第二十四話「魔導回路」
俺は、露店のある通りを考えながら歩いていた。到着が昼頃だったが、いろいろ話を聞いている内に、もう日が半分隠れる位置にあった。そろそろ夜になりそうだ。夕食の買出しでにぎわってる人混みの中を、ズボンのポケットに手を入れて歩いている。
すると広場であろう大きな開けた場所に到着した。少し頭痛がするので休憩がてら出て来たのでちょうどいい。
そのベンチに全体重を掛けて座った。
時間が経ち辺りは段々暗くなっていったが、火の魔石がついた細長い棒を持って路上ランプに火を灯しながら歩いている人が見えた。そのランプに照らされて町はホームズ時代のイギリスを連想させる光景だった。幻想的だ。
だが、俺はそんな綺麗な街並みをゆっくり鑑賞してはいなかった。
俺は考え込んでいる。
この世界で、レベルの高い技術を発案した種族が未だ解決していないシステムを変えるなんて俺には自信がない。俺が作ったのは、一部除いて全て向こうの世界の産物だ。自分で考えて作った訳では無い。ある程度考えているものの実験してみない事に自信がない。
何度か失敗して、それを何度も試行錯誤で完成させたんだ。
しかし、今回は一発勝負。しかも、やってみて「失敗しました」じゃ済まない。
数百となる住民の命に関わっちまっている・・・・・・。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、もうっ!」
引き受けちまった以上、やれることはやってやるか。ウジウジしても仕方ない。
そうして、空を見上げた。
「お、流れ星」
月並みで、ロマンチストではないが、祈っておこう。
「(どうか、この頼み事が成功しますように・・・・・・)」
手を合わせ祈った。
俺自身は精一杯努力はするが、後はアイディアが浮かぶかの、運が頼りだ。
頼むぜ?神様、仏様、ハルーツ様よ。
◇
アメリカ、ペンシルバニア州フィラデルフィア海上。
エルドリッチはニコラ・テスラが設立したレインボー・プロジェクト「磁場発生装置テスラコイルを使いレーダーから姿を消す」実験を行った。
テスラコイルの高周波・高電圧を発生させ船体の磁気を消滅させれば、レーダーを回避できると考えられていた。
その実験に最低限の戦闘能力を残し、電気実験機が船に多数搭載された。本艦、実験船に加えて実験結果を記録観察する監視船の二隻で出発し、目標海域に到着するなり、我々は直ちに実験船のエルドリッチから離れた。
まずは無人の実験を行い、成果を確認してから有人の実験を行う予定である。
数分後、全乗組員は退避を完了させ、実験を開始した。
秒読み後、スイッチを入れるとエルドリッチは眩い閃光が生じ我らの見守る中、緑の霧に包まれ消えてしまった。レーダーからも肉眼からも完全にだ。
実験は成功し皆、歓喜に沸いた。
次の実験が成功し各艦にこの装置が実装されれば、ドイツのUボートに睨まれずに済む。
この戦争でイギリスを含む多くの連合国艦隊がドイツの潜水艦Uボートに沈められた。補給船も海の藻屑となり、友軍が孤立してしまう。
しかし、これが完成すれば、より多くの物資を戦場に送り、戦争は早期終結させることができるだろう。
これから艦の状況確認や実験の結果、艦にどのような影響があったのかを調べるため、次の実験予定は10月28日となった。
今度は有人での実験である。
私はこの偉業の当事者となれることを誇りに思う。
1943年、7月22日・・・・・・・・。
・・・・・・やはり、実験だった。
俺はエルドリッチから持ち帰った日誌、いや日記を読んでいる。レンヤがくれた札で読める様になったから。
やっぱり、実験の失敗でここに飛ばされたんだ。
この船はそのレインボー・プロジェクトの一環で実験をしていたが、何らかの理由でこの世界に来てしまい、今俺の下にあるっと言うことになるのか。
だが一度は成功したのに、何で2回目で失敗したんだ?
違いとしては人が乗って実験したぐらいなのだが・・・・まあ、いい。
大事なのはマナを機械的に集める現象を解明することだ。本を読んで解明は出来なかったが、考えが無い訳では無い。
確かコイルっていろんな用途に利用できるんだっけ、発電機、変圧器、電熱器から抵抗器などさまざまに。そして特有の磁場を発生させる。まあ早い話、その高周波の強いエネルギーにマナが引き寄せるのでは?と考えている。
物質には固有の電磁場を持っている。それが人体とか惑星の軌道にも影響してるとか。
だから、一定周波の電磁場でマナを引き寄せようと考えているのだ。
手始めに、機械回路ならぬ魔導回路でも作ってみる。
俺の理想的な計画は、レンヤの姉を救いつつ今後生贄を使わずに街を守る防壁を展開させる。しかも、自由に出力制御できるように。
こうするには前世の装置、機械のプロセスを考える必要がある。
例えば車を動かす場合を考えよう。
機械は動力、ハンドルが制御、ガソリンがエネルギーで、どれ一つ欠ければ機械として成り立たない。まず動力を始動させ、右か左で移動する制御。そして走りを維持する為に必要な存在、エネルギーであるガソリン。
実際、燃料が無くちゃエンジンは動かないし、制御であるハンドルがなければ目的地に辿り着かない。エンジンが無くちゃ動かない。
この「動力」「制御」「エネルギー」の三つが揃って初めて装置と言える。
そうだとすると、マナをエネルギーとして、制御が人で、動力が魔石だと考える簡単な機械回路構図ができる。
「じゃあ、レンヤ、手伝って」
「かしこまりました」
魔石同士をオリハルコンで繋げる事で出力を調節できるのは、実験の結果で証明しているから・・・・・・コイルと魔石をオリハルコンで繋げてぇと・・・・。
抵抗やセンサーは付いていない簡単な回路で、エネルギーが来れば火の魔石が発火か発光する仕組みの簡単なやつにしよう。
四角に錬成した鉄板に、小さめの火の魔石と無属性魔石の間に鉄に導線を巻いたコイルを付けて、それぞれヒヒイロカネで繋ぐ。それぞれ錬成した部品を今度は組み立て錬成して・・・・・完成。
「ん~こんなモノか、な?」
取り敢えず完成したものの・・・・・何とも言えんな。仕組みとして単純だからか、今まで作ったモノよりめっちゃ質素。
さて、この無属性の魔石に魔力を送り込めば火の魔石が炎を上げるか、光り出し、コイルがマナを吸収して光る・・・のかな?実際どうなるかはやったことがないから分からない。
試しに人差し指を魔石に付けて送り込んでみるが・・・・・・。
「・・・・・・・・・・もっとか?」
魔石は全くの無反応。だがコイルには導線の途中までは光っている。
まるで、長いストローでジュースを飲んだ時に途中まで進んでいるのと同じだ。
そこで、今度はさっきより多めに魔力を送ってみる。
すると、コイルすべてに光が行き届いた。
が、火の魔石が全く反応しない。でも、コイルは強い光と熱を発している。
「ん~・・・まさか、電気か?」
磁気は見えないけど、マナがコイルに集まっているのは見えるので回路は機能している事は間違いない。異常がないのであれば、多分マナがコイルに触れて電気に変換されているだと思った。
確かめる方法は一つだな。
「レンヤ、小動物の死骸を取って来てくれる?」
「は?・・・・死骸、ですか?」
「そう。カエルが理想的だね。できるだけ損傷が無いやつを」
「はぁ・・・・・分かりました」
よし、彼女が取って来る間に俺は実験キットの準備をしよう。まあ、この回路の火の魔石だけ取って端子のついた導線を取り付けるだけなんだけど。
キットを完成させて数分後、レンヤが戻って来た。その手には注文の品を持っている。
「ただいま戻りました」
「お帰り。ごめんね、変なお願いしちゃって」
「いえ、必要なのであれば」
じゃあ、実験の再会をしますか。
電気が通れば、キットの両端の鉄棒を当てればカエルの足が動くはず・・・。
「・・・・・ビンゴ。やっぱり電気が発生しているんだ」
「でんき、とは?」
「マナとは違うエネルギーね。今回は関係ないけど、確認したかったのでやってみたんです」
だとすれば・・・・・鉄自体の磁場・・・・電荷とマナ・・・・エネルギーの相互作用。
ええい。難しく考えても仕方ない。巻いたのが鉄だから電気が発生したと仮定して、今度は魔石を導線で巻いてみることにしよう。
そうした、発想の転回でエジソンとかテスラが生まれたんだ。
そして、試作二号を完成させ、試してみた。
「・・・・・よぉし。こんなとこかな?」
火の魔石は赤く光り熱を発した。
実際にその上に三脚を立ててポットを置いてみたのだが、数分で口から水蒸気を出してそのままティータイムにした。
出力制御には魔法陣が必要になるだろうが、初めてにしては上々。スキルアップすれば機械みたいに魔力を使用しないでバルブで力そのものを制御できるようにしよう。
ともあれ、実験は自体は大成功だ。さぁーて、次のフェイズは――――。
「レイクード様。そろそろお休みください。さすがにお身体に障ります」
ん?もうそんなになるのか。時間が過ぎるのは速いもんだ。
集中し過ぎてもう日の光が入ってくる時間になってしまった。
一区切りついたし、休むか。
「じゃあ、少し休むね」
「お休みなさいませ」
レンヤは周りの音を遮断する魔法陣を展開し、窓には日が入らないような処置を施してくれた。
俺はベッドに入り目を瞑るとすぐに夢の中に入った。
・・・・。
・・・・・・・・翌日。
俺たちは町を出発して数時間。初めての戦闘をすることになった。
相手は以前に俺一人で戦ったウルフ。数は15匹程度。しかも幸運なことにリーダーっぽウルフも確認できた。
今回は陣形の確認がてら本場で練習する。
「フォーメーションは話した通りに」
「ふぉーめーしょん?」
ああ、もう。言葉の壁が憎い。
幾らゲームやネトゲで鍛えているとは言え、言葉の違いで何とも感が狂っちまう。フォーメーションαとか言っても全然理解しちゃくれない。
「陣形って事です!」
気を取り直してチェーニに突撃の指示を出す。
まずは敵を指定した場所に誘導するように戦う。
「よし、レンヤ!援護して」
「はっ!」
俺は突撃した。その手に火炎放射器を持って。
これは、魔道回路を入れ込んだ新兵器。
前回造った魔石コンロの構造と同じだが、風の魔術とマナで距離と威力をケタ違いに上げている。
「汚物は消毒じゃぁぁーーー!!」
・・・・・・・・数分後、最終的にレンヤ魔術で止めを差し、戦闘終了。
だが火炎放射器は以外に使えなかった。炎は自体は燃えるのだが、毛に火が点いただけ。
本来は燃料も一緒に出すことで、対象物にまとわり付いて燃える。だが、いくら火力を上げても燃えなければ意味がない。つまり熱風を受けた程度だったのだ。人間なら火を消そうともがくが魔物はになんの効果も得られない事が分かった。
だが火炎放射器の優位性は広範囲の敵にダメージを与える事。今後の発想次第なら効果はある可能性がある。
戦闘に勝利した。だが金やドロップアイテムは無い。ゲームじゃないんだし仕方ないよな。
まあ、毛皮とか素材は取れるからさながらモ○ハンみたいな感じ。
そんなちょっと残念な気持ちが有りながら、気を取り直して、馬車を走らせる。
今回はチェーニのおかげで不意打ちを食らわずに済んだ。
本来ウルフは不意打ちの一撃を与えて毒を身体にめぐらせて狩る。面倒な相手この上ない。
だから、「監視装置」の開発は大事だ。
本当なら防壁を展開する装置の本格的な実験に入りたいと思っていたが、肝心のバリアーを発生させる魔法陣の図形は彼女は持ち合わせていなかった。
図形をマキビさんに聞いてもイメージすら思いつかない。だから、このまま無駄な時間を過ごすよりは便利装置を開発して、自分のスキルアップを目指すのがいいと考えた。
だから監視装置や火炎放射機の開発を決意した。
レンヤの故郷で実装するための防壁を持続的に発生させ、出力調整も可能にするシステムと装置が完成するまでの域に達するのが目標だ。
「まずは、どんな形にするのか考えるか・・・・・?」
「レド様。そろそろ新しい魔術を教えてくれませんか?」
そうだった、マリーの面倒も見なきゃいけなかった。
まあ、まだまだ先は長い。両方じっくりやっていくか。
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時間軸を少し巻き戻して、レドが奴隷船で反乱を起こした少し後ぐらい。
帝国旗を掲げた馬車の一団が一本道を進んでいる。
その一団の先頭に立つ馬に乗った男の手には銀色に輝くモノが握られている。
「しかし、本当にあの男に、我が軍の半数を与えて良かったのですか?」
「十分だろう。あいつもバカではない。準備を整えたのだろうな」
男の名はリーディック・ヴェノム・アルゼイダー。イディアール攻略軍の方面司令官である。
卓越した戦闘指揮や技術、人望にも優れており、家柄も歴代の将軍を子孫としている若き将軍。その有能な将軍は副官の男と話しながらも、彼の関心は手に持つモノに見惚れていた。
それは、まるでダダこねて、ねだるおもちゃを買ってもらった子供のような目の輝きをさせて見ている感じそのものだった。
彼の手にはM686リボルバーカスタムが握られている。
「また“じゅう”を見ているのですか」
「うむ。これは何度見ても美しい・・・・・・・・」
そう言って、弾の入っていないリボルバーを引き金を引いてカチャカチャと言わせている。
「しかし、美しいだけではないぞ?何より鎧を紙のごとく貫通させ、防御魔術すら通したのだ。恐らくこれは戦場でも最高の一品だろう」
「そうですね。そのおかげで村を一つ落とすのにこの被害ですからな・・・」
副官らしき男は後ろの馬車群を見た。
道に並んで進む馬車の荷台に乗っているのは、怪我をした兵士たちだ。馬車には食糧などの物も積まれているが、その一団の馬車のほとんどに負傷兵が乗っていた。
本来であれば、彼らは二手に別れることなく任務を遂行する予定だった。
しかし、通過地点の村の抵抗が想定していたよりも強かった為、本命の作戦に必要な補充要員とケガ人の輸送とゆう名目で別れた。
無論、帝国の兵力差と戦術に長けたこの指揮官にとっては、これも建前でしかない。
彼の考えていた被害予想を大きく狂わせた原因となった武器を本国へと持ち帰り、解明させるために帝都に向かっていたのだ。帝都ならばこれを早急に調べ、量産することが可能だろうと思い向かっていた。
簡単に防御魔術貫き重装甲の鎧すら打ち破った性能から、銃身に付けたナイフの特殊な見た目からも完全に魅了されている。
「あの獣人、口を割るでしょうか?」
「なあに、任せろ。むしろ兵たちが余計に何かしでかして死なれる事が心配だ」
「留意させます」
そうして、彼のすぐ後ろの馬車を見た。
馬車は鉄で各部分を強化し、窓には鉄格子が付いていて簡単には出られない様な構造の馬車。それに一人の少女が乗っていた。赤ピンク色の髪の中にウサギの耳を生やした獣人の少女。
「師匠・・・・・・ごめん。武器、取られちゃった・・・・・・」
彼女は手かせのついた腕で顔を拭い涙を流していた。
リーディックの命令で移動中の尋問、面会、触れる事すら禁止していた。
帝国兵での定石ならば、獣人は即刻死刑。
だが、彼女が持っていた銃を調べるために丁重に輸送中であった。持ち主であり、それ以外情報を知ることができないからだ。それと自分以外に、銃に関しての情報を遮断するためである。
だから敵兵を運んでいるとは思えないほど、周りには警戒している兵がいる。
「絶対に生きて出てやるんだから・・・・待っててねみんな・・・」
だが、彼女の予想していなかった事から、転機が訪れる。
・・・・数か月後。
帝都アドムインぺリア。
大陸グランフィーニで最大規模を誇る都市。レンガを基調にした街並みで歴史的建造物も多い。皇帝の居城や政府の重要施設があり、大型商業施設やオペラハウスなどが立ち並ぶ赤く華やかな巨大都市。
その赤い街のとある一角にある軍の施設に高級な馬車が一台止まる。
そしてその馬車から、女の子が出て来た。
女の子を見ると兵士がキリッと、立ち直る。
そして彼女はゆっくりと詰め所に入る。
「こ、これは姫様!このような場所に何かご用でしょうか?」
「ええ。アルゼイダー卿が捕虜にした少女に会いに来ました」
「ええ?・・・・・・少々、失礼いたします」
受付けの女性兵士が予定表と書かれたノートをペラペラとめくり始めた。
「・・・・・・あ、ありました。予定にあります」
女性はそういうと兵士が「どうぞ」と言って地下へ移動した。
詰所の地下は牢屋になっている。
階段を下がると、一定の大きさで作られた石のレンガが敷き詰められた通路に、両側には鉄格子がある部屋が四つ。二つは誰も居ないが、手前の牢に男が入っている。
「よう、なんとかしてくれ。こっちはうるさくて寝れやしねぇんだ」
愚痴を言っている男には目もくれず兵士に案内され、奥の牢屋に向かう。
「・・・・23、24、25-------」
一番奥の牢屋に近付くと、女の子の声で数字を数える声が聞こえてくる。
そして、その牢の前に立ち、腕立て伏せをしていた女の子に問う。
「あなたがアルゼイダー卿の軍を倒した者ですか?」
「・・・・・・そうだけどっ。言っとくけどねっ、あたしは何も喋らないからっ」
「ええい!!止めぬか、姫様に―――」
姫様と言われる少女は兵士を制止させる。
そして少女は首からブレスレットを外し、その先端にある金色の筒を彼女に見せた。
「!!あんた何で〝それ〟を!」
「これは、魔物に襲われた私たちを救った人が落としていった物です。その人はレイクードと言います」
「師匠が!?」
「師匠・・・・?そうですか。やっぱり・・・・・」
そうして、少女は立ち上がり、兵士たちに向かい手を突き出して言い放った。
「この少女は私の来客として迎えます。これは父、皇帝ペテロ・インぺリオ・クリノーク・グワンロンの承知しての事。意義成す者は皇帝に成すものと心得なさい!!」
「ははーッ!」
兵たちは跪き牢から女の子を出した。
そのまま、素早く上へと上がり、馬車に乗り込んで離れていった。
馬車はゆっくり進み沈黙が流れる中、少し時間が過ぎた頃。
突然、姫が大きな声を張り上げた。
「ああああ~~~恥ずかしかった~~///」
少女は顔を手で隠し、耳まで赤く染めて恥じらいだ。
「いえいえ姫様。いずれ国民の前でも言う事になるかもしれなません。いい予行練習となります。それに、ああでも強気にならねば奴らも信じませんよ」
「・・・・・・・で?帝国の姫様が、どうして助けたの?」
「おおっと、そうだった。私はレイティア、姫の護衛騎士長だ。予定では面会だけだったがお前を助けるためにあの芝居をしたんだ、感謝しなさいよ?」
帝国は獣人たちと終りの見えない戦争をしている。
当然この帝都では獣人たちは、奴隷と同等に扱われる。殴る、蹴るは当たり前、それだけではすまされない扱いも受ける場合もある。回復魔術を使い、致命的な障害を与えないように、道具を使うことも毎日のようにある。
今姫様と言われる女の子が取った行動は帝国貴族にとって、一瞬の気の迷いとも思える行動だった。
そして姫は再度ブレスレットの先にある金色の筒を目の前に持ってきて話し出した。
「噂で聞いたの。これと同じ形のモノをまき散らして戦う人が居ると」
兵たちの間では噂は付き物。
その中で、ありとあらゆるものを貫く武器でやられた、とゆうのが最近の流行っている噂である。
しかし、多くはそのような兵器は見たことも聞いたことも無く、もしあれば戦争が終わっているなどの憶測でしか伝わらず、話のタネになる程度しか認知されていなかった。
中には噂に尾ひれが付いたとも思う者もいる。
だが、それに興味を持ったのがこの騎士を合わせた二人だった。
「これは私の命を救ってくれた人が落としたものよ。調べたらあなたの持っている武器と同じような形だったから、きっと関係があるんだと思ってね」
「そう・・・師匠が・・・私はヘーレン。助けてくれてありがとう」
「いいえ。あの人と知り合いならこれくらいしないと」
そうして二人を乗せた馬車は皇帝の居城へと向かった。
それから一連の出来事を聞いた皇帝は、リーディックを呼び出した。
そこで実際にヘーレンが実際に武器を使用しそれを目にした皇帝は驚愕する。
その時だけは銃を一時的に返したのだが、今度は正式な研究機関に送られた。
そしてヘーレン自身の身柄は姫様に委ねる事になった。
無理に聞くよりは年が近い姫と一緒にさせることで気が緩んでボロを出すとリーディックが考えての事だった。
それで両者は情報の共有する事で意見は合致し時間を掛けつつ様子を見る事になった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。




