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とある転生者の革命戦記  作者: スピンドル
第一章 幼年期「始まり編」
11/46

第十話「日常と過去」

テルミナスの街に戻り二日。

座学を終えてから家族みんなで昼食を取っている。


「レドよ。今日から自由時間を長くしても構わんぞ」

「え?良いんですか?」

「うむ。村で友を作れたのだ、この街にでもつくれよう。子供の内にでも、さまざまな事を体験するのも勉学だ!それに、お前に教える事はほとんど無くなって来ておる」

「はい、ありがとうございます」

「うむ!だが剣術の鍛錬は外せんぞ!」


話から考えると勉強時間がが少なくなるのか。

俺は引きこもりを脱した後の家庭教師である程度は勉強しているし、TVで雑学程度なら覚えている。

記憶にも自信ありだ。

この世界でも算数や数学はあるがレベルなんぞたかが知れてるほど低い。

セディの出す問題もスラスラ解いていく。バカにするなって感じの問題が多いくらいだ。

でも、初めて知るかのように聞いていた。

折角教えてもらうんだから、相手を思ってやらなきゃ。

丁度いいから街中を見てみるか。


                ◇


このテルミナスは元帝国の城塞都市だった。

実はこの街の領主はイディアールに即位したことのある王族みたいで、建国と同時に帝国を離反。

中立国の一部になったと前に聞いた事がある。

戦術的にそれを良く思わない帝国は何度も攻め落とそうとしたが、天候から山などで進軍が困難になるような事があって、ことごとく失敗。挙句にはカウンターパンチを食らい、さらに領土を失った。

そしてガルマ砦を作りビエノー村ができた。

その為、この街は高さ6,7メートルぐらいありそうな大きな防壁が街を守っている。完全な円を描いてる訳では無く、少し丘になっているところがあり、そこに合わせて盛り上がっている部分がある。

万里の長城を連想させられるかもしれない。

俺はその壁に守られた街の街道を歩いている。

ただ歩いている訳では無いぞ?

今日、街に繰り出した主目的は、新しい武器を作る素材を探しだ。

弾丸の作成と調整だけでも大量の鉄が必要だから。

硬さはミスリルとの合成金属と俺の頭脳があれば錬金術で何とかできる。

こんな大きな街だ。きっと不良品の鉄とか見つかるはずだ。

街は古いイギリスみたいな街並み。

ここら辺は金持ちの別荘もあるので、近代的。所々に高そうな店がある。

試しに大きな窓ガラスを覗くと高額な品々が並んでいた。買える値段じゃないし目的ではないので無視しよう。そして、少し歩くと一変して質素な家々が立ち並んでいる場所に出た。

露店もたくさんある。

武器屋、道具屋、本屋、酒場、ギルドの支店など村に無かった店が結構ある。

流石、領主の住んでいる街。結構なにぎわいを見せている。

試しに武器屋に行くか。そこなら失敗した武器か防具とか捨てる鉄とかあるだろうから。

武器屋のマーク、ハンマーと剣の絵が描かれた看板の店に入った。


「こんにちわー」

「いらっしゃーーいっ!!どんな武器をお求めかな?」


うお!びっくりするぐらい声デカいな。でもやっぱ武器屋みたいだ。

目に入ったのはひげもじゃで背が小さく、とんがった耳がある男性。手にはハンマーを持っている。

もしかして、ドワーフか?

俺の知っている特徴と似てる。うむ、イメージ通りのドワーフ。


「・・・・・ん?あんた、もしかしてローガン殿の孫か?」


あれ?俺の事を知っている?一度も来たことないけど。


「初めまして。レイクード・バルケットです。確かにローガンは僕の祖父ですけど」

「おおー、そうか、そうか。ワシはガマッド、見ての通りドワーフじゃ。奥にいるのがムトリカじゃ」


奥からガマッドさんと同じくらい小さな人が出て来た。若い奥さんだな。年、離れすぎなんじゃねえの?

まあいいやそれより。


「どうして、僕の事を?」

「この店はローガン殿の行きつけでな、それでよくお前さんの事をよく話しておったよ」


なるほど。

なら話が早い。いらない武器か防具があれば譲ってほしいと頼んでみるか。


「要らなくなった、鎧や剣などありませんか?」

「そんなものどうするんだ?」

「爺様に役立つものを作るんです。でも使えるかわからないので内緒にしてもらえますか?」

「そうか・・・・。なら好きに持っていきな、ミスリルの防具もあるがそっちも持って行ってくれ」

「鉛は?」

「あるぞ」

「そうですか。あのぉ、お金は・・・・・・」

「ああ、こんなゴミいるなら好きに持って行ってくれ。捨てるにも金がかかっていたんじゃ」


困っているんだから良いよな。これで鉄とミスリスは問題ナシ。

後はオリハルコンか。

実の所、こいつが一番厄介だ。

銃身に青い金属のオリハルコンを使うのだが、全てアサルトライフルで使い切ってしまった。

オリハルコンは希少金属だ。だから普通に出回っていない。

あのゴミ溜めの中から出てきただけでも奇跡だったんだ。


「オリハルコンはありますか?」

「オリハルコンか。家では依頼者が持ってくる決まりになっているんじゃ。しかし取り寄せてもらえるところを知っておるが・・・・・・教えて良いものか・・・」

「それはどうして?」

「それはな――――」


――――耳寄りな情報をガマッドさんから聞き裏路地の古い道具屋に到着した。

表道の店と店の間の薄暗い小道に道具袋っぽい看板の店だ。

「ごめん下さい」と言って店に入ると、外も暗い上に、店内も暗かった。

店内のラインナップも暗い。フラスコみたいな瓶、危なそうな粉が入った袋などが置いてある棚。天井にはトカゲや色んな生物の死骸がぶら下がっている。

そんな怪しい店の奥に、一人の老女が座っていた。


「・・・・・・・・・いらっしゃい・・・・・・何か探しで?」


この人が古道具屋のばーさんだろうな。

よし。不気味な店主に、いざ交渉開始だ!


「あのー、オリハルコンを探しているんですが」

「・・・・・・・・・・・あんた、領主の・・・・・・オリハルコンなんて貴重なもんは置いていないよ」

「では、取り寄せていただけませんか」

「無理だね、帰りな・・・・・・」


即答かよ!ガマッドさんに聞いた通りだな。

聞いた話では、この人は根暗であまり人と接していないため、普通の客にもこんな対応らしい。

大体、こんな店になり普通の人が寄るのは滅多に無い。

だが店は潰れていない、どうしてかと言うと――――。


「・・・・・・・これで、・・・手を打ってもらえませんか」

「ん?・・・・!?これは・・・・・!」


俺は近づいてマジックバックから握り拳ぐらいの魔石を机の上に置いた。

それを見ると驚いて、机にあった虫眼鏡で俺が置いた魔石をジッと見定めた。

当然だ。この魔石は俺が生成したものだが、普通とはちょっと違う。

自然界に負けないくらいの純度(密度)が凄く高い俺手製の魔石。

見た目は普通の無属性の魔石とは違い吸い込まれそうな紫で、中はマナの粒子が、小さい銀紙をキラキラ輝かせている様に見える。ちょっとした小宇宙コスモを覗いているかのようだ。

本来の高純度の魔石は自然界にしかなく、量も少ない。錬成してもこの純度にはならないだろう。

限界ギリまでマナを集める渦を持続させ、時間を掛けて石化したんだからな。

ガマッドさんが言うにはこの人はお金にはガメツイらしい。

金を渡せば秘密も守るから、裏でも色々禁止になっているアイテムも売って儲けている。

だから、ガマッドさんはあんなにも言いずらいような感じだったのだ。

ちなみにガマッドさんも稀に利用しているらしい。


「・・・・・・・・・・・・・・・・オリハルコンでいいんだな」

「他に鉛も。それと今後も通うことになると思いますので、他に珍しい金属かアイテムが手に入ったらその都度、教えてくれると嬉しいのです」

「いいだろう。ところでこの魔石の出所は?」

「そう易々と教えません。あ、そうだ爺様には黙って下さい。前金としてなら十分な大きさの筈です」

「ち!まあいい。見つからないようにな」


よし!これで大体いいな、思いのほかスムーズだったな。

この様に人が変わったように積極的に話しかけてくる。

これが裏店モードなのだろう。


「さてと、早めに戻っとくか」


俺は店を出て時計を確認した。

そろそろ鍛錬の時間なので遅れないように早めに、歩いて帰った。

遅れたら爺様がどうなるか分からないから。

そして時間通りに屋敷に着いて爺様の鍛錬に余裕で間に合った。

だが今回は力が有り余っていそうだと本気で来られ気絶させられた・・(汗)。


                   ◇


聖暦535年。俺も十歳になった。

誕生日に爺様からショート・ソードをもらった。

結局、「人の命を左右する心構え」とか、また長話を聞かされる羽目になった。

母さんからは小さい盾みたいなお守りをもらった。

今の時期に命を落としてしまう子もいるため、十歳になった子に母親からお守りをもらう習わしになっているらしい。

メイドたちから特にないが、美味しい料理を作ってくれた。

でもその夜・・・・・・。


「んんっ・・あ・・・レ・・レド様・・・あまり、そんなところ・・・・」

「えー、ふかふかで気持ち良いのに(もふもふ)♪」

「んっ、あっ、そこはっ!・・・・ダメっ・・・んぁっ・・んぅ・・っ!」


彼女の白くて綺麗な尻尾にモフモフさせてもらった。

今まで気になってたけど誕生日の日のついでに触らせてもらった。

やっぱり、尻尾にも神経がつながっているのか、手入れもしていて獣臭くもない。

ちゃんと尻尾も洗っているんだな・・・・・。

おっと!そろそろ止めてあげないと大変か。

俺はモフモフを解くとサリサは「ハァハァ」と息を上げていた。

尻尾は敏感なんだ、ゲームかアニメのネタ通りだな。うん。こうでなくちゃ。


「はぁ、ふぅ。レド様は気持ち悪いと思わないんですか?」

「え?サリサの事が気持ち悪い?どこが?」

「私はレド様と違います。尻尾だけでなく耳も違う私を変に思ったりしないのですか?」


何故そんな疑問を?俺にとってはご褒美です!

元の世界だって美人で、巨乳で、けも耳メイドは、大人気だぞ。変に思う奴がいるのか?

理解できん!


「僕は生まれてずっとサリサにお世話になっています。だからサリサがどんな人か理解しているつもりです。セディだってそうです。角や尻尾があろうが耳が違うだろうがサリサは優しくて強いサリサでしょ?」

「!!・・・・・・・れ・・・・・」

「れ?」

「レド様~~♡」

ドガッ!「んが!」


俺はサリサに押し倒され、顔を舐め回した。

喋ろうとしたけど口が開けない。開けば彼女の舌が入ってきそうだったから。

しかもサリサのFカップはあろう大きな胸が当たってる!

だが、押し倒された時に床に頭を打って「ズッキン、ズッキン」で、それどころじゃない。


「何してるの!?サリサ!」


おお、ナイス!レンヤ。助かった。

薄い本でもショタネタはあるがさすがに今の歳ではやばいだろう。

頭を打っていなくて、もう少し遅かったら、俺の理性も持たなかった。

日常的な彼女とは全く逆な一面を見たな。飼い主に甘える犬か。

って獣人だから犬みたいなもんか・・・・・・・。


                ◇


・・・・・・・・・・そして誕生日から数日後。

材料が揃って、ついに本命の、対ドラゴン戦闘用の【対物ライフル】を完成させた。


対物ライフル-------かつての対戦車ライフルに相当する大型大口径の銃で「アンチ・マテリアル・ライフル」とも呼ばれることがある。重い大口径弾の優れた弾道直進性を活かして、一般の小銃弾を使用する狙撃銃をはるかに上回る距離で狙撃を行える。また、その大口径弾の貫通力を生かして対車両攻撃にも使用され、使用弾種にもるが土嚢や壁などの障害物に隠れる敵を殺傷することも可能である。


対人射撃では、人に似せた人形を撃って上半身と下半身を両断して吹き飛ばす程の威力がある。

まさにドラゴンを倒すのにうってつけの銃だ。

作成した対物ライフルは【ⅩM109ペイロード】25mm NATО弾を使用する大口径対物ライフルだ。

形状は【バレットM82】に似ているが銃身が短くて、初速も毎秒425メートルと低下している。

だが、口径が拡大されたことで運用できる弾頭が増え、通常弾の他に徹甲弾、徹甲榴弾、成形炸薬弾などが使用でき、状況に合わせて戦闘が行える。フルオート射撃も可能。

特徴的な銃の先端に箱状のマズルブレーキ(発砲時の燃焼ガスで銃の反動をある程度抑える部品)も付いている。


ドンッ!

「ぐッ!」


誰も来ない森で試射と練習をしているが、反動が今までよりメッチャ上がった。

マズルブレーキと身体強化しているは言え、一発撃っただけで吹っ飛ばされかけた。

十歳の俺にはあまりにも手に余る。

こうしてうつ伏せになってもきつい。立って撃ったなんかりしたら銃に遊ばれてしまう。

やっぱりある程度成長したら使う事にしよう。そこまで急に襲って来ることもないだろうし。

今まで前世と同じ銃を作ったのか疑問に思うだろうが、イメージがしやすい物の方がより正確に物が錬成できるから作りやすかった。もう少し経験と知識、技術を身に着けてからオリジナルの銃を開発しようと思っている。


「さあ、次は魔術の練習だ」


だが九歳くらいから魔力が上がっていない。

推測だが「九歳~十歳になると魔力の成長が止まるのではないか?」と、思っている。子供の頃から魔術の特訓をしていれば上がっていくが、そのままなら魔力の総量は上がらない。

これは教える魔術師の数が少ないことも影響している。

教える人もどう教えて良いのか分からないし、詠唱は戦い方が難しく、一騎打ちだと必ず負けるとゆう風評がある。それで途中で挫折して剣術に走る者が多いから魔術師の数も少くなるのだと考えられる。

そして魔力の総量は個人差の関係からも、自分には才能が無いんだと勘違いしてしまうのも要因の一つだろう。

また、魔力が下がる事も十分に考えられる。

まだ全部分かった訳では無いから、筋トレしないのと同じように、毎日練習だ。


(ねえ、君は前世で何をしていたの?)

(ん?何でそんなことを聞く)

(頭良いし、そんな凄い武器まで作れて、英雄か軍人だったの?)


英雄、か・・・・・。

確かに子供の頃そんなことにあこがれた時があったな・・・・・・。


(昔話をしてやるよ)

(お~~~ぱちぱち)


拍手の音を言葉に出すなよな。悲しくなる。


                ◇


俺の生前は普通に生まれて、普通の小学生を送った。

だが、中学二年の頃、俺はある日に学校の体育館裏に呼ばれた。

理由は明白、イジメだ。数は複数。

このイジメ集団たちは小学生の頃から弱い者イジメをしていた。

先生はトラブルに巻き込まれまいと見て見ぬフリで関わろうとしない。

自分もそうだからあまり人の事は言えないけど。

そのイジメられていた子が引っ越してイジメの標的が自分に向くのは時間の問題だと理解していた。

当時の一部を除き、完璧に覚えている。


「よお!来たか」

「てめぇの自分は関係ありません、みてえな態度が気に食わねえんだよ!」


あまりにも理不尽な理由だった。よく見ると他にもイジメられていた子も居た。

何よりこいつらのやってきたことは、学校で騒ぎを起こしたり警察沙汰をたまに起こすのが許せないと当時の俺は考えていた。

そして一人の木刀を持った奴が俺に殴りかかってきた。

だが、俺は小学生の時に剣道をしていたので難なく避け、護身術を使い地べたに叩き付けた。

その勢いで奴の手から木刀を奪い取った。

俺はこの時が来ることを考えて俺は剣道を習っていた。

爺ちゃんは警察のお偉いさんだから、剣道はもちろん護身術も身に着けていたんだ。

その真価が今ここで発揮される時だと思った。

この際だ、こんな奴ら警察が処罰しないなら俺がやってやる。


「てめぇ!いい度胸だ!」

「ふぅぅ。・・・・・・・うおおおぉぉぉ!」


深呼吸し、襲い掛かて来る奴らに向かって行った。

だが、その後の記憶はあまり思い出せない。

無我夢中だったかもしれないが、覚えていたのは、後ろから控えていた先輩方も向かって来たのは覚えている。

その先輩を入れてかなりの数を倒した喜びと、未だ修まらない高揚感が自分を支配していた事くらいなら覚えてる。


「どうした!?何を・・・ひぃッ!」


生徒に先導されて先生が来た。

だが先生は周りの奴らと俺を見て小さく悲鳴を上げた。

その悲鳴で俺は気を取り戻して周りを見ると、頭に血を流した奴や腕が変な方向に曲がっていた奴がたくさんいた。「ぎゃぁああぁ痛てぇぇ」「た・・・助けて・・・」「おかあさ~ん」など泣きわめく奴がほとんどだった。

木刀には血が付いていてそれを辿っていくと自分の服、腕、足、顔にさえ血が付いていたのがわかった。

そればかりか自分は・・・・・笑っていた。

鏡の様に映った窓で自分を見ると確かに笑みを浮かべていた。

どうしてかは解らない。顔に血を付けていたのに。

先生が木刀を下に置くように指示をだしたのでそれに従った。その時気付いたのだが、いつの間にか木刀を二本持っていた。

いつ二本持ったのか思い出そうとするが、突然目の前がブラックアウトした。

数時間後に俺は目を覚ました。

場所は保健室で、そのまますぐに親に連れられ家に帰った。

夜になっていじめっ子の親たちが家に押しかけて口々に散々文句を言った。

オレの事より自分たちの子の教育をどうにかしろと言いたくなったが、文句を言って更に時間が掛かることが面倒だった。

だから考え自分の中に押し込んだ。

そしてその親が帰って行くと今度は母親が俺を叱った。


「なんであんなことをしたの!!」

「奴らが襲い掛かって来たからだ、正当防衛だ!それに他にイジメられていた奴もいたから助けようとしたんだ!」

「木刀で殴ったそうじゃない!やりすぎよ!!」


まあ確かに、少しやりすぎた感じはする。

だがあまりにもごたくを並べて言ってくる母親に俺は怒りがこみ上げて来た。

当時の俺はその怒りを抑えきれず簡単に爆発した。


「んだと!おらぁっ!!」(バキッ!)

「ひぃ!!」


俺は目の前の机を思いっきり殴り破壊した。

母親は小さな悲鳴を上げたが、俺は謝ることなく自室に入ってカギをかけた。

幸いパソコンはあったし、エアコン完備の部屋だったので親が謝るか話を持ち出すまで、ここで引きこもろうと思った。

だが親は俺が怖かったのか何も言う事なく、食事だけ置いて行くだけだった。その日が続いて、恥ずかしさの余り引きこもりから抜け出せなくなった。

気付けば三年。

入学式にも顔を出さず、パソコンでネトゲやら小説を読んだりして、たまにテレビを見て世界情勢や座学のバラエティー番組を見たりして一日を過ごしていた。

そして、ある日の事だ。

俺は食糧を買いに、近くの店に買い物に出かけた。金は親からある程度貰っているから心配していなかった。

店の近くのところに、中学の頃ににいじめにあっていた奴を見つけて、他に同学年生徒らしい人と何か喋っていた。

あの時の言葉は今でも覚えている。いや、俺にとっちゃあ刻み込まれた。


「そういえば、お前いじめにあってたじゃん」

「あったよ。それが?」

「あの悪魔、見たんだろ」

「ああ。見たよ、あんな化け物、居なくなって良かったよ」


そう、あいつは俺の事を悪魔と呼んで、他の奴に言いふらしていた。

先輩を怪我させたし、思い当たる事はいくつかある。

折角助けたのに、化け物扱いされてのだ。

ショックだった、ドン底に突き落とされた感じだ。俺が助けた奴の言葉からあんな言葉が出てくるとは思っていなかった。

裏切られたんだ。

とにかく気付いた時には家に無我夢中で走っていて、今度はいじめていた奴らを見つけたのだが彼女らしき女子生徒と一緒に居るのが見えた。

楽しそうに話していやがった。

それからオレは何も考える事が出来なかった。

家に帰って真っ先に布団に潜り込んだ。

三年間走っていない足が痛いが、それよりも心が痛かった。

俺が何した?助けてはいけなかったのか?訳が解らん理由で襲って来た相手を倒しちゃいけないのか?なぜ虐めていた奴らが楽しそうで俺が不幸になるんだ?

そう思っていた。

そしてイジメていた奴を見つけて自分とは真逆の生活を送っていることに、俺は何かを無くした。助けた奴にも俺を「化け物」呼ばわりで裏切られ、絶望し、その日から人を信じることが出来なくなった。

次の日の朝になって、爺ちゃんが家を訪れた。

理由はオレを引き取るためだった。

今から一週間前、家族が爺ちゃんに電話して、オレが引きこもりになり床ドンと壁ドンをしまくって、手が付けられなくなったから相談したらしい。

婆ちゃんはオレが物心つく前に亡くなっている。

だから家には爺ちゃんだけだったから、さびしさと憐れみで、俺を引き取ることを決めたらしい。

そして話が進み、俺は田舎に家に引っ越す事になった。

嫌ではなかった。

タイミングが良かったし、とにかくこの地獄から抜け出したかった。

そしてオレは逃げるように、家を後にし、田舎に来た。

その日から爺ちゃんは俺の話を最後まで聞いて、同情してくれた。

オレの中のモヤモヤ感が少しだけ取れた様な気がした。その時俺は泣いた。いっぱい泣いた。沢山泣いた。涙が枯れそうになるくらい。

そしてオレはその時の事を爺ちゃんと話して、俺は助けることがいけないのではなく、少し状況を理解していなくて、やりすぎたのだと理解することが出来た。

一年が過ぎた頃には、工場の従業員として働かせてくれた。

工場の人が、爺ちゃんの知り合いで、俺の過去の話をして頼み込んでくれたのだ。

オレは、就職できた。

引きこもり時代に習得したスキルで手先の器用さ繊細さには自信があったからすぐに仕事に取り組むことが出来た。

期待に応えようと、努力したお陰で技術も身についてきたし、人間不信も薄れていった。

だが、うまくはいかなかった。

就職して4年後。爺ちゃんが亡くなった。

理由は、悪性のガンだった。

頭にゴルフボール並みの大きさの腫瘍があったのだ。

入院していたが、意外に元気だったから死ぬとは当時考えていなかった。


「間違ったことをするのは人間として当たり前だ。それを大人になっても理解しない奴らを注意するのが俺たちだ。だが世の中それすらも理解しない、バカはいる」

「世知辛いよね」

「お前もそうだったろ」

「そ、そこまで悪くは無いよ!」


っと笑いも入りながらの入院だった。

だが、容体が急変してそのまま亡くなってしまった。

無論泣いた。だが爺ちゃんと約束していた。


「もし、そのバカで困っている人が居たら助けてやってくれ。俺がお前にしたようにな。お前は警官ではないが、その心を、一人一人が持つことが大事なのだ」


警察官らしい言葉だった。

それにこんな言葉もある。


「悲しい事があるなら、その日に泣け。踏ん切りをつけろ!そして自分のできる事を全力でやれ」


その日はとことん泣いて、次の日は葬式やら何やら、がんばった。

そして爺ちゃんのおかげで立ち直れた俺は、「困ってる奴が居たら助けてやってくれ」この約束だけは絶対に守ってみせると誓った。


               ◇


自分の力に己惚うぬぼれて自滅した少年の話さ。

そして約束を守ろうと、自殺しようとしている女性を助けたが、運動不足で電車にはねられて自爆して死んで、その魂を引き継いでここにいる。

銃の構造なんて前の世界ではすぐに調べられる、英雄でもなければ素晴らしい志を持った軍人でもない。

何処にでもいるオタクで体力の無かった人間なんだ。

ただ生きるために、銃を作っているにすぎない。


(でもここは違ったね。助けたら褒められたし、友達?4人もできたし。ある意味君は生まれる世界を間違えたのかもね)

(そうだな。まあ、もう前世の事はもうどうでも良い。今の世界で生きることが大切だ。前世の経験を生かして親やミーナたちを守ると決めたんだ)

(そういう考えは嫌いじゃないよ)


でもゆったりした老後、送りたかったな~。

今思えば前世じゃ全然ゆっくり生活できなかった感じがするし。


(そういえば、お前は男か女かわからねーな)

(男だよ。残念!)

(お前のデレには期待してねーよ)


こいつはオレの出来事を知っている唯一の存在だ。

ちぃ、と余計な事を言って来るが、愛嬌あいきょうだと思えば気が楽だ。

話が長くなったか、そろそろ戻らないと爺様に怒られるな。

子供のうちに出来るだけの事はやっておこう。

ミーナたちとの約束もあるし、何もしないで死ぬなんて今度こそ御免だ。

ッて!何か死亡フラグ立っちまった!?


(いかん!さっきのコメントは無し!)

(何のこと?)


頭を振って忘れようとしながら屋敷に帰った。


ちょいと事情で遅れました。

次回もよろしく。

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