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とある転生者の革命戦記  作者: スピンドル
第二章 少年期「海上編」
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第十九話「戯れ」

現在、蒸気船はセレーニ姫を救出して一番近い港に向かっている。

ここまで、船は何の問題も無く静かに進んでいる。とゆうより海は穏やかだ。

空も晴れていて、風も気持ちいいくらいの強さで吹いている。カモメたちも周りに集まって来るなどして何とも平和な航海だろうか。

そんな中、俺は甲板に椅子とテーブルを並べて、本を読みながら船旅を満喫している。


「ん~~~。フィラデルフィア・・・・・・・実験・・・・・・・・」


「エルドリッジ」から持ち出した本を解読しようとしたが、やっぱり単語だけ理解していても無理があった。

ただ、これだけは知っている。

【フィラデルフィアの怪実験】。

第二次大戦末期。アメリカ海軍が極秘に行った実験。

都市伝説の話で、核実験【マンハッタン計画】の隠れミノとして行われた実験じゃなかったけ?

内容は船を見えなくする実験だったはずだと思ったけど、詳しいのは忘れた。

でも、船はギリシャ海軍に売って、40年後に解体されたんじゃなかったか?

だが事実、あそこに在った。これだけは曲げられない真実。

実験機材が誤作動を起こしたかで、此処に来たんだろう。

映画で時間を超えたネタになったな。

時間ではなく異世界に移動したとは。

ま、本音はそんな事どうでも良い。

例え、戻る手立てだろうが世界の壁を飛び越えて行く話に、ロクな事はない。成功しても繋がりが起きて世界同士が対消滅する話とか、魔物とか具現化して人を襲うとかになり兼ねない。

俺が知りたいのは、マナが機械的なモノに集まる。

この現象を解明し、コントロール出来れば俺が開発中の魔防具の悩みを解決できるはずだ。

それなら、あまり世界に影響しないし、ことわりとかで自然に忘れ去られるかもだし。

何としてもこの現象を解明せねば。


「主様、何の文字ですか?」

「さあ、何語でしょうね」

「じゃあ、読めないんですか?」

「全く」


嘘は言っていない。単語自体は読めても文章は全く解らん。

転生する前の世界の文字。なんて言っても俺だって読めないから理解できる訳ないし、それ以前に信ちゃいないだろうしな。

すると、周りにから驚く声が聞こえてきた。


「ん?何ですか?」


船の端にみんな集まって海を見ていた。


「セレーニ姫ですね。さっき魚を取って来ると言ってました」


姫が魚を?

人魚って魚とたわむれるイメージが強いんだけど・・・・・・そんな人魚が魚取り?しかもその姫が?

すると海の方から観客の頭上をセレーニ姫が飛んできた。

空中でひねりを入れて水しぶきがキラキラと光って綺麗だった。

そして空中で人型になって着地。

さらに「キメっ!」と、ポーズ。

周りから拍手喝采はくしゅかっさいの声が上がった。

日陰で様子を見ているコーラル女王も拍手をしているのが見えた。


「芸達者な姫様だこと・・・・・・」


俺も軽く拍手をした。

こんなにおてんば姫なら一度、痛い目に会わないと解らんだろうな。

拍手喝采の中、見張り員が声を上げた。


「陸だ!港が見えて来たぞぉーっ!」


お?どうやら、やっと着いたようですね。

さてと、そろそろお別れしないと。


「コーラル女王。セレーニ姫。ここまでありがとうございました。ここまでくれば十分です。お二人はもう自由ですよ」


流石にもう逃がさないとまずい。

他の人間が彼女たちを捕まえる可能性がある。

折角助けたのに、また捕まったんじゃ気分が悪い。

ここからは、連合の大陸までちぃと距離があるだろうが頑張ってほしい。


「本当によろしいんですか?人魚の肉ですよ?不老不死に興味は無いんですか?」


また、その話か。

助けた時も同じことを聞かれたが、そんな老後が送れなくなりそうなアイテムは勘弁だ。

それに長生きしてもいいことないし、命を奪うなんて後味悪くするから必要ない。


「興味が全くありません」

「そうですか・・・・・・・・では、ちょっと入れ物を、出来れば液体を入れても大丈夫なモノを貸してください」

「は?ええと・・・・・・どうぞ」


何をするんだと疑問に思いながら、俺はバックから実験などによく使うフラスコを手渡した。

コーラル女王がそれを手に取ると床に置いた。

そして髪に隠していた小型のナイフのようなものを取り、手首に刃を当てリストカットみたいな格好になった。


「何しているんですか!?」


自殺でもするのかと真っ先に考えて、とっさに彼女のナイフを持ってる腕を掴んだ。

だが、彼女は普通に受け答えた。


「私たち人魚の血を直接飲めば一度だけ死ぬほどの傷を負っても回復します。水で薄めれば万病に効く薬となります。貴方にはこれを受け取ってもらいたいのです」


なんと!そりゃ凄い。

まあ確かに。

俺と初めて会った時にあれだけの傷が直ぐに治ったんだ、そんな力を持っていても不思議ではない。殺して不老不死を手にするよりずっとマシだ。

1P回復みたいなアイテムか。

しかも薄めれば万能薬にもなるなんて使い勝手もいいじゃない。


「貴方は私を救い、娘も助けてくれました。それなのに物乞いせず、何の見返りを求めない貴方に、受け取って欲しいのです」


そこまで言うなら、もらっておきましょうかね。

血がフラスコに溜まりそれを受け取った。

すげぇな、伝説級のアイテムゲットじゃねぇのよ。


「ねぇ・・・・」

「ん?」


セレーニ姫が服の裾を軽く引っ張り、話しかけた。

何か物欲しそうな目で見つめてくる。


「何ですか?」

「私も陸に上がりたい!」

「・・・・・・・・・・頭、打ちました?」

「打ってなんかいなーい!」


しかし、自分が人魚で狙われていて、陸に上がれば水無しで倒れて干物に変身してしまうことは理解しているはず。

コーラル女王だって俺がギリギリ助けたから良かったものの、そんな死地にいくなんてどう考えてもおかしい。

水の膜を張って外に出れば、港では違和感ありまくりだ。

考えがない訳でも無いけど―――――。


「そんなこと許しません!!」


やっぱり親の許しが出なかった。

あのコーラル女王が怒鳴った。

普段大人しい人が怒ると怖いって言うが、今の彼女はまさにそれだ。


「私、もっと色々見て見たいの!どうせまたいつもの日常に戻るんだったら、今の内にもっと不思議な物を見て見たいから!」


そして、言い争いになった。

姫さんの意見も解らんでもない。

まだ若そうだし、彼女には世の中の経験が必要なのかもしれない。

小さいころから限られた空間で生きてきたんだろうし、たまにはこうゆう刺激も必要だ。実際とはちょっと違うが、俺も外に出て色々学んだからな。

言い争いをして自分の考えを曲げないセレーニ姫に対して、流石に温厚なコーラル女王が怒りが頂点に達してきたようだ。

その寸前に助け船を出した。


「あのーちょっといいですか?」

「おほんっ!・・・・・・・・・なんでしょうか?」


周りが見えずに怒っていたみたいだな。

俺の声でワザと咳をして我に返ったか。


「少しだけならここに滞在し食料の調達をしなければなりませんから、その間だけでも好きにさせてもいいのではないですか?」

「え?」「!!」


二人もそうだが、俺の話を聞いた全員驚いた顔をした。


「そうすれば、もう二度とこんなことをしないと思いますよ?実際痛い目にあいましたし。それに、こんな機会は滅多にありませんから」

「しかし・・・・・・」

「姫にはぼくが。と、言っても用があるのは自分ですから、姫はそれに付いて来る形になりますけどね」

「貴方がそういうなら・・・・・いいでしょう」


その言葉を聞いた瞬間セレーニ姫が両手を上げて喜んだ。

相当嬉しいようだ。


「優しいんですね」


優しいとはちょっと違うかな。

彼女にはもうちょと経験を積んで大人になる必要がある。

陸の世界を知る必要があると判断しただけだ。

毎回、助けが来る訳でも無いし。そうでなければ、今のままで彼女が女王なったら、それこそこの世界から人魚が絶滅の可能性が出てくる。


「これも経験ですから」

「・・・・・・・・時々思うのですが本当に人の子ですか?」


あ!やっぱ普通じゃないか。

もう少し子供っぽく振る舞ないとな。

小学生になった高校生探偵の気持ちがわかった気がする。


             ◇


船は港へと入港した。

港には大小さまざまな船が、停泊している。

船が止まれそうな桟橋に船の舫い綱を繋いで、俺は何日かぶりに船を降りた。


「いやー、やっぱりおかはいいですねー」


さて、とりあえず船の元、持ち主をギルドに引き渡しますか。

ペドロに連れられ船倉から船長と元船員が出て来た。

さて、こいつら多分ギルドに引き渡すんだろうが・・・・何処に在るんだ?

・・・・・・・・聞いてみるか。

そして、試しに沢山の人が出入りしている木造の建物に入った。

捕虜は一度ペドロに預けて、俺だけで入った。

建物の中に入ると目の前に木箱が沢山積まれている。

倉庫かな?試しに近くの人に聞いてみる。


「すみません。ギルドの支店か本部はどこですか?」

「ああ。それなら、そこの大通りを進んで左側3つ目の大きな建物がそうだ」

「ありがとうございます」


俺たちは大通りを進んで3つ目のギルドマークが描かれた建物に着いた。

中は大きな剣を背にした人、弓や剣、短剣などの武器を装備した人たちがたくさん居た。

俺は捕虜を連れて目の前の受付に向かった。


「あのぉ、ちょっといいですか?」


受付の人に話しかけた。


「何でしょう」

「この人たちは懸賞金とか付いていませんか?」

「あなたが捕まえたのですか?」


あ!そうか。そう思うよな。ここは適当に言っておこう。


「いいえ。父さんが捕まえました。でも外せない用事でぼくが連れてくることになりました」

「そうですか。確認しましょう、名前は?」

「船長の名は確か・・・・リーノスでしたっけ」


名前を言って近くの棚から本を取り出し、パラパラとめくっていった。

少し時間が経って受付の人が言った。


「賞金額は、7千ナルクになりますね。依頼を受けている状態ではないので、この値段になります。よろしいですか?」

「お願いします」

「わかりました」


本当は依頼を受けてからの方がたくさんもらえるが、12歳以上でなければギルドに入ることが出来ない。

受付の人が何やら用意をしていると、後ろから呼ばれた。


「レイクード様」

「え・・・・・・!?」


ビックリして後ろを向くと、背の高いローブを顔が見えないくらい被り俺の方に手を乗っけた。

何でか名乗っていないのに、ローブの人は俺の名を知っていた。

そして、フードに手を掛けて顔を見せた。


「私です」

「れ、レンヤ?」

「はい」


その人はレンヤだった。

まず初めに浮かんだ感情が困惑だった。

何でレンヤが此処に?探しに来たとしてもこんな短期間であり得ない。

俺が船に拾われたのが多分20日も経っていない頃だと思う。

漂流していた期間は解らないけど、最短距離を真っ直ぐ向かっても一か月以上しないと来れないくらいの距離の筈だ。

転移やワープの魔法陣もないのにどうやって。飛行船で来れる訳でもないし、まさか偽物?

にしては美人だし・・・・。

どう受け答えたら良いのか判らなかった。


「ここは、私が行います。エレナ様から手紙を預かっていますので、御覧になって下さい」

「母さんから・・・?」


彼女から手紙を受け取り確認した。

剣と鳥の紋章が印象的な印、これがバルケット家の家紋だ。

その下に母さんの名前がある。

封も切っていないから、間違いなく母さんからの手紙だ。

俺は中身を読んだ。


<レドへ。

身体は大丈夫?

私達はあれから何事も無くレルムッドに着きました。

でもごめんなさい。貴方を守ってあげられなくて。

そして彼女しかあなたを迎えに行けるひとが居なくて。

その時の海の動きや風向きから帝国方面に流れ着いたと考えました。

助けに行きたかったけど、私は家の事があるので行けないの。

ごめんなさい。

そこで戦闘実績のあるのはレンヤとサリサの二人を考えたけど、サリサを一人で帝国内を歩かせるのは危険だと思って、彼女しか行かせることができませんでした。

サリサは獣人なので不用意な事情に巻き込んでしまうと思ったからです。

本当にごめんなさい。

でもレンヤには私が可能な限りの金銭を手渡しました。

戻る間の資金に使ってください。

服も持たせたけど、渡したお金から好きな服を買ってもいいのよ?

きっと生きてこの手紙を読んでくれることを信じています。

焦らずゆっくり旅をして世界を学んで。きっといい経験になると思うから。成長したあなたに会えるのを楽しみに待っています。

そうそう、あなたの叔父さんもあなたに会いたがっているわ。

母さんより。

追伸  時間が空いたら返事を下さい。あなたがこの手紙を読んでいることを確認できるから。いつでも待っています。>


母さんが俺を心配して、待っていることを知らせる内容だった。

何度も「ごめんなさい」の言葉があったから自分に非があるんだと思っているんだ。

自分を責めてるんだろうな。何も悪くないのに。

レンヤだけの事だって仕方ない。

帝国内に獣人を嫌っている人は数多い。サリサが探している間に何かに巻き込まれるのは簡単に考えられる事だ。

この手紙でレンヤが本物であることは確認できた。

でも、やっぱりおかしい。

街中だけでも探すのが大変なはずなのに。

それ以前に速くこの街に来ても、この日に、しかもピンポイントでこの場所に現れるなんて未来を予知できても移動だってこんな短期間では無理だ。

しかも、似たような格好の人もいるのに、顔も確認しないで俺の名前も言った。


「お読みになられましたか?」

「うん、ありがとうレンヤ、探しに来てくれて」


引き渡しを終えたようだ。


「良く此処に居ると分かったね」

「それを含めて少し、お時間よろしいですか?」

「ん~~~・・・と」


俺は後ろを振り返って見た。

人間モードのセレーニ姫がフグみたいに大きく頬を膨らませて怒っているのが見えた。

流石にこれ以上の時間はまずいだろう、約束してしまったし。

そこで、宿を取ってもらって呼んで来る様に頼んだ。

レンヤの事を軽く説明して、一旦別れて俺たちは大通りを歩き始めた。


「人がいっぱーいっ♪」

「あまりはしゃがないで下さいよ?はぐれたら大変なんですから」

「分かってるー♪」


どうだか。

今まで彼女がここまで元気でいられるのは、水の魔石を飴玉のように口の中に入れているからだ。こうしておけば長時間陸で行動できる。

水の魔石の水は俺たち人間はマナが多すぎて飲めないが、人魚であるし、魔石自体も密度は可能な限り低く作った。

例え魔石が切れてもまた練成すればいいだけだし・・・・・。

てッ!言ってるそばから離れてるじゃないのぉ!

俺は走って追った。

彼女はとある出店の前に腰を低くして商品を見つめていた。


「もう、自分が付いて来る立場だって理解してます?」

「ねえ、これ綺麗」


話聞けや!

そんな怒鳴りを心の中で叫んだ。

言葉に出そうと思ったが彼女の物欲しそうな表情で怒鳴ることが出来なくなった。

俺は一回深呼吸をして、息を整えた。

彼女が手にしているのは、どこにでもありそうな普通の髪飾りだった。

貝殻で、出来ていて魚の絵が描かれている。

こんなモノに興味を持ったのか?俺ならもっといいものを作ってやれるけど・・・・・まあ、いいか。


「これが、欲しいんですか?」

「いいの?」


白々しくしておいて、何を今更。「買って」て顔に書いてあるじゃないか。


「おじさん。これ一つ」

「あいよ。そこのかわいい子のプレゼントかい?」

「まあ、そんなとこです」


髪飾りを買って彼女に渡した。大いに喜んでいた。


「今度は食料を買うので、今度いなくなったらそのまま置いていきますからね」

「わかってま~す」


そして、今度は食糧を買いに歩き出した。

海の上では魚が取れるから必要ないかと思うだろう。しかし毎日主食が魚だと正直飽きる。

今だって、すぐにでも肉が食いたい。

だが今は、後にして、このお転婆姫をさっさと満足させてからにしよう。

俺はセレーニ姫が周りの物に興味津々で暴走しそうになりながらも、食料を買い込んだ。

セレーニ姫は終始ご満悦で。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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