第二十九話「決闘」
迷いの森。
大陸グランフィーニの大体真ん中にあるビルゴ砂漠。その近くに迷いの森が存在する。
その名の通り人を惑わせる森・・・・。
と、言われている場所だがレンヤから聞いた話では実際に惑わせた事は無く、普通に通り抜けられるどこにでもある普通の森らしい。
ただ雰囲気は不気味で、メル・トレント【B+】や昆虫系の強い魔物が多く生息している普通より厄介なだけの森。ちょっと注意していればいいだけ。
まあ、こんな富士の樹海みたいなところだ。迷う以前に、通り抜ける物好きはいない。苦労して森んなか歩いて抜けても砂があるだけだし。
「着きました、ここが目的地です」
「え?そうなの・・・・・・?」
どこで降りるのよ。一面、こんな南米の樹海レベルの木の海の中によ。
そもそも降りられるか?地面が木で完全に覆っているのに。
「では、レイクード様。重力魔術でフレイア共々私達をゆっくり降ろしてください」
「なーる」
俺は【グラビテーション】でフレイアごとゆっくり樹海の中に入った。
高い木の枝がバキバキと言わせる中、フレイアの図太い足が地面に着いた。
降りた所の木は生い茂っているが、地面自体は緑のコケでそれ以外は木は生えていない広い場所。
普通の森の木ともちょっと違っている。
よく見ると、人工物っぽい綺麗な一直線の壁、窓であろう四角い穴から木が生えている。
建物だ。
建物自体にもにはびっしりとコケが付着し、その中にも木が生えて完全に廃墟同然。
上はその木と葉で塞がれていて暗い。
多分町か村の跡だろう。今までの町の構造が一緒だとすると、俺たちが降りたところは多分広場だ。建物にコケがびっしりで樹海と同化し、建物、かどうかすら曖昧な状態になっている。
人が居なくなって数十年か、いや100年以上は経ってるかな。
こんな森の奥に在る古びた町、意味深な感じだな。
「しっかし、辛気臭いところね」
開口一番それだよな、俺もそれはあるけど。
もしかしてレンヤの故郷かもしれないかもよ。以前は地上に住んでいたんだから。
レンヤを見ると、特に暗そうな面持ちはしていなかった。
そして、一歩踏みだして、歩き始めた。
「こちらへ」
そう言ってコケだらけの、まさに遺跡のような場所に案内された。
二階建てになって、屋根の一部には突出した部分がある。今は朽ち果ててなんの建物だか判別できない。
「ここは?」
「こちらが転移する場所になります。以前は教会でした」
ふーん。教会が転移の場所か、まさにRPGって感じだ。
やっぱここに住んでたんじゃん。
教会の中は何年も使われていない為、ドアも椅子も朽ち果てて転がっている。
入り口を進み教会の中に入った。コケがある上に、虫から小動物などが住まう場所になっていた。そんな毛々しい教会内を祭壇近くまで歩くとレンヤが止まり振り向いた。
「まずはご無礼を言わせてください」
「え?」
「街に入るには住民以外は眠らせて入れる決まりになっています。それに例外はありませんので、魔術をかけさせていただきます」
そうか。
流石に〝隠れ〟と言われているだけの場所だ。そんな決まりがあるんじゃ従うしかないな。
罠か、だましたのかと思って焦った。
「レンヤは信頼しているから心配はしていないよ」
「ありがとうございます。では少しの間、眠っていてください」
俺たちはコケのじゅうたんに座り、レンヤが催眠魔術を発動させて眠った。
・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
「ん?・・・・・ここ、は?」
「よく来たのう・・・・・しかし手遅れじゃ」
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ。
地面は揺れ始め、裂け始めた。
周りは燃え始め、獣人たちがもだえ苦しむ阿鼻叫喚の声が聞こえてくる。
「何でだ!レンヤどうゆうこと!」
「実際に間に合わなかった。それだけです・・・・・・」
そうしていると大きな岩が俺の目の前に迫って来た。
「うわあああああ――――っ!!」
バゴッ!「・・・・・・・痛い・・・・」
俺は顔面にフレイアの拳が顔面に直撃していた。
「全く寝相が悪いドラ娘だな。・・・・って!ここどこ!?」
俺は周りを見渡す。
部屋だ。
タンスがあって、イスとテーブル、窓がある。
ああ、そうだ。
この街に入るには眠らなきゃいけなかったんだよな、今思い出した。
周りを見るとマリーやチェーニもベットに眠っている。
グーパンしてきたドラ娘は楽しそうな顔によだれを垂らして、グウグウ寝息立てて眠っていやがる。ベットを飛び越えて俺の顔面にパンチ食らわすとは、もろ悪意があるだろこれ。
トントン。
「ん?はい」
「お目覚めですか?」
「あ、レンヤ・・・・・・・え!!そ、その服・・・・・」
丁度のタイミングでレンヤが入って来た。
だが、服装が変わっていた。
赤と白がメインカラー、そしてワキが開いたひらひらの裾。
狐の巫女さん衣装きたぁぁぁーーーっ!その爆乳でその服は最強の兵器。
「ここでの私の服です。お気に召しますか?」
召します、召します!大好物です、ごちそうさん。
「レイクード様?」
「(・・・・・・・はっ!)う、うん。なんでもないよ。良く寝れたし、まだちょっとボーっとしてるだけだと思う」
「そうですか」
グーパン食らったけど。ま、以上のモノが見れて眼福、眼福~。
変な夢も見ちまったけどな、正夢とかにしたくないものだ。
なんで、あんな夢を見たんだ?願望が夢に現れるとゆうが・・・・・俺が、そう望んだ?まさか。
あまりの重さに、そう無意識に考えちまったんだ。
うん、そうだ、そうに違いない。
深く考えず、次だ、次。
どんな街の様子なのか見てみるか。
俺は身体を起こして、窓を見た。
「・・・・・・・・ここがそうなの?」
「はい。隠れた街レへスティールです」
窓から街を確認する。
マントル先にあると言っていたが以外に明るいし、広い。洞窟くらいの広さしかないと思っていたが、東京ドーム以上はあるぞここ。
大きなドーム状の天井に太陽みたいに明るい光。よく見るとうごめいている様にも見えなくもないが・・・・・あれはマグマ?
いやマントルか。しかし発光するとは。確かマントルにも放射線を発しているんじゃなかったけ?意味合い的に太陽と同じなのか。といゆう事はそれ(放射線)もバリアーで防いでいるのか・・・・すげえな。
街に目をやると白っぽい感じの建物群。規則性が全くなく、家々の間は入り組んで見た目が悪い。
今見ている建物からは中心に向かってまっすぐ伸びてる道路。その先に広場らしき場所があって、そこにオベリスクみたいな塔が建っている。
四角形の断面に、上方に向かって徐々に狭まった高く長い直立の石柱の塔。その先端は光輝いている。
恐らくあれが、バリアー発生装置にして生贄の祭壇ってところか。
「レイクード様、お母様に挨拶して頂けますか?」
「あ、そうだね」
ここには遊びで来たんじゃないんだよな。
フレイアの背中で実験しようとも思ったが、風と不安定な場所では危険だから止めて、泊まった宿で実験するしかなかったけど。まあ、その分早く到着したからいいか。
理論は完璧。落ち度は無い筈だ。さあ、いつでも来やがれってんだ。
3人はそのまま寝かしておこう。
俺とレンヤは部屋を出た。
今居るのはたぶん屋敷か何か大きな施設かな?外見パッと見じゃどうなってるのかわからないけど、ここがいろいろ管理しているのはわかる。大抵街とか村の管理は大きいのがパータンだから。
廊下の殆どは石でできていて、模様なんかは細かく削っていて芸術的だ。
いい仕事してますな。
「・・・・・・・」
「(キッ!)」
しかし、行く先々でメイド服を着た三角形のケモ耳、たぶん妖狐族なんだろうが、会うたびに良くない目でみられる。
彼女たちの境遇なら当然での反応だろうが、実際にそんな目線で見られるとキツイな。
あたし、ウブなのよ。・・・・・・・なんて思っている時点で、まだ余裕があるか。
いや、あまりの重圧に精神が安定させようとした、諦めに近い空元気なんだろうな。
「あなたたち、もうここは良いから他の場所を掃除しなさい」
「はい」
状況を察したようだ。
そう言えばレンヤはここの一番偉い人の娘なんだよね。
立場上、上だからこうして指示を出せるわけだ。
「失礼いたしました」
「気にしていないよ」
簡単に解決できる問題ではないからな、そんな扱いになっても仕方ないさ。
獣人に裏切られて、また人間にも裏切られたんだ、警戒心が強くなるのは必然。
俺もそうだったしな・・・・・・・。
そうゆうことがありながら目的の部屋に着いて中に入った。
「へー。中々なお部屋で」
「待っておったぞ、レド」
で、この人がマキビ・アルローガか。確かに九尾だな。
身長も顔もレンヤと大体同じで、ちょっと気品?いやカリスマを足したような人だ。
親子なんだし、どっちかっていうとマキビさんに似ているが正しいか。
それにしても、何とゆうかこの部屋にしても彼女やメイドの服に懐かしさを感じさせるな。
この部屋にしろ「洋」と「和」が合体した感じ。
親近感があっていいけど。
「今まで、声は伝えていたが、会うのは初めてじゃったな。わらわがマキビ・アルローガ、この街の、そちらで言えば領主となる者じゃ」
「こちらこそよろしくお願いします。早速ですが行くんでしょう?そのつもりで呼んだんですから」
「うむ。では、案内致そうか」
そう言って、マキビさんに付いて行く形で真っ直ぐ屋敷の庭にあった馬車に乗り込んだ。
馬車は地上と変わらんようだ。
そして、俺たちは屋敷を出て街の真っ中心に伸びた道路を進んでいる。
最初の、屋敷の窓から街を見て第一印象が白いとは思ったが、こうゆうことか。
街の構造は屋敷や今までの造りとは全く違って、レンガや木でできた建築方式では無く、石を削って積み重ねたような家だった、ただ石灰を混ぜてセメント固めただけの。
ちょっとの振動で壊れそうなモロそうな適当構造。色はよく見るとバラバラで貧相と言っていい程度のものだ。しかも一部は倒壊、または地盤沈下してる。
しかし「貧相だ」なんて言えないので心の中で思っている。
「驚いたかえ?」
「ええ、まあ。地盤さえ緩いんですか」
「此処は、元は畑だったのじゃが増えすぎた難民の為に埋めて家にしたんじゃ。だが、絶え間なく続く地揺れで、多くの家屋が沈んでしまってのぉ・・・・あれも、元は家だった建物じゃ」
「あれが!?建物の基礎かと・・・・・・」
液状化か。
地震などで揺れた地面が水と分離して地表に出てきちまう事になっちまったんだ。元畑なら、地面は柔らかくなってっるし、水だって多く地面に残留していそうだ。
地震大国日本じゃそれなりに対策がしてあるから、あそこまで沈まないけど、まさか家の屋根を残してほとんどを沈めるとは。
バリアーだけでなく建築関係も改善しなきゃならんのか・・・・・・。
難民も受け入れてたんじゃ建物だって、マンションとかの大型にしなきゃいけないじゃん。
「これが、お主に頼みたいモノじゃ」
馬車が停止しドアが開く。
マキビさん、レンヤそして俺と馬車を降りる。
「やっぱし、これがバリアー発生装置ですか・・・・・・」
目の前には、祭壇らしく数段の階段がある台座の上に、堂々と建っている大きなオリハルコンの塔。その祭壇に透明の半球状の部分がある。
じゃあ、あのカプセルみたいなものに入っているのがレンヤのお姉さんか。
階段を上がってそのカプセルを確認する。
・・・・・・・?
なんだ?子供が入ってるぞ?「お姉さん」なんだよね?
「レンヤ、なんで子供が入ってるの?」
「この人がわたしの姉です」
なに!?とゆうことは入って、それ以降全く成長していないの!?
彼女がずっと入っていて一度も出ていないなら、成長する力すら奪われているのか・・・・・可愛そうに。なら、とっとと助けないとな。
「じゃあ、まずこの塔を調べますね」
「よろしく頼みますぞ」
・・・・・・数分後。
ん~~~と、周り表面には制御盤は無し、ボタンもレバー無しか。機械的な何かがあるかもしれないし、もう少し調べなきゃ。カプセルから塔の上に力が行っていてその先が魔法陣になっている。
ふむ。次は上だな魔法陣自体も調べなきゃ―――――。
「おい、貴様!!」
「?」「!!」
重力魔術を使おうとした瞬間、大きな声で怒鳴られた。
やって来たのは馬のように見えるが上半身が人間の獣人、ケンタウロスの一団。
その隊長みたいなのに怒鳴られてしまった。
「サントール。お主、どうしてここにおるのじゃ?戦闘の練習場でウップンを晴らしていたのではないのか?」
「そんなのどうでもいい。どうしてここに人間がいるんだ!」
どうやら、良くない状況になってきそうだ。
マキビさんがなだめようとしているが収まりそうにない。
「レンヤ、どうしてここにケンタウロスがいるの?」
「彼らも戦争で故郷を無くし、途方に暮れていた所で私たちの街に招きました」
俺、てゆうか人間を憎んでいそうなことだ。
さぁてと。仕方ないけど、このままとゆう訳にもいかないな。
ケンタウロスの事はある程度授業で聞いている。彼らの性格も。
俺はケンタウロスの一団に向かって歩いた。
「ちょっと失礼。あなた方が人間を信じられないのは理解できます。しかし、ぼくがやっているのはあの成長できずに眠り続けている彼女を助けたいだけなんです。もちろん結界は維持したままで」
「人間の言うことなど信じられるか!!」
「そうだそうだ!」
「人間は出て行け!!」
「キサマらっ!」
「じゃあ、どうしたら信じてもらえます?」
相手の提示する条件をクリアして仲良くなるのは、よくあるイベントだ。
例え仲良くならなくても、少しの間だけ我慢して邪魔しないだけでも十分。
ま、その条件は予測できるが。
「私と戦って、もし勝てたら大人しくしてやろう」
だろうな。
ケンタウロスは「戦場の先駆け」。彼ら自身も三度の飯より戦好き、と言われる好戦的な種族なのは本と授業で聞いている。
しかも礼節とか、きっちりした几帳面な性格。曲がったことが大っ嫌い。
条件が一騎打ちなのは容易に想像できる事だ。
「いいでしょう」
「よし!付いて来い。戦う場所に案内する」
そうして、ケンタウロスの一団に囲まれ付いて行くしかない状況になった。
遠いようなので馬車での移動になるので乗り込む。
「いい加減にしなさい!あなた達は何をしているのか分かっているんですか!」
「わかっている。人間から、街を守るのさ」
ホント頭が固くて、戦術やワナといったものを嫌う一騎打ちの騎士道精神で気高い騎士と主思いの従順な馬っとゆう感じの種族。
なんて自称しているけど、どこまで貫き通せるものか。
何しろこれからの時代、遠距離攻撃が有効とする時代が当来するかもしれないのに。
少しケンタウロス自身は弓を使うことがあるんだろうが、いずれ戦場はどんどん変わっていく。
より強力で正確性のある、遠距離武器が主流になってくるのに。
その間にこの種族自体が滅んでしまうか心配だ。
そして、最後にレンヤが渋々乗ると馬車が動き出した。
「よろしかったのですか?」
「狭い街で何日か滞在するんだから、わだかまりは無くしていかないと。危険な実験とかもするんだからなおさらに、ね?」
「全く、身体が大きいクセに仕方のない奴じゃ」
あんたも相当、身体的(胸)にデカイ方よ。
しかし俺の事を相当警戒している。
道路を抜けて、今度は洞窟らしき通路に入ってもケンタウロスの一団が馬車を取り囲んで進んでいる。狭い洞窟道の中なのにこの馬車を取り囲んで接触しそうな位近過ぎるくらいで進む。それに加えて、ケンタウロスの一体一体の視線も半端無く痛い。
親の敵みたいな殺意にも似た視線で睨んでいた為か二人は俺を守るように座って警戒した。
こんな子供に、大人げないぞ~。
そんな精神的にも窮屈になりながら、目的の場所であろう。
これまた広い場所に出た。
二校分のグランドなみの広さがある。周りには光るクリスタルで明るい。
そのグランドの途中で馬車は止まりドアが開いた。
「マキビ殿たちはここでお待ちを」
「いいや。わらわ達も見届けさせてもらうぞ。この際じゃレド、遠慮せずとも徹底的に痛めつけてやるんじゃ」
「徹底的には行くかどうかわかりませんが、負けはしませんよ」
「・・・・・・・・」
レンやが優しく抱きしめた。
「祈っています」
「うん。頑張ってくる」
確かに、祈るしかないよな。
相手はリーダー各、しかも実戦経験有りの。子供の俺が負け確定と普通思う。
“普通”なら、ね。
そして、俺とサントールとゆうケンタウロスの二人はグランドの中央に両者一定の距離を取って立った。
「ルールは気絶させるか、参った、と言わせるかだ」
「依存はありません」
「立会人はここにいる者全員。お前が負ければ出て行ってもらうぞ」
それは結構、勝手に思ってな。
ここまでの旅で実戦は経験済み、負ける気なんかサラサラ無し。
二人にはああ言ったが、圧倒してやるさ。
「少し距離を取るがいい。人間は非力だ、魔術でもなんでも、全力を出してもらわんと栄誉にもなりはしない」
「あ、そうですか」
俺はテクテク歩いて一定の距離で止まり、相手に身体を向ける。
審判役であろうケンタウロスが両者の中央に立ち、決闘が始まった。
「はじめッ!!」
その声で俺は身構えた。
「いくぞッ!!」
数十メートル離れた俺に、槍を持ったサントールが突進してくる。
ケンタウロスの戦闘形式は槍や突撃のランスによる突進攻撃。
速度は確か50~60キロくらいで攻撃するんだっけ。
馬と合体したような大きな体格はあまり小回りが利かない。剣では相手に届かかず、後ろに回り込まれれば危険。弓は彼は持っていないがやっぱり懐に飛び込まれれば負ける。
だから槍かランスを持ち、サイのように突進して相手を攻撃するスタイルが得意だった筈。
確かにあの巨体ではランスに当たんなくても、体当たりが当たれば十分に効果がある。速いから、遠くから突進してくれば距離の分の運動エネルギーが加わりダメージがさらに加算される。
俺が魔術も使える様にと言っていたが、こうゆう理由も含んでの事だろうな。
全力を出して倒す、なんて適当な事言いやがって。
俺はマキビさんたちを見る。
不安そうに見守るマキビさん。両手を握って神に祈るような仕草を見せるレンヤ。
二人と町の人たちの為にも負けられない、か・・・・・・。
「ハァ~」これを現実で言ったらマジで中二病と勘違いされそうだ。
(あ゛あ゛/////)めっちゃ恥ずかしい事を考えさせやがって!!とっとと終わらせるか。
要はその体格とスピードが問題なんだろう。
「【グラビテーション】!」
「うお!?な、なんだこれは!」
サントールを浮かせた。
彼の身体は重力魔術で浮き、身動きが取れないでいた。
無駄無駄、無駄だ。手や足をバタつかせているが、全くの無意味。
そして俺は遠くに投げ飛ばすように力を加えた。手に掴んだボールを横から投げるような仕草をする。
サントールはさっきとは反対方向にぶっ飛んで大きな巨体が転がった。
訳が判らない様な顔でこちらを睨む。
そして、また突撃しくる。
芸の無い奴が。
「さっきのは驚いたが、食らえ!【突風槍】!!」
なんと!?
「うお、っと。危ない危ない」
「な、なにっ!?」
突進の勢いに乗った風を利用して、槍の先から風の刃が飛んできた。
おいおい、魔術使ってんじゃん。
速くて避けきれなかったが、新たに考案した【重力場・防御】で、風の刃の軌道を適当な方向に逸らした。
余裕だが油断は禁物って事だな。
しっかし魔術を使うとは、ポリシーはどうしたのやら。
「魔術を使うんですね。驚きました」
「ケンタウロスが魔術を使うのが不思議か?」
「ポリシーが大事で使わないと思っていましたから」
「?何か知らんが今のは、技の一種だ」
技?どう見ても魔術だったけど・・・・まあいい。
遠距離攻撃も可能と分かったが、近接で倒さないと意味がない。
最も得意な近接戦でも負けた。と、相手にも認識させないと納得してもらえないからな。
「これで決めます!」
「調子に乗るな!人間の、子供風情がぁーー!!」
相手が走り出し、オレも相手に向かう。
俺とサントールの距離が近くなる。
ここまでの旅で、防御だけ考えていた訳では無い。
「疾槍三連突きぃ!!」
「危ない!!」
「チッ!」
鋭い槍が俺の顔をかすめた。
速くて完全に回避できず一発だけかすめた。
が、相手の懐に潜り込むことができた。
馬の部分は筋肉量が多いのであまりダメージが入らない。だから上半身の人の部分を狙う。
背が高いので風の魔術で一気に俺の身体を浮き上げて、人間の部分の目の前に来る。
そして、今度は重力魔術のバリエーションの一つである近接戦用の技で決める。
「食らいなっ!【重力場・拳】ーー!!」
子供の拳のパワーなんざたかが知れてる。
だが重力波で力をいくらでも増幅させられるから、拳の先の力を基準にした力場を数十倍にして一気に相手側にエネルギーを叩き込む。
力を直接相手に叩き込むので、鎧の防御もガードも無意味。
フレイアを殴った時と同じだが、あれは自分にダメージがあった。
これはそれを改善した発展版。
殺さないように威力を抑えつつ、殴る。
拳を食らったサントールは宙を舞い、身体を何回も回転して地面に落下した。審判役は一瞬何が起きたのかと固まるが、すぐにハッ!となり確認に向かう。
サントールは、ここからでもピクリとも動かない。
「しょ、勝者、レイクード」
「・・・・・・・・」
会場は静まり返った。
俺はその沈黙の中を気にせずサントールに歩み寄った。
「約束、忘れないでくださいよ?」
「・・・・・・・」
もう目覚めているのは解っている。
タフなのは理解してる、あの程度腹に食らって死ぬことはない。
何も言わないのは、どうせプライドがあるからだとか、敗者は何も言わない。と、言ったところだろう。
さて、イレギュラーが発生したが、陰からねちっこい事されるよりマシだ。俺にとっちゃここからが本番。まずは、塔をもう少し調べなきゃな。
もう一度、あの塔を見てみなきゃ。
・・・・・・・あれ、馬車は?
「・・・・・あの、馬車ってドコ?」
「・・・・・・・・(汗)」
さっきとは別の感情で沈黙が起きてしまった。
自分でゆうのも何だが、前途多難だ。
かなり遅い投稿になりました。
次回もよろしくです。




