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“賢者”の時間!  ―ケンジャ・タイム―  作者: 金厳実直
小年時代 パンツを見たこと、それが僕の誇り
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第八話

 何度もトイレと言って席を外し返ってくると悟りを啓いたような父を除いて、暫く和やかに談笑していた。

いったいトイレでなにをしているのやら。 ナニか。 オがつくナニか。

痴女姉さんが合間合間に無自覚なエロスをぶち込んでくるので僕も気が気でなかったが、その度母さんの汚れたブラやパンツで煩悩をブロックし、なんとか表面上は冷静を保っていた。



 これで母さんが美人だったら完全に詰んでいたかもしれないな……

なにせ日本には<実母萌え>という一ジャンルまである。

それが僕にも当てはまるのかは知らないが、とにかく、あんまり美人じゃなくてありがとう母さん。



 その母さんがマシンガントークをしている間に、痴女姉さんへの対策を考えよう。

姉さんの協力をとりつける、とはいったものの、じゃあ具体的に僕は姉さんをどうしたいのか。



 ……姉さんには僕の第二夫人となってもらいたい。

なにせ彼女は僕の股間を刺激できる限られた、超が付く美少女だ。

生きとし生ける全ての雄ならば、彼女を抱きたいとおもうのではないか?



 僕がここで姉さんに出会えたのはきっと偶然じゃない……

姉さんは昨夜、封印されている僕の超性欲を無意識のうちに感じ取り、フラフラとこの宿へ吸い寄せられてしまったのだ――

……サキュバスかよ。

という話でも驚かないな。

むしろ凄い説得力を感じる。

そのぐらい簡単にやってのけそうだからこその痴女なのだ。

出会いが運命なら仕方ない――この雌犬は僕が責任もって首輪をつけて管理してらねば。



  だって痴女姉さんがこの街をブラブラ歩くところを想像してみろ。

八百屋に寄ってはキュウリや大根を熱っぽく見つめ、魚屋に寄ってはイカの臭いを嗅ぐに違いない。

そんなもん犯してくださいと言ってるようなものじゃないか!

ああいう連中はスケベと相場は決まっているんだ。

やらせはせん……やらせはせんぞ……!



 あ、ほら見ろ!

母さんの口勢に辟易したのか、姉さんは机に指先でいやらしく“の”の字を描きはじめた。

えぇい、その細く長い指先で僕になにをするつもりだ。

ヤ、ヤメロー、グへへ。



 姉さんを僕のものにできれば、魔力に関する問題もすべて解決すると言って過言ではあるまい。

そうだな、僕がオイと呼べば姉さんがハイとおっぱいを揉ませる――そんなレベルまで調教してやれば、大魔術だろうと何発でも撃ち放題だ。

まず間違いなく世界最強だな。

国王も僕と姫様の結婚を諸手をあげて喜ぶに違いない。



 姉さんはこの街に新卒で赴任してきた、と言っていた。

少なくとも僕が魔術学校に入学できるようになる12歳まではこの街にいるだろう。



 僕が12歳になるまであと2年……。

12歳になったらこの街の魔術学校を受験する。

その編入試験で姉さんに協力してもらい、僕の魔力を世に見せつける!



 魔術学校の卒業生は、望めば男爵相当の権力をもって王国魔術軍に迎え入れられる――と、僕の町に住む自称・魔術学校中退のおっさんは言っていた。

それほどに魔術を使える人間は希少で大事にされ、魔術学校というのは入るのも出るのも並大抵のことじゃない、狭き門なのである。

おっさんは研究職に就きたかったらしいが成績不振で断念したそうだ。

今では田舎町で子供の勉強をみる私塾をやっている。



 裏を返せば、魔術学校をトップの成績で卒業できればそのまま魔術軍のエリート街道まっしぐら、ゆくゆくは国の重要人物という人生が約束されたようなものだ!

そうすれば、姫様結婚待ったなし!!



 将を射んと欲すればまず馬から。

第一夫人に姫様を迎え入れるために、まずはここで姉さんを堕とす――!



 

「んれろっ……はぁ……すっかり小さくなってしまったではないか……んちゅうぅぅ……


れも……んん……これはこれで可愛いな……くすっ……


んぢゆゅゅゅううぅぅ……っぷはぁ……


ふふ……オイシイ……れろっ……」




 えぇい、実際理由なんぞなくてもいい!

食後のアイスキャンディを舐めるだけであそこまでエロいあの痴女を、単純に僕は抱きたい!



 明日の朝には楽しかった観光旅行も終わり、家に戻って二年間のいままで通り興奮とは無縁の生活が待っている。

二年どころか十年、二十年だろうと僕は痴女姉さんの印象が薄れる気は全くしないのだが、悔しいことに姉さんにとっての僕はまだ、ただの純朴そうな少年だろう。

入学試験を受けに来た時に再会して「誰だキミは?」となるのは避けたい。



 なんとかして今日の内に姉さんに鮮烈な印象を残しておかねば。

理想は再会したときに「あぁ、キミはあの時の! 素敵! 結婚してっ!」と言われるぐらい痛烈な印象を姉さんに与えるんだ……



 いまこのタハカの街はお昇りさんたちでごった返している。

ということは恐らくある作戦が使えるだろう……よし!




「ねぇねぇお姉さんって兵士さまなんだよね?」



「うむ、初めにそう言ったではないか」



「あのね、僕、明日帰っちゃう前に兵士さんが働いてるところが見てみたんだ!

でもこの街のどこに兵舎があるか知らないし……

お姉さんっ、僕を案内してくれませんかっ!?」



「兵舎がみたい?

あ、いや、昨日の内に下見は済ませているし、案内するのは別に構わんのだが……

なんというかキミみたいな子が兵舎に行きたいという言葉を素直に受け取れないというか、裏がありそうというか……」




 たしかに、この国の兵士というのは街の治安維持や犯罪者の取り締まりを行う、日本で言えば警察機構のようなものだ。

その兵舎をみたいだなんて、10歳のガキが「僕、警察署に行ってみたい!」と言ってるようなものだ、奇異に思えるのも当然だろう。




「ダメかなぁ?

僕、将来はみんなを守る正義の兵士さまになりたいんだ!」



「あらあら~、そうだったの?

タオは将来教師になって女子だけの私塾を開きたいと言っていた気がするのだけど……」




 もちろん嘘だ。

母さん、僕はもう昔の僕とは違うんだ。

たとえ女子高だろうと田舎町の教師なんかで到底収まるような器じゃないんだよ。

それも捨てがたいがな。



「なるほど、そういうことなら分かった

私に任せておけ

兵士になって初の仕事が子どもの街案内というのも、いかにも新人兵士という感じでいいではないか



未来の後輩を導くのは先輩の仕事だ

キミ、スケベは自粛して、将来いい兵士になるんだぞ」 



「やた~! じゃあほら早くいこ! 時間がもったいないよ!」




 チョロイな。

このチョロさに付け込んで、兵舎と宿屋往復デートをしている間に、姉さんを僕に惚れさせてみせる!



 僕は姉さんの手を引いて宿屋から飛び出す。

すげなく手を払われてしまったが、兵士というからには剣でも使うのだろうに全くゴツゴツしておらず綺麗な手だ。

お姉さんは鉄の剣なんかより僕の聖剣を握ってる方が似合ってるよ。



 さてタハカの端っこにある宿屋をでて細い路地を暫く歩くと大通りにでた。

いくら南で一番の大都市とは言っても普段からこれほどの人で賑わっているというわけでもないだろう。

半分以上は田舎からでてきた僕のような人だろうな。

王様の凱旋パレードは国民の支持を高めた以外に経済効果もありそうだ。



 昨日パレードが通過した、街を東西に貫く大通りは一夜明けて活気づいており、カモを逃すなとばかりにあちこちから呼び込みの声が聞こえてくる。

タハカ名物料理の店頭販売や屋台もそこかしこに出ていて、いい匂いが風に乗って人々の鼻孔を膨らませる。

プラス物珍しさに足を止める人が多いのだろうか、僕の前を歩くお姉さんは中々思うように進めないのが不満そうに見える。




「お姉さんこっちこっち! こっちを通れば近道できるはずだよ!

僕はなにもエロいことなんか考えてないよっ!」



「え、エロっ……!?

おい! キミはこの街を知らないのではなかったのか!?

ちょっ……そんな強引に手を引っ張るな……んンッ……」



「大丈夫大丈夫! 間違えだったとしても、街の構造を早めに知っておくのは兵士さんにとってもいいことでしょ?」




 文句を言う姉さんを無視し、その手を引っ張って、あまり流行ってなさそうな店に挟まれた胡散臭い細い裏路地に入る。

いちいち手をつないだくらいで敏感な反応を見せるとは、まったくピュアな乙女だな……

満更でもなさそうな声だが、そんなつもりはないのだろう。

最初に何度もゲンコツ説教を食らっていなければ、間違いなく僕も誤解していた。



 直感で適当に選んだ路地だが――街のイロハをしらないお昇りさんで溢れている、しかも風紀に厳しい王国の支配下に入ってまだ日の浅い大都市の薄気味悪い裏路地だ。

僕の考えが当たっていれば――

引き返そうとする姉さんをなだめすかしながら狭くなっていく道を奥へ奥へと進んでいくと、いよいよ路地はシンとして、割れた酒瓶やタバコが地面に散らばるようになってきた。

両側にはツタの生い茂ったり、窓が割れたりの家が並んでいる。

作戦にはもってこいな雰囲気を醸し出していた。



 姉さんも怪しい空気を感じ取ったのか「おい、ほんとにこの道で近道できるのか? こんな道が兵舎につながるとは思えないが」などと怪しみだした。

かといって既に引き返すのも手間なほど入り込んでしまっている。

そろそろ頃合いだと思うが……まだ来ないか?

このまま通りを抜けてしまったら手間だな――などと次の手を考え始めると、




「オイオイオイ、坊ちゃんたち、こんなとこでどうしたんだ~い?」



「うひひ、姉ちゃんのほうはウマそうなからだしてんじゃねぇか……たまんねぇっ!」



「うかれたバカな田舎モンがかかるのを待ってたら……とんでもねぇ上物じゃねぇか!

自分からこんな所に来ちゃったんだ、なにされても文句はいえねぇよな~?」




 ――――ビンゴ!!



 いかにもゴロツキ然とした男たちが三人、いまにも倒壊しそうな、木製の家からゾロゾロと出てくる。

男たちはそのまま、ゲスい笑いを浮かべながら僕と姉さんの進路上に立ち塞がる。

その手には欠けた木材や錆びたナイフが握られていて、空腹の獣が獲物を見つけたかのように僕たちを――いや、変態でもない限り僕など眼中にはないだろう、正確には姉さんを――襲う気満々そうに見える。



 だが残念だったな……

待っていたのは僕の方、獲物はキサマらのほうだ!



 姉さんが隣にいるなら魔力を使うのに必要な興奮を得るのに何の障害もない!

一揉みさせてもらえればそれで解決だ。

チンピラに襲われ犯される寸前の怯える根は淫乱な痴女――この絶体絶命のピンチを、ただの子どもと思っていた僕から華麗に救われる――

吊り橋効果?

テンプレ?

バカ野郎、王道には王道たる所以があるんだよっ!



 なるたけ凄い魔術を使ってド派手に演出してやらねばな……

さぁ、僕と姉さんの恋愛成就のため、踏み台になってもらおうか!



 覚悟しろ名無しの脇役ども――!




因みにタハカとは全く関係のない話ですが、僕は博多に行ったことがないのです。

多分こんな感じの修羅の国だろうと思って書いてます。

ネットでの情報を見る限り、大体あってると思います。

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