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マジックワールド。魔法の世界へようこそ  作者: ケン
第2章  君を護る
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第17話  ゆえの決心

その日の晩、ゆえは食事もとらずに部屋に閉じこもっていた。

集が心配して何度も呼びにきたが、それを無視してまで考えていた。

(私があいつの条件を呑めば父様はこれからも、隊長を続けられる。

だが、断れば父様は職を失う。答えは決まり切っている。でも、私は……)

ゆえが考えているとノックされた。

「さっきから言っているだろう、集。今日は一人に」

「私よ、ゆえちゃん」

「母さん?」

ドアを開けるとそこには集ではなく、母親のユイがいた。

「少し、良いかしら」

「うん」

ゆえは母であるユイを部屋に通した。

「何かあったの? ゆえちゃん」

「……また、あいつに」

ゆえがそう言うとユイは悔しそうな表情を浮かべた。

すでにマグナ・ギルスのことはゆえから伝えられていた。

「……そう。それで今度はなんて?」

「結婚を申し込まれて、もし、結婚を拒否したら父さんの役職を無理やり辞めさせるって」

「そんなの横暴すぎるわ! もう我慢の限界よ! 直接、言ってくるわ!」

「だ、ダメ!」

ユイは我慢の限界が訪れ、マグナの家へ怒鳴り込みに行こうとするがそれをゆえがさせなかった。

「ゆえちゃん……」

「駄目だよ。私はランカーだからあいつと対等に話せるけど

お母さんがいったら、あいつ、何をしでかすか分からない」

「でも……」

平民であるユイが貴族に文句を言えば、貴族の権利で有罪にでも

されれば、それこそいつ出てこれるか分からなくなる。

「この件は私が何とかするから」

「……分かったわ」

「ごめんね、お母さん」

「良いのよ。さ、ご飯を食べましょ」

「うん」

ゆえは涙を流しながらユイに肩を持たれてリビングへと降りて行った。





それから、時間は流れ期限の前日となった日の晩。

食事も終え、集が寝静まった時間にゆえは自分の決心を母に伝えた。

「本気で言ってるの!? ゆえちゃん」

ゆえはユイの質問に何も言わず、首を縦に振ることで肯定の意を示した。

「でも、そんな事したらゆえちゃんは!」

「私は大丈夫。折角お父さんが頑張ってきたことを私の所為で

奪われたくない。だから、私はあいつの要求をのむ」

「ゆえちゃん……」

「今まで育ててくれてありがと。こんなにも、わがままになっちゃってごめんね?」

「ゆえちゃん」

ユイは涙を流しながらゆえを抱きしめた。




そして、期限当日となり指定された崖にゆえが向かうと

ランカーの皆が集まっていた。

「みんな」

「なんで、あんな奴と結婚するのよ!?」

「ライカの言う通りだよ! 何で私たちに相談してくれなかったの!?」

ルーラとライカは心配そうな表情を浮かべながら、ゆえに近寄って行った。

「すまない。皆には迷惑はかけたくはないし、それにこれは私の決めた事だ」

「でも!」

「そうですよ~これは僕達の事なんですから皆さんは

口出ししないでくださいよ~」

ラナが話そうとした時、マグナとレイ、そして六色の髪の色の少年が来た。

「あんたはそれで良いの!? レイ! アーク!」

「別に~こいつが決めたんなら俺達は口出しは不要だし~」

「アークはどうなの!?」

ライカがそう叫ぶと六色の髪の少年―――――アークがポケットに手を突っ込みながら

興味のない様子で答えた。

「俺もこいつと同感だ。ゆえが決めたのなら俺達は何もしない」

「そうですよ~、で、答えを聞かせてもらいましょうか? ゆえさ~ん」

そう言われ、ゆえは一歩マグナに近づき、自分の答えを言った。

「ああ、お前と結婚しよう」

「ふはははははははは! そうですか~。いや~よかったよかった」

――――――パキィィン!

マグナが笑っていると地面が凍りついた。

「ん? 氷?」

「その話、ちょっと待った」

「集!」

後ろから声が聞こえ、全員が振り向くとそこには集がいた。

「貴方が氷の魔法を使う如月集さんですか~」

「ああ。そんな事よりさっきの話はどういう意味だ」

「そのまんまですよ~ゆえさんと僕は結婚するんです」

「そうなのか? ゆえ」

集はマグナの言っていることが信用できないようでゆえに視線を移し、尋ねた。

「ああ、こいつの言うとおり私はこいつと結婚する」

「ゆえ、本当の事を言ってくれ」

「本当だ」

「ゆえ!」




「本当だと言っているだろう!」

――――――ボオォォォォォ!

ゆえは集に大きな火球を放ちながら叫んだ。

「あっち! ゆえ!」

集は完全には避けきれずに服を少し、焦がされながらも集はゆえの方を向いた。

「いい加減認めたらどうですか~? 如月さん」

「お前は黙ってろ! それで、お前らは良いのかよ!」

集は何も言わずに、ただ突っ立っているランカーの皆に向かって叫んだ。

「こいつが決めた事には口出しできないし。それに、掟だしな~」

「どういう意味だよ!? レイ!」

「知らないんですか~?」

マグナは神経を逆なでするように集に言った。

「何?」

「平民同士での結婚ならば双方の納得があれば自由に行う事が出来るが、

平民が貴族から婚姻を申し込まれた場合には有無を言わさず平民はそいつと結婚しなければいけない」

今まで、片言でしか話さなかったフォレスが初めて、文で喋った。

「フォレスさんの言う通りですね~、僕は貴族ですから

絶対にしなければいけないんですよ~」

「そんなもん不条理だろ!」

集はフォレスが言った掟とやらを真っ向から全否定した。

「だから~掟だから俺たちには何も言えないんだって。分かってくれよ、集」

レイが呆れたように集に言った。

その顔はすでにあきらめている様子で、全員がそんな表情をしていた。

「ゆえ……だったら無理やりにでもお前を連れて帰る」

「ほほ~どうしてですか?」

「この前、あれだけゆえはお前の事を嫌っていたのに今になって

結婚だなんてあり得ねえ。何かあるんだろ」

「ありませんよ~そんな事~」

マグナはニタニタと笑いながら叫ぶ集に言った。

「それは調べてから聞いてやる!」

集は背中に氷の翼を生やしものすごい速さで、ゆえに向かって突っ込んでいった。



(今、皆はあいつの後ろにいる。この速さならあいつらに捕まる前にゆえを連れ戻せるはずだ!)

――――――ドン!

集の手がゆえに届きかけた時、体全体に衝撃と腹部に激痛が走った。

(え?)

集は腹部に目をやるとそこには信じたくない光景が広がっていた。

「ごめんね。私達が掟を破るわけにはいかないから。だから……死んで、集」

いつもの明るいルーラの声が聞こえたがこの時だけは、

まるで悪魔のささやきの様にしか聞こえなかった。

なぜなら、集の体はゆえとマグナの二人を除く、全員の

武器で貫かれていたから。

「な……ん……で」

武器を抜かれると、集は血を流しながら地面に倒れ伏した。

「ふははははははははは! あなた程度の力で、

ランカーから人一人救えるとでも思ったら大間違いですよ!」

マグナは笑いながら集を蔑んだ。

「が……あ」

「まだ息がありますね。止めは僕がさしましょう」

マグナが集に近づこうとした時、ゆえに止められた。



「ゆえさん?」

「私が止めを刺そう」

「ふははははは! そうですか! まさか、また貴方の

本性を見れるとは思いませんでした。どうぞ、ゆえさん」

ゆえは刀を抜き、集に近づいて行った。

「ゆ……え」

「まさか、助けに来るとわな。お疲れ様。

あの世でゆっくり休んでいろ……さらばだ」

―――――――ボオオォォォォォォォ!

ゆえが刀を振るうと炎が取りの形を形成し、集に突撃し

大爆発を起こして集が倒れていた一帯の崖を削り取った。

(ゆ……え……)

集は落ちながらもゆえに手を伸ばそうとするが、届くはずもなく

そのまま意識を落とした。



「これでお終いだ。さっさと帰るぞ」

「はは! 容赦ないですね~ゆえさん。流石は僕の伴侶になる人です!」

「……そうだな」

そう言われたゆえは一瞬、いやそうな表情を浮かべたが

すぐにその表情を奥底へ押し込め、マグナと一緒に帰っていった。

「……私達も帰りましょう」

「うん……」

「ええ……」

「オッケ~」

残りのメンバーもライカの一言で帰ろうとしていた。

「……」

アークだけは崖の下を見ながら、動こうとしなかった。

「お~い、アーク、帰ろうぜ~」

「ああ」

立ち止まっていたアークもレイの声で崖から離れ帰っていった。






「ンニャ~眠たいにゃ~こういうときは日向ぼっこに限るニャー」

一匹の猫が人間の言語を話しながら森の中を歩いていた。

彼は精霊と呼ばれるカテゴリーに属しているミラ族である。

ミラ族は他の精霊と共に集落の様なものを作り共存する比較的珍しい種族だった。

「んふふ♪んふ……んぎゃ!」

彼は鼻歌を歌いながら機嫌よくいつもの日向ぼっこの場所に行こうとしたが

下をよく見ておらず、何かに足を引っかけてしまい転んでしまった。

「ミヤー! どこなの~?」

遠くの方から少女が走って来た。

「ンニャ~ご主人様の声だにゃ~こっちにゃ~」

猫の声を聞いた主らしき女の子が慌てて走ってきた。

「もう! 勝手にさきさき、行っちゃダメでしょ?」

「ごめんさないにゃ~」

「ねえ、ミヤ、貴方何に乗ってるの?」

「ふぇ?」

下を見てみると刀があった。

「何かひんやりすると思ったらこれだったのにゃ~」

「なんだろこれ……え?」

刀を持ちあげようと視線を上げた時、人が倒れていた。

「だ、大丈夫ですか!?」

それは先程、崖から落とされた血まみれの集だった。

こんにちわ!!ケンです!!

テスト中なのにアホほど書きすぎて連続更新です!!

如何でしたか?

結構この作品を見て下さる方も増えてきました!!

ありがとうございます!!

それでは!!

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