第71話 人魚と影が薄い最強と
『やっはぁぁぁぁぁぁ!』
ボオォォォォォ!
「くっ!」
炎の獣となったエースの口からは火炎放射機の様に炎が凄まじい勢いで吐き出され
ラナに向かって伸びていった。
「こんの!」
ラナは負けじと水を生成し両手に水の球体を二つ作りだしエースにぶつけていくが
エースの近くに行った瞬間に水が一瞬にして蒸発した。
『なんなの?このおふざけみたいなものは!』
エースが口をばっくりと開けると口から小型の火球が勢いよく連射され
ラナの周りで爆発し炎の壁を円状に作り出しラナを閉じ込めた。
『アハハハハ!さあ、止めだ!』
エースが空を仰ぐように腕を広く広げると彼女の頭上に巨大すぎる火球が
生成されていき辺りに生えていたペンペン草が一気に燃え始めた。
『これを受けて生きた奴はいないよ!死にな!』
ドオオォォォォォォォォン!
円状に生成された炎の壁の上からかぶさるように巨大すぎる火球が
蓋をするような感じで繋がり大爆発を起こした。
「ふふ☆」
エースは炎の獣の姿を解き、円状に広げた炎を消しラナの焼死体を
確認しようとするが囲まれていた部分には何もなかった。
「ねえ、知ってるかしら?人間てあまりの高温の炎に焼かれると
一瞬にしてどろどろに溶けちゃうんだって☆」
エースは楽しそうに笑いながらドロドロになったであろうラナを想像していた。
エースが踵を返そうとした時べチャッと何かを踏んだ音が聞こえ
下を向くと土が水によって水分を吸収し泥になっていた。
「あらあら、汚い」
エースは何も思わずにその場を離れようとした瞬間
ボチャッ!
「がびゃ!」
エースは一瞬にして地面に引きずり込まれて姿を消した。
「ッッッッッ????」
エースは目の前の景色に驚きを隠せなかった。
引きずり込まれた場所は地面の下であるにも関わらずに水で満たされていて
呼吸することは不可能だった。
『は~い、どうかしら?このウォーターワールドは』
エースの目の前に足が人魚のヒレに変化しているラナの姿が現れた。
『驚いた顔してるわね。私は人魚族の長よ?ていうよりも知らないんだっけ。
人魚はね15を超えると尾ひれが二つに分かれて人間の様に陸に上がり生活ができる
神秘の種族よ☆もちろん水の中でも呼吸は出来るわ』
「ッッッッッッ!!!!」
エースは息が出来ずに苦しいのか上に上がろうとする。
『させないわ☆』
ラナがエースの両足を掴んで下に力を加え彼女を水の中へと沈ませる。
「っっっっっ!」
エースは必死に足を動かしてラナの手を離そうとするが一向に離れなかった。
『さあてとさっきのお返しよ!』
ラナは彼女の両足を持ちながら振り回してそこの方へと投げると
人間とは比べ物にならないほどの速さで泳ぎだしエースを攻撃し始めた。
「ッッッッッッ!!」
水圧で思うように動けないエースは水を一気に蒸発させようと思ったのか
炎を手に灯そうとするが水中で火が点火できる筈もなく一瞬にして消えた。
『さあ、止めよ☆』
ラナは手を交差させると交点を中心に渦が出来ていき大きな渦をラナが
手に持っている様な絵面が完成した。
『貫くけ!』
ラナは手に持っている渦をエースの至近距離で開放すると彼女の体を
渦が貫き水が赤色に染まった。
バシャッ!
ラナは地面からエースを担いで出てきて既に亡骸となっている彼女を地面に置いた。
「残念だけど私の友達は傷つけさせない」
意志がこもった力強い一言だった。
「……お前が」
シュウとイーリの目の前には魔族の長であるハデスが悠々と黒い椅子に座り
足を組んで2人を見つめていた。
「久しぶりねハデス」
「ああ、久しいな。忌々しい存在、イーリ・ヴァルゴ」
「知ってるのか母さん!?」
シュウは母親が魔族の長であるハデスと知り合いであることに驚きを隠せなかった。
「ええ、昔の戦争でこいつを封印したのは私だから。
その後にシュウ、貴方を産んだのよ」
「ほう、そいつが貴様のせがれか。氷の魔法を受け継ぐとしたらそれもそうだな」
「まさか生きている間に貴方にもう一度会うなんてね」
ハデスとイーリは終始余裕の表情を見せているがシュウはハデスの
圧倒的ともいえるプレッシャーに押されかけていた。
「それよりも私の魔力を持っているあの赤髪はどうした」
「……悪いけど魔力は渡さないから。シュウ、少し下がっていなさい」
イーリの指示にシュウは潔く従い2人から数歩後ろに下がった。
そして、次の瞬間に2人は同時に動き出し拳と拳がぶつかり合い辺りを
衝撃波が襲い地面を大きく抉った。
「「喰らえ!」」
双子の使徒からの同時攻撃をアークは鎖を生成して振り回し打ち消すと
右手に雷の魔法、左手に水の魔法を使いそれぞれ龍を作り出し双子にぶつけた。
ドオオォォォォォォォン!
二つの龍は大爆発を起こすが双子の使徒はほとんど傷がなかった。
「「お兄さんやるねえ」」
「これでもこの国の最強だからな」
「「そう言うのを自意識過剰って言うんだよ!」」
双子は同時にアークに殴りかかるが拳が届くよりも早くにアークの
炎を纏った拳で顔面に殴りつけられて殴り飛ばされた。
「「アッツゥゥゥゥゥゥゥゥ!」」
余りの暑さと痛みに双子は地面にのたうち回り始めた。
「早くしろよ。時間がもったいないんだ」
「ねえ……」
すると双子はぼそぼそと何かを相談し始めた。
「…そうだね。あれやっちゃおうか」
「作戦会議はお終いか?」
「「うん、君を殺す会議は終わったから。行くよ!」」
双子がお互いの手を合わせた瞬間に手から2人をすっぽりと覆うくらいの
闇が溢れ出してきて2人を包み込んだ。
「………」
『僕はアルバロ』
アークはその様子を警戒しながら見つめる中2人を包んでいた闇が辺りにぶちまかれ
一つの存在が闇の中から生まれた。
その容姿は腰に届くほどにまで伸びた金髪、口には鋭い牙が
いくつも並んでいた。
『喰らえ!』
一つの存在となった双子の目にもとまらぬ速さの拳にアークは
反応できなかったのかそのまま殴り飛ばされた。
『アハハハハ!どうだ!お前は最強なんかじゃないんだよ!』
「…そうか……最強には最強たる理由がある…それを見せてやる」
アークはぶつぶつと呟きながら立ちあがった。
「バースト」
力強い言葉とともに辺りに凄まじい魔力の暴風が吹き荒れ敵味方問わずに
その風によって遠くの方に吹き飛ばされてしまった。
『くぅぅ!な、何が起きてる!』
風が収まると目の前に5つの球体を浮かばせたアークが立っていた。
『い、いつのま』
「ふん!」
バキィィ!
アルバロが反応するよりも遥かに早くにアークの拳が振りぬかれて殴りとばした。
『ぐぅ!こんなもの!』
「遅い」
『ガッ!』
アルバロが起き上がった瞬間に雷を纏った右足と炎を纏った左足の連続攻撃を
顔面に喰らいふら付いた。
『くぅ!』
ボコォ!
『な、なんだこれは!』
地面から太いツタが伸びてアルバロの両腕を縛り上げると腹部に
先端が巨大な鉄球をつけた鎖が直撃した。
『がっ!』
「発火」
ボォォン!
鉄球がいきなり爆発してドロドロに溶けた鉄がアルバロの体に付着した。
『ギャァァァ!熱い!熱い熱い!』
アルバロはあまりの熱さと痛みに地面をのたうち回った。
『な、何なんだお前は!』
「ん?地味で影薄の最強のバーストだ。理事長の様に魔族の血を
俺は引き継いでないから闇は使えない。よって理事長の様に第8の
魔法は使えない…が、その亜種とでも思えばいい」
すると5つの球体が集まりだして1つの球体へと姿を変えた。
「終わりだ」
『ひぃ!』
合わさった球体をアルバロの腹部にぶつけた瞬間球体が弾け飛んで
アルバロは塵ひとつ残らずに消え去った。
「ま、ざっとこんなもんだ」
こんばんわ~。ケンです。
最近、「人類は衰退しました」って言うアニメにハマっちゃいました。
あのOPいいですよね~。
それでは!