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とある転生者の革命戦記  作者: スピンドル
第二章 少年期「海上編」
22/46

第二十話「回収」

帝国の港街リメーン。

帝国東方のイディアールに一番近い港町。

一時は海路からレルムッドに攻め入ろうとしたこともあるが、途中にある嵐のような海の荒い場所やら、軍の海峡からの攻撃で大失敗。

それからも何度か攻撃を仕掛けようと、兵や商人など人の出入りが多くなり、栄えた港。

その為に宿屋が多いことでも有名である。

と、言ってもテルミナスより低い小さな町並みだ。

その一つの宿に泊まることになった。

国境を越えて、迎えに来てくれたレンヤの話を聞くために。

荷物の積み込みをペドロやチェーニに任して、レンヤの待つ宿に足を運んだ。

どうしてここに、この短期間でピンポイントに来れたのかを聞くために。


「で?話って?」


借りた部屋に入り、彼女が言いかけた話を聞く。

この二人だけの空間なら気にせず話す事ができるだろう。


「話をする前に雨戸と窓を閉めてもらえますか?」

「あ、そうだね」


もう日が沈みかけていた。窓を閉めないといけない時間帯だ。

俺はランプに火を点け、木製の板で出来た雨戸を閉じた。


「閉めました」

「ありがとうございます・・・・・では」

「え?・・・・・・ちょっ!レンヤ!何してるの!?」

「話をする前に見ていただいた方が理解しやすいと考えましたので」


ナニが!?

彼女は胸のリボンを外し、メイド服を脱ぎ始めたぞ!?

見せるって身体を!?ボインボインな刺激的なものを!?

ちょっと、見て見たいけど・・・・・じゃなくて!!

夜の展開はいろんな意味で早すぎる。いやそれ以前に何でいきなりこんな展開に!?

混乱したけどただ、見てはいけないのだと判断して、両手で目を閉じた。

どこまで脱いだのかは分からないけど音からして、きわどいとこまで来ているだろう。

そしてレンヤの声が聞こえた。


「そのままでいてください・・・直ぐに終わります」


へ?マジでピンク色の展開!?

ああ、いいかも・・・・・・いやいや。

だが、こんな190ぐらいの背が高くて、ボン、キュ、ボンな美人と一緒に一晩過ごす。

文句なしだよぉ、しかも料理、洗濯、掃除も完璧。

女性としてもパーフェクトではあるけど、何か違うような。

いや考えてもみろ、第一立場が違うし、どうせ痛ましい傷があるか何かだろうし・・・・・それは今回の話に関係なくね?

だがこのままピンクな行為にいきそうだ。

エロアニメでは展開的にがありそうだが、あ゛あ゛あ゛あ゛もう、どうしたらいいんだよぉーー!


「もう、よろしいですよ?」


あれぇー?

なんだよ、一度も身体に触りもしせずに終わりかよ。

でもちょっと残念な気持ちがある俺って・・・・・まあいいか。


「・・・・・・・・レンヤ・・・だよね?」

「はい・・・」


そこに居たのは下着姿のレンヤだった。

だが、付属品が付いている。

彼女の栗色の髪に合った尖がった動物の耳、そして黄色いフワフワとした大きな尻尾が4つ。

間違いなく獣人だ。しかも多分だが狐の類。


「幻滅しましたか?」

「・・・・・・・・・・ど」

「?ど?」

「ドストライクキタァーーー!!」


両手の拳を握って上に振り上げた。

俺の好きなフワフワの尻尾!めっちゃ好きっすッ!神様あーりがとぉぉ!

あんな尻尾に包まれて寝たいな、さぞや気持ちいいだろう。

イヌ科の中でも狐は特に好きだな。

北海道の白い雪の中にいる子ぎつねの写真を見た時からかわいいと思っていたんだ。

でも彼女のキョトンとした顔でやっと我に返ることが出来た。

俺は興奮していた。声にまで出してしまったし。

はんせー、はんせー、っと。

俺が落ち着いたのを確認すると彼女は腰を下げ土下座の体制を取った。


「お願いします!私たちを救ってください!」

「えっ!!母さんに何かあったの!?」

「あ!いえ。私の生まれた街を救って欲しいのです」


なに?

人魚を救うイベントから、今度は街を救う!?

展開も速いし規模もデカくなった。

俺なんかが街を救う?そんなの無理に決まってる。

でも内容を聞いた後で断ってもいいか。

俺にだって出来ない事はあるから良心も痛まない・・・と、思う。


「気にしないで話を続けて」

「はい。私たちの街はある場所にあるのですが、そこは過酷な環境の下にあります。そこで街を守るために魔術を施した装置を作ったのですが・・・・」


レンヤが俯いて目に力を入れてつむり、怒りなのか、それともまた違った感情かもしれない。とにかく今まで感情を顔に表したことのないレンヤが初めて表した瞬間だった。

そして、つぶやいた。


「その装置を動かすには生贄が必要なのです」

「い、生贄!?」


俺はオウム返しに口にした。

生贄。つまり人の命を使って街を維持しているってことだ。

俺が一番嫌いなパターンじゃねぇかよ!


「生贄の巫女と呼ばれていますが、今は私の姉がそうなのです」

「え!?そんな、じゃあ、もう・・・・・」

「いえ、まだ命尽きるまで時間があります。私たち姉妹は妖狐族の中でも特に力を持った複数の尻尾を持って生まれました。尻尾が力の源なのですが、姉の方が私より尻尾が一つ多いので、なんとか耐えている状態です」


なんてこった・・・・・・。

俺は部屋にあったベッドに「ボフッ!」と言わせて座って考えた。

生贄までして、何でそこまでして街を維持させなくちゃいけないんだ・・・・・ん?まてよ?そもそも何で俺に頼るんだ?

俺以外にも他の人にも頼れそうな奴はたくさん居そうなのに、なぜこんな子供に頼る?

銃は作ったが街を救えるかどうかなんてわからないぞ。


「何でぼくに頼るんですか?他に適任は世界を探せば居るんじゃ?」

「それは、貴方が生まれる前からアナタだと決まっていました」

「え!?」


もしかして、俺の事を何か知っている・・・・!?


「私の母は予知を見ることが出来ます。それによるとあなたが街を、姉を救ってくれると言っていました」


ああ、なんだ違った。


「でもそれは・・・・・」

「お願いします!もうあなたしか頼ることが出来ないのです!・・・・・・・う、くぅ・・・」


彼女が泣き出してしまった。

いくら未来が判るからって予知って・・・・それは占いの様なものでしか無いのでは?

確実なんてないぞ。わらにもすがる思いなのか・・・・・・。

確か、妖狐って言われて、複数の尻尾持ちはかなりレアなんだっけ。

一般の獣人でもエルフ以上にズバ抜けて魔力が高い。その妖狐の中でも複数の尻尾は力の表しで、多い程力がある。

一度「あるじ」と決めた相手に尽くし、頭脳の長けた種。

だから頭が良い訳だよ。

結論から言っちまえば、そんな妖狐が生贄を取るしか手段を見いだせないのもを、俺なんかが出来るのか?ってな話だ。

今まで人の命を救うモノなんて作っていない。ましてや一人や二人ではない大勢の人の命に影響する。

失敗した時の反響が怖かった。

でも、今までクールに屋敷の家事や礼儀作法を教えてくれただけでなく護衛として俺を守ってくれていた彼女が感情をむき出しにして涙を流している。

目の前で泣かれるの何度目よ・・・・・・・・・。

ほっとけねぇよ、こんな・・・・・・。


「・・・・どこまで出来るか判らないけど、出来る限り頑張ってみます」

「あ!ありがとうございます!!」

「むうッ!」


彼女が抱き付いて来た。

その大きな胸に息が出来ず、背の大きな彼女に抱き上げられている状態なので逃げることが出来ななかった。

そして「グキッ」と音がして、意識が無くなり、いつの間にか気絶してしまった。


               ◇


俺が起きた時にはもう次の日の朝になっていた。

目を覚ました時にはレンヤがいなかったが、直ぐにドアが開いて朝食を持ってきてくれた。

人間モードで。

そしてレンヤが昨日の事を謝り、俺は置いてあった着替えを着て、持ってきてくれた朝食を取っている。


「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」


気まずい。

元から寡黙だった彼女なんだからこうなる可能性はあった。今までは家族が居たから気にならなかったが、このメンツだとなんか気まずい。


「レンヤ」

「はい。何でしょう?」

「昨日話した装置について軽く説明してくれない?」

「わかりました」


この沈黙の中で食事しても、味覚すら感じない。つうかずっと見つめられているってのが本音だけど。

あとちょっと考えている事があるから、確認したいし。


「街の場所は言えませんが、私達が住めない程の高温の空気から街を守っています」

「つまりバリアー的なヤツを張っていると?」

「ばりあー?」

「あ、と・・・・・・何か魔術的な防壁を張っているってこと?」

「そうです」


成程、成程。

素材はなんだ?まさか、電波塔みたいな塔についてるパラボラアンテナじゃないだろうし・・・・。


「その装置は何でできているの?」

「恐らくはオリハルコンではないかと・・・・」

「ちょっと不安げだね?」

「私が生まれる前にできていたものですから」


なるほど、だが、だいたい解ってきたぞ。

装置に大切なのはエネルギー、動力、そして制御。

この三つのどれか一つでも欠ければ装置として成り立たない。

それに置き換えると、エネルギーと制御が巫女、動力(バリアーを発生させている物)がオリハルコンだろう。

そう考えると制御は人の手に委ねるて、エネルギーを他の物に変えればいいのではないのか?例えば魔石とか。

そうすればレンヤのお姉さんが命を削らずに済む。


「原動力を魔石にしなかったのはなぜですか?」

「魔石を使うには高密度なモノを使用しますが、それを買うにはお金が足りませんでした。それにすぐに消えてしまいます」


ふむふむ。

最低でも装置から出られなくても「命を削る」だけは阻止できるかもしれない。

研究中の防具の技術を流用すれば何とかなる筈。

問題は魔石が消耗品の件についてだが、多分これはエルドリッジのマナを機械的に集める現象を解明出来れば永遠的に近く使用できるはずだ。

周りに漂うマナを上手く集めて、魔石がそのままの形で再結晶できればエネルギー切れになることはない。

その他にも、まだ問題も山積みだと思うが、装置の話を聞いただけで判らない。

やはり実物を見て見ない事にはな。

その為にはやっぱり、エルドリッジ自体が必要なんだがなー。


「レンヤは召喚術に詳しい?」

「いえ、残念ながら」

「そう・・・・・・」


問題の一つがその現象がまだ解明できていない事だ。

本の文字が読めなくても、エルドリッジの構造を調べればいいのだけど、あんな場所じゃ落ち着かない。せめて動かせれば、でも動かし方が英語で読めない。

ちッ!結局の所、この時点で手詰まりだ。


「何か必要なのですか?」

「うん・・・・・実は・・・・(説明)・・・・・」

「・・・・これを使ってみますか?」

「ん?これは・・・・・・魔法陣?」


彼女は俺に四つ折りの紙を手渡した。

それを開くと魔法陣が描かれていた。


「それは、マジックバックに大きなものを入れるために使う魔法陣のようです。私が街を出る際、母が持たせたモノです」

「これだぁっ!!」


これだよ!

これなら、落ち着いた所で調べられるじゃないですか。

よし!善は急げだ。

残っていた朝食を平らげて、彼女と一緒に船に向かった。


                ◇


そうして俺たちを乗せた蒸気船は一度エヴェン諸島に向かって進んでいる。


「また、あの島に行くのかよ」


ペドロが後頭部に両手を当てて嫌そうな顔で言った。

そういえば、良く思っていないんだったな、あの島に対して。

すると、レンヤが―――――。


「すみません、どうしても必要な事なんです。我慢して頂けませんか?」

「い、いや。まあ、仕方ないよな。ハッハッハッ!」


レンヤがこっちを向いて真顔でピースしてくる。

真剣マジで、ちょろい奴。

そして、俺たちは一度エルドリッジのある島に向かった。

その間にできるだけ休んでおくか。おっと、その前にやることがあった。


・・・・・・・・・・・(作業中)・・・・・・・・・。

よし、こんなもんかな。

俺は船の中に風呂場を作った。

広さは小さい旅館並の風呂場だ。周りの壁にシャワーも設けている。

風呂を毎日入れるのは金に余裕がある家だけだった。

前世では普通の事だが、何しろここは帆船が主流の異世界。

その為、船の上ではありえない事だった。外洋では水は貴重品。

現代の船は海水を取り込んでボイラーの余熱を利用し、蒸留水を生産できる。

この船も生成可能。だからこうして水もお湯も不自由しない。そこを活かしてこの船にも風呂をつくろうと思ったのだ。

一時的にでも命を懸けて戦ってくれたんだ。これくらいプレゼントしてやろうと思った。

後で俺も入ってみるか。

作業を終えて甲板に上がると、辺りがオレンジ色一色になっていて、夕方になっていた。

そして、移動すると一時間。船を一旦停止し、なぜか宴会が行われた。

手には酒が入ったタルやら酒瓶を持ちはっちゃけてる。


「どうして宴会をするんですか?」

「何故って、そりゃ自由を手にした記念さ!今まで食料や酒が無かったから出来なかったが、今回は大いに飲んでやるぜぇ!」

「あ、そう」


俺が主賓らしいが、まだ未成年の為、果物ジュースを飲んでいる。

いつの間に酒を買っていたんだか、何故か姫や女王までまざっちゃってま。


「あのぉ・・・・これ持ってきました」

「お。ありがとう、マリー」


マリーも未成年だから飲兵衛のんべえ組には加われない。

そんな彼女が出し物を持ってきてくれた。

クレールの方は・・・・・・。


「Zzz・・・・」


もう、潰れてたか。

18歳のクレールは酒瓶を抱えながら寝ていた。

レンヤは関係がないからと見張りをかって出てくれている。今では見張り台の上で周りに異常がないか確認していた。


「あのぉー、レド様」

「ん?」

「私にも詠唱しない魔術を教えてください」

「そうですね・・・・・・いくつかの約束を守ってくれるんなら」

「守ります!」

「いい返事だね。なら教えましょう」


こうして、また小さな弟子ができた。

彼女にもミーナたち同様の約束をさせて魔術を教えた。

最速で行使できたのはヘーレンの数時間。

誰もがそうであるとは限らない。

だからいくつかの人に教えていろいろ調べていく。

今まで同様、ゆっくり教えていくけど。

こうして、そんな、こんながあり、蒸気船は駆逐艦「エルドリッジ」がある島に到着した。


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