第73話 ファイナルバトル!ハデスvsランカー!
「あ、あんた誰だ」
「訳ありの理事長…かな?イーリさんをお願いね」
そういうと理事長と名乗る女性は体から魔力を放出してハデスを吹き飛ばした。
『ちっ!なんだその魔力は。感じたことのないものだ』
「当たり前じゃない。あたしが作った魔力質だから」
理事長は体中から七色に輝く魔力を放出しながらニヤついていた。
『……貴様、ユウカの娘か?いささか顔と雰囲気が似ているが』
「あら、お母様を知っているの?」
『ああ、裏切り者の名を忘れるはずがなかろう。我の妻だったものの名もな』
「っ!ハ、ハデスの妻があんたの母親?ってことはあんたは」
シュウはハデスの行ったことに驚きを隠せずに彼女に問うが彼女は
なんの感情の起伏も見せずに普通の声音でシュウに答えを言っていった。
「貴方が考えている事で合っているわ。私のお母様はハデスの妻だった。
でも、魔界の現状に失望したらしくこっちに来てあたしを生んだらしいの」
『ユウカは元気か?』
「貴方に答える義務はない!」
『っ!』
ドオオオォォォォォォォォン!
理事長がシュウの目の前から消えたかと思うと次の瞬間に物凄い爆音と
爆煙とともにハデスが盛大に吹き飛んでいった。
『むぅ!』
「さあ、味わいなさい。貴方を倒すために生み出した第7の魔力を!」
理事長は両手を前に突き出すとそこに虹色に輝く魔力を貯め、徐々に大きく
していきハデスに放った。
『こんなもの!』
ハデスは放たれたものを両手で止めようとするが勢いを
殺すことはできずそのまま引きずられ始めた。
『むぅぅぅぅ!なんだこの力は!』
「だから言ったじゃない」
『っ!』
いつの間にか両足に虹色の魔力を纏わせた理事長がハデスの後ろを取っていた。
「貴方を倒すための力だってね!」
ドオオォォォォォォン!
『ぐぅ!』
裏拳の要領で腕を振るいハデスを吹き飛ばすと今度は両手に虹色に輝く
光の刀を生み出しハデスに斬りかかっていった。
「はああぁぁ!」
シュッ!
『ちっ!なめるな!』
「はっ!」
ハデスは理事長に闇の塊をぶつけようとするが逆に虹色の輝きの塊によって
闇の塊は相殺され逆にハデスにダメージが通った。
『くぅ!何故、闇が相殺された』
「この虹色の魔力は炎、水、雷、自然、闇、無機、全ての魔力を合成した作った
闇とは対照的な位置に存在しているもの。化学の中和反応みたいなものよ。
この魔力と闇をぶつければ相殺されて消滅する」
理事長は両の掌に魔力の塊を生成しながらハデスに言っていく。
「あたしは母様に貴方を倒してほしいと託された。その使命を」
理事長は両足に魔力を纏わせてものすごい速度でハデスに近づいて行く。
「今果たす!」
理事長は二つの魔力の塊をハデスにぶつけ大爆発を起こした。
「す、すげえ!あのハデスを倒した!」
シュウは魔力を抜かれて衰弱しているゆえを看病しながら
目の前で起こっている闘いを見ていた。
「ハァ、ハァ……シュウ」
「ゆえ!大丈夫か!?」
「あ、ああ……なんとか」
ゆえの顔色は若干だがいつもの顔色に戻ってきており
荒かった呼吸も落ち着いてきていた。
「これで戦争も」
ドオオオォォォォォォォォォォ!
突如、爆煙から莫大な量の闇が空に向かって放出され一本の黒い柱となっていた。
「な、なんだ……何が起こっている」
ゆえはその圧倒的な存在感と圧力に畏怖の念を感じていた。
「な、なんで」
『ふっ……確かに初めて見た魔力で私も少し戸惑った。誇るが良い、
我が魔力を全力に等しい量まで上げたのは貴様で二人目だ』
「そ、そんなことはない!そんなことはないのよ!」
理事長は額に冷や汗を浮かべながら両手に虹色の魔力を集中させて怒涛の
連撃をハデスに加えていくがその全てがハデスの腕によって防がれてしまった。
「そ、そんな!」
『この程度か。今度はこっちから行こうか!』
ハデスは闇の魔力を全身から噴き出しながら理事長に拳を撃ちこんでいく。
「はっ!」
理事長も必死にハデスが放ってくる拳を往なしていく。
フッ!
「え、消え」
『ふん!』
バキィ!
「がっ!」
突然、ハデスが闇に包みこまれ消えたかと思うと理事長の後ろに瞬間移動して
脇腹に裏拳をぶつけ、骨が折れる音を発しながら理事長は遠くにまで殴り飛ばされた。
「げほっ!げほっ!」
理事長は痛みに顔を引きつらせ血を口から吐き出しながらも両手を前に突き出し
虹色に輝く魔力を集中させていくが
『無駄だ』
「っ!」
理事長の目の前に瞬間移動したハデスが理事長の両手を
掴んで虹色に輝く魔力を闇で喰い尽くした。
「そ、そんな……」
『確かに貴様は強い。完全覚醒していない我なら殺されていただろう。
だが、完全に覚醒した我の敵ではない。消えるが良い』
ハデスは彼女の両手を拘束しながら彼女の顔の目の前に手を置き
闇の魔力を集めていき球体に作っていく。
『死ぬが良い』
闇の魔力が彼女に放たれようとした瞬間!
「「止めろぉぉぉぉ!!!!!!」」
『ぬぅ!』
突然、刀をもったゆえとシュウがハデスに突撃していき理事長から切り離した。
「この人は殺させない!」
「シュウの言う通りだ!私達の理事長を殺したいのならば
まずはその理事長の生徒である私たちを殺せ!」
『はっ!所詮、16に満たないガキが何を言うかと思えば。
立った二人で我に勝てるとでも』
「二人じゃないぜ!」
ドオオォォォォォォォォン!!
突然、上から声がしたかと思うとハデスに鉄球が撃ちつけられ地面に大きな穴を開けた。
「レイ!」
「俺だけじゃないぜ」
レイが指さしている後ろを振り向くとそこには
シルバロンのランカー達がこちらに歩いて来ていた。
「みんな!」
「あんた達だけに良いかっこはさせないんだからね」
「ハハ、ライカの言う通りよ☆」
ハデスの目の前に総勢10人の若者が一列に並び対峙した。
「シュウ!解呪法が見つかった!」
「……そうか……でも、それはハデスを倒してからで」
「で、でも」
ルーラは今すぐにでもシュウの呪いを解呪したかったのだがシュウの
表情を見て言うに言えなかった。
「大丈夫、絶対に俺は死なない」
「……ん」
「イーリさん、気がつかれましたか?」
ハデスに戦意を折られた理事長は傷つき倒れているイーリの治療に当たっていた。
「ハ……ハデスは」
理事長は微笑みながら目の前を向き、イーリもそれにつられて目の前を向いた。
「っ!」
彼女の目の前にはそれぞれの属性のランカー達がハデスに対峙していた。
彼女はすでにこの光景を一度体験している。
(……そっか……もう私達の役目は終わったのね)
イーリは目の前の光景を見てそう実感した。
『貴様たちが我を倒すと?』
「ああ、そうだ。ハデス、この地上をお前にそうやすやすと
渡すわけにはいかない。この地上は俺たち人間が護る!皆!行くぞ!」
『おう!』
全員、各々の魔法をその手に宿しハデスに飛びかかっていった。
この時代を担う若者たちの本当に本当の最後の試練が始まった。
こんばんわ!や~やっとここまで書けました。
これから毎日更新してこの作品を終わらせ受験に
臨みたいと思います!それでは!