第3話 全てを凍らす者
(ここは……)
イーリの攻撃を受けたところで意識が落ちたシュウは
自分が浮いているような感覚を感じて意識を取り戻した。
『ヤッホ~』
突然、どこからともなく集の耳に女性の声が響いてきた。
(誰?)
『ん? 私? ん~……今は言えないんだけど
……ところでさ、氷の魔法は使うかしら?』
集は聞こえてくる声に疑問を感じた。
殺気確かに声は氷の魔法と言った。しかし、ゆえから聞いた話によると
氷の魔法は机上の空論らしい。
(……なんでも良い。このテストを合格したい!)
『十分』
女性がそう言った直後、集の中に冷たい何かが流れ込んできた。
「こ、氷?」
「あいつ何をしたんだ?」
ゆえ達の目の前にあるモニターには巨大な氷柱が立っているのが映し出されており、
各々驚きを隠せないでいた。
「氷の魔法は存在しないんでしょ?」
「………」
「不明…実際…目の前…起こってる」
「見ろ! 氷が砕けるぞ!」
氷が砕け、その中から一人の少年が地面に降り立った。
「集なのか?」
モニターに映し出されると、そこには髪の色が白色に染まった集がいた。
「そ、そんな氷の魔法は存在しないんじゃ!」
「……凍れ」
―――――パキパキッ
集がそう呟くとともに彼の足もとからイーリに向かって地面が徐々に凍り始めた。
「ああ、もう!」
フィーリは自然の魔法を使い、大木を出現させてそれを
踏み台にして空中に飛び上がった。
「空気は凍らせられないでしょ!」
「ふん、なめんなよ」
凍りついていた地面から突然、氷の柱がイーリに向かって伸びていった。
「もう!」
―――――ボオオォォ!
イーリは氷柱とは違う方向に炎の魔法を放つと
その衝撃でその場から移動し、氷柱を避けた。
「空中では動けないよね?」
集が腕を横なぎに振るうと本来は凍るはずのない空気が次々と凍っていき
フィーリに向かって氷塊がものすごいスピードで進んでいった。
(避けれない!)
空中にいるフィーリは思うように動けないまま氷の魔法が直撃した。
「どうだ?」
――――――パキイィィィィィン!
しかし、氷が突然割れ一人の男が現れた。
「ん? 貴方は?」
そこには六色の髪の色をしている少年がいた。
「すまないな。割り込む気はなかったんだが今の君は
危険すぎるため、割り込ませてもらった」
「じゃ、じゃあ試験は?」
「合格でよろしいですね? フィーリ先生」
「ええ、文句の言いようがなく合格よ」
髪色が六色の少年がイーリにそう尋ねると彼女は笑みを浮かべて首を縦に振った。
「よっしゃーー!」
喜んだ瞬間、集は気を失ってしまった。
「……ん?」
「目が覚めたか、集」
横から声が聞こえ、そちらの方を向くとそこにはゆえがいた。
「うん、でもここは?」
「ここは」
―――――――ドカァァァン!
「ここは保健室よ!」
「「?」」
突然、部屋にドアが蹴とばされる音が響き、その方向を向くとそこには
何人かの少女達が立っていた。
「え、えっと誰?」
「ああ、紹介しよう。まずは破廉恥娘だ」
「誰が破廉恥娘よ! 私の名はライカ・サイトよ!」
ゆえが金髪の少女――――――ライカ・サイトにそう言うとライカは
怒ったような口調で怒鳴り散らした。
「は、はあ」
「じゃあ、次は私ね♡ 私はアクア・ラナ。ラナで良いよ♡」
青色の髪の少女―――――アクア・ラナが笑みを浮かべながら集の手を握り、自己紹介をした。
「ど、どうも」
「私……名前……フォレル・シンラ。……フォレル……良い」
ラナの後ろから緑色の髪をした少女―――――フォレル・シンラが集に自己紹介をした。
「な、何故に片言?」
「昔かららしい」
「……」
「ほらあんたも挨拶、挨拶」
ライカの後ろにいた黒髪の少女がライカに背中を押されて、シュウの前に立たされた。
「……」
一向に自己紹介しない黒髪の少女がライカに何やら耳打ちした。
「大丈夫だって! さあ、早く」
「わ、わた、私の」
黒髪の少女が名前を言いかけた時、集が突然頭をなで出した。
「ふぇ?」
「そんなに怖がらなくても良いよ」
「……うん! 私の名前はルーラ・ダークって言うの! ルーラで良いよ!」
集に頭をなでられた背が低めの黒髪の少女―――――ルーラ・ダークは先程とは
うって変わり、満面の笑みを浮かべながら集に自己紹介をした。
「珍しいわね」
「確かに、ルーラが初対面の人に怖がらないとは」
ゆえ達はその光景に驚きを隠せないでいた。
「ねえ、集君だっけ?」
「はいそうですが?」
「何で君はあの時なでたりしたの?」
ラナの質問に集は少し考え、答えを口にした。
「怖がってたからかな」
「意味が分からないけど、これからよろしくね?」
さらに疑問がわいたラナだがとりあえずは放っておくことにした。
「ええ」
「これで集も私達と同じ学校か」
「一緒のクラスになれたらいいな~」
ゆえとラナが嬉しそうに言った。
「そうですね。それでいつから何ですか?」
「今は長期休暇だから多分、登校は長期休暇明けになると思うよ」
「楽しみですね。ルーラさん」
「もう! ルーラで良いよ!」
既に集になついた様子のルーラは笑みを浮かべながら集の横っぱらを叩いた。
「癖でね。まあ、一週間もすれば治るよ」
「そろそろ帰ろうか、集。先生も帰っていいとさっき、言っていた」
「うん」
ゆえに言われて集はベッドから起き上がり、居候させてもらっている
ゆえの自宅へと向かった。
「ふむ。この子が例の」
「はい」
学校のある場所にある部屋で先ほどの六色の髪色を持つ少年が、
理事長と書かれた名札を机に置き、
椅子に座っている背丈がルーラと同じくらいの少女に書類を渡していた。
「如月集……か……あの人そっくりだ」
ルーラと同じくらいに背が低い少女は書類に貼られている集の記録写真を
見て懐かしそうな表情を浮かべていた。
「あの人とは?」
「いいや、こっちの話だ」
六色の髪色の少年が少女に尋ねるも少女は書類を引き出しに直した。
「今年はなかなか面白くなりそうだよ」
少女は笑みを浮かべながらそう言った。
こんばんわ!ケンです!
いや~一次創作は難しいですな~
今日アクセス数確認したらまだ、51人でした~
まあ、まだ連載しだして二日目ですからね~
これから増えて行く事を祈っています。
それよりも如何でしたか?
次回で集が学校に編入致します。
それでは、感想もお待ちしております。
さよなら~