第34話 不穏な輩
集は機嫌よく森の中を散策していた。
「あれから結構送ったよな~何人ぐらいかな。ん?」
歩いていると茂みの方からガサガサ聞こえてきた。
集はいつでも刀を抜けるように手を置きジッと見つめた。
「あー!やっと出られた!」
「は?」
茂みから出てきたのは金髪の髪色で腰辺りにまで伸ばしているライカだった。
ちなみに服は制服である。
「あれ、集じゃん。こんなとこで何してんの?」
「それはこっちの台詞だ。ライカこそこんなとこで何を」
「相手を追いかけてたらいつのまにか見失って歩いてたら集に会った」
「なんじゃそりゃ。ま、いっか。ちょっと休憩しようか」
集とライカは木の幹にもたれて休憩を取る事にした。
「集は何人くらいやったの?」
「さあ? 途中まで数えてたけど忘れた。ライカは?」
「私も似たようなもんね」
「ふ~ん」
再び二人の間に沈黙が流れ辺りには鳥のさえずりが響き渡っていた。
その沈黙を破ったのはライカだった。
「ねえ……集には兄弟とかいる?」
しかし、その声音はいつもの明るいライカの声ではなくどこか悲しさを感じさせるものだった。
「いや、いない」
「そっか。あたしにはね……お姉ちゃんがいるんだけどお姉ちゃんは
あたしと違って頭も良いし強いんだ」
「それはライカだって」
集の返答にライカは首を左右に振って否定した。
「ううん。あたしは貴族出身なんだけどね魔力は多いんだけど
使える属性が雷だけなの。でも、お姉ちゃんは雷だけじゃなくて
炎以外の属性を満遍なく出来るの。それで、あたしは家の中では
落ちこぼれとして扱われた……はは! あたし何言ってんだろ」
「最低じゃないか!」
「――――っっ!」
集の怒号にライカは驚いた。
集がこんなにも怒りをあらわにしているとこは
まだ見たことが無い為にかなり驚いた。
「自分の子供を落ちこぼれとして扱う!? そんなの間違ってる!
現にライカはランカーに入ってる!」
「お、落ち着いてよ集」
集はライカに落ち着くように言われてようやく怒りを鎮めて彼女に隣に座りなおした。
「それから両親はあたしに構わずにお姉ちゃん
ばかり構うようになって召使も誰もあたしには話しかけてこなかった。
それで15になった時に私は家を出たの」
「そっか。後悔はしてる?」
「ううん。逆に嬉しいもの。休憩は終わりにして始めましょうか」
「ああ」
二人が立ち上がり剣を抜こうとした瞬間、突然大木がライカに向けて倒れてきた。
「ライカ!」
集は咄嗟に獣人化し高速でライカに近づきなんとか助ける事に成功した。
「誰だ!?」
「ふふふふふ」
大木の後ろに大きな鎌を持った男性が立っていた。
「な、何なのよあのカマ」
「さあな。それよりもあいつやばそうだな」
「貴方達の魂もらいます!」
「「――――っっ!」」
男性が大きな鎌を振りかざしながらこちらに向かってきたのを確認すると
集はライカをお姫様だっこし獣人化のスピードで木を上り、
木を伝って別の木に飛び移り距離をとった。
「ちょ! あ、あんた! 離しなさいよ!」
「良いけど、落ちるよ」
「ひぃ!」
ライカは顔を赤くして集から離れようとするがいかんせん速さが速さな為
降りられずに集にだかれておくことにした。
「何で逃げてんのよ! あんな奴倒しちゃえば」
「おかしいとは思わなかったか?」
「何がよ」
「さっきの大木、最初は切られたかと思ったけど
一瞬だけ見たら木の幹が腐ってた」
集の発言にライカは驚きを隠せないでいた。
腐っているのならば自分たちが持たれていた時点で気付いたはずである。
「は!? そんな訳ないでしょ! さっきあたしたちはもたれていたのよ!」
「だから、それを確認するんだよ」
集は飛び移るのをやめライカを地表に下ろすと近くにあった巨大な石を持ち上げた。
「ふぬぬぬぬぬぬ!」
「す、凄い」
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
集はそれを追ってくる男性の方に向けて投げた。
「こんなもの効くか!」
男性はカマで石を切断したように見えたが石は切れずに
砕け散るようにして拡散した。
(やっぱりあの武器何かあるな)
「な、何をしたのよ!? あんた!」
ライカが男性に苛立ちながら叫ぶと男性はにやけながらこう言った。
「きひひひひひ! それを見つけるのも
戦いの醍醐味ですよ。それにしても貴方」
「な、何よ」
ライカに向けて男性は指をさすと悪寒が走ってしまうほど
の気味の悪さでニヤニヤした。
「可愛いですね~私の大好物は美女の魂なんですよね~
きひひひひひひひひひひ!」
「キ、キモイ!」
ライカは顔を引きつらせながら、自分の体を抱きしめて体を震わした。
「キモイだなんて言わないで下さいよ~」
「お前誰なんだよ」
「ああ、そうでしたね~まだ自己紹介してませんね。私の名はコルソです!」
自己紹介しながら鎌を振り回し二人に近づいていった。
「避けろ! ライカ!」
「当たり前よ!」
二人がいた場所に鎌が振り下ろされるとそこにあった石が
まるで風化したみたいにボロボロになり砕けた。
「な、何あれ!?」
「きひひひひひひひ! よく避けますね~」
男性は集に狙いを定め連続で切りかかってきた。
「集!」
「いい!」
ライカが慌てて近寄ろうとすると集に止められた。
(おかしい。さっきから大木に鎌が当たってるのにさっきの石みたいに
ボロボロにならない。何か能力の制限でもあるのか? ここはいったん撒くか)
先程、集を切ろうと鎌を何度も振っていたがその間に大木にあたっても
その時は普通に切断しており、先程の様に腐敗しなかった。
「ふっ飛べ!」
―――――ボコォォ!
「ぐぎゃ!」
集はコルソの顔面に回し蹴りをあてると同時に獣人化の速度を使い
遠くの方まで蹴り飛ばした。
「ひとまず逃げるぞ!」
「う、うん」
二人は慌ててコルソから距離をとるように逃げていった。
一方、蹴り飛ばされたコルソは……
「許さん! この私の顔を蹴り飛ばした! あのくそ餓鬼ども殺してやる!」
自分の顔を傷つけられた事に激昂し二人を追いかけていった。
こんばんわ、ケンです!!
如何でしたか?明日でようやく学校が終業式です!!
長かったぜ。今日がクリスマスだというのを今、
テレビを見てて知りました。
とうとう、一人身の究極の次元に辿り着いたかも。
ある意味嬉しく、ある意味寂しい。そんな感じです。
今日はここまで、それでは