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マジックワールド。魔法の世界へようこそ  作者: ケン
第7章 人間VS魔族
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第76話  少年の初恋、そして分かれる道

ハデスが倒された後の話をしよう。

魔族軍の長であるハデスが倒されたという一報は一瞬にして

全ての戦場を駆け巡り戦況を大きく変えた。

今まで拮抗状態だったものが一気に人間側へと傾き徐々に魔族軍を押しのいていった。

魔族軍も勝てないと悟ったのか生きている者は全員、闇の転移魔法を使い

自分達の場所へと帰っていき、戦争は人間側の勝利によって幕を閉じた。

死傷者は両軍、凄まじい数にまでのぼりこの判断は正しかったといえる。

戦争の為に集められた軍は解散され、隊員たちは皆、自らの故郷へと戻っていき

愛する者、帰るべき場所へと帰っていった。

愛する者が自らのもとへ帰ってきたことに歓喜し、喜びに狂いそうに

なりながらもその人物に「おかえり」とつぶやく。

全員が全員、そうではない。



そして、ハデスを倒した氷の少年はと言うと






「…ここだな」

「にしても久しぶりね~」

「ライカ……香水…臭い」

「フォレスの言う通りよ♪ライカ」

「うるさいわよ、人魚姫!」

「あら、褒め言葉として受け取っておくわ☆」

ゆえや、ライカ達ランカーも傷を負い今歩いている病院に入院していたのだが

傷が治りつい先日に退院した…何故、またこの病院にいるかと言うと

戦争を終わらせた英雄であり友でもある少年が今日、退院するのでそのお迎えに来たわけである。

「あ、ここだ」

ルーラの一言で全員、病室の前に止まった。

確かに名前の所にシュウ・ヴァルゴと書かれた物がぶら下げられていた。

「んじゃあ、恒例のあれでいくわよ」

「ていうか、あれって恒例なのか?」

「恒例にしておけ、レイ」

「そうですね。めんどくさそうですし」

レイやアーク、ライトもいささか恒例と言う事に疑問を抱いたが問うと

めんどくさそうなので彼女に従う事にした。

「じゃあ、いくわよ。せーの!」

ボコォォォォン!

全員、足を前に出してライカの合図とともに病室のドアを蹴破った。

「退院君は元気かなー!」

病室のドアが開き彼らの目に飛び込んできた光景は何とも普通の親子の光景だった。

「あ!こら、シュウ!ちゃんと寝癖は直しなさい!」

「めんどくさいから良い~」

「あ~もう!私が直すからそのまま動かないで!」

いつも通り寝癖ボンバーなシュウと母親らしく世話を焼いているイーリの姿があった。

「あ、ごめんね!少し待っててちょうだい!」

あの戦いでシュウとイーリは親子の絆を回復し、今ではイーリが

もう少しで過保護に届きそうなくらいシュウの面倒を見ていた。

「よし!これで完成!」

イーリがお湯で熱したタオルをシュウの頭から退けると綺麗に整った

白くてきれいな髪の毛が姿を現した。

なんだかんだいってゆえ達が綺麗に整っている頭の集を見るのは初めてである。

毎日、どこかしらの髪の毛が違う方向にピョコンと跳ねていた。

「うわ~シュウの髪の毛サラサラ」

「ふふ、私の子供だからね!」

イーリは胸を張って威張るものの誰一人として彼女の言っている事に耳を貸す者はいなかった。

「触って良い?」

「あ、うん。良いよ」

やはり女の子は髪の毛に注意をしているのかサラサラの髪の毛にしようとしているのだが…

「わぁ!何でナチュラルでこんなにサラサラなのよ」

ライカはシュウの白い髪の毛に指を通して櫛のようにとくと一度も

引っかかることなく終わりまで指が通った。

「いいな~」

ルーラも心底、シュウのサラサラの髪の毛を羨ましがっていた。



彼女達がシュウのサラサラヘアーを堪能すること10分、ようやく彼女達は

満足したのかシュウから離れた。

「忘れものはないわよね?」

「母さん、それは5回目」

シュウは呆れ気味にイーリに物申した。

「よし!んじゃあ、退院だ!」

シュウのその一言共に、全員病院から退出した。





「ねえ、シュウ」

「ん?何、母さん」

シュウが退院してから数日後、流石にゆえのお家にお世話に

なりっぱなしになる訳にはいかなくなりイーリとシュウは家を早速探すのだが

戦争直後の為、何かとゴタゴタしていて家を借りれず途方に暮れているところへ

突然、理事長が

『宿直室、余ってるから使っちゃいなよ』

と、二人に言ってくれ、最初は遠慮していたのだが結局、学園の

宿直室で当分は寝泊りをする事になった。

「当分、学校も復校されないから……2人で旅行に

出かけない?近くにいい場所を知ってるのよ」

「うん…それは嬉しいんだけど……やることが残ってるから」

そう言いシュウはポケットから1通の手紙を取り出してイーリに見せた。

「あ~。もしかして……ラブレター?」

「っ!」

イーリがニヤニヤしながらシュウにそう聞くとシュウは

顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いた。

「ま、まあそんなとこ」

今までそんな感情っぽいものは抱かなかったのだが戦争が終わり

入院している間、急に彼女の事を考えるようになった。

そのままずーっと考えていくうちに夢にまで出てくるほどになったので

シュウは看護婦さんに遠まわしに聞いてみると

「英雄さんも恋する少年ね」

と、言われた。

確かに彼女の事を考えるだけで胸がいっぱいになり見舞いに来た彼女を見ると

テンパってしまいうまく、会話も成り立たない事さえあった。

なんせ初めてな事なので戸惑っていた。

「ふふ、そっか~。そうよね~シュウも、もうそんな年頃だもんね」

イーリは大きく成長した我が子をまじまじと見つめ、シュウを抱きしめた。

「か、かあ」

「私の元に生まれてくれてありがと、シュウ」

そう言われ反抗する気をなくしたシュウはそのまま

イーリを受け入れて抱きしめられることにした。








少年は自らが少女に抱く想いを自覚し、その少女へと愛文を

送り指定した場所へと呼ぶ。

少年がどの人物を呼ぶかによって未来はいくつにも分岐し、そして

平行線上で一生、交わることなくまっすぐに進んでいく。

さあ、まずはそのうちの一つの扉を開けてみようじゃないか。

こんばんわ~。如何でしたか?


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