第二十五話「幼竜フレイア登場」
こんばんは。異世界に転生したマジシャン、レイクードです。
私がいるのは馬車の下でございます。今宵の、きれいな月明かりすら届かない真っ暗暗な森の中でゲストを待っています。ちょっとした宴の催しが始まると悟りここに待機してる次第で。参加費は無料、しかし料理は出せません。が、それ以上のビックリ、ドッキリな仕掛けを用意しているので、そちらをたっぷり味わってもらえればかと。
お?どうやら森からゲストの登場のようです。人数は5人。
「・・・・・寝てるっスね?」
「クックック、間抜けな奴らだ。見張りを置かないなんて、襲ってくださいと言ってるようなもんじゃねぇか」
「今回は女がいいからな、高く売れるぜぇ~へッヘッ!」
「静かにしろ起きちまうだろ」
「おめーが静かにしろ」
ゲストは、そう夜盗です。この5人が今日のゲストになります。
さあ、楽しいパーティーの時間といたしましょう。
いきなりですが、メインイベント。人を消すマジックです。
使うモノ、道具は一切必要ありません。魔力だけであります。しかも簡単なことに、動作も地面に手を着けて唱えるだけで終了です。
さあ、盗賊がこちらにゆっくり近付いてきます。
森で唯一空が見える場所から月明かりが差し込んで、スポットライトのように照らして、いい演出となってきました。
さあ、それではお見せしましょう。
私が地面に手を着けて、タイミングをカウントして唱えます。
3・・・・。
2・・・・。
1・・・・。
「【ソルトゥルーオ】!」
「おわぁ!」「な、なんだ!?」
「あ~~~・・・・」
なんてことでしょう。一瞬にして5人の男たちが消えたではありませんか。
ま、ただ奴らの足元直下に魔術で穴を空けただけなんだけどね。
それではレドのビックリマジックショーこれにて終了っ・・・・と。
馬車の下から這い出て、五つの穴が空いた地面に両手を広げて決めポーズ。
「お見事です。レイクード様」
「レド様?この穴はどれくらい深いのですか?」
馬車の中で待機していたレンヤたちが確認しに来た。
落ちた夜盗は穴の底で、のびている。
「そうですねぇ・・・・怪我の事を考えてあまり深くにはしていませんから、這い上がって来る前に移動しようか」
「かしこまりました。」
でも、上がってこれなくて、穴の中で死なれても困るな。適当だが4、5メートル以上はあるし・・・・・・・しょうがない。木に繋いだロープを放り込んで置くか。
ロープを木に結んで適当な穴に放り込んで、俺たちはこの場を後にした。
◇
チュン、チュン――――
・・・・・・・んん・・・・・。
朝のチュンチュン鳴きで目が覚めた。レンヤとマリーはまだ寝ている。
やぶぇ~。
女性の寝顔は歳関係なく可愛い。
っと、邪念を取っ払って。とりあえず目が覚めたので顔を洗いに、二人を起こさないようにそっと寝ていた馬車から外に出た。
「おお、霧で真っ白、しろ・・・・・」
「おはようございます。主様」
「おはよう。あれから問題ないよね?」
「はい」
あれからまた盗賊が襲って来るかもしれないから、念の為チェーニに就いていてもらったが必要なかった。
5人一組の夜盗を穴に落としてから数時間森の中を移動して、この小さな泉がある所に泊まった。周りには深い霧が立ち込めて何も見えない。
盗賊が襲ってきそうな感じはするが、あえてここに泊まった「これが」あるから。
チェーニの横にある筒状の物に魔石と正方形の木目があるドラゴン○ーダーのようなものが付いたものがある。
これは、俺が作った「索敵君第一号」だ。
一ヶ月間かけて造った。人や魔物は無害な動物に比べてマナの所有量が多い。その多いマナを持つ動物などが接近と画面に点が表示される。警戒域にまで接近すると警報で知らせてくれる便利アイテムだ。
索敵範囲は50メートル~200メートルに設定できる。短い範囲だと思いだろうが、これ以上広くしたら関係のないモノまで警報が鳴ってしまうから、このくらいが最適なのだ。
昨日も複数の点が接近して来るのを探知して備えることができたのもこれのおかげである。
今後の開発で、点の大きさで判別できるようにして小型化携帯式にしたいな。
「僕は顔を洗ってきますね」
「はい」
泉に近づく。めっちゃ綺麗な水だ。
前世に綺麗な水の池の自然公園に行ったが、池の淵とか底に腐った雑草とかが見え見えでそこが残念だった。所々に空き缶も沈んでた。
だが、この泉は違う。
藻などは沈んでいるが、枝は沈んでいない。もちろん空き缶などのゴミは全くの皆無。サバイバル上では飲むのは抵抗があるが、顔を洗うだけなのでそれは十分に満たしている。
その水を手に取る。
うわ、冷てえっ!
これなら一瞬で目が覚めそうだ。
そしてその冷たい水に顔をつけた。
「かあぁぁ~~やっぱ、冷たいねぇ~~~」
冷たくて、気持ちいい。
「おはようございます。レイクード様」
「ああ、おはよう。レンヤ」
彼女も寝起きで顔を洗いに来たようだ。
だが、いかにも寝起きって感じの服装で登場してきた。
シャツ一枚とズボンんで、しかもそのシャツから突出している二つの脂肪が協調される。
どんだけえれぇ身体しとんのって感じだ。
あかん、下半身が、なんとか話題を変えなくては・・・・・・そうだ!
「この泉綺麗ですね。こんなに透き通っていますよ?」
テンプレ的な話題の逸らし方だー!
なんであんなこと口走った!?急いで話題をそ逸らす感満載だぞ。
めっちゃ恥ずかしい。
「ここは竜の涙池といわれています。大きな竜がここで涙を流し通づけ、池ができたとされているそうです」
そんな疑問でもレンヤが答えてくれる。
なんとも神秘的な話だな、全く信じちゃいないけど。
「透明度が高く、飲んでも問題無いので近くの町の飲料水として使われたり、売りに出したりしているようです」
そこまでの物なんだ。
その源流を俺が顔を洗うのに使ったのか・・・・・・・バレなきゃいいな。
「これから、どう進むの?」
「この泉には飲料水用に町にための川があります。それを辿ればすぐに町に着くでしょう」
「了解、っと」
じゃあ、もうちょっと先に進めば町だったのか、失敗したな。
ま、いっか。それじゃマリーを起こして出発するか。
「おはようございます~」
などと思っていたら起きてきた。
眠気目をこすって挨拶した。なんかこれで、人形を片手に「お兄ちゃん、おはよ~」なんて言ったら・・・・・・よし!寝る時に子供が抱く人形を作ってやるか、などと、変な考えはここまでにしようか。
マリーも起きたことだし準備をして出ぱ―――。
ビー!ビー!ビー!
「ッ!?」
警報が鳴った。近くに何かいるんだ。
俺たちは急いで準備を整えようと馬車に戻り中に入ろうとした。
ドッバシャアァーーン!
「何だ!?」
「レイクード様!」
「ムグっ!・・・・」
思いっきり抱きつかれた。恐怖から来るものじゃない。俺を守ろうとしての行動だ。不意な攻撃で何が何でも俺だけは絶対に守ろうとしたのだ。
俺は確認のために音の方向を見る。
音から察するに、泉からだ。見ると大きな水の柱が立っていた。
一瞬何が起きたのかは理解できないが、何かの攻撃か、敵の登場であることは明白だ。警戒しないと。
そう考えている内に、いつの間にかチェーニが俺の前に戦闘態勢に入っていた。
レンヤは攻撃ではないと判断し、俺から少し離れ、攻撃態勢に入る。屋敷にいるときは魔術を担当していたが、基本どちらでも戦えた。つまり彼女は近接戦の剣も使えて汎用性が高いんだ。
チェーにはジャマダハルとゆう特殊な形の武器を使う。
切るよりも刺すことに特化した武器で、手に持つと拳の先に刀身が来る様な造りになっている。拳で殴りつけるように腕を突き出せば、それだけで相手を刺すことが出来る。そのため力を入れやすくなっており、他の短剣に比べて鎧を貫通しやすい武器だ。
二人共、反応速度が速いな。俺もまだまだ、だな。
・・・・・・・・・・警戒しているが何も起きない。
泉の水が次第に静まり、霧も少しずつ晴れて全体像がはっきりしてきた。
小さな泉かと思ったが湖並の広さだな。太陽が差し込み、水柱で上がった水が木の葉に付いてきらびやかに輝いて幻想的な風景を作り出していた。
そんな中でも安心できない。
まだ何が起きたのかを把握するまでは油断できないからだ。
「主様!あれ!」
「なに?・・・・・・・あっ!!」
霧が完全に晴れると湖に仰向けに浮いている女の子を見つけた。
状況から察するに彼女が落ちてきたのが分かる。
ダイナミック、親方!空から女の子が!だったな。
「・・・・・・どうします?」
このまま放って置く訳にはいかんでしょうよ、チェーニさん。
「助けるしかないでしょう【重力浮遊】!」
手をかざし、重力浮遊で浮かせこちらに寄せた。
漆黒の髪に6、7歳ぐらいの体格の女の子だ。
全裸だけど。
普通ロリコンなら襲っていたが、今は紳士レイクードとして彼女を助ける。大人になるまでは紳士でいると決めていたからな。
彼女を地面にゆっくりと着地させた。
さて、こっからは医療の知識が一番のレンヤ先生に診てもらおう。
「レンヤ、診てくれる?」
「はっ」
レンヤは女の子の所々に手を当てて診察している。
傷は多いし、水に落ちたが、かなり大きな音がした。条件が揃えば水だってコンクリートと同じ硬さになるらしい。だが、この傷はそういった感じのではない。ナイフとかの鋭い切り傷だ。
「・・・・どう?」
「傷はあるものの命に別状無さそうですね」
ふう、そうか。
あんな強烈な落ち方だったが、なんともなくて良かった。しかし、気絶してるし目が覚めないから連れていくしかないな。
「彼女を馬車に。さっさと離れよう」
「かしこまりました。」
レンヤに女の子を馬車に乗せる様に言って、足早とこの場を離れた。
俺はもう分かっている。
彼女の身体に無数の傷があり、しかも空から降ってきた。キズとしてはちょっとお転婆娘だと考えればいいが、問題は空から落ちてきたことだ。
天使の羽のようなものは無し、だから重力に引っ張られて堕ちたのは理解できる。
が、どうしても空からなのかは理解不能なのだ!羽がないならどうして、空から来るんだ!人間なら普通は道路を、地面を歩くもんだろ?
なに?私は飛べます的な考えの持ち主?それとも天使が人間に化けてる?
だったら、なんで何もない空で気絶すんのよ!
「おかしいんですよ!」
「れ、レドさま!?」
「はッ!なッなんでもないよマリー。ちょっと考えていただけだから」
「はい・・・・・」
うう、ドン引きしてるだろうな。
しきりに反省・・・・・・・だけど、これだけは言える。
絶対、確実、そして強制的に「何か」の面倒事に巻き込まれた。
これから、その何か、が起きるのは明白。彼女の傷が何よりの証拠。
てか、マジでラ〇ュタ的展開?
空からなら飛行船から落ちた、で説明は付く。飛〇石がなかったから凄い勢いで落下たんだろう。
もしそうなら、交渉で何とか見逃してくれるか?
こういった場合、飛行船を持てる大きな組織か貴族が暗躍していると考える。傷を見る限り致命的なモノは無から彼女を殺すのが目的じゃないとすると可能性はある。
・・・・・いやだめだ。
少なくとも痛めつけたんだ。物騒な連中であることは間違いない。
それに交渉した場合、レンヤやこっちの女の子勢を取引に持ち出す可能性が大だ。金ならいくらでもつくれるが、これだけはいかん!
だったら戦うしかないか。
敵国内で公に俺の名が知れ渡ったら、爺様はおろか国自体の騒動の話に発展するのに。
ちきしょおぉぉーーっ。
前の街を出発して一ヶ月以上も気の休まらない野宿し続け、夜盗や魔物に襲われながらも、やっと次の町に到着できる矢先に。
なんてこった・・・・・・。
◇
お、森を抜けたか。
今のところは魔物の襲撃もない。警戒して移動しているが、決定的な対策はまだない。
女の子が目を覚まして、事情を聞けばなんとか先手を打てるはずだが、未だ目を覚まさない。
先生の診断は魔力の減少による披露だと言っていたし、傷を治療して寝かせているから、そろそろ目を覚ますはずなんだけど・・・。
「グッ!なに?何なの?ここ・・・・・?」
お?やっと起きたかい、シー〇君。
「あ、起きました?一応傷は治しておきましたけど」
「!?人間!!」
俺を見るなり、いきなり殺意むき出しの目で睨んだ。
なんか?悪いことした?
確かに落ちて来た時、何も着ていなかったからモロ見えだったけど、そんな幼児体型に欲情しない。俺はロリコンではない。彼女は完全に範囲外だ。
「人間は!!殺す!!」
彼女はこっちに向けて口を大きく開けた。
するとマナが集まるのが見え、そのマナが炎の玉になった。
「レドさま!逃げて!!」
「なしてえぇーーー!!?」
炎の玉がなんと口から発射され、俺は間一髪マリーを抱えて飛び出した。
炎は忽ち馬車を飲み込んで繋がれた馬も暑さに暴れだした。
そして、繋いでいたロープが炎で切れて馬が森の中に逃げてしまった。
ああ折角、買った馬が・・・・・・。
「・・・・・みんな大丈夫?」ジ、ジ、ジ・・・・・
「大丈夫です」
「無事です」
「何とか無事です」
みんな無事か。良かった。でも、何か熱いな。
「主様!背中に火が!!」
「アッチャァーーー!!」
「川に飛び込んで下さい!!」
俺は川に、ルパンダイブで飛び込んだ。
「ブルゥゥ、バブファハ(ふう、助かった)」
まさかギャグ漫画みたいなイベントを体験するとは思わなかった。しかもやられる側の気持ちが理解できるとは。
そして川にブクブクと気泡を上げながら底に沈んで考える。
何で彼女は攻撃してきたんだ?俺は普通に治療してただけだぞ。
もちろん何も着ていない彼女に毛布を掛けていた状態だし、決してやましい事は・・・・完全ではないが、でもそんな露骨なもんではないんだぞ?
ぐっ!息がやばい。浮上しよう。
それに川底で物思いに老けてる場合じゃない。とにかく、話を聞かなきゃな。助けるのが罪だなんて事はないはず、きっと理由があるんだ。
そして、水面に出た。
「主様!大丈夫ですか!?」
「うん。なんともないよ」
チェーニの手を借りて岸に上がった。
「ありがとう」
「何ともありませんか?」
「うん。多分何ともない。ジンジンした感じも無いからヤケドもしていないと思うよ」
「そうですか」
俺は燃えている馬車を見た。
大事な荷物はバックの中。毛布と食糧くらいしかなかったから町で帰るから大丈夫だ。
だが、足がなくなった。ここから、まだ半分以上も距離あるのに・・・・・。
仕方ない。幸いあと数時間で町だ。そこで考えよう。
だったらレンヤに・・・・・・あれ?レンヤが居ない?それにあの火吹き幼女も・・・・・・。
「チェーニ、レンヤとさっきの子は?」
「あそこを」
「ん?」
チェーニは凹地を指さした。
川より低い平地で二人?が戦闘中だった。
一人、とゆうか一匹は大きな狐で尻尾が4つ、こっちは多分レンヤだ。
さすが妖狐。完全な獣化まで可能なんだ。
だとすると、もう一人はさっきの火吹き幼女か。でも姿がかなり変わっている。
頭には角が生えていて、背中にはコウモリの羽に似た翼。尻尾も生えていてトカゲみたいに長くてぶっとい。身体にも鱗の様なものがビキニみたいに部分的に隠している。
レンヤが地を凄いスピードで走り、コウモリ羽の幼女は上空から火の玉で攻撃している。が、全く当たっていない。
「何で当たらないの!」みたいな感じで怒っている。
お?今度は急降下して・・・・ブレスか・・・・・・外したし。
学習しているんだろうけど、そんなんじゃ倒せるわけねえよ。何しろ、今までレンヤは本気を出さなくても余裕で敵を倒しているんだから。完全な実力はおれもわからない。
でも、なぜ幼女があんなデビルみたいな姿に?
レンヤはともかく、あの子は人間じゃなかったのか。
「主様。あれはエンシェントドラゴンではないでしょうか?」
「エンシェントドラゴン!?」
ドラゴン?あれが?
ドラゴンの資料をある程度調べたが、ドラゴンが人間になれる記述はあったけど、あんな中途半端なドラゴンは書いてなかったぞ?
トカゲで二足歩行のリザードマンじゃない。あれは羽が無いから。
まさか、よくあるドラゴンと人間の間に生まれた子とか?
「知っているなら説明してくれる?」
「はい。エンシェントドラゴンは幼体のときは人間の姿で人里で暮らして成長すると言われています。彼女は幼体で成長しきれていない状態なのでは?」
なるほど。
ドラゴンの生態をまだ完全に把握していないって書いてあったからな、それも子供であるなら納得だ。俺はてっきり、ネタでよくある人とドラゴンの間に生まれた子かとも思った。
さっき詠唱も無しに高温の炎を吐いたが馬車を燃焼させるだけで威力は全然。本当ならここら辺吹っ飛んでもおかしくないしな。
チェーニの推理は正解かも。
「確か他にもエンシェントドラゴンに関しては、自分の死に際に、アイテムに自分の力を宿してその子供に力や知識を受け継がせることができるとか」
なにそれ、凄!
つまり、自分の知識や経験を自分の子供に受け継がせられるんだ。
ドラゴンは知識、歴史の図書館でもある訳ね。
「キャア!!」
ん?勝負が着いたのか。
見て見るとレンヤがドラ子を口に銜えていた。
レンヤが圧倒的に大きいのでまるで骨を噛んでいるかのような光景だ。
・・・・・ん?噛んでいる・・・・?
「コノママ、カミコ殺シテヤル!!」
「い、痛いっ!痛い~!!」
やばい!
レンヤの奴、完全にブチキレてやがる。あれじゃあマジで殺しちまうぞ。
俺は足を強化し、レンヤのもとに走った。
「レンヤ!もう止めて!!」
「シカシ、コイツハ攻撃シテ来タノデスヨ?」
「僕は何ともないから。この子も十分に懲りたでしょう?だからもうやめて、ね?・・・・・それにレンヤが誰かを殺すところは見たくないから」
「ア・・・・・」
事実、俺は飛び火したぐらいで火傷の痕も、多分無い。それなのに、この幼女の命と引き換えなんて、おかしい。
オレを助けに来てくれた人が、かみ殺すところなんて見たくない。
パニック映画でもリアルも勘弁だ。あんな光景にしたくない。
海賊を殺した俺自身も人のことは強く言えない。
けど無益な戦いではなかったと自分を納得させている。だから、無用な死は望んでいない。
彼女にも思う所はあるけど今は堪えて欲しい。
「申シ訳アリマセンデシタ」
「いいえ。でも、ありがとう。また助かったよ」
そう言ってレンヤの頭を撫でた。毛並みがフサフサだ。
そしてレンヤは幼女を地面に置いた。
またキズだらけになったが、傷は深くなさそうだ。
それを見て少し安心し、治癒術でケガを治した。
「大丈夫?今治してあげるから」
「いぐッ!ふえぇぇーん!」
泣き出してしまった。殺されかけたし当然か。
「どういたします?」
「泣き止むまで待つしかないでしょ。でさ、さっき完全に獣化していたよね?」
「はい」
「裸になるんだよね?」
「ええ」
「服は?」
「この服は屋敷が支給されてモノでは無く、家から持って来た特殊な糸を使っています。これは変身するとマナに転換しこの魔石に収納します。変身後は再構築するようにできています」
へ~~。
エルドリッチを収納したのと基本は一緒か。
後で機能をじっくり聞きたいな。
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
数分後、なんとか泣き止んでくれた。それでも敵意をむき出しにして睨んでくるのは変わらない。目は真っ赤に充血して、酷い顔になっているにも関わらずに。
嫌われているな、俺自体ではなく、人間自体を。
さっき、水をあげようと持ってきたマリーにもこんな感じだったし。
子供だからある程度不安にはならないとは思ったんだけどな。
「どうして、僕を、いや人間を殺そうとしたんですか?」
「グズッ!そんな事聞いてどうすんのよ!!」
「だって、あなたは人の言葉を理解できるほど知性を持っていますよね?理由なく人間を攻撃したり、憎んでいるとは思いませんけど?」
「・・・・・・・・・・」
図星の沈黙か、今の顔を見ればわかりやすい。
人がドラゴンに乗って戦う事がある。水龍とか、見たことないけど飛竜なんて戦争でも使われている。人や獣人たちと共に共存していて、とても賢い生物だ。
人間を襲う種類もいるが、大抵は魔物のように襲うぐらいの知性しか持っていない。まあ、邪竜や魔竜とか言われ力が強くて知識がある奴もいるらしいが、伝承などでは結局倒されている。
封印されている話もあるが、おとぎ話だし、本当だったとしても絶対に会いたく無いものだ。もしそうなら、俺の銃と開発中のとで合わせれば勝てる相手だろうがな。
剣か弓しか無かった時代だろうし。
話を戻すが、知性を持ちながら人間を襲うのはきっと訳があるんだと俺は思う。
幼女は少し俯いて、ゆっくり口が動いた。
「あたしはこの先の街の守護龍の娘だったわ・・・・・」
その言葉は、話してくれるんだと理解しよう。
ツンデレ要員なのかもな。こうゆう手合いは扱いやすい。
18禁ゲームの知識を場合と状況に合わせれば、教科書になる。
こうゆうツンデレとクールなキャラには必ず心の拠り所がある。そこをうまく利用しつつ、行動するのだ。まずは話を聞くのがセオリー。
そして俺は静かに彼女の話に耳を傾けた。
今後週ごとに更新します。
よろしくお願いします。




