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とある転生者の革命戦記  作者: スピンドル
第二章 少年期「海上編」
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第二十一話「再戦(リベンジ)」

俺たちは目的地の島に到着して作業をしている。

こいつ「エルドリッチ号」を回収するのが今回の目的だ。

レンヤの母親からもらった魔法陣でマジックバックに入るはずだが、ホントに入るのか?あんな大きな船がこの小さなバックに。

まあ、とにかくその陣を描くために一度浅瀬に移動させる必要がある。

その為に船首にロープを繋げて全員で引っ張っている。

流石は奴隷。テキパキと作業をしている。

皆で作業するんだから当然、コイルの電源を落としてある。

電源を落としたら霧が拡散して大気に溶け込んでいった。俺の推測通りにコイルのせいで発生していた事が分かった。

やっぱりあの霧は可視化レベルのマナだったのだ。

おかげで皆、気味悪がっていないので作業がはかどった。

と言っても鉄製の船を陸揚げするんだから機械を使わないと無理な事だ。しかし、船の滑車と獣人の力で時間は掛かったが何とか陸揚げ成功。

そして陣を描いて、その端っこにバックを置いて、発動してみた。

すると船は小さな粒子みたいにちりになってマジックバックに入った。

問題なく回収完了だ。


「よし、回収完了。後はこの本を解読できれば文句なしなのに・・・」

「それもできると思います」


マジ・・・・!?

すると彼女はマジックバックから、また紙を取り出した。

今度は紙全面に文字だか模様だか分からないけどそんなのが描かれている。裏面はベトベトでくっつく仕掛けのようだ。


「これを読みたい本に張ればいいはずです」

「そうなんだ。これも君の母親から?」

「はい」


絶対レンヤの母親は九尾の狐に違いない。

相当な力を持っていそうだし、何より性格が悪い。

これを必要と知っていたならここまでの手間が掛からずに済んだのに。

まあいいや。

船自体も欲しかったところだし、丁度よかったかもな。

そんなこと思っても仕方ないから、もう一度港に戻ろう。

その前にやることがある。

俺は大きな木製の十字架を作った。

船に埋め込まれた人や遺骨、服などを集めて、この下に埋めた。

慰霊碑だ。

彼らの装備を使わせてもらうんだから、せめてこれくらいは当然。

その慰霊碑の前に花とお酒を置いて、手を合わせ、声に出して言った。


「こんな事に巻き込まれて死んだことに、とても残念に思っています。貴方たちの装備を借りさせてもらいます。どうか安らかに・・・・・」


そして、手で十字架を描く様にして祈った。


「兄貴。出発準備できたぜ!」


船の上からペドロが呼んだ。


「今行きます」


こうしてリメーンに戻る為、船を出した。

レンヤの故郷はリメーンから北の方角にかなり進んだ距離にある。

地図上ではイディアールと帝国がある大陸、グランフィーニの丁度真ん中あたりに砂漠があるが、その砂漠の少し先の森に、彼女の故郷があるらしい。

彼女の頼みごとを受けるために、一度港に戻って薬などを買って準備をしよう。

だが問題が、この船をどうするかだ。

後々考えたが、この船はいわば未来技術の宝船。

こいつを連合か帝国に・・・いや、例えイディアールの手に渡っても確実に戦争に使われて、技術は進み多くの人が傷つく。それを俺の所為せいにされたら溜まらない。

機銃は外してもいいが、この船自体は・・・・そうなるなら、この船を沈めるか。

でも、獣人たちは船が無ければベースティアに辿り着くことが出来なくなると言っていた。

グランフィーニから少し離れた大陸がベースティア。

獣人や亜人他の連合軍の本拠地。

海で阻まれている為、帝国の侵攻できない地形とその両大陸の間の海域に人魚の兵を配置し、ここ数何年も膠着状態だとか。

そうゆう海峡で、船が必要不可欠なのは理解できるが・・・・・。


「どうすれば最善なのかな~」


俺が何かを作ると毎回悩んで、そして、苦しむ。

誰も理解してもらえず一人で悩んで、ため込んで。このままではノイローゼになっちまう。

レンヤの頼みごとを最後に、もう何かを作るのを諦めるかな。

もうドラゴン並の生物を倒す武器は出来てるし、あ、でも魔防具は作りたいな。

そんな事を考えながら、椅子を斜めにして座っていた。

すると島を出て数時間後、見張りの一人が怒鳴った。


「水龍だぁ!!こっちに来るぞぉ!!」

「おお!?・・あだ!ってぇ」


見張りの声で驚いて椅子もろとも倒れて頭をぶつけた。

頭をこすりながら起きて考えた。「なして?」と。

一瞬思ったがここらへんの海賊の存在を思い出した。

セレーニ姫が捕まった原因の一つが水龍によるものだと前に聞いていた。

そいつらがまた襲って来たのだとすぐに理解した。

だとすれば穏便にとはいかない。


「総員戦闘配置っ!!銃座に各員配置し装填手は弾薬庫から弾を持ってきて!」


そう言って全員に指示を出す。

こうゆう状況も想定して訓練していたが、実戦だからかちょっとアタフタしてる。

仕方ないな、こんな事は想定してなかったし。

俺は頭を切り替えて水龍に関しての事を思い出す。

水龍は前世のウミヘビみたいな体格で海を泳ぐが、けた違いの大きさと速さがある。人を乗せて戦闘可能で、かなりの速さがある上に固い鱗で守られている。

口から高圧の水を吐き出す、海では厄介な相手だ。

普通の船なら会ったら勝ち目は無いが、この船の力を発揮すれば撃退する事ができる。

使いたくない反面、ちょっと撃ちたい気分があるが本音。

今日が海賊どもの最後だ。


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


木片や布などのゴミが散乱している砂浜に俺は打ちひしがれていた。

俺たちの一族は何代にも渡って、人魚を追い求めてきた一族だ。

それでやっと俺の代で達成できた喜びが一人のバカのせいで一瞬にして奪われちまった。

夜の見張りをサボって女で遊んでいた奴は八つ裂きにしたが、それでも俺の気が済まねぇ。

あまつさえその女まで奪われやがって!


「あ゛あ゛あ、クソォォォーーー!!」


俺はこれまでに無い怒りを砂浜に叩き付けて怒りを晴らそうとしていたが、怒りは抑えることが出来ずに、今度は周りにあった木を何度も素手で殴った。

手からは血が出ていたが、構わず殴り続けた。


「このグラウジ・ヴェンジョーの、我が一族の悲願を!よくも!よくもぉーー!!」


しかし、一体誰の仕業だ?警戒させていたのに、どうやって突破した。

それに昨日の爆発は一体何だったんだ。

魔術の類なら誰かが居る筈なのに、周りを探しても人っ子一人居やしねぇ。

砲撃なら船があるはずだが、警備していた船の奴らは、そういった船は見ていないと言っていた。

おかげで攻撃用の大型船は真っ二つになってやがる。

生き残った船は同盟を組んでいた奴らがズラかるために勝手に使いやがった。

残ったのは小さな船3隻と水龍40騎、部下70人程。

拠点は再建できるし、金もやりくりすればなんとかなる額は残っている。

が、人魚を取り逃がしたのが何よりの損失だ。

水龍の扱いをマスターして、無所属の奴隷ギルドどもと組んで、これだけの人間を集めたのにも関わらずに・・・・・・・ちくしょぉぉー。

そんな俺の元に水龍に乗った一人の部下が来た。

奴は急いで殴り通付けている俺に駆け寄った。


「グラウジ様!!この近くを船が通りました。その船に人魚を乗せているのが見えましたぜ!」

「なんだと!!」


俺は我に返り木を殴るのを止めた。


「数は?」

「一隻。今はリメーンに向かっていますぜ」


俺は少し考えて直ぐに部下たちに指示を出した。


「獲物を取り返すぞ!今度は俺たちが目にもの見せてやるんだ!!」


俺も運に完全に見放されちゃぁいねぇようだ。まさか獲物がまた舞い戻って来るなんてなぁ。

まだ、終わっちゃいねぇぜ俺は!

そして、俺は自分用の水龍にまたがり海へとか駆けて行った。

・・・・。

・・・・・・・・。

水龍を全速で走らせ、数分で目的の船が見えた。


「見えたぜ・・・・・」


あれが目的の船か?帆が見当たらねぇぞ。

帆が無い代わりに船体の横に風車みたいなもんが回っていていやがる。

それにしても速い。あれ(風車)で船を動かしてるのか。

普通の船じゃ、ねぇということか。こっち側の船は追いつかなさそうだ。

だったら、水龍こいつの持てるありったけの速力で奴の横っ腹から突いてやる。

俺は全水龍40騎、を二手に分けた。

そして、奴の丁度真横に着いた。

だが船は俺たちの隊列の方に寄って来た。

どうやら頭が回るようだな、船を近付けて砲撃か魔術で応戦しようって魂胆こんたんだろうが、そんなもんで水龍が倒せるわけねーだろが!


「ぶっ殺せ!!」


そう言って部下たちは一斉に襲い掛かった。


ドン!


なんだ?船から大きな爆発したような音がしたぞ?

すると、すぐ横を走っていた水龍とそれに乗っていた奴が落伍した。


「な・・・・え・・・・・・!?」


水龍は首が吹き飛んでいて部下も死んで浮いていた。

俺の部下が・・・死んだ?こんなあっけなく?

何をしやがった?あいつら・・・・?

遠くから水龍の鱗を貫いて、乗っていた人間まで真っ二つにするなんて。


「ボス!まだ、数ではこっちが上ですぜ、一気にいきましょうや!」


そうだ。きっとまぐれに違いねぇ。適当に撃ったのが運悪く当たっただけだ。

指示を出し士気を高めて一気に叩き潰してやる。


「奴は何かしらの遠距離の魔術を使う。気を引き締めろ!!」

「おう!一気に」


部下と水龍の首が吹っ飛んだ。


「なん・・・だと」


バカな!!

あんなに遠くから水龍の頭を吹っ飛ばす程の魔術を、なぜこんな短期間に!?

答えが解らないまま数秒後、また部下が命を落とした。

まぐれじゃねえ、俺たちは逆に奴に狙われている。その証拠に音がする度に俺の部下が殺されていく。

俺たちは奴隷船やら軍の輸送船すら襲える海賊。【シー・ディザイア】だぞ!

何世代にも渡っていた受け継がれた水龍を操るすべを持った一族で襲った船は数知れず。

どの戦も負けなしだったんだ。そんな俺たちが手玉に取られてる!?

落ち着け・・・・・・・焦っても意味はねぇ。

見たところ一つしか狙えねえようだ。範囲性の魔術を使えば直ぐに方が付いていた筈だしな。

だったら!


「隊を四ッつに分けろ、多方向から一気に襲い掛かるんだ!!」

「おう!!」


音がしたら最大に避ければ避けられる。

俺たちは避けつつ船を包囲している。が、それでもかなりられた。

だが、これで終わりだ、返してもらうぜ一族の悲願をなぁっ!


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


俺たちの乗る船に海賊が襲ってきた。

見張りが気づいて俺が対物ライフルである程度の数を減らせた。

だが・・・。


「囲まれそうですね」


俺は見張り台の上からペイロードのスコープで周りを確認した。

どうやら多数の目標を同時に攻撃できない事を悟ったな。

冷静な敵だ。

船の最大船速でも振り切れなかったし、ペイロードも弾数が残り少ない。アサルトライフルじゃ水龍のウロコには豆鉄砲程度だ。

距離が近くなったら4連装機銃とエリコンSSを食らわせてやる。

4連装28mm機銃とエリコンSS(20mm単装機銃)は、第二次世界大戦においてアメリカ海軍が使用した対空兵器である。

攻撃力も連射速度もかなり高い。

船の船首に4連装機銃一基、船尾に単装機銃が2基搭載している。

ただ弾が製造できない。

何しろ構造が複雑すぎて複製するには時間が足りなかった。

下手に造って機銃を暴発させたくなかったから、できるだけエルドリッジからもらってきた。だが弾数が最低限度しか無く、少ないから無駄にはできない。

撃ち漏らししないでくれよ~。


「撃ち方よぉーい!」


皆、集中して相手に銃口を向けて狙っている。

数日だけだが、訓練のたわものだな。みんな動揺するどころか集中しきっている。

敵が激昂げっこうし四方向からこっちに突進してきた。


『撃てぇーーー!!』


俺が伝声管に声を入れると、全ての機銃の発射炎マズル・フラッシュが瞬く。

けたたましい銃撃音と共に、無数の弾丸を水龍に浴びせた。

4つの銃口があるこの銃座は主砲の役割を担っている。

この機銃の射程は5,800m。数撃ちゃ当たる程度の命中しかないが、この2,000mぐらいしかない距離に対しては、有効だ。

こっちは弾数で圧倒している。旋回は360°だが、船の死角にはエリコンSSで対応する。

マニアにはたまらないドラムマガジンで近付き過ぎた敵にはこいつで対応する。

俺は撃ち漏らした敵をペイロードで倒して行く。

海賊たちは機銃とペイロードの一斉射で呆気あっけなく海に消えていった。

そして勝敗は直ぐに決した。


「撃ち方止めっ!」


撃つのを止めない・・・・・!?

聞こえないのか!


「撃ち方止めっ!撃ち方やめぇっ!!撃つのを止めろっ!!」


俺の叫んで、発砲を止めた。

こいつは・・・・・・強力過ぎる・・・・・。

鎧を着込んでいる様だったが、航空機すら撃ち落す機関砲を防ぐことはできない。紙同然だ。真っ二つになったり、頭が吹っ飛んだり、とにかく無数のバラバラの遺体が海を漂っていた。

もはや血の海となっていた。

全滅だ。生存者はいない。遺体を回収する手間が省けたと思えばいいが、やり過ぎだった。

多分彼らは、生まれて体験したことのない感覚にアドレナリンが過剰に分泌ぶんぴつし、一種のハイ状態、トリガー・ハッピーになったのかもしれない。


『みんなよくやりました。武器に安全装置を掛けて、弾薬を船室に。カギを掛けるのを忘れずに』


俺は出来るだけ平常心を保ち、伝声管に声を出して、武器を仕舞わせて降りた。

そして、機銃がある船首に向かった。

機銃の座席に、まだ、人が座っていたからだ。

もう、ここにいても仕方ないから、俺は彼に近付いた。

機銃に近寄ると、トリガーを握っている彼の手が震えているのが見えた。

そうか。今まで自分の感情が高ぶっていたことに気付いていて、この状況を作り出したのが自分だと知ったら怖くなったんだ。

俺が彼の肩を触ると「ビクッ!」と身体を震わせ、オレを顔を見た。


「君は悪くない。ただ、忘れないで。機銃これにはこれ程の力があるってことを」

「・・・・・・・・・・(コク)」


何も言わなかった。どう返していいのか解らないんだ。


「もう、休んでいいよ?」


彼は立ち上がり船内に消えていった。


「俺も休むか・・・・・」


俺は船長屋に向かい、ソファーに横になった。

手を後頭部に置き、船長室の天井を見た。

なにかある訳では無いが、考え事をするには丁度いい。


「やっぱり沈めるか、この船」


今の戦闘で判ったが、この世界にこの船はまだ不要だ。いや在ってはならない。

発展が進めば、確実にもっと酷いことになる。

この船がなくても、大変だが陸路でレルムッドにたどり着けるだろうし-----。


「ちょっと良いか?今聞いたんだが、この船を俺に託してくれねぇか?」


何の前触れも無くペドロが入ってきた。


「この船は危ない下手をすれば人を変えてしまうかもしれないんですよ?」


そう。

トリガー・ハッピーから戦闘狂になってしまえば、より悪くなる。

この世界が狂った世の中になるのだけは絶対にあってはならない。

その原因が俺なら、なおさら。


「さっきの武器は確かに怖かったぜ。音もだが、あの威力に。だけど、あんたが目的地に着いて、船を壊すつもりなら俺が借りても構わねぇだろ?」

「何のために?」


復讐とか他国に売り渡す、世界征服などの答えだったら真っ先にNOと答えて破壊させてもらう。

まあ、彼にも何かがあるからこの船を欲しているんだと理解している。

聞くだけ聞いてもいいだろう。

奴隷全員で襲ってきても本気ならアサルトライフルで蹂躙できる。

もう、迷いはない。

先の戦闘でもう何人か殺しているから。


「輸送ギルドを立ち上げるためさ」

「輸送ギルドねー・・・・・」


俺は少し考えて、答え決めた。

この船を彼に託す。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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