサーベルウォルフを不思議な杖で倒したと聞いている。ビエノー村での活躍はこれのおかげだろう?サーベルウォルフの時は危うく帝国との信頼にキズを付ける所だったよ」

「な・・・・・貴様!!村の一件にも関わっていたのか」

「村の事は事故だ。サーベルウォルフも似たようなもんだ、連合派の連中が寄こしたんだろう。まあ良くやってくれたよ。だが海に落としたのは失敗だったな」

「ふっ、そうか、そりゃ残念だったな。・・・・・ならばこれ以上思い通りにするわけにはいかんな!」


と、屋敷から声が聞こえた。

ローガンとの付き合いが長いドラドは、今取れる行動は二つ考えていた。

一つはこのように投降する事、そして自害する事の二つだ。

しかし、自害する事は投降するより確率は低いと考えていた。それは住民たちが怪我をしているが命に別状ないからである。

今の心境のローガンの気持ちはこうだ。

自分が自害しても残された住民たちがどうすればよいのか路頭に迷う、かと言って道連れにもできない。だから自分だけ死んで、兵や屋敷の使用人に全て投げ出し逃げた様に感じるから自分だけ死ぬことはできない、と考えていた。

そうゆう男だと理解していた。

ドラドはそう思いつつ作業が続く所を見守り、数分後、銃を全て載せ終わった。

その馬車がモーダルの目の前に止まったその時。


ドッドオォォーーーン!


屋敷の裏で大きな爆発があり、黒い煙が雲のように上がっていた。


「なっ!なんだ!?」

「奴らの悪あがきか!?」

「落ち着け、それでも帝国軍人か。兵に異常は無い、みっともないぞ。それより・・・・・・これはどう使う?」


モーダルは兵をなだめさせ、後ろからゆっくり歩き馬車に積まれた銃を手に取った。それはまるでクリスマスプレゼントをもらった子供のようにはしゃいで。


「そこの引き金を引くだけですよ」


ナードレが答える。

しかしカチっと音がするだけで何も起きず弾が発射される事は無かった。


「おい!何も起きんぞ」

「そりゃそうです。弾倉マガジンも無いんですから」

「マガジン?」

「攻撃する際に絶対必要なものです」

「それはどこにある。さっさと出せ!」

「先ほど爆発した所の中に」

「何!?」

「成程そうゆうことか・・・・・」


ドラドはすぐに何かを理解して、頭を抱えた。


「は、早く取って来い!そのまがじんとゆうのが無くなってしまう!!」

「無駄だ。だからあいつはあんな条件を出したんだ」

「なに!?どうゆうことだ!」

「提示したのはこの武器自体、部品は要求してなかった。だからその大事な部分を別にしていたんだろう」

「じゃあ新しく作らせて」

「それも無理だろう」

「なぜだ!!」

「製作者は行方不明。唯一製造方法を知っていたのはローガンあたりだろうが秘密を守るために小屋に中に残ったんだろうよ。帝国に力を与えぬようにな」

「そんな・・・・・!」

「こんなの今じゃ、こん棒が良いとこだ・・・・」


モーダルは持っていた酒瓶を地面に叩き付けて、怒りを表にする。

そして腰のサーベルを抜いて、その刃をナードレに突き付ける。


「ならば約束を守る必要ないよな!」

「止めろ。今は一人も殺すな」

「なんだと!まさか情が芽生えたなどとゆう訳ではあるまいな!!」

「違う。何故奴が住民を見捨てて自害したのか考えてみろ」

「お前じゃないんだ、分かる訳ないだろ!!こっちは出世がかかってるんだ、さっさと説明しろ!」


そうして、ドラドは近くにいる使用人から屋敷にいる住民まで聞こえる様に話した。


「こいつらは、レドがいる時の人質に使える。無駄に殺しても意味がない」

「レド・・・?ああ、孫が居たんだったな。だが、行方不明の筈だぞ?」

「なあに、生きているさ、だからあいつは死を選んだ」


ドラドが話を終えると、場が静まり返った。

その時ようやく気づく。

屋敷から、住民たちが涙を流していることを。


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


ワシは今、最後の晩餐をしている。長年取って置いた大切な酒で。レドが成人したとき二人で一杯と思ったが、まさかこれがワシの最後の酒になるとはな。

この街は帝国と、寝返った大バカ者が牛耳るだろう。

ワシが生きていれば銃の情報が外に漏れ、より危険な戦場を作ってしまう。

幸いなのは、まだ銃の作り方や使い方を知られていない事。

それを条件にすれば少なくとも住民の命は免れる。

弾丸の設計を知られなければ銃なんぞ、ただのこん棒にしかならないだろうからな。知っているのはワシとレド、そして彼女シャーリアたちだけ。

彼女達なら口を割る事もなかろう。レドが認めた者たちだからな。

ならばワシは情報と共に犠牲となろう。

それなら、もはや住民には危害は加えん。やつも無駄な事はしない男だ。


「こっちも、お前の考えが手に取るようにわかっているぞ・・・・」


そしてワシは酒を少し残し、このロッドの様な形をした手りゅう弾とゆう武器を取り、安全ピンとゆうやつを抜いた。

広範囲の敵を殺せるものだったな。あの戦で使用したがあの威力には驚愕きょうがくであった。

このピンを抜かなければ安全とは、全く凄いものを作ったものだ。

恐らく、どんな事をしてまでもこれらの情報を手に入れるやたらが多い。レドには辛い事だが。乗り切ってこの街を奪い返してくれるだろう。

また新しい武器を作ってな。

お前が作った武器でワシは死ぬことになるが、これはお前の所為ではない。

この領、イディアールの為。そして、新たな時代に進んだ結果なのだ。


「後は頼むぞ・・・・・・・・・・」


奴は生きておる。

何しろワシがじかに鍛え上げた孫だからな、嵐の海程度では死なん。

この嵐(戦さ)さえ制して見せろ。

ワシは他の手りゅう弾とマガジン、弾丸が詰まった箱に向け投げる。

手りゅう弾から強烈な光が放ったかと思えば、今まで過ごした思い出が蘇る。

妻と一緒になった時の事、エレナを産んだこと、

そして・・・・レドの事を・・・・。


やっと完成です。

次回も続きますのでよろしくお願いします。

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