第十四話「奴隷船」
今俺たち一行はバルケット領の最南端にある港町、ハヴェーノに来ている。
三日月型の凹んだ港で両端に灯台があり、船でレルムッドに向うのが一番早く到着するから、ここで船旅になる。
・・・・・・・・・・の、予定だった。
だが、今現在。運悪く雨季の時季で嵐が酷くて陸路でも向かう事も出来ず足止めを食らっている。
更に言えば、この嵐はけっこう大型で雨季が長引いてしまっている。
「今日も嵐だね」
「そうですね・・・・・今日も船を出すのは困難でしょう」
「そうですか~(汗)」
俺は窓から外を見ている。こうしている事、実に二日目。
雨風は少し弱まったようだが、今でも船を出せる状況ではない。
この世界の船は、大航海時代の帆のある木造帆船だ。風の影響をもろに受けるんだからこの嵐では出せないのは道理。
今俺にできるのは外を見ながら大きくため息をつく事だけ。
徹夜続きの俺にとってはありがたいが、やっぱり落ち着いた家で寝い。
宿屋でも寝られない事も無いが、他のギルドの人が行きわたっているし、酔った奴らの声もうるさい。さっさと向こうの屋敷で静かに落ち着いて寝たいのだ。
それに遅れるのはあまりいい気分ではないし。
「あの船に乗るんですか?」
俺は一番大きな船を指差した。
今は嵐の為、ほとんどの船が陸に上がっていたが、二隻だけ水上にあった。
2隻は結構大きくてきっちり縄で縛られている。この嵐の中でもあまり揺れていない。
「そうですね。あのどちらかの大型貨物船に乗られる予定の筈です」
ま、大型船で安定してるとは言え、所詮は帆船。
風の気持ち次第で、こんな嵐ではまだ無理だ。それに、あんなにきっちり結んでいるなら解くにも時間が掛かりそうだ。
仕方ない。果報は寝て待てだなこりゃ。
「レド様、出発の準備をお願い致します」
「え?まだ雨風あると思うんだけど・・・」
「ええ。少し弱まりましたので、途中まで陸路で向かう事になりました。これを羽織って下さい」
「はーい」
このハヴェーノから船で海に出て、直接王都へ向かうのが手っ取り早いが、嵐で船では無理だと判断。少し先に小さな港町があるらしいからそこまで陸路で向かう事になったのか。
近くの距離なら行けるか。
王都にはローナン・B・キリース。
母さんの兄にあたる人が住んでいる。
俺にとっては叔父さんに当たる人だ。他の家に嫁いでいるので姓が変わっている。レルムッド滞在中、この人の屋敷で世話になる。
身体が弱いから母さんの代わりに嫁がれたって聞いている。
だがそれ以前に、ちぃと心配事がある。
それは、貴族間の抗争。
王都には多数の貴族が居る。イディアールの政治家、ギルド、商人、とにかく成功をつかみ取った人たちが。
いずれはこいつらの目に止まるだろう。詠唱無しの魔術や武器を狙ってな。
裏切り、暗殺は確実に起こるだろうな。そうなると、うちのメイドでも、って考えちまう。
その為に、ありとあらゆる魔術を無詠唱で習得したんだ。これで乗り切る。
向こうでも、平穏に生活したいのだが・・・こう考える時点でフラグか。
そんな事を考えながら俺はレンヤからローブをもらい羽織った。
そして台風並の雨風がある外に出た。
・・・・・・・まだ、風強そうなんだけど・・・・・・。
◇
ローブを頭から被って嵐の中、断崖絶壁の中腹にある一本道を進んでいる。
下は波が高い海、上は強い風で吹っ飛ばされそうだ。
陸路ではこの道で行くしかないのだが、馬車一台でギリギリの道だ。
なのにこの横殴りの強い風、大丈夫か?
「!!止めて!」
「なに!」「ひやぁぁ~」
うわっと!
オレは落ちまいと踏ん張った。
この道に入って数十分、いきなりサリサが叫んで馬車を止めた。
こんな道でどうしたのかと考えていたが、その答えを示すかのように前と後ろから馬に乗った男たちか向かって来た。
その男たちは馬を操りながら方手には剣が握られている。
ああ、これは明らかにあれだな-----。
「盗賊です!後ろからも来ます!!」
ですよねー。
こんな逃げ場の無い道で加えてこの嵐。奴らにとっては最高の条件だからな。
「今回は女も金もたんまりだぞ!!だが、〝やること〟忘れるなよっ!!」
「おおぉーーーーー!!」
「悪いが、これも生きるためなんでなぁ!!」
おいおい、いきなりキナ臭い事言ってるけど?
この後の事を考えると・・・・ハァ。しゃあない。
生活が厳しくなって仕方なくやっちまったんだろうけど、こっちもむざむざやられる訳にはいかないんだよな。相手を戦闘不能にできればいいんだ。頼むから大人しく当たってくれよ。
アサルトライフルを取り出した。
マガジンセット、チャージングハンドルを引いて、安全装置を解除してから狙い付けてる。
ってもう戦闘状態に入ってるし!
母さんが魔術と剣術の両方を上手く使って次々と盗賊を倒していく。
たった一人で・・・・・スゲぇ。さすが、爺様から鍛え上げられただけの事はあるな。
「サリサ!」
「はあぁぁーッ!!」
ザシュッ!「ぐはッ!」
後ろでもサリサとレンヤが上手く連携し次々と盗賊を倒していく。
後ろは問題なさそうだな。だったら母さんの援護くらいしなきゃ。
母さんだけど女性に守られているのは流石に男としてのメンツがね。
俺は狙いを定めた。
狙うは相手の腕か足だ。動けなくすれば相手も怖がって退いてくれるだろう。
母さんの攻撃を逃れ一人の男が俺に向かって来た。
「おらぁぁ!」
「くッ!」
ダンッ!!
足に銃口を向けて発砲・・・・命中した。
男はあまりの痛さに馬から落ち、撃たれた足から血が出た。男は「ぎゃあぁぁ!!」と、足を抑えながらのたうち回った。
盗賊一団は聞き慣れない音で一瞬動きを止めたが、俺が攻撃したと一瞬で理解し、俺に一斉に向かって来た。
俺に標的が向いたことでスキが生まれ、母さんが次々と盗賊を倒していく。
それに合わせつつ俺は狙いを定める。
ダンッ!――――ダンッ!――――ダンッ!―――――
セミオート射撃で正確に相手の手足に命中させた。
だが、相手にとっては残念なことに、俺が命中させた相手を母さんが次々と止めを刺していった。
・・・・・・・・数分後。
こんな、狭い道でよくもこれだけで攻めて来たものだ。
前から来た十人ぐらいの盗賊団を全員倒した。殆どは母さんが。
「ありがとうレド、正確な援護だったわ」
「い・・いえ・・・・・・・」
褒められたが、あまりいい気分ではない。むしろ悪い。
守られていた事と、人の命を奪った、は言えるが。
それよりもこの光景だ。
剣で切り裂かれた盗賊の身体から血が沢山出ていた。その死体は数が多く、その大量の血はこの雨と風で狭い道一面に広がって、まるで血の川。
中には身体から出てきちゃいけないものまである。
俺は吐き気を押せえるので必死だった。
こんな地獄絵図を見て、気分を悪くしない奴はいない。
何しろ対人戦は初めてなんだから。
俺が今まで戦った相手は魔物であまり血を見なかったから大丈夫だった。ゲーム感覚で倒していたのかもしれないな。
「後ろの盗賊は全滅しました~。今から後処理を行いま~す」
「そう。レドも手伝って、こっちも後処理をするわよ」
「え?後処理って?」
「盗賊の死体をバラバラにしないと」
「ええぇぇ!?」
うぶッ!!無理っ!!
「死んだ死体はアンデットとして蘇って周辺の町や村を襲う事があるの。焼くことで煙と一緒に魂が迷うことなく天に旅立つとゆう風習があるの。海に流す事もあるけどバラバラにしないと流れ着いた先に迷惑がかかるからこうして、魚や魔物に処理してもらうの」
そう、なんだ・・・・・ふう、出したら少し楽になった。
なるほど、それ以前に、この天候じゃあ火は使えないだろうし、馬車が通れないからな。
俺は魔石水筒を出して、それを含み口の中を洗い流した。
情けねぇ。
いや、俺がこの世界に慣れていないのかもしれない。
これがこの世界の人間の価値観なのかもな。
異世界事情は半端ねぇ。
まだ気分が悪いし馬車で少し休もう。
「―――――――――地の力を今ここに!【ストーンブレイク】!」
「!!レドッ!避けて!!」
へ?
そう思った瞬間、腹に強い衝撃が走った。
腹には、岩石が凄い勢いで飛んできて身体を突っ飛ばしていた。
唯一確認できたのは母さんに抑えつけられていた男がこちらに手を向けている。
どうやら男が【ストーンブレイク】発動したようだ。
俺は岩もろとも荒ぶる海の方向に飛ばされ海に落ちた。
幸いストーンブレイクの威力が低かった為、ダメージは軽微。
泳ぐことができたので、必死に泳いで海面に出た。
だが、嵐で波がうねりを上げて襲って来る。海中に引きずり込まれそうだ。
こんな状況では集中できない上に気分の悪さも影響して魔術が発動できない。
運よく近くに大木が浮いていたので、それを掴み岸壁に戻ろうと必死に泳いだ。
だが虚しくも、どんどん沖に流されていく。
崖の上から母さんが何か言ってるようだけど風と波音で聞こえなかった。
最後に確認できたのは岸壁や母さんたちが小さくなっていく事。
そして大きな波が押し寄せきたぐらいだった。
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
崖の上に馬に乗った人物がいる。
首筋に大きな傷がある馬、その馬には黒ローブに身を包んだ人物が跨っている。
嵐の中でも頭からすっぽり被っていて相変わらず顔が解らない。
その黒ローブに男が近付いて来た。
「ご苦労。これが約束の金だ」
「・・・・・俺の手下がほとんど全滅だ。これっぱかしじゃ割に合わねぞ」
男に渡されたのは大金貨5枚が入った袋。
大金貨5枚はかなりの値だ。これで最低でも2、3年は暮らせる。
しかし、この盗賊の団員の損失が無ければこの金だけで十分に元は取れていた。簡単な仕事だと思い、あまつさえ捕まえた女を売ればかなりの金が手に入ると男は思っていた。
しかし全滅したのでは盗賊団として維持できたものではない。
大金貨5枚だけではとても、この損失を埋め合す値段ではなかった。
「まさかこれ程の実力を持っているとは思っていなかったからな」
「思いませんでした、じゃすまねぇんだよ!お前のせいで俺の仲間がやられたんだぞ!!お前を売ってもきついが少しは足しになる、大人しくしとけよ」
盗賊団のボスは黒ローブの首筋に剣を当てた。
拘束しようと手を伸ばしたその時、男の手が〝消えた″。
ほとんど動く動作を見せずに盗賊の腕を切断したのだ。
切り落とされたのだと自覚した途端、切られた腕を掴んで奇声を上げあまりの痛さに馬から地面に落ちた。
「ぎゃあぁぁぁぁッ!!てッ!手が!俺の手がぁぁ!!」
「私自信もこの程度の戦力に対し、全滅させる程とは想定していなかった。だが・・・たかが女と子供相手に全滅したのはお前らが非力だったからだ」
「このッ!貴族同士のいざこざにまき込みやがって―――――」
盗賊の男は言葉を言い終える前に黒ローブに一瞬でバラバラにされた。
その時に風が吹きローブから彼の顔が現れた。
どこにでも居そうな30代前半の男性だった。
「その金はくれてやる。私からの手向けだ」
男に渡し落とした金に目をくれずに黒ローブを被り直し馬を走らせた。
▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼
ぐっ!・・・・・・ん?
目覚めると木のを敷き詰めた天井が目に入った。
天井には明かりのランタンがぶら下がっていて、キイキイと音を立てて揺れている。
どこだ?ここ。確か海に落ちて、とにかく状況の確認を――――――。
ガシャっ!「ん?」
身体を起こそうと床に手を置いたが、手首におかしな重さと、不自由感、そして両手を広げる事ができなかった。
手首を見るとかなりがっちりした手錠でつながれていた。しかも手錠に付いている鎖は壁に打ち付けてあって一定の距離しか動けなくしてあった。
それだけじゃない、自分の服装まで変わってる。
穴あきボロボロのシャツ一枚にボロい短パン一丁だけしか着ていない。
・・・・落ちついて記憶を再確認しよう。
レルムッドに向かう途中盗賊が襲ってきて、その盗賊に海に突き落とされたんだ。それで何でいきなりこんな囚人服みたいな恰好をさせられてるんだ?確かに人は傷つけたけど――――――。
「よう、起きたか」
近くに俺と同じ服装で男の犬の獣人が話しかけてきた。
目が覚めて理解できない状況に周りが見えていなかったが、よく見ると他に同じ服を着た男女問わずたくさん居る。
いろいろ聞いてみるか。
「あなたは誰でここは何処ですか?」
「オレはペドロ。見ての通り犬の獣人さ。ここは奴隷船の中だ」
茶色い髪の中に垂れた耳を持った犬の獣人のペドロか。
・・・・・・・・・・はぁ!?奴隷船!?
よりにもよって奴隷船かよ。
木の壁で出来た狭い場所にたくさんの人、犬耳や猫耳、背中に羽が生えている人、中には子供っぽい小さい獣人もいる。獣人の方が多いかもしれないが、みんな絶望しきった顔をしている。
そしてはだけた服の一部から奴隷の証である【隷従の陣】が刻んであった。
奴隷船というのは本当だろう。
彼からオレの知っていることを聞いてみた。
「ぼくは、どうしたのでしょう?」
「見張りから聞いた話だが、おまえさんは海で漂流している所でこの奴隷船に拾われたらしいぞ」
とっさに流木につかまったのが功を奏したのか。
で、船に拾い上げて金目の物を奪って、ボロ服を着せ、鎖で拘束して俺が目を覚ましたというのがこれまでの経緯か。
どうやらオレは売られそうな状況のようだ。
あ!!隷従の陣は!?・・・・・・無い!良ぉかったぁぁ
運ばれ途中だからか。ふう、助かったぁぁー。
助かったとしても、【隷従の陣】があったんじゃ、太刀打ちできない。
隷従の陣には主に対する敵意など反逆した場合、陣が反応して火を直接当てられたかのような痛みを与えるらしい。解除にはそれなりの魔術師か陣を刻んだ人から解除してもらうかしかないと教わっている。
無くてよかった。だけど、例えあったとしても俺なら解除できるけどな。
こんな事も、あろうかと学んでおいたのだ。
当初はフラグ回避目的で学んでいたので良かった。
人生何があるかわからないもんだな、マジで。
すこし落ち着いた。
・・・・・・バックは無し。っと邪魔だし、この手かせを壊すか。
・・・・・・・・・あれ?
「何やってんだ?」
「いや、魔術を使おうとしたのですが・・・・・・?」
「ああ、その手錠だ。そいつは魔術を無効化しちまう陣が施してあるのさ」
成程ね。だったら――――――。
「そういやあんたの名前を聞いてなかったな」
「あ、そういえば・・・言っていませんでしたね・・よいしょ!・・僕はレイクード・・・・レドでいいですよ」
「そうか・・・で?さっきから何やってんだ?ガシャガシャうるさいんだが」
「もうちょい・・・・良し、取れた」
俺の手首から手錠を外した。
直ぐに壊せたが、もし壊した場合に何かの仕掛けが発動することを考えて、ちょっと調べたが何もなかったので外させてもらった。重かったし。
錬金術で手錠内部の陣をかき消し、更に連続して鍵穴を壊して外した。
そして、試しに指の上に小さな火の魔術を発動させて・・・・よし、問題なく発動したな。
災難だったが、まだ、これからまき返してやるさ。
「あ、あんた、どうやったんだ!?」
魔術が使用できない状態で、錬成陣も使わずに手錠を外したから不思議がっているのか。
下手に思われたくないし、手品、つう事にしとくか。
「手品かな」
「手品?魔術じゃなくて?」
「手品です。魔訶不思議でしょ?」
「それより手錠を外せるなら、俺たちを助けてくれないか?みんな無理矢理連れてこられて奴隷船に乗せられてんだ。こいつらは奴隷ギルド所属じゃないんだ。頼む!助けてくれ」
え!まさか【無印ギルド】!?
奴隷の扱いが悪い上に、病気持ちの奴隷も売られて一時大変な事になった事があって、それを無くすために奴隷ギルドがつくられたんだっけ。
サリサの授業で聞いた。
でもギルドの所属になるには金が必要で営業基準も厳しい。
だから全てが奴隷ギルドに所属している訳では無い。
ギルド所属の証の印を持っていない事から【無印ギルド】と言われている。
だが、例えギルドの所属でも奴隷の扱いなんて、結局は一生こき使われて死んでいく。誰だってそんな一生は嫌だよなぁ。無論、俺だって嫌だ。
ここは一致団結でここを乗り切った方がいいだろう。
「まずはみんなの手かせと陣は外しますけど、当分は付けてるフリをするようにしてください。見張りに感付かれては面倒なので。みんなで逃げますよ」
それを聞いた途端に皆、泣き始めた。
今まで絶望しきった顔で目に生気が無かったが、一気に希望の光に当たって光を取り戻した目から目頭が熱くなって涙がこぼれたんだろう。
見ず知らずの人に性奴隷やら危険な仕事もやらされる人生を送るところを助けたのだ・・・・・・まあ、まだ助かっていないけど。
さて、これからどうする?
手錠を外し助けるのはいいが・・・・色々不足しているな。
バックも情報もとりわけこんな人数の手かせと陣を外せば魔力も無くなる。
第一この船は何処に向かっているんだ?
「この船は何処に向かっているのですか?」
「エヴェン諸島だ」
「エヴェン諸島?」
彼にエヴェン諸島について聞いてみた。
エヴェン諸島は小さな無人島が沢山あって、奇襲、待ち伏せがしやすく、海賊たちにとっては絶好の海域になっている。ちなみに帝国領。
そのため滅多に船は通らないから隠れ家にするのにも適している。
「後一週間チョイもすれば奴らの本拠地さ」
今すぐに行動しないと色々めんどくさくなる。なにしろ帝国領だし。
この船の船員だったら制圧できるかもしれない。
見る限り船の大きさは港で見たあの大型船のどっちかだ。
多分船長、航海士などの人数を考えると、今の奴隷たちの人数の方が多い。
それと他の手も用意しておこう。
決行は明日の夜、船員たちが寝始めた頃だな。
「では、作戦通りにお願いします。今はその時まで寝て体力を温存しましょう。あ、そうだ。ガーさんは作戦の確認を」
「わかっている」
「あたしたちも何かするんだっけ?」
「何度も言っているでしょう。ガーさんの指示に従ってください」
背中に鳥の翼、頭も鷲の頭のガー・ルードさん。
エジプトの壁画に書いてありそうな感じの獣人だ。
彼には人間の身体に鳥の様な翼の腕と足をしたハーピィたちを指揮してもらうことになっている。
何度も作戦を教えても鳥脳のハーピィたちだけでは作戦自体忘れてしまうから彼に逐一作戦を指示してもらうのだ。
ちなみにハーピィたちも覚えやすいようにガーさんと言わせてもらっている。
「あんた、一体何もんだ?十歳そこいらの人間の子供にしか見えないが」
「見た目通りの者です。さあ、寝ようか。今は休んで作戦に備えないとね」
母さんたちは大丈夫だろうけど心配しているだろうな、最悪死んだと思われているかもしれない。父さんが亡くなった時はかなり嘆いていたらしいし、早く戻らなくちゃな。
でも焦らず、正確に作戦をこなせばこの窮地から脱せる。
・・・・・・・・・・しっかし、腹減ったなー。
出発前に食った飯、途中で出しちまったからな―――――Zzz・・・・。




