第48話 のほほ~ん
無事に警護も終了し元の生活に戻った集達だったが
今はかなり暇な時期だった。今は10月、行事が目白押しとはいえ
そんなに多くあるわけではない。今は定期考査も今年はもう無いし
生徒達はのほほんとした生活を送っていた。勉学に励む者、鍛錬に励む者
恋人と共に過ごす者や猫とじゃれ合う者など十人十色だった。
しかし、そんなのほほんとした時期に事件が起きた。それは……
「集~今日、暇でしょ~遊びに行きましょうよ~」
いつもの如く集はライカに腕に抱きつかれていたが
一人メンバーが増えてしまっていた。それは……
「集は私と遊ぶんだよね?」
「何でルーラまでもが集に抱きついている」
「これは抱きついてるんじゃなくて背中に
くっついているって言うんだよ、ゆえ」
そう、ルーラだった。
あの戦いからデレッデレになってしまい集の背中にくっつきまくっていた。
「あ、あの~そろそろ退いてくれないかな?」
「集は嫌なの?」
ルーラは捨てられている子猫のような涙目+上目遣いという
コンボを放ち集の精神に多大なダメージを与えた。
「うぅ、別に嫌じゃないけどあそこに憤怒の炎を
出している方がひどく睨んできて怖いんだよ」
ゆえは集の光景を見て睨んでいた。先ほどから
何本もの鉛筆が犠牲となり、その屍が机の上にちりばめられていた。
「良いじゃん。嫉妬してるんだよね~ゆえちゃん」
「し、嫉妬だと!? こ、この私がそんな薄汚い感情を
持つ訳がなかろう! 私はライカほど遊び人ではないのだ」
「ん~これが普通ぐらいだと思うけどね~ま、良いや。
さ、集仕事も終わったし今日は早めに切り上げて遊びに行きましょ」
ライカはさっさと化粧道具をかばんに詰め、ルーラもお菓子を
壊れない様にカバンの中に突っ込み帰り支度をした。
「さ、行きましょ集!」
「お、おう」
「いい加減にしろ!」
ゆえが机を思いっきり強く叩き大声で叫びながら立ちあがった。
「いつもは我慢してきたがもう限界だ! 集!」
「は、はい!」
いつもの何倍もの怖さに集は思わず、肩を大きくビクつかせて姿勢をびしっと伸ばした。
「貴様がそんなにヘナヘナしているから
ライカやルーラは怠惰になっているんだ!」
「いやいや、ちょっと待て。そんなの俺に関係ないじゃないか」
「貴様がそもそも原因なんだろ! いつも、いつも
ライカやルーラや他の女子生徒と遊んでばっかりで少しは
ランカーとしての意識を持ったらどうだ!」
流石の集もゆえの言い草に頭に来たのか机をバン! と強くたたいて反論をし始めた。
「はあ!? 学生なのに楽しい学生生活を楽しんで何が悪いって言うんだよ!」
集もイラついてきたのかだんだん声に怒りがこもってきた。
「ちょっとやめなよ、二人とも」
「ルーラは黙ってろ。そもそもランカーなんて言うもんは
ただのお飾りにしか過ぎないんだよ!」
「なんだと!? ランカーというものはその強さを認められた
者がなれる称号であり全校生徒のあこがれの対象でもあるのだぞ!?
それを女にうつつをぬかしているようでは目も当てられないな!」
「んだと!? 前から思ってたけどお前は理論的すぎんだよ!
この世の中理論ばっか言ってちゃ生きてけねえんだよ!」
「理論を知ってこそ生きていくすべが見つかるのだ!」
「そんなんだからお前は女ぽっくねえんだよ!」
集がその言葉を言った瞬間、一気に生徒会室の
温度が下がった気がした。アークは呆れ気味にため息をつき
ルーラやライカ、フォレスはわれ関せずと言った体制を取っていた。
「な、んだと」
「前から思ってたけどそんな男口調で強さばっか求めて
少しは女の子らしくできねえのか!? この男女!」
「―――――――っっっ!」
集がその言葉を言った瞬間、ゆえの平手打ちが集にさく裂した。
「つっ! 何すんだ……よ」
「もう良い、もう良い! 貴様など知るか! そこら辺の女と遊んでいろ!」
ゆえがドアを開けて外に出ると入れ違いでレイがやってきた。
レイはいつもとは違う雰囲気に戸惑っていた。
「え、えっと、どったの? 何だか重い雰囲気だけど」
「知るかよ。ライカ、ルーラ遊びに行こうぜ」
「え、でもゆえは」
「あんな奴放っておけ」
集はライカとルーラを連れて行こうとしたが
さっきまでの誘っていた感じとは違っていた。
「……そう、見損なったわ集」
「は? なんでだよ」
「私も見損なった」
「……同感……」
生徒会室にいた全員がライカに同感を示していた。
「意味分かんね。あっそ、勝手に見損なっとけよ、
お前らの勝手だしな。お疲れさん」
集はそのまま気にも留めずに生徒会室を出ていった。
「あいつ泣いてたぞ」
「うん、知ってる。でも、集からの角度じゃ見えなかったみたい」
「どうすんだよ。何があったか知らないけど
まじでヤバい匂いがぷんぷんするぞ」
「ここは私達は何もしない方がいいかもね」
「……ルーラ……正解……今回……見守る」
「はあ、はあ、はあ」
ゆえは学校から遠く離れた場所にまで走って来ていた。
「ぐす! なぜ、私は泣いているんだ。なぜ、こうも胸が苦しくなる。
分かっていた事なのに! 集に言われると胸が痛くなる!」
ゆえは泣きながら歩いていると途中で自分がかなり遠くの
方まで来ていた事に気付いた。
「ここは確か学校の西の方角にある森だったな。
薄暗くてよく見えん」
ゆえが手に炎をともそうとした瞬間に、どこからか
何かにひびが入る音が聞こえてきた。
「ん? 何の音だ?」
そう思った瞬間に、ゆえは一瞬浮遊感を感じ一気に下に落ちていった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ゆえは落ち着いて炎の翼を出そうとするが
頭に岩石が落ちてきて集中が途切れてしまった。
「か~」
「うるさいにゃ~こういう時は鼻をつまむんだっけ?」
リッタは集のいびきがうるさく両手の肉灸で鼻を挟むようにするといびきが止まった。
「あ~ようやく」
「ゆえ!」
「にゃ!」
突然の大声にリッタは驚きのあまり、飛び起きてしまい集の胸元から落ちてしまった。
「あ、あれ夢か。……何してんだリッタ」
「あ、あんたのいきなりの叫び声に驚いただけだよ。さっさと寝るわよ」
「ああ、おやんみ」
そのまま集は再び眠りについた。夢が現実であるとも知らずに。
こんばんわ、ケンです。
なんで自分はこんなタイトルにしたんだろ。
ネーミングセンスがなさすぎる。
それと明日以降は毎日更新は困難になります。
ご了承ください。では、さようなら