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第七話

 春からスタートした僕の中学校生活は、順風満帆とは言いすぎかもしれないけれど、まずまずといった所だと思う。 

 まあ、私生活……家はともかくとして。


・:*:・゜`★.。・:*:・

 

 間宮ひとみとはレクで同じ班になってから、学校外でも一緒に遊ぶようになった。

 彼女は明るくはきはきと物を言う子で、そのくせちょっと人見知りだったりもする。

 今集めている物は消しゴム。香り付きだったり、ラメ入りだったり。

 それを聞いた僕は三か月間お小遣いを五百円ずつ貯めて、消しゴムの詰め合わせをプレゼントとして用意した。

 間宮の誕生日は夏休み中。

盆には田舎に行くと言っていたから、八月一日の登校日に直接彼女に渡した。

 告白? 待ってくれ。思春期は色々とデリケートなんだ。

 でも僕は決めている。夏休み中に告白するって。

 恋をしている。この心地いい緊張感は彼女としか味わえないと思う。

 盆明けに、間宮から「お土産あるから遊ぼう」と電話をもらった時に、僕は決意した。「付き合って」って、絶対に言うんだって。


 学校近くの公園で、間宮からのお土産のキーホルダーを受け取った。

 僕はありがとうと言って、それから、すごく緊張しながら「好きです。彼女になってください」と告白した。

 夏休み中だから、校則へのささやかな抵抗としてギバちゃんカットにした頭にまで、緊張から汗をかいてきた。

 のぼせそうなほど顔が熱い。好きだと言ったとたん後悔もした。迷惑だろうか? 嫌われたらどうしよう? お願いだから、僕のことを好きになって――。


 かなり長い間(ほんとは多分一分にもみたないだろうけど)僕は間宮からの返事を待った。

「…………。うん」

 間宮は恥ずかしそうに、照れながらこくんと頷いた。

 赤らんだ顔が、とても可愛かった。


 僕はその時のとてつもない歓喜と、はにかむ間宮の表情を一生忘れないだろうと、そう思った。


・:*:・゜`★.。・:*:・


 間宮と付き合うようになり、友達のままではわからなかっただろう事を知るたびに、僕はほんのりと色づくような喜びを知った。

 二学期が終わる頃には僕らが付き合っていることを知らないクラスメイトは居なくなっていた。

 僕らはその事に気恥ずかしさを覚えつつも、好きな人と交際しているという事に、少なくとも僕はどこか誇らしさがあった。

 僕らの恋心は本物なんだと。

 

 そして、家庭生活はというと――。


 大晦日の夜。僕は父と二人で天ぷらそばをすすっていた。

 つけっぱなしのテレビでは着物姿の演歌歌手がこぶしを回している。

「なぁ太一」

「ん?」

「お母さんと妹が出来たら嬉しいか?」

「は?」

 話に前後が無さすぎて、何を言われたのか一瞬わからなかった。

 お母さん? 妹?

「……また結婚するの?」

「またとはなんだ!」

 僕の言い方が気に入らなかったのか、父は拗ねて怒りだした。


 どうやら父の三度目だか四度目だかの再婚で、年明けそうそう僕に初めてきょうだいが出来る予定のようだ。

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