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第78話 繋がる想い ライカ編

シュウはお昼時のこの時間、今は閉校となっている学校の校門前で

ある女の子を待っていた。

その女の子はシュウの初恋の女の子である人物である。

「……この格好変じゃないか?」

待ち合わせ場所に行く際にシュウはいつものラフな格好で行こうとしたのだが

シュウの格好を見た母のイーリに無理やり格好を改められておしゃれな格好になった。

「もう少しだと思うけ」

「だ~れだ?」

突然、シュウの目の前が真っ暗になったかと思うと後ろから声が聞こえてきた。

「……ライカでしょ?」

「ピンポーン!」

視界がクリアになり後ろを見てみるとそこには相変わらずの

露出が多い服に身を包み、綺麗な金髪の髪色の髪をもった少女―――ライカがいた。



「今日はどうしたの?急に呼び出したりなんかして」

「あ、うん。ちょっと、一緒に出かけようかなって」

それを聞いたライカはニヤつきながらシュウにこういった。

「ハハ~ン。ようやく私の美貌に気付いてデートにお誘いしたってわけ?」

「……」

「ま、そんな訳」

「そうだよ」

「え?」

創造していた反応とは違う反応が彼から帰ってきたことにライカは驚き、

その後の言葉を紡ぐことができなくなってしまった。

「僕は……君をデートに誘ったんだ」

「っ!え、えと…そ、それって」

ライカはいつになく真剣な表情をしているシュウに

顔を真っ赤にしながら目をそらした。

「ライカ」

「ひゃ、ひゃい!」

突然、シュウがライカの手を優しく取って握りしめた。

「今日は……楽しもう!さあ、こっちにきて!」

「ちょ!え!?」

突然、シュウの雰囲気がガラッと変わったことにライカは何も言えずに

そのまま彼に手をひかれていった。



シュウに連れてこられた場所は景色が綺麗な山だった。

「へぇ~。よく、こんな場所知ってたわね」

「まあね」

シュウとライカは辺りの景色を楽しみながら歩いていると

木の陰からヒョコッと何かが現れた。

『キュ~?』

「あ!この子、もしかして」

「キャー!何この子!めちゃくちゃ可愛い!」

見たことのある生き物にシュウは近づこうとするがそれよりも早くに目をハートの

形に変えたライカがその小さな龍を抱きかかえた。

『キュ!キューキュー!』

小龍も2人の事を覚えていたのか嬉しそうにジタバタし始めた。

「あ~ん☆もう可愛すぎ!持って帰りたい!」

「それは駄目だよ、ライカ。この子の親に家ごと吹き飛ばされるよ」

「もう!冗談よ!」

ライカは小龍を地面に置くと別れを告げた。

「じゃあね」

『キュー!』

そのまま小龍は小さな翼を一生懸命に羽ばたかせて空へと飛び去っていった。

「んー!はぁ~。なんだか落ち着くわね」

「少し、昼休憩にしようか」

「うん!」

シュウは近くの木の幹に腰をおろし、その隣にライカが腰を下ろした。

「ねえ……シュウ」

「なに?」

「……少し、話をしても良い?」

いつになく暗い表情のライカに何かを感じたシュウは彼女の手を優しく握りしめた。

「うん……良いよ」

シュウのその言葉にライカは少しづつ言葉を紡いでいった。




「前に言ったと思うんだけど私は……両親と仲が悪いの」

「うん」

「それで戦争が終わって……話をする事になったの」

「そ、それじゃあ」

「…行きたくない」

「え?」

考えていたこととは真逆の事を言われたシュウは呆気にとられてしまい

その後の言葉を続けることが出来なかった。

ライカはその体を震わしながら量目からは大粒の涙を流していた。

「行きたくない……今さらあんな家に行きたくない!」

「で、でも、両親と仲直りするチャンスだよ?」

「そんなの知らない!あいつらが私を邪魔者扱いしたんだよ!?

なんでそんな家にまた戻らなきゃいけないの!?」

「………ライカ」

「んん!?」

シュウは優しく握りしめていた手を自分の方へ軽く引きよせ、

彼女の唇を自分の物でふたをした。

「……」

初めは驚きで体をこわばらせていたライカだが徐々に

慣れてきたのか体の力を抜き、目を瞑り彼の首元に両手を持っていき彼を抱きしめた。

「ん……シュウ」

シュウが唇から離れると名残惜しそうな表情でライカは彼の顔を見た。

「好きだ……シチュエーションはおかしいけど……僕は君が好きだ」

「…バカ……」

ライカは顔を真っ赤に染め、恥ずかしそうに俯いた。

「ライカ……僕は君に家族の元に行って欲しい」

「で、でも」

「家族は……いくら切っても切り離せないものなんだ。どれだけ家族を

拒絶しても絆は絶対に断ち切れない…僕と母さんがそうだったように」

「ッ!」

一度は図りきれないほどの距離まで離れたシュウとイーリだが二人は出会えた。

それは家族の絆が2人を引き合わせてくれたのかもしれない。

「だから……行ってきてほしい。僕が傍にいる」

「………うん、分かった」

先程まで泣き顔だった彼女の顔に笑顔がよみがえった。





その翌日―――――――――

「久しぶりだな、ライカ」

重ぐるしい雰囲気の中、広い居間でライカを含めた家族会議が始まろうとしていた。

いつもなら数人の召使が居間の隅で待機しているのだが今日ばかりは全ての召使に休暇を

与え、今家にいるのはライカ、ライカの両親、そして彼女の姉の4人だけだった。

「ねえ、なんでこいつがここにいるのよ」

ライカの姉は心底、ウザったそうにライカを指差しながら両親に尋ねた。

「ウリネ!」

「まあ、お前も落ち着け」

母親が姉のウリネを叱ろうとするが筋骨隆々な母親の夫がそれを止めさせた。

「今日、お前たちを呼んだのはほかでもない。

また、私たち家族4人で暮さないか?」

ライカは心の底から目の前にいる父親だった男を侮蔑した。

魔力の属性が一つしかないと分かったその日から、ライカは冷たい目で見られ

今まで過ごしてきた本宅からは離れた、まるで物置の様な別宅で過ごすことを強制された。

出される食べ物は全て冷めているものでまったく温かみがなかった。

「……なんで、今さらなのよ」

「何がだ」

「なんで今さら4人で過ごすとか言い出すのよ!」

ライカは今まで貯めて来ていた感情をぶつけ始めた。

「お前は今は、ランカーだ。ランカーという地位は他の

者から敬意を表される地位だ。それにお前は戦争で

あの魔族の長のハデスと闘ったそうじゃないか」

この文章で、ライカは何もかもが吹っ切れた。

この男は家族をやり直そうとしているのではない、ただ単に彼女が

作り上げてきた地位や、功績を家の為に使おうとしているだけだ。

「そう……所詮、私は道具なのね」

「何を言っている。私は」

バチバチバチィ!

ライカは体中から電流を放電させた。

「…決めたわ。私はこの家の名前を捨てるわ、貴方達とは縁を切ります」

ライカはそう、言い放つと広い居間から出ていった。




「……これで」

「ライカ」

後ろから声がしたので振り向くとそこにはシュウがいた。

「…シュウ」

ライカはシュウの胸に飛びつき、彼に抱きついた。

以前までの自分には出来なかった行為――――――今は自分にしかできない特権だった。

「………その表情からして家から完全に出てきたの?」

「…うん」

「そっか………ライカが決めたんなら僕は何も言わない」

シュウはそのまま彼女を優しく抱きしめた。

「…シュウ」

「なに?」

「大好きだよ」

「…僕もだよ」

2人はお互いに目を瞑り、何度目かのキスをした。



数年後――――――。

「おめでとー!」

シルバロン高等学校のすぐ近くにある教会で、結婚式が行われていた。

新郎は真っ白な髪の少年、新婦は綺麗な金色の髪をしていた。

あれから、数年。シュウとライカは今日、この日を持って夫婦の契りをかわした。

時にはぶつかり合い、傷つき、涙を流したこともあったがそれを超えるほどの

愛を語り合った。

2人が離れることは永遠にないだろう。

「これからよろしくね。旦那さん」

「ああ、よろしく。僕の奥さん」

祝福の鐘の元、2人はもう何度したか分からないキスをした。

こんばんわ~。後、少しでこの作品も完結です!

長かったですね~。ルーラ編を投稿したらこの作品は完結致します!

それでは!

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