第8話 戦いの終わり、そして…
「理事長!」
「あれは……まさか!」
別室で見ていた理事長の顔が黒い何かを見た途端に驚愕に染まった。
「どうなさいますか!?」
「すぐにランカーを闘技場に派遣しろ!
それと教員は生徒たちの避難誘導の準備を!」
「は、はい!」
フィーリは普段、めったに聞くことのない理事長の
怒鳴り声を聞き慌てて他の教員に連絡しに行った。
「まさか、奴が?」
会場は騒然としていた。
ボルテックが叫びをあげたかと思うと突然、苦しみながら黒い何かを出し始めた。
「なんだ……これは」
集は突然、ボルテックの体から噴き出した炎のように揺らいでいる
黒い何かを警戒の眼差しで見ていた。
すると、突然黒い何かがボルテックを包みこみだした。
(あれはやばい!)
直感的にそう思った集はすぐさまボルテックを救出しに行くが
黒い何かがそれをさせまいと黒い何かを集めて球体を作り出し集に向かって放ち、攻撃してきた。
――――ボコォォ!
黒い何かから飛ばされてきた物は床についた瞬間、その部分の床が消滅した。
「な! き、消えた? それよりもあいつだ!!」
集は攻撃を避けながら近づこうとしたとたん、突然黒い何かが辺りに拡散した。
「く!」
「ぐぅぉぉぉぉぉぉぉ!」
黒い何かが辺りに拡散しその中から獣のような雄叫びをあげているボルテックが現れた。
「ボルテック……じゃなさそうだな」
目は真っ黒に変色しており体から黒い何かが放出され、煙のように揺らめいていた。
「ぐわぁ!」
――――ドォン!
「―――――ッッッ!」
得体のしれない何かが地面を強く蹴ると地面は抉れ衝撃波が集を壁に打ち付けた。
「がぁ! 痛ってえな!」
集は視線を上げた瞬間には目の前に膝が迫っていた。
「くそ!」
どうにかして首を曲げて避けると壁は砕かれ崩壊した。
「どんな膝してんだよ!?」
壁を砕いた膝には傷一つ見当たらなかった。
そのことに驚きながらも相手から眼を離すわけにはいかなかった。
「ぐがぁぁぁぁ!」
相手は止まらずにさらなる追撃をかけようとしてきた。
「目を覚ませ! この野郎が!」
――――バキィィィィ!
「ぐおぉぉぉぉぉ!」
集は顔面に拳を直撃させたがそれでも止まらずに逆に相手に殴られ壁に衝突した。
「ぐうぇ!」
集の体からは既に大量の血が流れていた。
(まだ、皆が避難しきっていないから氷が使えない)
あたりの観客席にはまだ非難しきっていない生徒がチラホラ見えており
集本来の魔法である氷を使うわけにはいかなかった。
「ぐぅぅぅ」
床に倒れ伏したまま立ち上がってこないシュウを
用なしと思ったのかボルテックは観客席の方へ体を向けた。
「や……めろ」
「ぐぅぅぅ」
「や……めろって言ってんだろ!」
集が大声でボルテックに向かってどなり散らすが彼は一切、集の方には顔を向けず
観客席に残っている生徒へと向けられていた。
「がぁぁぁぁぁぁ!」
―――――ドオオォォォォ!
「止めろーーーーーー!」
得体のしれない何かが雷を観客席に残っている生徒に向かい放ち大爆発を起こした。
「な、何だあれは!?」
別室で見ていた彼らもその様子を見ていた。
「じゃ、一仕事といくか」
今まで寝ていたチェーンの少年が目を覚まし行動を開始しようとした。
「少しお待ちになってくれませんか?」
「ん?」
そこへライカと同じ金色の髪を持つ少年が
動こうとしたチェーンの少年に声をかけ動きを止めた。
「この件は彼に任せてみませんか?」
「どういう意味だ!? ライト!」
「私は彼の実力が見たいのですよ。ゆえさん」
ゆえは金髪の少年――――ライトに怒鳴り散らすがライトはいっさい、動じなかった。
「何を言っている!? 早く行かないと集が!」
「彼は唯一の氷の魔法の持ち主です。私はそれがみたいのですよ」
「そんな事は知らん! 私は行く!」
「おやおや、珍しいですね。貴方があの程度の人物を
助けに行くとは。あの時とは大違いですね」
ライトがそう言った瞬間、ゆえは怒りを露わにして
刀を抜き刀身に炎を纏わせライトに向かって行った。
「少し黙れよ」
ライトも刀を抜き雷を刀身に纏わせ受け止めた。
「ちょ、ちょっと! こんなとこで戦う気!?
状況を考えなさいよ! 二人とも!」
ライカは慌てて鍔迫り合いを始めた二人を止めに入るがゆえから放出されている
炎がライカの行く手を阻んだ。
「ライカは黙ってろ! ライト。私は貴様のその考えが気に食わん」
「よく言われます。ですが見たくはありませんか?氷の魔法の力を」
「お前の見たがっている氷、あいつ使ったぞ」
「おお!」
ライトはチェーンの少年にそう言われ、先ほどまでしていた鍔迫り合いを
止めると画面に食いつくように見た。
「ぐぅぅぅ」
満足したのかボルテックだったものはさらなる標的を探そうと
背を向け移動しようとしたが足に冷たさを感じた。
「ぐぅ?」
不思議に思い足に目をやると足が凍っていた。
「ハァ……ハァもう良いや。皆はまだ、いるみたいだけど
逃げるのに必死だろ。お前を凍りづけにしてやる」
集は咄嗟に観客席の壁を凍らし巨大な氷壁を作り雷から守っていた。
「ぐぁぁぁぁ!」
―――――ドオオォォォォォ!
ボルテックだったものは集に向かっていき雷を撃つが集はそれを氷の壁を瞬時に作り防御した。
「お前は俺を怒らした。覚悟しろ」
集はその壁に触れて、瞬時に氷壁を横に伸ばして
相手にぶつかっても伸ばし続け、壁に激突させた
「ぐぇええええ!」
――――バキィィン!
壁に激突してもなお、相手は氷を砕き集に向かってきた。
「まだ、動くか。仕方無い。許せよ、ボルテック」
集はボルテックに向かって手をかざすと、彼の体が徐々に凍っていった。
「ぐぁぁぁぁぁ!」
あまりに冷たさにボルテックが叫びをあげるが体が氷結していくのが
止まるはずもなくどんどん彼の体は凍っていった。
「中にいるのは、誰かは知らないが、
ここで凍りづけになってもらう。永遠にその中で眠ってろ!」
その数秒後、完全にボルテックの全身が氷結し、行動を停止した。
「ハァ……ハァ。終わったか」
「集――――!」
傷が痛むのを堪えながら立っていると、
後ろからゆえの声が聞こえ振り向くと皆が見えていた。
「お~い、皆~!」
集が皆に手を振った瞬間……
「集! 後ろ!」
――――ザシュッ!
ルーラに言われ後ろを向いた瞬間、集の体を黒い何かが貫いた。
「が、あ」
良く見るとボルテックを凍りづけにした氷はいつのまにか
砕けておりそこから黒い何かが集の体に伸びていた。
「集――――――!」
最後に聞こえたのは自分の名を叫ぶゆえの叫び声だった。
何かに体を貫かれ、地面に倒れ伏した集にフォレスが慌てて近づいていき
手から淡い光を放ちながらその光を彼に当て始めた。
「どう? あんたなら何分で治せる?」
「……約五分」
ライカの質問に表情を一切変えずにフォレスが答えると
ライカは『……そう』と呟き、腰に携えている刀に手を置いた瞬間。
―――――ゴオオォォォォォォ!
「―――――っ!?」
突然、後ろから凄まじい暑さの熱風が吹き荒れ、慌てて後ろを振り向くと
そこには憤怒の表情を浮かべ鬼の形相をし、全身から炎を放出している
ゆえの姿があった。
「貴様……集を傷つけた罪は重いぞ」
「ぐおおぉぉぉぉぉ!」
ボルテックは氷を砕きながらゆえに向かって走りだした……が。
――――ボトッ!
「……?」
突然、視線の高さが低くなった。
急に視線の高さが低くなることなど絶対にありえない。
ボルテックは何が何だか分からず、自らの体を見るために
視線を下に向けると本来あるはずのものが存在していなかった。
「ごふっ!」
そう……彼の首から下の部分が消滅していたのである。
何が起きているのかさえ理解できないまま、
ボルテックは口から血反吐を吐いてその生を終えた。
「……ゆ、ゆえ……あんた」
「……人は凄まじい温度の炎に焼かれれば痛みを感じる前に
体が溶けるという……それを実証したまでだ」
そう言いながらゆえは刀を鞘に戻した。
こんばんわ!!ケンです!!
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