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とある転生者の革命戦記  作者: スピンドル
第二章 少年期「海上編」
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第十八話「救出」

夜の暗い海の中。

魚たちが活発に動く時間の中、俺とペドロは潜水具を着て暗い暗い海を泳いでいる。

この潜水具は「エルドリッチ」にあったものを持ち出したのだが、何とも使いずらい。

昔ながらの大きなヘルメットを着るタイプで、潜水具と言ったらやっぱり、これ、とゆうイメージの潜水具。頭は大きく重いし、酸素ボンベが無かったのでタルを改造して酸素吸入機で呼吸している。

風の魔石を使って、空気を送る仕組みだが、常に空気を取り入れるホースを海上に出さなくてはいけなかった。

それに加えて、空気が入っているから浮いてしまうので、タルを抱えながら泳ぐことになってしまう。片手でタル、もう片方はホースを付けた棒を持って泳いで、かれこれ20分近くこんな苦労しながら島に潜入しようとしている。

作戦の第一段階。

まず、セレーニ姫を見つける事。

その為に暗い夜まで待ち、闇に紛れて島に接近する。

途中までは船を暗くすれば見つからないが、それ以上だと音で気付かれる。

だから真っ暗な海で泳いでいるのだが、こうも暗くては方向を見失ってしまう。普通ならそのまま迷って、作戦に支障をきたしていただろう。

そこでコーラル女王に先導してもらいながら案内してもらっている。

彼女は人魚で、頭の耳の後ろ辺りにヒレがあるのだが、そのヒレでこの暗い中でも方向感覚を見失う事は無いらしい。

水中レーダーか、ソナーだな。


『もうすぐ、着きますよ』

「(コク)・・・・・・・・」


オレは水の中で話せないが彼女は人魚の為話せる。

そのヒレで水中を振動させ、音を伝える役割も果たしてる。水中に居てもヒレのおかげで人魚同士が地上と大して変わらない会話が可能となっているらしい。

潜水具の中には水中でも会話が可能なモノもあるが、これには付いていない。

俺は軽く頭を下げて了解したことを伝えた。

そして、哨戒船の船底を通り抜け、敵が停泊している入り江とは真逆の海岸に上陸した。


「かあぁぁ!きつ・・・んぐッ!」

「ここが敵の拠点だって忘れていません?」


海から出るなり大きな声を出した。オレはとっさに彼の口を手で塞いだ。

いくら服の上から着て変な感じで長い時間泳いだからって、ちょっとは周りを気にして欲しいな。不用心にも程がある。

手を離して潜水具を脱ぎ、いつもの服装になった。


「ありがとうございます。コーラル女王。気をつけて戻って下さい」

「はい・・・・・・セレーニをお願いします」

「力は尽くしましす」


彼女が海に潜った事を確認し、俺たちも行動を開始した。

まずはこの目の前にある林を抜ける必要がある。

ガーさんの地図ではこのまま真っ直ぐ林を突っ切って進めば小屋や家が立ち並ぶ場所に出る筈。

恐らくそこが拠点で、そのどれかに。

普段動物の移動がないこの島で、草が大きく生い茂った場所を手でかき分けて進み、ちと太い幹の草は剣で切り裂いて進んで行った。

この高さならホフク前進しなくても十分に身体を隠してくれる。

数分歩いて、ようやく火の光が見えて来た。

ここからは、茂みに隠れながら、周りを確認する。

奴隷商か海賊の小屋が点在していて、至る所に見張りが配置されていた。

ガーさんが描いた地図通りだ。

そして作戦通りオレは錬金術で穴を掘った。

まず、数十メートル近くまで垂直に穴をつくってロープで降りてからそこから横穴を掘る。


・・(穴掘り中)・・・・・・・・。


・・・・・・・・大体この辺のはずだ。

距離感はここの来る前に何度か練習したので大丈夫なはず。

出口は、小屋と小屋との間だ。

最初と同じように、今度は上に堀り、そしてトンネルを開通させた。


「・・・・・・・・・・」

「失敗か?」


開けた穴の上に木の板があった。

どうやら小屋の真下の床下に出てしまった。


「ペドロ、上に人がいますか?」


上の状況を確認させた。

板に耳を当てて、少し沈黙したら「居ないな」と言った。

ドアを作って開けると、そこは木箱が小屋いっぱいに積まれ所に出た。

なんだ?この木箱?


「これ、食いもんだぜ。いいニオイがする」


おお、マジっすか。

これはいただきだ。魚と果物では味気無いと思っていた所だ。

オレは小さい木箱をマジックバックに入れた。

他の大きい箱はバックの口に入らないし、ヘタに壊すとバレる。

よし、今度は主目的に参りますか。


「ペドロ、この髪飾りと同じ匂いをここから探せますか?」

「まっかせな、金と女のニオイはすぐわかるぜ」


誰もそんな事、聞いとらん。が、さすが犬の獣人だ。

ペドロがクンクンと鼻を髪飾りに近付き、格子の付いた窓から辺りのニオイを嗅いだ。


「・・・・・・あっちからだな」


了解っと。

俺たちは見張りを気にしながら外に出た。

ペドロを先頭に付いていくと、窓がある二階建ての大きな家に着いた。

その家の一階の窓の下に移動し、ペドロが人差し指を上に突き立てた。

オレは窓から中を覗いた。

暗い部屋に、小さいランプが少し光っていて、ベッドで男女が喘ぎ声を上げて、激しく動いていた。

女性は少なくとも目標では無い。


「・・・・・・・・・・」


お~い状況を考えろよな。

オレは何も言わずに真顔で「性欲が抑えられんのか?」「呆れた」とゆう顔で、ペドロを見た。


(フル、フル、フル)


すると、ペドロは手を左右に振って、再度人差し指を上に突き立てた。

そして理解した。

ここより上の、二階を差していたのだ。

入り口には当然見張りが居たので、ここから入る。

念のため、銃を取り出した。

できれば使いたくないがどうしようもないときは仕方ない。

そして、中の二人を眠らせるために催眠魔術を発動した。

「ドサ!」っと音がして確認する。

男はベットの上でイビキをかいて寝ていた。

それを確認して、「そ~」と窓を開けて中に入る。

「行為」を行っていた女性に俺は人差し指を唇に当てる仕草を見せた。


「大丈夫。危害は加えないから安心して」

「兄貴。どうする?」

「助けますよ」


裸の女性をほっとけるか。


「いや、他にもいるんだが・・・」

「え・・・?」


そうしてペドロは奥の扉を指差した。

鍵は掛かっていないようなので開けてみた。


「!!」


中にはより小さい部屋に歳は分からないけど恐らく成人にはなっているだろう獣人5人、人族5人の計10の女性がいた。

多分奴隷だ。

全裸で、青いアザがある。

泣きわめいてうるさかったのか、殴られ鞭打たれたんだな。

鞭が近くにあったから。

紳士レイクードは彼女達を見捨てたりは致しません。


「ペドロベットのシーツ持ってきて」

「どうするんだ?」

「いいから。後、そこに転がっている男(クソ野郎)を縛ってて」


ペドロが持ってきたシーツを手に取り彼女たちにかけてやった。

そして、できるだけ優しい言葉を選んで優しく語りかけた。


「もう大丈夫。僕たちは何もしないから。少しだけこの部屋で待ってて。その少しで用事を済ませてきちゃうから。戻ってきたら一緒に逃げよう?」

「!!・・・ありがとう・・ひっく!・・・・ありがとう」


見張りとしてペドロを置いとくか。

その前にセレーニ姫の確認。たしかこの真上の部屋だったはずだ。


「ペドロ、セレーニ姫の場所は?」

「このちょうど真上だな」

「そう」

「必ず戻って来るから。友達が一緒にいるから安心して待っててね」


これで安心してくれればいいけど。

ここから直接行くのはダメだな。

錬成時の光が漏れそうだし、上に魔法陣とか罠が張ってある可能性もある。

仕方ない。行くか。


「じゃあ、後は任せる。けど女性に手出ししないように」

「わ、わかってるよ」


そして、俺は銃を仕舞ってサバイバルナイフを取り出す。

屋内では銃よりもこっちが適任だ。

右手でナイフを持ち構えながら歩く。

まずは階段を探さないと構造上は長方形の建物だから端っこか、真ん中、屋外に階段があると思われる。少なくとも屋外には無かった。

そして、この内部構造だとそろそろ階段があっても良いが・・・・。

・・・・有った。

ここを上がって、少し行けばあの部屋の真上の筈・・・・。

よしこれだ。

扉には船で見た感じと同じ錠が付いてる。多分ここだ。

ラッキーな事に見張りもいない。

よし、まずは仕掛けは・・・・・・無し。ドアの罠は・・・・も、無し。よし、間の留め金を外してっと。ゆっくり扉を下ろして、静かに入る。

中には大きな部屋いっぱい使った水槽が目の前にある。そして、その中に魚の尾ヒレと上半身が人の人魚の女の子が入っていた。

目の辺りが真っ赤になっているので恐らく泣きつかれて寝てるんだ。

とにかく起こさないと、水槽を軽く叩いてみるか。


「(コンコン)」

「~~・・・?」

「(ども~)」

「!!」

「(し~~~!)」


多分叫ぶんじゃないかと思って、叫ばれる前に対処した。


「大丈夫。僕はレド。君の母親のコーラル・ベラ・メマイドさんから君を助けるように言われているから」

「母さんの・・・?信用できないわね」


だろうな、人間と初対面でこんな扱いを受けるんだから疑って当然。

だから、女王陛下からこれを預かってきた。

そうして、マジックバックから貝殻を取り出す。

二枚貝の片側で真珠などの装飾品が付いている。


「では、これでどうですか?」

「こ、これ母さんの髪飾り」


念の為に借りてきた。当然、俺があんたの母さんから頼まれたという物的証拠として。


「あなたを移動させるメリ・・・利点がどこにありますか?しかも僕みたいな小さな子供が」

「信じて・・・いいの?」

「少なくともここから出られる事は確実です」


セレーニ姫は水槽のふちまで浮上し、手を差し出した。

俺はその手を取る。

よし!任務完了。後は逃げるだけ。


「さあ、逃げますよ」

「でも、私。陸では速く走れないし、水がないと倒れちゃう」

「速く走る必要はありません。水は・・・(ポチョン)はい」

『え?』


オレは水の玉を作って、形を維持したまま彼女の顔に着け、頭全体を水の玉で覆った。

これで、大丈夫だ。


「喋れますか?」

『すッ凄い!何で?何で??どう・・・・むう!』

「静かにとにかく急ぐから早く人型に変身してください」


はしゃぐのは解るけど、まだ敵のど真ん中なんだぞ。

全く、二度目だな。

喋れるのを確認して、一緒に俺が登って来た階段を下って侵入した部屋に戻った。


「おう、流石だ。兄貴」

「さあ、もう時間がない。作戦時刻になりつつある」


早く退避しないと〝巻き込まれる〟。


「〝爆撃〟が始まるから」

「あのぅ」

「ん?何ですか?」

「私も逃げていいの?」


さっき男と交わっていた女か。


「当たり前です。ここも被害があるかもしれませんから」


奴隷の女の子が恥ずかしそうに身を手で隠して泣きながら礼を言う。

オレは時計を確認した。午前3時2分前だ。もう時間がない。

俺はカーテンやベットのシーツを彼女たちに羽織らせ脱出する。

床板にくり抜いて、再度穴を掘る。今度は位置を確認してから。


「さあ、入って。急いでね」


全員穴に入ったら、床を元に戻して、一番前に移動。

そして再度、堀り続けた。

ま、掘ると言っても途中まで掘ったから、途中から歩くだけ。

穴を少し歩いていると地上から、爆音が響いてきた。

その振動は結構深く、掘った土を使ったトンネルの壁の砂がパラパラと落ちて来る程に。


「きゃあ」

「大丈夫。これは僕が指示したことだから。深い地面の下だから危険はないよ」


とは言え、やっぱり不安だよな。訳のわからない爆発で、トンネルが崩れるんじゃないこと。実際パラパラと落ちてるし。

この爆撃は、島を離れる際の陽動と共に船を航行不能にする目的がある。

入り江に停泊中の船に爆弾を落として航行不能し、さらにその音で哨戒船が入り江に入って来る訳だ。

例えバレても追って来る船に爆弾を落とせばいい。

暗い空からの爆撃で姿が見えないから、訳も分からず混乱は必至。

その手薄な海を通って迎えのボートが来るはず。

爆弾は樽の中に魔石を入れて作った簡単なモノだが、火力は十分。

問題は当ててくれればいいんだけど。

ランタンが目印になって、少しは判断できる。と、思うけど。

外したら哨戒船と合わせて島の船全部を相手にしなきゃいけなくなる。

爆弾の数は多いから、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる理論。

後は成功を祈るしかない。


・・・・・・地上に出た。

海岸に向かえば迎えが来ている筈。

・・・・・・・・居た。

ゴムボートに乗ったチェーニが手を振っていた。


「主様!こっちです」

「チェーニ、作戦は?」

「成功しました。入り江の船全部、バクダンで真っ二つらしいです。哨戒していた船も、全部入り江に入って、難なく来れました」


ッしゃあ、作戦大成功!!

そして、俺たちはチェーニが乗って来たボートに乗った。

これも「エルドリッジ」にあったものだ。

しかし緊急用の脱出艇程もない小さいゴムボートなので、流石にこの人数はちいと狭い。

オレが後ろに乗って船を操縦して島を脱した。

少しスピードが速いので皆、互いに抱き合って、バランスを取っている。


「せ、狭い」

「我慢して」

「俺は♡・・・・別に、このままでも♡・・・・」


姫さんは文句を言っているが、泳ぐよりこっちの方が速いんだ。

我慢してくれ。

ペドロはまんざらでもない顔をしている。

この、ラッキースケベめ。

そして、すこし遠くに明かりが見えて来た。

俺が作った魔導蒸気船だ。

ボートを横付けすると、縄ばしごが降りて来た。

最初に姫さんが登って、ペドロ、奴隷の女の子10人で、そして俺が最後に上る。


「よっこいしょっ」

「おおおおお!!」「やったぞ!!」


登りきると、大歓声が上がった。

ふう、なんとかなった。

女王と姫さんは感動の対面中。10人の女の子の中には奴隷船に乗っていた知り合いも居たのか涙を流して抱き合っている。

俺はボートの回収を命じて、船を進める事にした。

そして、舵を握っている奴に指示を出した。

方向はこのまま真っ直ぐ。


「この方向で船を進めて」

「はい」


今回の作戦は完璧だった。

敵に見つからず、食糧も調達。姫さんの他に女性の奴隷を10人救出。120%の達成率だ。

でも向かう港は帝国領なんだよなー。ま、帰りの食糧を買って、船で速攻で出れば大丈夫か。

金も船倉に放り込んでいる奴らをギルドに引き渡せばいい。

人魚を捕えるほどの一団だ。きっと指名手配で賞金首に違いない。

結局、こいつを(武器)使わなかったな。折角取り付けたのに。


「よくやったな。レド」


ガーさんが話しかけた。


「いいえ。これもガーさん達が爆撃を成功したおかげですよ。それより、食糧を軽くもらって来たので食べますか」


俺はマジックバックから、頂戴した木箱を取り出した。

こんな小さい、と思っているだろうが仕方ない。

時間と大きさ的にこれしかバックの口に入らなかった。他のは大きいし無理に開ければ気付かれてしまうからこれしか持ち出せなかった。

贅沢は言ってられない。

木箱は釘で打ち付けられて、バールで無理やりフタを開けた。

その時、うっかり手を滑らしてしまった。

中から黒い粉が出てくる。それを吸い込むと無性に鼻がおかしくなる。


「・・・・うわ!・・クションっ!・・ックションっ!」


なんだ?落とした途端に黒い煙みたいな・・・・・・・まさか!

箱に入っていた銀色の容器を見る。


「・・・・・・コショウか?」


箱いっぱいに入っていた缶を手に取って見て見た。

それは全部、コショウなどの香辛料の缶だった。


「ふえ・・・・・ヒイックショっ!・・・・ち、キションっ!!」


くしゃみが止まらね~~~~~(汗)。

なかなか、くしゃみは止まらず一度海に飛び込んで洗い流してみた。

それでも結局止まらず、火に油だったのか口にしょっぱいやら辛いやら刺激の感覚がフル稼働状態になった。

水の魔術を使えばよかったが、一気にいろんな事が頭に入ったので冷静な判断が取れなかった。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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