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“賢者”の時間!  ―ケンジャ・タイム―  作者: 金厳実直
小年時代 パンツを見たこと、それが僕の誇り
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第六話

 復!活!!

復!!活!!!


 

 素晴らしき南半球のおかげで性欲漲る僕からは大量の魔力があふれ出していた。

あの世で見せた底の見えない勢いには及ばないが、それでも尋常でないのは分かる。

フフハハハ、い~い気分だ。



 のどかな普通の宿屋とはまったく無縁そうな、どす黒い魔力の嵐がゴウゴウと吹き荒れる。

パリンッと幾つかの中庭に面した部屋の窓が割れる音がした。

なんと・・・魔力だけでこれなら、大魔術師になるのもお茶の子さいさいだろう。




 それってつまり、国軍での大出世も夢ではない……?




「くくくくくっ、くははははっ!

一時はどうなることかと思ったが、カミサマの封印とやらも完全ではなかったらしいな……

僕のチ◯コは死んでなどいなかった!

むしろ見ろ!

元気ビンビン丸でっはないかっ!!



 見える……見えるぞっ……!

ヴァージンロードを歩く僕と天使の姿が見えるっ!

フフッ、フハハハハハハハハハハ……ハハ……ハ?」




 溢れ出す魔力に身を委ね高笑いをしていた僕だが、さっきまでの勢いはどこへやら、魔力の嵐は急速にその勢いを失っていく。

僕の周りに渦巻きとどまっていた魔力が、跡形もなく大気へと溶けていく。



 同時に、ポケットのモンスターも時間を巻き戻したかのごとくしゅるしゅる萎れていく。

なにが元気ビンビン丸だ。

なにがモンスターだ。

あっという間に子猫ちゃんではないか。




「ど、どういうことだ……!?

カミサマの封印はやはり効いていたのか!?」




 ……ち、ちくしょう!

考えてみれば昨日からこんなんばっかりじゃないかっ!

期待させるだけさせておいて、次の瞬間にはもうぶち壊される。

FUZIYAMAもびっくりの高低差の連続だ。



 結局、僕の股間は封印されたままなのか――?

現状を理解しようと必死で脳を回転させていると、痴女姉さんがこちらに歩いてくる。

そういえば彼女はあの豪風の中、無事だったのだろうか?



 万が一にもあの美乳に傷がついてしまったら悔やんでも悔やみきれん。

うん、一先ず謝っておこう。

そして改めて感謝の気持ちを彼女に伝えるんだ―――




「あのっ、すいませんでした!

なにしろ昨日まで自分にこんな魔力があるなんてしらかったんです!

いかんせんどうやって魔力を操作すればいいのかまだ分からなくて……



 あ、それよりも先ほどは本当にありがとうございました。

いやホントにいいものを見せてもらった!

おかげで一時的でしたが僕の息子も―――「このスケベ小僧が!」―――へぶうううぅぅぅっ!?」




 僕の賛辞を無視して痴女姉さんのゲンコツが勢いよくおちる。

なんという痛さ。

母さんのゲンコツでもここまでの威力はないぞ。

というか、なんで?

なぜ僕は褒めたのに殴られたのだろう?



 あぁ、なるほど……これがツンデレってやつなのか?

おいおいおい、ツンデレを褒めると拳が返ってくるのか。

たしかに日本の知識にはそういう女性もたまに(二次元に)いる、とあったが……

おっぱいだけでこのありさま―――いざ本番となったらどうなってしまうというのか。

口から光線でも吐くんじゃないだろうな?




「ちょっ、ちょっと待って痴女姉さん―――「誰が痴女だ!!」―――いぃっ!?

タンマタンマ!

な、なんでそんなにおこなの?

僕はあなたの下乳を褒めてるんですよ?」




ゴンっ!




「ま、まだいうかこの小僧は……!

子どもだとおもって油断していたらこれだ!

くっ、だから男はきらいなんだ……!



 いくら子どもだからといってあんな下心丸出しの顔で褒められて喜ぶ女性がいるわけないだろう!

だ、だいたい、し、ししし下乳などとそんな局所的に褒められてもなにも嬉しくないっ!」




 おやおや?

これは驚いた。

この痴女姉さん、どうやらその痴女っぷりからは想像できないほどのウブみたいだ。

今もその美乳を腕でガードしながら、真っ赤な顔のまま握りこぶしをプルプルと震わせている。



 そもそも、僕に乳を褒められたくらいでそんなに怒るくらいなら、最初から誰もいないときに汗をふくべきだろう。

今だって視線から乳を保護しているつもりだろうが、だったらさっさとボタンを留めればいいのに。

あぁ、ほら!

いまプルンッて!プルンッてした!!

南半球は今日も大荒れの模様です!


 

 なんというかこの痴女姉さん、心は純真、行動は大胆とやけにちぐはぐな印象をうける。

身体は子ども、頭脳は大人な今の僕と似たようなものか。

こういう女性を無自覚系エロスというのかもしれないな。

僕からすれば誘っているようにしか見えん。

うわぁ!やっぱり美味しそうなお腹だなぁ!



「ごめんなさいお姉さん……

僕、女の人のおっぱいを見てしまったら、必ず感想を伝えてやりなさい、ってお父さんから言われてるんだ…… 

そんなに怒るとは思わなかったよ……本当にごめんなさい。」



「な、なんとそうだったのか?

いやいやいや……ありえんだろう……

キミの父上はいったいどういう教育をしているんだ……?」




 父は犠牲になったのだ……

乳の犠牲にな……ふふっ。




「ふぅ、まったくとんでもない父子がいたものだ。

この街にこんなケダモノ父子が隠れていたとはな……!



 はっ、そういえば、さっきの嵐はなんだったのだろうか?

街になにもなければよいのだが……」




 ん?

さっきの嵐は僕が起こしたものだと気づいていないのか?

なるほど、そうなるとあの魔力が黒く見えていたのは僕だけだったのかもしれないな。

まぁ、誤解してくれているならそれでいい。

しかし今はそんなことよりも大事なことがある―――




「ねぇねぇお姉さん。」



「なんだエロガキ?

しかし南の地方では台風というものがあると聞いていたが、ひょっとしてさっきのあれがそうだったのだろうか……?

台風というのはあんなに寒気が走るものなのだな。

ホレこの腕を見ろ。

まだ鳥肌が……」




「あのね……?怒らないで聞いてほしいんだけど、お姉さんって処女ですかへぶううぅぅっ!!?」




 痛い。




「な、なな、な……

いきなりなんてことを聞くんだこのガキはっ!?



 わ、私がその……しょしょ……処女かどうかだと!?

な、なにをバカなことを……その……そんなこと……キミには関係ない……だろう……!」




 的確に同じところを何度も殴られて頭がずきずきする。

痴女姉さん、何者なんだ……



 しかし痴女姉さんの怒鳴り声は尻すぼみに小さくなっていき最後はまるで蚊の鳴くようになってしまっていた。

ふふん、語るに落ちたな!

この反応はまさしく処女。

なるほど、これが処女膜から声がでているというやつか。

また一つ勉強になった。




「それは違うよっ!

関係なくなんかないっ!!

だってお父さん、初対面の女性には処女かどうかをちゃんと確認するんだよ、って言ってたもん!」




 父は再び犠牲になったのだ……犠牲の犠牲にな……




「な、なんだと……!?

そ、それが本当なら、キミの父上はちょっと、いや大分頭がおかしいんじゃないのか!?」




 チョロいぜ。




「そんなことないよっ!

少なくとも僕の住んでる田舎では、みんなお父さんにそう習ってたよ?」



「バカな!?

そんな狂った町がこの国に存在していたとは……!

えぇいやはり王国に属してまだ日が浅い南は野蛮だなっ!

ここに配属されて正解だった!

一刻も早く私が矯正しなければ―――

これ以上こんな可哀そうな子どもを増やすわけにはいかないっ!」




 可哀そうな子扱いされてしまった。

ツンデレに処女かどうかを確認すると可哀そうな子に見られる、と。

ふむふむ。



 とはいえ僕はなにもノリでお姉さんが生娘かどうかを確認したわけではない。

それがとても大事なことだから聞いたんだ。




――童貞捨てるなら処女がいい!!




 未来の第一夫人は天使さまと既に決まっているが、痴女姉さんだって僕に封印をものともしない興奮をくれたお人だ。

僕の妻となる資格は十分あると言えるだろう。

な~に、第二夫人の座はまだ空席だったから大丈夫大丈夫。



 こんなにエロい身体に無防備な立ち居振る舞い――

18歳くらいということで、ひょっとすると経験済みかもしれないとも思ったが重畳重畳。



 いや、まてよ……

そういえば日本の知識には<未亡人><寝取られ>や<スワッピング>というものもあったな。

そう考えるとなにも嫁にするのは処女に限ったというわけでもないのか―――?



 痴女姉さんがその名の通り痴女だったなら……

ゴ、ゴクリ……それはそれでありだな!

いやいやだがしかし―――っと、あらら、ボタン閉じちゃったのね残念。








「タオ!タオ~~~!!

さっき突風が吹いたけれど、あなた大丈夫なの!?」



「いや~~驚いたな。

あれほどの突風は初めて見た!

見ろ、僕たちの部屋の窓にもヒビがはいってしまった。」




 おや、中庭に出ていた僕を心配したのだろうか、両親がこちらに駆け寄ってくる。

すまん、父さん母さん。

それ、僕のせいなんだよ……だから僕はこのとおり傷一つないよ。




「よかった……怪我はしていないようだね。

せっかくの観光旅行で怪我なんかしたら台無しだ。



―――おや?

ところでタオ、こちらの綺麗なお姉さんはどちら様だい?

いやぁ驚いた、こりゃまたえらい別嬪さんだなぁははは。」




 それを聞いた痴女姉さんは父からズザザッと距離をとると、ファイティングポーズをとった。

痴女姉さんの中で父は想像を絶する変態と認識されているのだろうから無理もない。

スマヌ……スマヌ……父よ。


 

 しかし、母さんに腹をつねられぐえぇと情けない声を上げる父を見ると少し安心したのか、その構えをといた。

ヒトはそれを油断と呼ぶ。

―――ここだっ!



「あのね、父さん母さん!

このお姉ちゃんがさっきのすっごい風から僕を守ってくれたんだよ!」



「あらあら~そうだったの?

それはどうもありがとうございました~。

窓にヒビが入った時には血の気が引きましたが……

本当にありがとうございます。

この子は昔からどこかボ~ッとしたところがあるので……」



「い!?いやいや私はそんなことしていな――ー」



「だからね~、このお姉さんにありがとうございました、って伝えるために、一緒にご飯たべましょ?って誘ってたんだ!

ねね、いいよね、お姉さんをご飯に誘っても!」



「あらあらこの子ったら……

ふふふ、もちろんいいに決まってるじゃない~。

ささ、お姉さん、宿に入って入って!

一緒にご飯食べましょ!

もちろん、お礼なんだからお金は私たちが払うわよ~?」



「い、いやいや、母上殿?

すこ~し落ち着こうか?

私はそんなことしていないと言って……ちょっ押さないで……お、押すなっ!

おい!

おぉい!!

ちょっ、今誰か私の尻を触っただろ!!

おい!

お前かエロガキ!!」






 ――痴女姉さんのお尻はキュッと引き締まったいい尻だった。

ちらっとでてきた首都はヨウトーウキといいます。

日本の東京とは何の関係もありません。


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