第69話 bigin the war
雲が一切見えない快晴のもと、戦争は始まろうとしていた。
長をハデスとする魔族軍。そして最強の魔法使い、ブリュンヒルデと謳われる
シルバロン理事長、ユウヒを長とする人間軍。
両軍の接触は近い。
ユウヒは手を静かに上げると射撃隊が構える。
そして
「撃て!」
その言葉とともに一斉に凄まじい数の魔法が魔王軍が進んでいる方向へと
放たれたがそれと同時に向こうからも闇の魔法が凄まじい数放たれ空中で
接触し大爆発を起こした。
両軍それをゴングとし一斉に進軍し魔族軍とぶつかった。
「やれぇぇぇぇ!魔族軍を討て!」
誰が言うと決められたわけではないがそれを言い放ち
剣と剣、魔法と魔法がぶつかり合い鮮血が飛び屍が次々と生まれていく。
そのなかにシュウとイーリはいた。
「はぁぁ!」
両者ともに刀を振るいかかってくる魔族を斬り伏せていた。
「ぎゃぁ!」
そんな悲鳴が聞こえその方向に目をやるとそこにはそこらの魔族とは遥かに
上の力を持った者がいた。
「見~つけた☆ハデス様に言われた殺す対象者☆」
その容姿は戦場にはあってはならない幼い風貌をした少年だった。
「誰だ」
「僕?僕は闇の12使徒のユウヤ。よろしく☆」
ユウヤの掌から闇が溢れ出し傍にあった兵士の屍を喰らい魔力を増幅させた。
「君たちもすぐに喰ってやるからさぁぁぁぁ!」
ユウヤが二人に飛びかかった瞬間に横から猫を肩に乗せた女性が少年を蹴とばした。
「先に行っちゃいな☆親子」
「ルイカ先生!」
「あらあら、まさかヴァンパイアクイーンがここにいるとわね」
「うっさいわね、さっさと行きなさい!」
「シュウ、先を急ぎましょう」
「…了解」
2人はハデスのもとへと行くべく先を急いだ。
「さ~て、坊や。始めましょうか」
「ねえ、お姉ちゃん強い?」
ユウヤの全身から闇が溢れ出し刀やら屍やらを吸収し魔力を増大させた。
「ええ、すっごーく強いわよ?」
ルイカと肩に乗っていた猫が光り輝き一体となった。
『気付かないくらいにね』
ルイカが高速で動いた瞬間ユウヤの方から鮮血が飛び出した。
「イッターーイ。血がいっぱいだ~」
ユウヤはふざけた声音で傷口を闇で塞ぐとあっという間に傷が無くなってしまった。
「くふっ!こんな傷なんか意味ないんだよぉぉぉぉぉぉ!!」
ユウヤはそう叫びながら闇でルイカを喰らおうと彼女に向けるが
ルイカも高速で移動しその闇を避けていく。
「アハハハハハ★超楽しいぃぃぃぃぃぃぃ!」
(…狂ってるわね)
ユウヤの狂喜に満ちた表情を見ながらルイカは顔をしかめた。
闇が地面に直撃すると地面に何かに喰われたような穴があいた。
「そらぁ!」
「うぎゃ~」
ルイカは急に方向転換して死角からユウヤを鋭くとがった爪で切るが
また闇が傷口を食べて綺麗さっぱりに消え去った。
(あの闇うざいったらありゃしない)
「お姉さん強いみたいだから……やってもいいよね?」
(ッ!)
ルイカの背筋が凍りついた。
その瞬間ユウヤの全身から凄まじい量の闇が放出され辺りにいた
兵士を敵味方関係なくその闇に引きずり込んでいった。
『グオオォォォォォ!』
巨大な魔獣がシュウとイーリを踏みつぶそうとするがその足が
一瞬にしてサイコロステーキの様に切り刻まれ魔獣は痛みに絶叫した。
「あの傷じゃ立てないでしょう。先に行くわよシュウ!」
「了解!」
2人が先に行こうとした瞬間地面から何本もの火柱が立ち上がり二人を邪魔した。
「な、なんなの!?」
「はぁ~い。こっから先は行かせないわよ☆」
目の前に真っ赤な髪色、真っ赤な瞳をした女性が2人の前に立ちはだかった。
「闇の十二使徒のエースちゃんでーす☆」
「「………」」
「いやぁぁーん!!無視しないでよぉぉ!」
2人はあまりのハイテンションに一瞬固まってしまった。
「退いてくれないか?」
「ん~お姉さんと結婚してくれるなら退いてあ・げ・る☆」
「なっ!」
シュウは戦場にいながら一瞬にして顔を赤くしてしまった。
「シュウ!」
「イタタタタ!す、すみません!」
イーリはその瞬間を見逃さずにシュウの頬を抓った。
「ん~親子の様子はうざいから燃え尽きちゃえぇぇ!」
エースが二人に大きな火球を放った瞬間その火球に大量の水がぶつけられ
一気に鎮火してしまった。
「誰よ」
「はぁ~い。炎には水だよね~」
「ラ、ラナ!」
そこには最近判明した何人かの取り巻きを従えたお姫様のラナがいた。
「お2人さんは先に行っちゃいな☆。イルマ、テルマ。
2人の警護につきなさい。ハデスにたどり着くまで無駄な労力を消費させないために」
「「了解いたしました!」」
2人の取り巻きに守られながらシュウとイーリはハデスのもとへと向かう。
「させるとでも☆?」
「こっちの台詞よ」
エースが二人に火球をぶつけようとするが直接水をぶっかけられて
びしょびしょになったと同時に炎の魔法も消えてしまった。
「あ~あ、お気に入りの服だったのに☆…燃え尽きちゃう?」
「あら☆だったら貴方、陸で溺死なんていう珍しい死因で死んでみる?」
相反する魔法を持つ二人の間に妙な火花が散った。
こんばんわ~。もうダッシュで完結まで走るマジックワールドです。
受験生なのにまだ勉強はほぼしていない……少しづつ始めましょう。
それでは!!!




