第24.5話 それはまるで母親の様
精神世界で戦っていた時のこと。
「ハァ……ハァ」
『この程度なの? 貴方の力は』
呆れたような声を出している女性の目の前には体のあちこちに氷結している部分と
切り傷がたくさんつけている集がいた。
『こんな弱い奴が私の氷を受け継いだものだなんて』
「あ、あんたも氷の魔法を使っていたのか?」
『ええ。私はいうなら初代の氷の魔法使いよ』
「初代だと」
集は自らのほかに氷の使用者がいることに驚きを隠せないでいた。
『そう。そんな事は今となってはどうでも良いわ。立ちなさい。
バーストを習得するんでしょ?』
集は立とうとするが力が入らず崩れ落ちてしまった。
「あ……ぐ」
『呆れた。ここまで弱いなんてね』
女性は失望したかのような表情を浮かべて踵を返した。
「どこに行くんだよ!?」
『帰るのよ。これ以上貴方とやっても時間の無駄。貴方には習得出来ない』
(こんな所で諦めていいのか!? ゆえを助けるにはバーストが必要なのに!
………嫌だ! 俺はもう大切な物を失いたくない!)
『まだ、立つの?』
ふと、女性が後ろを振り向くとそこには傷だらけの状態にもかかわらず
立ち上がった集の姿があった。
「ああ、こんな所で諦める事は出来ない! 死んでもバーストは習得するんだ!」
集は翼を生成し、その手に氷柱を持って女性に特攻していった。
「うおあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
『……集』
「――――――ッッ!」
自分の名を突然、呼ばれて集は驚くがそのまま突撃していった。
『死んでもなんて絶対に言わないで』
その顔はまるで我が息子を心配している母性に満ち溢れた
母親の様な顔だった。
「な、なんであんた避けなかったんだ」
集の攻撃を避けようともせずに、女性は彼の持っている氷柱にその身を貫かれていた。
しかし、、女性の顔には痛みに顔をゆがめる事はなくただ単に
微笑みながら集を抱きしめていた。まるで、子供をあやすように。
それに加え集は何故か心が落ち着いていくような安心感を感じていた。
『良く聞いて、集。力を手に入れようとする事、事態は何も言わない。
でも、自分の命だけは絶対にかけないで。貴方が傷ついて悲しむ人が傍にいるのを忘れないで』
「あ、ああ」
『信じているわ集。今の貴方は戦いを通じて
バーストと氷の魔法をほぼ習得したわ』
「…あまり実感がない」
『そうね…貴方は私と似て感覚で覚えるから実感は湧かないわね』
「え? 今なんて」
『行きなさい、集。その力で大切な人を助けてきなさい』
女性は集に魔法をかけ自身のと同じ真っ白な服を着せた。
「この服は」
女性はそっと集を元の世界へと通じる入り口へと押した。
「まだ、あんたに聞きたい事が!」
集が女性に手を伸ばそうとした瞬間にドアが閉まり目の前が暗くなった。
「あら、帰ってきたの」
「リッタ」
気づくと集はドアの前に立っていた。
目の前には頭の上にリッタを乗せた理事長がいた。
「やあ、お帰り。意外と速かったんだね」
「俺が入ってから何日経ちましたか?」
「そうだね。今日は式当日だと言えばいいかな」
「そうですか……リッタ」
「にゃ~」
リッタは集の一言で理事長の頭から集の肩に乗り換えた。
「集君。桜さんの結婚は奴による無理やりな結婚だ。これが教会の場所だ」
集は理事長から教会の居場所が記された紙を貰い、ポケットに入れた。
「そうでしたか……ありがとうございます。それと……行ってきます」
「ああ、行って来い」
集は翼を出し窓から飛び降り飛んでいった。
「雰囲気がだいぶ落ち着いたな。初めて見たときはまだ、子供っぽさが
残っているように感じたが今は、だいぶマシになった」
理事長はそう呟き自室へと帰っていった。
「にしてもやっぱり貴方の頭の上が一番落ち着くわ」
「そうか、ありがと」
集は空を飛びながら向かっていると理事長に教えられた教会の場所についた。
良く見てみるとゆえが歩いているのが見えた。
「あそこか」
「そうみたいね……行きましょうか」
「ああ、ゆえの奪還の始まりだ」
ここから如月集の戦いが始まる。
こんばんわ、ケンです。
なんで学校が24日まであるのかが今でも納得のいかない
今日この頃です。如何でしたか?
お気に入り登録件数も上がったり下がったり、
気持も上がったり下がったり。
いっそのことドカンと増えないかな~
そんな事はあり得ませんがね。
それでは、今日はこの辺で。