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マジックワールド。魔法の世界へようこそ  作者: ケン
第2章  君を護る
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第21話  Could you please contract with me?

「取ってきたぞ! リッタ!」

「はい、じゃあ次」

「よし、任せろ!」

あれから集はリッタに言われた事を全てこなしていた。

例えば、昆虫が食べたいから百匹狩って来いと言われれば

百匹ちょうど狩ってきて、猪が食べたいという事で

親玉を十匹狩ってこいと言われれば狩ってきていた。

そして、リッタが一番驚いたのは徐々にその個体を狩る速さが

驚く程早くなってきている事だった。

初日はあれだけ苦戦していた昆虫にも魔法を使わずに刀だけで

百匹を狩ったり、レンガルラを十匹狩るのにもそう時間はかからなくなっていた。

こんな生活を五日程続けていた。

スーダ達は先に村へと帰っていった。



「取ってきたぞ! リッタ!」

「そ、そう。今夜はもう良いわ」

今日、リッタが集に注文したのはレンガルラの親玉十五匹だったのだが集は

十分もかからない時間ですべて狩って、リッタの前に肉塊だけになったものを置いた。

「オッケ~」

そう言うと集は地面に座った。

「食べたら? こんなに私食べきれないし」

リッタの目の前には到底猫の胃袋には収まりきらない大量の食材が出されていた。

「よし! 頂きます!」

集はよっぽどお腹が空いていたのか流し込むように食べていった。

「そんな食べ方したら喉詰まらせるわよ」

「んぐ!」

リッタが言った瞬間に集は喉に肉を詰まらせたのか苦しそうな表情で

喉を抑えていた。

「ほら、言わんこっちゃない。はい、水」

「ん! ごっくん! ぷは~生き返った~」

集はリッタからコップに入った水を受け取ると一気に口の中に流し込んで

詰まっていた肉を胃へと押し込んだ。

「ねえ」

「ん? なんだ?」

「どうして、貴方はそこまでするの?」

リッタの質問に集は少し、考えて彼女に答えた。

「だって、リッタの望む事をして契約してもらうためだよ」

「ふざけんじゃないわよ!」

リッタは大声を出し今まで我慢していた感情を吐露した。

「リッタ?」

「あんたにさせてるのは雑用なのよ! 私の望む事をしてくれれば

契約するって誰が言ったのよ!」

「リッタ……」

集はリッタをジッと見つめて、それ以上何も言わなくなった。

「私は契約はしないのよ」

「は~ほら」

「え、ちょ!」

集はリッタの首根っこを軽くつかんで自分の頭の上に乗せた。



「俺はお前が望む事はなんでもする。もし、それで

契約してくれなくても俺はずっとし続ける」

「どうしてよ」

「どうしてかな? ……俺にも分かんないや」

「……ぷふ! なんなのよそれ」

「さあ?」

リッタは集の言ったことに思わず吹き出してしまい、お互いに笑い始めた。

あれだけ静かだった洞窟が笑い声で満たされていった。

しかし、その雰囲気は何者かによりつぶされた。

「キシャァァァァァ!」

「「―――――ッッッ!」」

何かの叫び声が聞こえ、二人は上を向くとカマキリの様な昆虫が

壁を破壊してこちらに迫っていた。

さらに壊された穴から生体の子供であろう小さな

カマキリが無数に飛んできた。

「う、嘘! この場所もだめじゃない!」

「ひとまず、どうする?」

「逃げるのよ! あれだけの数じゃ無理よ!」

リッタは集の頭から降りて、逃げようと走っていくが

集は動こうとしなかった。

「何やってるのよ!? さっさと逃げるわよ!」

「大丈夫だよ、リッタ。俺がついてるから」

「……集」

リッタは集が言ったことを聞いて、大量のカマキリのような

昆虫が近付いているにも拘らず動かずに聞いていた。

「昔の君に何があったのかは知らないし知る気もない。

でも、これだけは言える。俺は君を悲しませないし裏切りもしない」

…………だから、俺と契約してくれませんか? リッタさん」

集に無数のカマキリの子供が襲いかかろうとした瞬間、

一匹の猫が集に走っていくのが見えた。






次の瞬間、光が集を包み込むと衝撃波が辺りに放出されカマキリの子供を吹き飛ばした。

吹き飛ばされたカマキリの子供は壁にぶつかり、その身をグチャグチャにして

地面に次々と落ちていった。

「キシャァァァァァァ!」

親が子を殺された事に怒ったのか二つの鋭い刃を

集に振りかざしたが、それを当たる事はなく空を切り裂いた。

『鬼さんこちら、手の鳴るほうへ』

――――――ブシャァァァ!

その言葉が聞こえた瞬間、親は真っ二つに切り裂かれた。

『獣人化の特徴はその速さ。刀と合わせて使えば

相手は切られた事にすら気付かずに死に至る』

そこには白い髪が腰に届くくらいにまで伸びた集の姿があった。




「遅いな~集さん」

スーダは洞窟の入り口で待っているが集が出てくる気配は一向にしなかった。

「にゃ~もうすぐ来るにゃ~」

「なんで分かるの? ミヤ」

「猫の勘だにゃ~。ほら、噂をすればにゃ~」

「あ、ほんとだ」

ミヤが手を向けている方向を見ると洞窟から白い刀を持ち、頭にリッタを乗せた集が出てきた。

「お帰りなさい! 集さん!」

「ああ、ただいま。スーダ、心配掛けて悪かった」

(あれ?)

スーダは集と話して、以前の彼とは何かが違うことを感じた。

「じゃあ、村に帰ろうか?」

「あ、はい」

(集さん、なんだか雰囲気変わったかな?)

スーダはそう思いながらもそれを頭の端に追いやり村へと戻っていった。





村に帰ると集は村の皆に驚かれた。

なんせ、無事では帰ってこれないと

言われた場所から帰ってきたから驚くのも無理はない。

そのまま、集は村長の所に向かった。

「村長」

「おやおや、帰って来たかね」

「はい。ご心配をおかけしてすみません」

「ふぉっふぉっふぉっふぉ。良いさ、別に。それで、

頭の猫を見る限り契約は出来たんだね?」

村長は珍しく、その両目を見開いて集の頭に乗っているリッタを

懐かしそうな表情を浮かべて見ていた。

「はい」

「そうかい。なら行っておいで。今ならまだ間に合うよ」

「村長………ありがとうございました!」

集は一礼してから小屋を出た。

「あの子はお前さんの子なのかい? イーリ」

村長がその名を呟いた事は誰も知らない。





「今までありがとう。スーダ」

「もう行っちゃうんですか? 集さん」

スーダはそう言うと涙目で集にしがみついた。

「私、集さんと離れるのは嫌です! 集さんもこの村で住みましょうよ!」

集はスーダの頼みに一瞬、迷いの見える表情を浮かべるがすぐにその表情を

沈めていつもの表情に戻り、彼女の頭を優しく撫でた。

「それは嬉しいけど俺は助けに行かないといけない人がいるからな」

それを聞いたスーダは観念したらしく、涙を拭いて集から離れた。

「集さん……約束して下さい。また、ここに遊びに来るって」

「ああ、約束だ」

「はい!」

二人は笑顔で握手をかわしてお互い戻るべき場所へと向かった。




「にしても、まさか私が人間と契約するなんてね」

ゆえのもとへと向かっている道中リッタは不思議そうな声音を出した。

「そういえばミラ族はヒラミとしか契約しないんだっけ?」

「まあ、ヒラミとしかしない訳ではないんだけどね」

「じゃ、良いだろ。とばすからつかまってろ!」

「了解」

リッタは集の頭から降りて彼の服の中に入り込み、集は氷の翼を生やし空へと飛びあがった。




一方その頃、ランカー達はある場所に集められていた。

「いや~皆様、集まっていただいて感謝します」

マグナは集まったランカーに二タニタと

気味の悪い笑みを浮かべつつ、頭を下げながらお礼を言った。

「それで、俺たちに何をさせようってんだ?」

レイが急かすようにマグナに聞いた。

「貴方達には警備を頼みたいのです」

「はあ? 警備? そんなもんいらねえだろ。お前んとこの

ボディーガードで十分だろ」

レイの言うことにマグナは首を横に振った。

「いえいえ、レイさん。確かに家の方でも警備はしますが

念の為です。僕たちの結婚式を邪魔させないようにね」

マグナは隣にいたゆえの腰に手を置き自分に引き寄せた。

それに対しゆえは一瞬、嫌そうな顔をしたがそれを無理やり押し込めた。

「ああ、そういう訳で皆、警備をしてくれないか?」

マグナの質問では何も言わなかったライカたちがゆえに質問されると

すぐに反応し、答えた。

「まあ、ゆえが言うなら私達は良いよ。ね?」

「え、ええ」

「……」

「私は良いよ」

ルーラが後ろにいたライカ、フォレス、ラナに確認すると

三人とも首を縦に振った。

「そうですか。それは良かった。お礼は」

突然、その場にいた全員が何者かの魔力を感じていた。

「……魔力量……私達……変わらない」

「ようやく、見つけた」

上からの声に全員が上を向くと上から集が降りてきた。



「しゅ、集なのか?」

ゆえは集の変わり様に驚いていた。

前は短かった髪の毛が目にかかるくらいにまで伸び、

そして一番驚いたのはその魔力の量だった。

以前からすると数十倍の量はある。

「久しぶりだな、ゆえ。えっと、一週間ぶりくらいか?」

「また、貴方ですか。如月集!」

マグナは言葉にいらつきを含ませて言った。

「ああ、俺はゆえを返してもらうまで邪魔を」

―――――ドオオォォォォォォン!

すると話していた集に向けて突然、雷が落とされた。

「ラ、ライカ!」

ゆえは慌ててライカに突っかかろうとするがすぐにマグナに手をひかれて

無理やり後ろに引っ張られた。

「ここは私に任せて貴方達は行きなさい」

「お願いします。ライカさん」

ライカを除くランカーは全員、能力を使い遠くへと逃げた。



「あ、逃げられた」

集も翼を生成し追いかけようとするが再び、雷が落とされ

向かう事が出来なかった。

「ここから先は行かせない」

「ライカ……退け」

「断るわ」

―――――キィィィィィン!

ライカが集の警告に断りの意を示した瞬間、

集は刀を抜きライカに斬りかかるが彼女もすぐさま刀を抜いて集の斬り込みを防いだ。

「力づくでも退かせる!」

集とライカの戦いが始まった。

こんばんわ、ケンです!!

期末テストも終わりホッとしたのも束の間、今度は学校が

耐震補強工事とか言って別の教室に移動。

そんな事はさておき、如何でしたか?


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