第54話 さらわれる集、そして救うための戦い
現在、集とルイカは地下特訓場で獣人化の特訓をしていた。
あれから3日、経ったが一向に集は髪の毛が伸びてしまっていた。
「ん~なんでかしらね~。持続時間は大幅に伸びてるのにね~」
ルイカの言うとおり集の獣人化の持続時間は大幅に伸びており
30分しか持たなかったのが24時間以上維持できるようになっていた。
しかし、一向に髪の毛だけは伸びてしまう。
「何ででしょうね」
「ミーたんもリッタも何か知らないかしら?」
ルイカがリッタとミーたんに聞いてみるが二匹とも知らないという。
すると突然、鍛錬場の空間に闇の穴があいた。
「な、何この嫌な感覚」
するとその闇の穴から黒い魔女の様な服を着た女性が現れた。
「誰だお前!!」
「……貴方が如月集、氷の使用者」
その言葉を聞いた瞬間、集はその女性から
距離を取り獣人化をして刀を抜いた。
「何もんだお前!!」
「私はフィーリス、マスターハデスに使える者」
「マスターハデス?誰だそいつ」
「マスターハデスっていうのは魔族の頂点に立つ
最強の存在。その強さは規格外で一人でいとも簡単に
国一つを滅ぼすと言われてるわ」
「そ、そんなに」
「でも30年前の戦争で封印されたはずだけど」
「そんな事はどうでも良い。私が用があるのは」
すると女性はその場から消え集の目の前にいきなり現れた。
「な、み、見えなかった」
「くそ!!」
集はフィーリスに斬りかかるがフィーリスは
それをかわし腕に闇を纏わすと集にボディブローを入れた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「如月君!!!」
ルイカは獣人化をして高速でフィーリスに近づき
集を助けようとしたがフィーリスは気を失った集を
担ぐとルイカの攻撃をかわし距離を取った。
すると異変を感じ取ったのか理事長やランカー達が
地下鍛錬場にやってきた。
「貴様!!何者だ!!」
「貴方に言う必要はないわ。ブリュンヒルデ、用は済んだ。帰らしてもらう」
フィーリスは再び闇の穴を開けるとそこに入っていった。
「集!!!!!」
ゆえは急いで翼を生成して集の手をつかもうとしたが
もう少しという所で完全に闇の穴が閉じ集もフィーリスも消え去った。
「集ーーーーーーーーー!!!!!!」
その後、ランカーとルイカは理事長の招集を受けて理事長室にいた。
「今の状況はかなりまずい。如月君が悪魔側に連れ去られたとみていいだろう」
理事長室には重苦しい空気が充満していた。
「じゃあ、魔界に行ったのですか?」
ライトが質問すると理事長は、そうだと言ったまま
何も言わなくなった。
「じゃあ、助けに行きましょう!!!」
「それが出来ないんだ、桜さん」
「ど、どうしてですか!!」
「魔界に行く事は女王により禁止されている」
フォレスが久々に文で話し始めた。この国ではというより
たいがいの国では魔界に行く事は余程の事がない限り禁止されており
違反すると国外追放すらもあり得る。
「フォレスさんの言う通りだ。今から女王様に
連絡を取る、その間に行こうとするなよ。あ、それと
魔界に繋がる扉は魔族にしか開けれんから注意しろ」
ゆえは校舎の裏手にある庭園で一人で座っていた。
首には以前デートに行った際に集が買ってくれたネックレスがつけてあった。
「集……私は」
「つれない顔してるわね~」
「ライカか、なんの用だ」
「あんたの事だから大好きな集が連れ去られて
めそめそと泣いてるんじゃないかと思って見に来たのよ」
「なんだと」
ゆえはライカの言葉にいらついたのか
ライカをにらみながら立ち上がった。
「だってそうじゃない。隣に集がいたら機嫌良いし
いなくなったら不機嫌になるし、あんた弱くなったわね」
「ライカ!!!!!!」
ゆえは完全に頭に血が上り刀を抜くと
ライカの首筋に切っ先を当てた。
「……何故避けない」
「あんたが斬らないって思ってたから。な~んだ、
弱いどころか強くなってるじゃない。安心したわ」
「なんでこんな事をしたんだ」
「あんたの意思を確認する為よ、あんたは集を助けに魔界に行く覚悟はある?」
「そんな当たり前の事は聞くな、あるに決まっている」
「そう、だったら行きましょ。既に皆には連絡済みよ」
すると後ろにはルーラ達、皆が立っていた。
「大好きな人を失うよりは今の地位を捨てる方がましよね。ゆえ」
「ああ、当たり前だ!!!!」
ゆえ達は準備を整える為に明日の早朝に学校の庭園に集合する事となった。
「ただいま……」
「あ、お帰り、あら、集君は?」
「お母さん、聞いてほしい事があるの」
ゆえは今日起きた事をそのまま母に伝えた。
集が魔界に連れ去られた事、そして明日の朝に魔界に行くことを、
母はそれを何も言わずに時折頷きながら聞いていた。
「そう、じゃあゆえちゃんは助けに行くのね」
「うん……」
「ふふ、反対はしないわ」
「え?」
ゆえはてっきり母が反対するものだと考えていたが
あっさりと助けに行くのを了承したので驚いていた。
「でもこれだけは約束して頂戴、必ず生きて二人で
戻って来て、お母さん待ってるから」
「うん、分かった。ありがとう、お母さん」
その頃、魔界では……
「こいつが氷の使用者か」
「はい、マスターハデス」
二人の目の前には生命維持に必要な分の魔力以外を
吸収しきりの様に噴き出す手錠をかけられ
気を失っている集がいた。
「こ奴にしか、わしの封印は解けないという訳か」
「はい、氷の封印術を解ける者は氷の使用者のみです」
「ふん、ではわしの完全復活も近いという訳か」
「はい」
「それは楽しみだ」
翌日、まだ人々が眠っている時間帯にゆえ達はいた。
「これで全員そろったわね、行きましょうか」
「待ちなさい」
すると後ろから声が聞こえたので振り向いてみると
そこにはフィーリを含む教師達が立っていた。
「貴方達を今、魔界に行かす訳にはいかないわ」
「先生、今日だけは反抗します」
「は~。良いの?そんな事をしたら今まで必死に頑張って
得た物が全て崩れちゃうのよ?」
「……確かに崩れるでしょうね、でも友達を、
好きな人を失うよりかは比べられないほどマシです!!!」
「そう……なら仕方ないわね、行きなさい」
フィーリがそう言うと他の教師達は驚き始めた。
「な、何を言ってるのフィーリ!!私達は彼女たちを
止めるように理事長に言われたのよ!!」
「ええそうね、アル。でも私達が理事長に言われたのは
彼女達が私達を倒してまで進もうとしたら止めろと言われただけ」
「ありがとうございます!!フィーリ先生!!」
ゆえはフィーリにお礼を言うとルーラが開けた
魔界へと繋がる扉へと入っていった。
彼らは友を、そして想っている少年を助けに
行くために魔界へと向かっていった。
こんばんわ!!お久しぶりっす!!
パソコンのメルアドを変えたら学校でなろうが開けなくなった。
今は家のパソコンでWindowsが記憶してあるのでしか
開けなくなっちゃました~(泣)
それでは!!!!!!