第32話 恋愛話
「今回の個人別大会は森よ!」
教室には静けさだけがあった。全員の頭の上には疑問符があるようだ。
実際に集もそう言われたら分からない。いきなり大会は森だと
言われても理解しろという方が無理である。
「先生、意味が全く伝わってきません」
ある一人の生徒がフィーリに質問した。
「そうね、詳しく言うとこの前の集会でも理事長が言ってたでしょ?
その細かい内容が決まったわ。正確に言えば今回はサバイバルよ」
サバイバルといわれてもあまりピンとこない。
「この近くに大きな森があるでしょ? そこに生徒を転移魔法を用いて
バラバラに飛ばしていくの。そこで誰かとあったら戦うか逃げるかを選択するの。
もし、戦うなら今度みんなに配布するネックレスを破壊すれば勝ちよ」
フィーリが生徒に見えるように手を上げるとそこには糸でプレートの様なものを
ぶら下げているネックレスの様なものがあった。
「ちなみに破壊する部分はこのプレートよ。これが破壊されると
自動的に転移魔法が発動して学校に戻ってくる仕組みになってるわ。
そして、誰が何人倒したかっていうのも学校の方で分かるようになってるから。
それで倒した人数が最も多い人が優勝よ。簡単でしょ?」
「優勝したら何か貰えるんですか?」
ゼロが質問するとフィーリが笑顔でこう言った。
「あるわよ」
「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
教室は再び騒がしさを取り戻した。
やはり景品がもらえれば誰でもはしゃぐのは仕方がないことである。
「その景品は何ですか!?」
ゼロは興奮気味に質問した。
「それは優勝してからのお楽しみよ」
フィーリの笑顔に全員が叫びをあげたが一人だけその笑顔を見て
顔を真っ青にしている少年がいた。如月集である。
(やばい、やばい、やばい! あの笑顔は何か裏にある時にする笑顔だ!
補習授業の時もあんな笑顔を振舞って俺は地獄を見たんだ。何か絶対にある)
「ん? 如月君どうかしたかしら?」
「い、いえ何もありません!」
フィーリが笑顔で聞くが集は顔を真っ青にし汗だくだくで返事をした。
「よろしい。じゃあ、HRの続きするわよ~」
放課後、集は生徒会室にいた。ゆえの秘書という職に就いてからは
毎日放課後はここに入り浸っているのだ。とはいっても駄弁ってるのは
集とゆえ以外のメンバーである。今ここにいるのは集とゆえ、ライカの3人である。
「そう言えば聞いた~? 今回の大会は森でするんだって~」
「そうらしいな。サバイバルと言っていたが森には魔物がいたはずだぞ。
それとライカ、ここで化粧はするな。香水の匂いが臭くてたまらん」
「もう! 良いじゃないのよ~。私はゆえみたいにナチュラルで肌がきれいじゃないのよ~」
「でも、ライカも肌はそのままでもきれいだと思うぞ」
「褒めても何も出ないわよ、集。ま、私がしてるのは
香水くらいだし厚化粧はしてないしね」
「そういえばゆえが化粧してるとこ見たこと無いな」
「ふん! 私が化粧などすると思うか? 集」
集がそう言うとゆえは当然と言わんばかりに胸を張ってそういった。
「でも、ゆえも美人なんだし少しは化粧とかもしたらいいのに。もったいない」
美人という単語を聞くとゆえの顔が一気に真っ赤になった。
その光景を見てライカは大爆笑していた。
「わ、私がび、美人!?」
「うん。ゆえは可愛いと思うぞ。それで少し化粧したらもっと可愛くなるんじゃねぇの?」
既にゆえの耳には集の言葉は聞こえておらず頭の中であたふたしていた。
(か、かわいいって言われた! 集が言ってくれた! なんだか嬉しいな!
け、化粧か……今度お母さんに聞いてみるか)
「ゆえ。この書類はどうする?」
「あ、ああ。サインをもらってきてくれ」
「了解」
集は書類の束を持ち、急いでサインをもらいに行った。
集が出て行った生徒会室にはゆえとライカの二人が残っていた。
「ねえ、ゆえ」
「何だ、ライカ」
「あんたあいつの事好きでしょ」
「げほ! げほ!」
ゆえはライカが言ったことを聞いた瞬間、飲んでいたお茶をふいてしまった。
「汚いわよ、ゆえ」
「だ、誰が集の事が好きといった!? あ、あいつは唯の……友達だ」
「別に私はあいつと言っただけで集と言ってないわよ」
「―――――――ッッッ!」
「あ、また顔が真っ赤になった」
「は、図ったな!?」
ゆえはようやく、自分が幼い子供でも引っ掛かりそうにないカマのかけられ方に
引っかかったのだと理解し、ライカに殴りかかるが軽くあしらわれてしまった。
「あんたが勝手に自爆しただけでしょ」
ライカは興奮気味のゆえを何とか座らせ話を聞くととにした。
俗にいう恋愛話である。
「で、いつからなの?」
ライカはにやにやと含み笑いしながらゆえに尋ねた。
「わ、分からないのだ。あの結婚式以来、あいつを見ると胸がドキドキしたり
自分でも分かるぐらいに顔が赤くなってしまうんだ」
「ふんふん。じゃあ、聞くけど集が他の子と抱き合っていたりしたらどう感じる?」
ライカの質問にゆえは腕を組んで少し考え始めた。
すると、徐々にゆえの魔力が上昇しているらしく持っていたコップから
湯気が激しく出てくるのが見えた。
どうやら相当イライラしているらしい。
「い、イライラするというか胸にこう、モヤモヤとしたものが出来てくるんだ」
ゆえは頬を赤くしながら恥ずかしそうに俯いているのを見ているとライカは
ある一つの事実が頭の中に出来ていた。それは……
(あ~こいつ、堕ちたな。さっきの質問の回答や仕草から見て
完全にゆえは集に恋をしているわ! となると大体惚れた時期は
あの結婚式以来となるわね)
ライカはニヤニヤしそうなのをなんとか押さえこみ頭の中で
大いにニヤニヤしていた。
「ライカ、この気持はなんなんだ?」
「ゆえ、それはあんた自身で気付かないと意味がないわ。確かに
強さを一心不乱に求めるのも良いけどやっぱり女の子なんだから
そう言うのはいっぱいしないとね」
「そ、それは女の子なら誰でもするのか?」
「さあ? しない人もいるんじゃないの?」
二人が話しこんでいると集が大量のプリントの束を持ちながら
生徒会室に帰ってきた。
「ゆえ! 全部貰って来たぞ!」
「あ、ああ。早く終わらせようか」
二人はプリントを早く終わらせるべく取りかかっていった。
その光景を見ているライカはある事を思っていた。
(あのゆえがまさか恋をするなんてね~人は変わるものなのね~……いや、変えたのは集なのかもね)
ライカは集の笑顔を見つめてみた。
(案がい、集もカッコいいわね……な、何を私は思ってるんだか)
地味にライカも堕ちかけているのかもしれない。
こんばんわ、ケンです!!
如何でしたか?作者も恋愛がしたいです!!
……ま、ブサイクでデブな僕がしても気持ち悪がられる
だけだというのが目に見えているので恋愛はしませんがね。
出来れば感想を送って来て欲しいです!!
作者は感想を見るとパワーアップしますから。
ま、感想を送るか否かは読者様が決める事なので
自分が言ってはいけませんね。
それよりもこの作品、面白いのかな?
めっちゃ不安です!!
それでは!!!!