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とある転生者の革命戦記  作者: スピンドル
第一章 幼年期「始まり編」
2/46

第一話「異世界転生」

意識を取り戻した一門がいたのは、真っ白い世界。


「ん・・・・・ここは・・・・・?」


横たわっていた身体を、起こして、周りを確認する。

四方八方、空も、地面までも真っ白。

音すらない、白い世界がずっと広がっていた。


「・・・・・・・いくら、北海道でもここまで白くないだろうな」

(オレの記憶が正しければ、電車に踏みつぶされたはずだ。運よく一命を取り留めたとしても、病院でもまければ、踏切でもない。どこだ此処)


これまでの記憶を思い出していた。

だが思い出しても、こんな場所でこんな状況になる要因が全く思い浮かばなかった。


「つねると、ちゃんと痛感はある。ならば、天国でも地獄でもないな。見知らぬ場所でも意外に落ち着いてるな、俺。死んでるからか。・・・・・・・・・・・よし、おーい!!」


試しに叫んでみた。

真っ白で、壁なのかすら解らないので大きな声で確認する為だった。

しかし、一向に声が反響しない。相当広いところにいるのは確かだった。

「少し歩いて見るか」と立ち上がったその時、上から何か落ちてきた。


「?なんだこれ・・・・・・手紙か?」


落ちてきた先を見るが、何もない。

いきなり手紙が落ちてきたんだから何かあるかもと思ったが、ひたすら真っ白があるだけだった。

他に進展がなさそうなので、仕方なく手紙を手に取り見てみる。


《神より♡》

「・・・・・・ああん!?(怒)」

(何だこれ?ふざけてんのか?)


表紙には、そう書いてあった。

置かれている状況を知ってか、見知らぬ場所に困惑しているのに最後のハートマークが描かれているのを見るとかなり腹立てた。

怒りながらも手紙を開ける。


《君は、異世界に転生して貰うから。異論は、認めないから覚悟してね♡

君に、ちょっとした力(能力)をあげるよ。使い方ではチートになるかな。

あ、そうだ向こうでは言葉が、違うから通訳を後で送っておくよ。

                 追伸  頑張ってね♡》

「・・・・・・・・なんだ?これ・・・・・・」


そう思っていると、足元に穴が空いて、落ちた。


「!?うおわあぁぁぁぁ――――――――」


悲鳴を上げ、落ちた穴の近くに、背中に翼の生えた少女が降り立つ。


「・・・・・・・・・・・・・頑張って・・・・」

ガシッ!「きゃ!!」

「ざけっ!てんじゃっ!ねえ、てえぇぇーのっ!!」


一門は降り立った少女の足を掴んだ。

少女はいきなりだったので倒れ込む。

体力は劣るも剣道の時の感覚は衰えていなかったのだ。だから、間一髪穴の端を掴むことができた。

穴から這い出ようとすると、さっきまで無音に近い場所だったのに、羽ばたく音が聞こえたので何かあると感付き、宙づりになりながらも耐えて機会を待ったのだった。


「此処がっ、どこか、説明し――――」

「いやあぁぁーー!!」(ゲシっ!)

「ぶげっ!」


少女は一門の顔面を蹴飛ばし、体力の限界だった一門は手を離してしまう。

そして、穴に吸い込まれる様にして落ちていった。


「ちくしょおぉーっ!!この白フリパンヤロォーがあぁぁーー!――――」

「?・・・・!!/////~~~~~~!!!」


顔を真っ赤に染めて少女は飛び去って、白い世界の空に消えていった。


▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


「―――、―――、――――」


るっせえな、なんなんだ?

俺は周りのうるさい声で、目が覚めた。

視界一杯に光が広がり、凄くまぶしいかった。目を細めていると、次第に目が慣れてきた。

ちぃとショボつくが何とか認識できる。

見ると、複数の人が周りに集まっていた。

そして俺の隣には長い金髪をした若い女性が一緒に寝ていた。

彼女は俺を見ている。

かなりの美女だが、どちらさまで?


「****。*##」


彼女が俺を見て、何かを言っっている。

何を言っているのだろうか。ボンヤリして聞き取りにくいし、理解できない。

少なくとも日本語ではないな。

周囲を見回すと、一人の男性と複数の統一した服を着た女性が三人立っていた。

男性は、中年で短めの金髪、そしてヒゲを生やしていた。


「*-!!、##――!!!。―##***――――!!」


やかましい。なに言ってるのかわからないけど、声がやたらデカすぎる。

声もデカいが、筋肉も凄いな。見た目でも強いという事がうかがえる。

マッスルジムとかボディビル大会とかに出て優勝しそうだ。

統一した服を着た女性は白と黒を協調したワンピースに、エプロンを着けたロングスカート。胸元に大きなリボンみたいなものをつけている。

多分メイドだ。これまた美人揃いの。

リボンである程度隠れているけど、みんな結構胸が大きいな。

しかし、胸より気になるのが二名。

頭に犬耳やら、角やら生やしたメイドが二人。

コスプレか?そのようなコスプレをした人を見たことがある。

しっかし、本物そっくりだ。

尻尾なんて動かしてるし、最近のコスプレのクオリティが高くなっているんだな。

でも、コスプレ喫茶に来た覚えは無いぞ?

周りを確認し、ここがどこか聞こうとした。


「あー、うあうー」(あのー、ここどこですかー)


しかし出たのは言葉ではなく、うめき声とはちょと違う声だった。

まるで赤ちゃんの声のようだ。

すると、長い金髪をした美女が起き上がり、俺を抱きかかえた。

あれ?俺こんなに軽かったけ?

俺は一応オタクだが太っている訳では無い。少なくとも体重56キロくらいはあったはずだ。

彼女は見るからに力持ちじゃなさそうない。

腕は太くもなければ細くもない、バランスの良い綺麗な腕。それなのにオレを持ち上げるのか。

そう思っていると、答えはすぐに知ることができた。

近くに鏡があったので見てみると、ベッドに座った金髪の女性が赤ん坊を抱く姿が映っていた。


(・・・・・・まさか!これ、・・俺か?・・・・・・・・)

「おぎゃぁぁ、おぎゃぁ!」


口を動かし、適当に声を出してみる。

そこに映っているのは間違いなく、自分自身だった。

まてまて、なんで?

いやいや、落ち着け・・・・・・・・って、落ち着けるか!この状況で。

なんで、こんなことに~~~~!?


                 ◇


・・・・・あれから一か月の月日が流れた。

どうやら俺は異世界に転生して、生まれ変わったらしい。

その事実をようやく理解することができた。

俺は赤ん坊だ。

抱き上げられて頭を支えてもらい、自分の体を見ることで、ようやくそれを確認することが出来た。

どうやら、あの手紙に書いてあった通りになった。

神が書いたと思われる手紙には「異世界に転生してもらう」とゆう事が書いてあった事を思い出した。

それを理解するのに時間がかかった。

物的証拠の手紙は無くなっている。

俺なりにどうしてこうなったのか考えたが、結局どの仮説もむなしくこの身体で否定されて、行き詰まったので、少し落ち着き。まはや受け入れるしかないと結論付けた。

前世の記憶を持ちながら転生すること自体、異常だ。

それに、ここが異世界かどうか怪しかった。

メイドはコスプレである可能性もあるし、あんな手紙一つしか説明されてない。

いや説明にもなってないか。

つかあの手紙の書き方もおかしいだろ。

なんだっけ?異世界に転生してもらうって、異論は認めないからだっけか。最後にハートマークが書いてあったし、神にしては子供でも書けそうな内容だったぞ。お茶目にしても、そうゆう大事なことは面と向かって話し合うもんだろ。俺の意思はどうなるんだって事もさ。

探して問い詰めたいが、手掛かりはあの天使みたいな恰好の白フリパンの女だけ。

それだけで探し出すのは難しそうだ。

まあ、こんな感じ。今も半信半疑のままだ。

しかし、今の俺の姿を鏡で見ると、そう思うしかなくなる。

そして、俺の寝ている洋風の部屋のベビーベットの近くに何か落ちてきた。

ビー玉位の大きさで、色は血みたいな紅色だ。


(やあ)


それが落ちてきて少しすると頭の中から聞こえた。

日本語だ。

なんだ、やっぱり異世界じゃないんだ。だってそうなら日本語が聞こえてくる訳ない。

だったらどこの国だ?英語系じゃないんならアラビアとかそっちの言語か?全く聞き覚えのない言葉だし、でもそんな感じでもない。

まてまて、俺が赤ん坊の件がおかしい。

なら、やっぱり此処は異世界なんだ。

これは幻聴か。やばいなー、俺。


(どうしたの?)

(いや。日本が恋しくて幻聴君が話し出したんだと思ってな)

(幻聴じゃないよ)


指摘された。


(で?まだ何か用か?幻聴君)

(ぼくはハルーツ。幻聴君じゃなくて、そこの球から話してるんだけど。君の通訳としてここに来させられたんだ)


このビー玉が?


(なんか白い魔王にでもなれそうだ。リリカル~~とか?)

(魔王はムリそうだけど・・・・りりかる?)


あれが手紙に書いてあった、通訳か?


(で?通訳だけかなのか?おれは未だ訳のわからん状況なんだが?)

(一応この世界の基本を教える様に言われてる。説明するけど――――)


・・・・・数分後。

とりあえずハルーツは、いろいろ話してくれた。

まず、この世界。

この世界は魔術や錬金術が使える世界。

住人は人間の他に、さっきの犬耳や角の生えたメイドみたいな獣人やエルフなどの亜人、魔物、ドラゴンなど多種多様な生物が沢山いる世界。

奴隷まで存在するとは、まさにファンタジーな世界だ。

次にこの場所。

ここはイディアールという国のバルケット領、テルミナスと言う街らしい。

テルミナスなんて、俺の住んでいた町の名ではない。ましてや日本でも聞いたことがない。

・・・・・・・・・・・ハァ。

どうやら、完ッ全に異世界に転生しちまった。

もうここが異世界だと認識しているんだが、まだ本心は決まっちゃいないのに。しかも聞いた話では、俺はテルミナスの領主のバルケット家の長男として転生しちまったらしい。

つまり、お坊ちゃまになったということだ。

ビー玉君はこの世界の〝元″住人で、俺にこの世界の基本的な常識と、言語を自動で翻訳するように神に言われたそうだ。

つまり彼を持っていれば、この世界の言語は自然と理解できる。

どうしてこんな事に巻き込んだ神については不明で、自分の経緯も全く思い出せていないらしい。

あの白フリパンに関しても全く情報がない。


                ◇


転生して、半年の月日が流れた。

この頃になると、オレはもうハイハイできるようになっていた。

自由に体が動くというのはこれほど嬉しく、感謝したことはない。

まあ、寝ている間もハルーツから色々この世界について学んでいたので暇ではなかったけど。

赤ん坊だからか、物覚えがいい気がする。

でも日常生活の知識は教えないようにした。

親との会話が無くなるからだ。

前世では、あまり親とは仲良く接していなかったので会話のきっかけになればと思ったのだ。

コミュニケーションは大事にしなきゃな。

オレは部屋を出て色々探索することにした。もちろんハルーツは手の中にして。

まず、この家、というか屋敷だが三階建ての中々裕福な家だ。

ハルーツがこの街の領主の館だからと言っていたから当然だが、電化製品は一つも無かった。

明かりはロウソクかランプである。

掃除もメイドさんがモップと雑巾で床や窓を拭いていた。


(電化製品がないと不便だな)

(なにそれ?)


ハルーツの質問は説明がメンドイから流すとして。

領主の屋敷でも電化製品の一つも無いなんて、改めてここが異世界なんだなー、と思った。

しかもかなり昔のヨーロピアンな。

広い屋敷なので赤ん坊のオレはちときつい。

ハルーツを掴んで移動してるから手が痛い上に、広いからたまに迷ったこともある。

でも――――。


「おぎゃー、おぎゃー」


俺はワザと泣いた。

数秒してメイドが来てくれた。


「ここに居たんですね~」


こうして俺が泣くとメイドが廊下を走って来て、俺を部屋へと運んでくれる。

疲れたら泣いて、迷ったら泣いてを繰り返し屋敷の構造を把握した。

次は外の様子を確認する。

赤ん坊なのでまだ外に出してくれないから窓から外を見て見る。

石畳で舗装され、時折馬車が行き交っている。結構大きな街みたいだ。

遠くには大きな壁がある。魔物に対する防御も完璧のようだ。

今ある情報で屋敷の人については、まず初日にオレを抱きかかえた金髪をした女性が、母親だ。

年齢は二十代前半位だろうか。かなり若い。

メイドたちからエレナ様と呼ばれていた。

あのやたらデカい声で言っていたのは大旦那様。それしか呼ばないから分からなかった。

あの人が領主の人だってハルーツは言っていた。

で、この屋敷に働いているの人は、何名かのメイドと使用人の男性がいる。

全員把握しきれていない。

最低でも数十人、二十人以上は働いてるみたいだ。

オレの知っているメイドは三人。

まず、今オレを抱き抱えている頭に牛みたいに曲がった角を生やしたメイドは、セディ。

頭の角だけでなく、足まで牛のような感じだが、上半身は人間でオレを抱えて二本足で立って歩いている。

彼女は乳母として、おしめを交換したり、デカい胸でお乳を与えたりしている。


(彼女は牛人族だからこうゆう仕事が多いらしいよ)


乳牛って事か。まあワン〇ーススタイルの巨乳でくびれている美人に世話してくれるんだから悪い気はない。むしろ最高である。

いろいろ恥ずかしい感じがするが、仕方ない。

何しろ赤ちゃんだからな。

そして、白くて綺麗な髪と犬耳でフワフワ尻尾をつけたメイドはサリサ。

人間できれいな栗色の髪をした長身でクールなメイドはレンヤだ。

この二人は、毎日決まった時間に部屋にやって来る。

朝はサリサで、部屋を掃除してからセディと少し話をして、部屋を出て行く。

昼になるとレンヤだ。彼女は掃除はしないが、オレを見つめて部屋を軽く見回してくるだけ。 

二人は戦闘経験があるのか、大旦那様と庭で戦っていた。鍛錬か何かだろう。

二刀流のナイフで戦うのがサリサ、魔術がレンヤだった。

今、分かる事はこれくらいだ。

当分の間、オレは赤ちゃんらしく振る舞うことにしよう。

「転生した」なんて言っても信じないだろうし、変に思われたくないから。

他に気になるのは、一点。

オレの能力についてだ。

手紙にはこうも書いてあった。

「使い方でチートになる」と言うのが、俺には気になる。


(異世界転生は大抵チートな能力を持つが、もしかして、魔術が他より優れているとか?)

(そんなことまでは、分からないよ)


そうだよな~。

ま、時間をかけて調べるしかないか。

そもそも、なぜ俺を異世界に転生させたのか分からん。しかし、こうゆう展開は自然と忘れた辺りに現れるもんだ。(オタク知識)

だが、例え帰る方法が見つけられたとしても、帰れる可能性は低い。

電車に引かれて死んだんだ。

だからオレはこの世界で生きていく事を決意する。

前世ではいい思い出は無かったし、戻ろうとも思わない。この世界で文字通り第二の人生を送ることにしよう。

前世での失敗を学び、この世界に生かしていこう。


読んでいただきありがとうございます。

誤字、脱字などありますでしょうが、スキルアップして頑張りたいと思います。

更新がランダムになる可能性がありますが、今の状況ならまた近々。

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