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第66話 親子の衝突

理事長から告げられた事実に集はおろかランカー全員が驚いていた。

「シュウ!ずっと会いたかった!!大きくなったわね!!」

イーリはさっきから嬉しそうに顔を緩めながら

シュウを抱きしめて彼の頭を撫でていた。

「お、俺がこの人の子供?」

「ええ、そうよ。貴方は正真正銘私の息子よ。シュウ」

「ひとまず詳しい話は中でしよう」

理事長は全員をさっきまで使っていた会議室にフィーリと

ルイカも呼んで防音用の魔法壁を何重にも重ねて張り巡らせた。

「ありがと、ユウヒちゃん」

「いえ、礼には及びません」

いつもは上から目線気味の理事長が敬語を使う事に集はかなり驚いていた。

「さて、じゃあ何から説明してほしい?」

「え、えっとあんたは本当に僕の母親なんですか?」

シュウがそう言うとイーリは笑顔を浮かべた。

「ええ、勿論。貴方は私が愛して止まない息子よ」

そう言われたことに若干シュウは顔を赤くして恥ずかしそうにした。

「何で今まで…というかさっきまでハデスの所にいたんだよ」

「今から30年前に起こった戦争が終結してから私は普通の女性に戻ったわ。

愛する人を見つけて結婚もしたし子供…つまり貴方を生んだ。でも、ハデスの

軍の残党が一気に私がいる村に押し寄せてきたのよ。その時は私は貴方を産んでから

数日後だったから本調子が出せないまま捕えられて闇の魔法かなんかで洗脳されたの」

イーリは面白くないのか足を組んで話していた。



「じゃあ、私からも良いか」

「ええ、良いわよ」

ゆえは立ち上がってイーリに質問し始めた。

「私は魔界に行ってあそこの書物庫で過去の記録を見た。

そこには貴方の息子であるシュウ…そして異世界の子供である

桜ゆえが交換された…これは本当か」

「あらあら、よく調べたわね。いい子いい子」

ゆえはイーリに頭を撫でられて一気に感情を爆発させて

イーリに刀の刃先を首筋につけた。

「答えろ!!!」

「……貴方程度じゃ私には勝てないわよ?」

「っ!!!!」

イーリの雰囲気が重苦しいものに変わりゆえは恐怖を感じて

慌ててイーリから離れようとするが既に辺りは宙に浮いている

氷柱で包囲されていた。

「ほら、座った座った」

ゆえはイーリに言われて渋々座席に座った。

「イ、イーリさん。ゆえが異世界人ていうのは」

ライカがそう聞くとイーリは椅子に座り真剣な面持ちで話し始めた。

「さっきも言ったとおり私は魔族の残党に追い詰められたの。

その時に彼らは必ず私の子供を探す。絶対にシュウは…シュウだけは

殺されたくなかった。だから私はイクスチェンジを使用した」

イクスチェンジという聞いたこともない魔法の名前にシュウ達は

頭に疑問符を浮かべていたがルイカや理事長、フィーリは分かっているようだった。

「イクスチェンジというのは物質の位置を入れ替えることができる魔法。

しかし、そんな途方もなく遠い異世界につながるはずは」

「ん~まあ偶然にも繋がったのよ。そして私は

シュウを異世界に送り代わりに」

「私が来たという訳か」

「ええ」

ゆえはイーリの話の最中ずっと今にも斬りかかりそうな感情を

抑えていたがもう我慢の限界だった。


「ふざけるな!!そんなものはただのエゴだ!!」

ゆえは刀を抜き刀身に炎を纏わせてイーリに

斬りかかるがイーリは全く避けようとはしなかった。

思わずゆえは刀を止めてしまった。

「な、何故避けない」

「…貴方の言う通りだからよ。私はシュウを護りたいという自分勝手な

気持で貴方を元の世界からこちらへ呼び寄せてしまった…申し訳ないと思っているわ」

イーリはゆえに深々と頭を下げた。

「………っくそ!!」

「ゆえ!!」

ゆえはどうしていいか分からなくなり会議室から走り去ってしまった。

その後をシュウも追いかけていった。





シュウは今ゆえの部屋の前にいた。

さっきからずっと呼んでいるが一向に部屋から顔を出そうとはしなかった。

「ねえ、シュウ君」

「ユイさん」

部屋の前で待っているとゆえの母親であるユイがやってきた。

「少しいいかしら」

「え、あ、はい」

シュウはユイに連れられて一回の居間まで下りてテーブルの椅子に座った。

「話したい事があるの」

「……はい」

「ゆえちゃんはね……私の本当の子供じゃないの」

その話は既に聞いている。

ゆえとシュウが入れ替わりで転移されたという風にイーリから先程聞いた。

「ある日にね赤ちゃんの泣き声が聞こえてきてそっちの方に行くと

まだ生まれて間もない様な赤ちゃんがいたの」

「それがゆえ…ですか?」

「ええ……その時私は神様からの送りもだと思ったわ」

「え?」

ユイの言っている事にシュウは理解できなかった。

「私はね…昔にちょっと病気しちゃって子宮がないの。

もうずっと子供は無理だって言われてて…でも、どうしてもあの人との

子供が欲しかった。その矢先にゆえちゃんを見つけたの」

ユイは目に涙をためて続きを話し始めた。

「いけないことだっていうのは分かってたの。でも、

泣いているゆえちゃんを見ているとどうしても放っておけなくて」

「それで、ゆえを自らの娘と言っていたんですね?」

シュウの問いにユイは何も言わずに頷くが一つシュウの中に

疑問が浮かび上がった。

「じゃ、じゃあの桜ゆえっていう名前は」

「あの子が喋れるようになったころかしらね。

突然桜ゆえっていう名前を連呼し始めたの」

{桜ゆえという名前が向こうでの}

ガタン!!

その時ドアの方から物音が聞こえた。



「ゆ、ゆえか?」

「な、なんで……なんで今まで黙ってたんだ!!」

ゆえはユイに向かって怒鳴り散らし始めた。

「何で教えてくれなかったんだ!!私があなたの娘じゃないって事を!!」

「そ、それは……」

「もういい!!何も信じられない……貴方は私の母親じゃない!!」

パチィィィン!!!

その言葉をゆえが言った瞬間ユイは彼女の頬を思いっきりぶった。

止めようとしたシュウはその光景を見て動きを止めた。

「っ!!!」

「ゆえ!!」

ゆえは頬を赤くしてそのまま外へと飛び出していった。

「シュウ君!行かなくていい!!」

「でも!!」

シュウがゆえの所へ行こうとするとユイが大きな声をあげて彼を止めた。

「もう……いいのよ」

「それでも今までゆえを育ててきたんですか!?」

シュウはユイの今の状態に激昂した。

「例え本当の子供じゃなくても!今まで16年間も育ててきたんでしょう!!

もう貴方の娘と何ら変わりないじゃないですか!!!」

「私は!!!……あの子をお腹を痛めて生んだわけじゃないのよ!」

「そんなの関係ありませんよ!!例えお腹を痛めて産んだわけじゃなくても!

養子だとしても愛を注ぎ込んでいる時点でもう貴方はゆえのお母さんなんですよ!!」

シュウは自分の言いたかったことを全部吐き出すとゆえの後を追うために

リッタとともに外へと飛び出していった。

それと入れ違いでユイの夫である男性が入ってきた。

「ユイ……あの事を」

「貴方……私はどうしたらいいんですか」


こんばんわ~今日で期末も終わったぜ!!

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