第70話 地味で影薄な最強
「あぁもう!」
ルイカは無差別に放たれてくる闇に手を焼いていた。
どれだけ避けようとも闇がルイカを追いかけていき逃げれば逃げるほど
周りにいる味方までもが闇に喰われてしまう。
「アハハハハハ!そんな逃げ腰で僕に勝てるとでも!?」
(……嫌だけど…あれに任せますか)
ルイカは心の中でそう決心すると動きを止めた。
「あり?どうかしたの?」
「ええ…知ってる?ヴァンパイアってね、いつもあるものを押さえてるの」
「あるもの?」
「ええ……本能よ」
「本能?」
ユウヤは首をかしげて不思議そうにしていた。
「あまりエレガントじゃないからしたくはなかったんだけど…
本能に任せてあんたを……食べるから」
「ッ!」
ザシュッ!
「う、腕が!」
ユウヤは何かを感じて闇を楯にしようとするがそれよりも前に
右腕が鮮血を噴き出して切断されてしまった。
ユウヤは慌てて闇に傷口を喰わせて止血するがちぎれた腕は戻せない。
後ろには鋭い爪についた真っ赤な鮮血を美味しそうに舐めているルイカがいた。
「ウガァ!」
「うわっ!」
ユウヤが向かってくるルイカの攻撃を避けると地面に大きな穴があいた。
「気持ち悪いよ!」
ユウヤは闇をルイカに放つがルイカは避けようとせず直撃し両腕が闇によって喰われてしまった。
「ア、ハハ!どう!?喰われた痛みは!?」
「ウガァァ!」
ガブシュッ!
「ッッッッッ!」
ルイカは無くなった腕など気にも留めずにユウヤに左腕に噛みついて血を吸い始めた。
「は、離せ!離せ!」
ユウヤはルイカに闇を放って喰わせるが一向に彼女は離そうとせず
足が喰われ、腹が喰われていき遂には首だけになっても離そうとしなかった。
「こんの!」
思いっきり腕を振るうと首だけになったルイカがようやく離れた。
「ハ、ハハハ。死んじゃったね。いくらヴァンパイアでも首だけになったら
流石に動かないよね?……バイバイ、ヴァンパイアのお姉ちゃん」
ユウヤがルイカに背を向けて帰ろうとした瞬間だった。
ガブシュッ!
「え?」
首筋に鋭い痛みが走った。
横目で首のあたりを見るとそこには首だけになったルイカがユウヤの
首筋にキバを突き立てて血液をチューチューとすっていた。
「そ、そ…んな……なんで生きてる…の?」
体に存在していた全ての血液を吸い尽くされたユウヤは全身が真っ白になって
膝をガタガタいわせながら地面に倒れ伏した。
「ふぅ、ごちそうさん」
後ろには首以外の箇所もすでに回復しているルイカが立っていた。
「ヴァンパイアってね同族の攻撃を受けるか、もしくは心臓を
貫けば殺せるっていう噂があるんだけどあんなのただのオカルトよ。
ヴァンパイアを殺すには頭を貫いて心臓も貫かなきゃね」
ルイカは口の周りについた血液を舌でなめとると美味しそうな表情をした。
「フフ、貴方の血液。美味しかったわよ、坊や。ご馳走様」
「はぁ!」
水と炎がぶつかり合い辺りに水蒸気を発生させてお互いの視界を潰す。
「やるぅ!☆」
「ふふ☆!」
しかし、視界が見えない中でも2人は位置が分かっているのかひたすら
火球を、水の球をぶつけあっていく。
辺りの地面は水分を吸収しビチャビチャになっていた。
(喰らっちゃいな☆)
エースは水蒸気に隠れて腕を弓の代わりにして炎の矢を生成して弾き絞って
矢を放つが既にそこにはラナはいなかった。
「あら?」
エースはわざとらしく辺りを見回しながら腕に炎を纏わせて
上に向けてラナの拳を防いだ。
「やるぅ~」
「そっちも」
ラナは一旦エースから距離を取った。
「貴方と闘ってるのもなかなか面白いんだけどハデス様からは
あの氷野郎たちを殺せって言われてるから☆燃やしつくすね☆」
エースが不敵な笑みを浮かべた途端、彼女の周りに炎が集まってきた。
「燃やしつくすんだからぁぁぁ!」
そう叫ぶと炎が彼女を包み込んだ。
「…なんなの?」
ラナが警戒しながら監視していると炎の中から一体の炎に包まれた獣が現れた。
「もしかして、バースト?」
『あんたらみたいなバーストと一緒にするな!』
炎の獣が口を大きく開けて炎を噴射させ、ラナも大量の水を炎にぶつけるが
一瞬にして水が蒸発しラナに向かって炎が向かってきた。
「ッ!」
慌てて横にかわすと炎はそのまま直進して遠くの方で戦っていた
兵士たちを巻き込み大爆発を起こした。
『どんどん行くんだからぁぁぁ!』
先を急ぐシュウとイーリだが目の前に2人の12使徒が行く手を阻んでいた。
「「ここから先は行かせないよ」」
話すタイミングも言葉もまるっきり一緒で2人は双子に感じられた。
「もしかして双子?」
「「正解。僕たちはハデス様の忠実な僕だ!」」
2人がシュウとイーリに襲いかかろうとした瞬間2人に鎖が巻きつき
遠くへと投げ飛ばした。
「お前達はハデスの元に行け」
「ア、アーク!?」
「よっ」
2人の目の前にカラフルな色の髪色を持ちシルバロン最強の少年、アークがいた。
「すでに12使徒は全員見つけてランカーが相手をしている。
もうお前たちに使徒が当たることはない」
説明しているアークに向かって闇の巨大な腕が襲い掛かるがアークは
鎖の先を鋭利なものに変化させて腕を突き刺した。
「何をしている」
「…いや、会うのは久々だと思って」
「……影は薄いのは自覚しているさ」
「いや、別にそんなこと」
「はぁ~。主人公は良いな、光があたらないことがないんだから。
どうせ俺なんか最強って言われてるのにほとんどシュウが敵を倒してるから
最近理事長にも」
「ア、アーク?」
アークは辺りにどんよりとしたオーラを醸し出しながらぶつぶつ呟いていた。
「シュウ、彼に任せていくわよ」
「あ、ああ」
シュウはイーリに言われて2人の取り巻きとともに先を急いだ。
「「誰だ貴様は」」
「ん?影が薄い最強だ」
双子が手を軽く振った瞬間地面からアークに向かって無数の闇の腕が
襲いかかるがそれらは彼に当たる前に雷で破壊された。
「来いよ、双子ボーイ。最強の力を見せてやる」
「「じゃあ、僕たちは自意識過剰を教えてやろう」」
最強VS双子が始まった。
こんばっぱ~。
最近腰の痛みが再発してきたケンで~す。
腰の痛みって嫌だね(泣)
最近夜中に寝てると部屋で物音がしてるんだよね~
カタッ!とかガタッ!とか。
そんでイヤホンから音楽が漏れているような音もするんですよ~
まじ泣きたい!