第40話 警護
会談の当日となった今日は眩しいくらいに良い天気となった。
集達は気合いを入れ最後の確認をしているのだが集達の知らない所で
不穏な動きがある事に気づいてはいなかった。
「では、貴方様の言う通りで良いのですね。マスターハデス」
「ああ、好きに持って行って暴れさせてこい」
「了解しました」
イリスの両隣りには男女二人がいた。
彼らは闇の12使徒と呼ばれる者たちの中では最下位に
位置している者たちだがそれでも下級の魔物の中では最強クラスである。
「では行きましょうか、グルス、ツイヤ」
「「はい」」
3人はマスターハデスの部屋から出ていった。
「て言う事で俺が皆のリーダーになったからよろしく」
『了解』
「は!? ちょっと待てよ! なんでお前がリーダーなんだ!」
集の発表にユートリス側はなにも反論しなかったが
ペガシス側のヤガミが猛烈に反発してきた。
やはり格下のランクの者に上に立たれるのはプライド的に許せないのだろうか。
「うるさい人は放っといてひとまず二人一組になってください」
「聞いてんのか!? おら!」
「もういいじゃない。ヤガミ」
「なんでお前はそんなに落ち着いてられんだ! エルス!
お前よりも格下の10位がリーダーだぞ!? 納得いくのかよ!」
「別にいいんじゃないの? ねえ、皆」
エルスが他の者に聞くと既にペアを早々と決めている最中で
もうどうでもいいという感じだった。
「ちっ! 納得いかねえ!」
「全員、ペアは決まった?」
「そう言うお前が決めろ、集」
「私が集と組むんだ!」
「何言ってんのよ! 私が先に集に言ったのよ!」
この通りゆえとライカによる集の取り合い戦争が勃発していた。
その中心人物である集は左右に引っ張られておりどうにもできなかった。
「え、えっとさ。この際コイントスで決めなよ。それが一番公平じゃない」
「仕方無いわね。ゆえ、恨みっこなしだからね」
「無論だ。コイントスは2分の1の確立だからな」
集は胸ポケットからコインを出し指ではじくとコインが空高く上がり
集の手の甲に落ちた。ちなみに表がゆえ、裏がライカである。
ゆえとライカは表か裏かを食い入るように見ると
コインは裏を向いていた。
「そ、そんな!」
「やったーー!」
「てことでライカは俺と、ゆえは余った人と組んでね。じゃあ、
最終連絡をするから集まって来て~」
集がそう言うとヤガミを除く全員が集の周りに集まり
最後の確認と連絡を受け自分の持ち場についた。
集も持ち場に行こうとすると後ろからミスティに呼び止められた。
「集」
「どうしました? ミスティ」
「あの、今日の朝にこんなものが」
ミスティから渡された物は一枚の封筒で集は受け取り
中身を開けてみるとそこにはこう書かれていた。
『今日からの会談が楽しくいくと良いですね。周りには気をつけて』
集の後ろから手紙の内容を見ていたライカは呆れた様子だった。
「俺達がしっかり護衛すれば良いことだ。ミスティと
アランは必ず俺達が護る。信じてくれますか? ミスティ」
「ええ! 何が起こっても私は貴方達を信じます!」
「ありがとうございます。じゃあ、行こうかライカ」
「了解」
ライカと集も自分の持ち場へと向かっていった。
そして遂に会談が行われた。
まず二人が向かう所はユートリスの近くに
ある大きな市場であった。これはアランが要望したことで
ユートリスならではの食材や物品などを見たいとの事。
ちなみに二人の今の服装は一般と同じ服を着ている。
流石にいつものゴージャスな服を着ていては目立ち過ぎるので
昔によく着ていた服を着ている。
女王二人が歩いているすぐ後ろにはいつもの付き人が、
そして500メートル先にはレイとアークのペアが監視をしていた。
二人の主な役目は女王達の付き人達からでは見えない角度からの
監視であった。さらに市場は人口密度が高いためここには
もう一組配置されていた。それがエルスとツミヤのペアであった。
ツミヤは自然の魔法を応用する事で植物からの視界さえ見る事が出来る為
この場に配置された。一方、エルスは炎の魔法を使い小さな炎鳥を
作りだし監視に充てていた。この炎の鳥は異常があればすぐに知らせに来る
程の知性を持っていた。さらには不審者には自ら攻撃をする事まで出来るという
優れモノなのだが欠点があり、それは雨が降れば使用不可能という点だった。
しかし、今日は晴天。雨が降る要素など一つもなかった。
「ツミヤ、どう?」
「異常なし」
「分かったわ。聞こえるかしら?アークさん」
『ああ、聞こえてるよ』
アーク達は全員、耳に小型のイヤホンをつけておりこのイヤホンは
話したい人の魔力を持つイヤホンに会話が出来るものだった。
「こっちは異常なしよ。そっちはどうかしら」
『ああ、こっちも異常はないさ。レイが高所恐怖症で
俺にしがみついている以外はな。暑苦しいわ!』
『わ! ば、馬鹿! 揺らすな! お、落ちるーーーー!』
イヤホンからドシャッという何か落ちた音が聞こえ
ワーワー騒いでいる声が聞こえてきたのでエルスはブチっと切ってしまった。
「どうしたの?」
ツミヤがいらついているエルスに聞いてみるとエルスはこう言った。
「ユートリスの奴らって本当に強いのか疑いたくなる」
「それは仕方がない。私も思ってるところ。でも、彼らは強い。
大会でも私達は負けている」
実はこの世界には全世界のランカーが集まり最強を決める
大会が行われておりその中でもユートリスのランカーは毎回
上位に食い込んでいる。それに対しペガシスは毎回、ユートリスに
負けて微妙な成績に終わっている。と言っても30位には入っている。
「この警護で恐らく彼らの強さの秘密が分かると思う」
「かもね。監視を続けましょう」
こんばんわ~今日は少し遅れてしまいましたが
更新でっせ~。いや~もう今年も残すとこ今日一日と
なりましたね~。もうすぐ受験生だと思うと
涙が止まらねえぜ。それでは、さようなら~
感想もお待ちしていま~す。