第43話 闇の12使徒VSランカーの始まり
その頃、さらわれたアランはというと既に目を覚ましており
どこか洞窟の様な所に縄で縛られ閉じ込められていた。
「こ、ここはいったい」
すると、どこからか何かが倒れるような音が響いた。
「げほ! がは! ここは……どこだ」
「その声はヤガミですか!?」
「ア、アラン様! よくぞご無事で」
「貴方こそどうしてここに」
暗闇の中でも分かるくらいにヤガミの服は所々、血が滲んでおり二丁の拳銃も
ひびが入っており使い物にはならないように思えた。
ヤガミはさらった二人に追いついたのは良いが戦闘が始まり
あのコウモリ女と闘っていたのだがあのダークネスフィールドとかいう
特殊なエリアに入った途端に気付けば斬られており
女性に向けて炎の弾丸を撃ってもコウモリになって
かわされここに至るという事だった。
「まあ、あいつらに負けて俺も捕らえられたみたいですね。
すみません、1位の俺が負けてしまって」
「そんな事ありません! ランクなんてものはあくまでペガシス国内での
称号にしかすぎません! 誰にでも敗北はあるものなんです!」
「アラン様」
「ヤガミ……昔のようには呼んでくれないのですか?」
「………」
ヤガミはアランの悲しそうな声を聞いて何も言えなくなってしまった。
実はヤガミとアランは幼馴染であり昔はよく遊んだ仲であったのだが
アランが女王につくと態度が一変し、今までため口だったものが
敬語に変わり、アランと呼んでいたのも様づけをするようになった。
「ヤガミ、前にも言いましたが私は貴方とは幼馴染です。
ですから昔のようにアランと呼んでください」
「……無理ですよ、アラン様。昔の自分は馬鹿でした。
女王様になられる方を呼び捨てにし、さらには叩いたこともあります」
「それは幼いころです!」
「それでも、俺と貴方は身分が違います」
「では、昔言っていたことは嘘なのですか!? 大きくなったら
私と結婚するというのもウソになるのですか!?」
幼い頃、二人は淡い恋心を抱いていた。幼いながらにもデートもしたし
キスもした。手だって繋いだ、そして極めつけは結婚しようとまで言っていた。
しかし、今となってはアランは王族の者、ヤガミは貴族の中では下位の貴族であり
結婚など到底無理だった。そして、アランは両親にお見合いをするようにと
言われているのだがヤガミとの約束を果たす為に全て断っていた。
「私は昔も今もあなたとの約束を護りたいと
思ってます! 私は今でも貴方の事が」
アランがその先を言いかけた時、誰かが入ってくる音が響いた。
それは二人をここに閉じ込めた張本人達だった。
「良いわね~身分違いの恋か~。憧れるわ~」
「お前!」
ヤガミはその女性を睨みつけるが女性は余裕の表情で
笑い始めた。今のヤガミの状態は魔力も戦えるだけの量は残っておらず
武器である二丁の銃も使えるかどうか分からないくらいにまで損傷している。
「私はお前っていう名前じゃないわ。私は闇の12使徒の第11位、
ツイヤっていうの。それでこっちの気持ち悪い男がグルスよ」
「お前達の目的はなんだ!」
「うっせえんだよ!」
「ぐぁ!」
「ヤガミ!」
ヤガミは二人に叫ぶがグルスが鬱陶しそうにヤガミを何度も蹴りつけて黙らせた。
「カスのくせに俺達に反抗してんじゃんじゃねえよ!」
「ヤ、ヤガミ! もう、止めて下さい! ヤガミは
何も出来ないんですよ!? それなのに蹴り続けるなんてひどすぎます!
貴方達の目的はなんなんですか!? お金ですか!?」
「はははははははは! んなのこれっぽっちも興味無いな。
俺達が欲しいのはお前たち、ランカーの魔力だよ!」
グルスが言い放ったことにアランは疑問を感じていた。
これまでに何度も自分はさらわれた事はあるがそのほとんどが
今のアランの地位の転覆や身代金目的な犯行が多かったのだが
魔力を欲しているなど聞いたことが無かった。
すると、ツイヤがグルスの頭を思いっきり叩いた。
「痛い! 何すんだよ!?」
「喋りすぎよ馬鹿。目的は秘密の筈よ、ま、
どの道始末するから良いけど」
「じゃ、良いのかよ」
「どうぞ、お好きに」
「じゃあ」
ツイヤがそう言うとグルスはニタニタとにやけながら
ヤガミではなくアランのもとへと進んでいった。
「な、なんですか!」
「お前、良い体してんな~。きひひひひひ!」
「や、止めろ! ぶっ殺すぞ!」
ヤガミはグルスの目的が分かったのか叫び出すが先程の
戦闘の傷で動けなかった。その間にグルスはアランの服に手をかけていた。
「いや! 止めて下さい!」
「げへへへへへへへへ! 止めるか、バーカ!」
グルスがアランの服を脱がせようとした瞬間、
突然地面が大きく揺れ出した。
その揺れはまるで何かが家を揺らしているような大きな揺れだった。
「な、なんだこの揺れは!?」
「知らないわよ!」
その頃、集達は二人が潜伏している場所に辿り着くと
そこはジェラルミノの巣がすぐ目の前にある山だった。
「本当にここなのか?ゆえ」
「ああ、あの方の魔力反応はここを示しているぞ。どうする、集」
「ん~」
すると、後ろから1匹のジェラルミノが集に近づいてきた。
「ん? 確かお前は」
『ウグ……グルグル』
「にゃ~」
リッタとジェラルミノは何かを話しているようでうなずいたりしていた。
その光景を見ている全員は不思議な光景を見ていた。
なんせ猫とその何倍もの大きさの魔物が話しているのだから無理はない。
「こいつはここら一帯のジェラルミノのボスらしいわよ」
「ボスか~……あ! 良い事考えた」
集が考え着いたのはジェラルミノにこの目の前の山に巣にいる
奴ら総出で体当たりをするというものだった。
それを聞いた全員は苦笑いをした。
「いやいや、集。それは流石に」
「良いか?」
「うぐ!」
「良いってさ」
という事でジェラルミノ総出で山に体当たりをしていた揺れが
グルスとツイヤを襲ったという訳であった。
二人はあまりの揺れに山が崩れそうになったので一旦、
外に出る事にした。しかし、出てみるとそこには
ランカーと鉢合わせをしてしまった。
「「あ」」
「見っけた。二人とも」
「アラン様!」
「ヤガミ!!」
「エルス、セル! 皆さんも!」
アランは喜びを顔に出していたがヤガミは驚きを露わにしていた。
あれだけ、集に罵声を浴びせてしまったので助けなど来ないと思っていたからであった。
しかし、目の前には彼らが助けに来ていた。
「き、貴様らなぜここが分かった!」
グルスは憎たらしそうに集達に叫ぶがツイヤは何かに
気付いたのかグルスに下がるように叫びだした。
「グルス! その二人を持って離れるわよ!」
「何でだよ!」
「忘れたの!? 精霊と契約したn」
『もう、遅いよ。二人は返してもらったから』
「しまった!」
二人が目の前を見るとそこには二人を抱え、
獣人化をしていた集が立っていた。
『二度ある事は三度ある。覚えておきなよ』
「貴様ら!」
「さ~てと人質も取り返したしこいつらを倒しますか」
「そうだな、レイ」
ゆえも刀を抜きながらレイに賛同しており
他のメンバーも各々の武器を手に取り
戦闘準備万端のようだった。
「は~。ま、良いわ。ちょうど目的の者も全部あるし
お前ら全員皆殺しよ!」
「ツイヤ、半分半分だぞ」
「分かってるわよ!」
グルスはゆえ、エルス、セル、カリス、レイ、ライト、ハルス、
フィーリス、キリヤと戦いに向かった
ツイヤはそれ以外と戦闘を始めた。
これからランカーVS闇の12使徒の二人との
戦いの幕があがった。
こんばんわ~ケンです。
明日で学校かと思うと悲しいです。
如何でしたか?短編も投稿しましたのでそちらもどうぞ。