番外編 入院中の出来事
補習授業が始まり2日目の朝の事だった。
いつもの通り朝早くに起き体を軽く動かしてから筋トレを行い
誰にも見られないように氷の魔法を初級のみ全て確認し病室に戻ろうとした時
一人の少女が廊下のベンチで睡眠をとっていた。
(おいおい、こんなとこで寝てたら風邪……は引かないか。
逆に汗だくだぞ。よく寝ていられるな)
その少女は汗だくになり服が肌にひっついていたりと他人なら気持ち悪くなるような
状態で見事に爆睡していた。
「ん、ん~」
(お、起きた)
「あ、暑いです~」
少女は来ている服をパタパタと胸もとの部分を仰ぎながら起き上った。
(そりゃ日光が直にあたる場所で寝てたらそうなるわな)
「あ、そこの人。できたら何か涼しくなるような物を下さい?」
「なんで疑問なんだ」
「何ででしょう? にしてもあ、暑いです~」
「仕方ねえな、少し待ってろ。氷を取ってくる」
集がトイレに行き袋に氷の魔法で氷を自家生産しようとした時
少女に服の袖をつかまれ動けなかった。
ちなみに今の集の服は入院患者が着る専用の服だったりする。
「やっぱりここにいて下さい~何だか貴方が隣にいると涼しいです~」
(そりゃ、氷の魔法を使うもの)
「ああ、良いよ」
集は快く承諾し少女の隣に座った。
良く少女を見るとその容姿は黒髪を方に少しかかるくらいの長さで
切りそろえており服装はスカートと上の服が一緒になった様な服を着ていた。
「貴方は入院してるんです」
ふと少女が口を開いた。
「なんで肯定してんだよ。ま、入院はしてるな」
「理由は何です」
「疑問か肯定か分かんねえ。ま、良いや。ちょっと喧嘩の様なものをして
大けがを負って今は入院しながら地獄の補修授業さ」
「?」
少女は集の言っていることが理解できないのか首を可愛く傾げていた。
「ま、言うなら名誉の怪我とでも言おうか」
「よく分からないです?」
「はは! だろうな。君には大切な物があるかい?」
「ええ、あります?」
「俺はそれを一度悪い奴に取られちゃったんだ」
「子供です」
「はは! 子供か……それで僕はそれが許せなくなってその悪い奴から
大切な物を取り返したんだ」
「その時の喧嘩の怪我で入院したんです」
「ま、そんなとこだな」
「見つけたぁぁぁぁ!」
突然の叫び声に集は肩を大きくあげて声がした方向を見ると
向こうのほうからフィーリが走ってきた。
「待ちなさーい! 如月集ー!」
「やっべ! じゃあな、不思議ちゃん!」
集はベンチから立ちダッシュで逃げ出した。
実は補習授業があまりにもしんどい為に朝早くに起きて逃げ出してきたのであった。
補習授業で使うプリントは3週間分の授業内容のため3桁を
軽く超えていた。5日間で終わらすには計算上は1日50枚以上するという
凄まじいものだった。それで逃げ出してきたのである。
「不思議な人です?」
「あ、ここにいたレナ」
「あ、ママです~」
後ろには集と同じ入院服を着た女性が立っていた。
どうやら不思議ちゃんの母親のようである。
「誰かと話してたみたいだけどお友達?」
「初対面です?」
「ふふ。良いじゃない、お友達が増えて。さ、行きましょ」
「は~い」
母親は不思議ちゃんを抱き上げ自室に戻った。
ほんわかな入院生活の一日。
ちなみに……
あの後、集は捕まり地獄の補習授業を受けたとさ。
こんばんわ、ケンです。如何でしたか?
感想が来ないあたりこの作品はひっそりと完結を迎え
そうですね(笑)まあ、それはそれで良いかな。
今年ももう僅かです~。
来年は自身も高校3年、このままでどうなるのやら。
それでは、また今度。さようなら~そしておやすみなさい。