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マジックワールド。魔法の世界へようこそ  作者: ケン
第2章  君を護る
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第16話  忍び寄る影

あれから、ゆえの機嫌も少し良くなり一緒に下校していた時の事。

「ん~やっと1週間終わった~」

「そうだな。明日は鍛錬だという事を忘れるなよ?」

「あいあい。分かってますよ。ん?」

「どうした? 集……お前」

集達の目の前に一人の男子が立っていた。

「お久しぶりですね~ゆえさん」

「あんたは誰だ?」

「私はマグナ・ギルスと申します」

「また、あの話か?」

「ええ、考えていただきましたか?」

「前にも言っただろう。考える余地もなくNOだ」

ゆえは集の腕を取りそのまま、マグナを置いて去っていった。

「ふふふふ、そう言ってられるのも今のうちですよ。ゆえさ~ん」

マグナはニタニタとにやけながら呟いた。



「おい、ゆえ!」

ゆえは集の腕をつかんだまま、ずかずかと歩いていた。

「ゆえ!」

「あ、ああ悪い」

ゆえは集の叫びを聞いてようやく腕を放した。

「どうしたんだよ。お前らしくないぞ」

「ああ、すまない。気にしないでくれ」

「いや、でも」

「貴様には関係ない!」

「―――――ッッッ!」

集は初めてゆえの怒るところを見て何も言えなかった。

「……すまない。本当にあいつとは何もないんだ」

「あ、ああ俺もごめん。無理に聞こうとして」

「いや、良いさ。帰ろう」

(何もないのならそんな悲しそうな顔はしねえよ。ゆえ)

集の視界に映っているゆえの顔は今にも泣きそうな顔だった。




集は家に帰りゆえが寝静まった頃にユイに聞いてみる事にした。

「あの、ユイさん。ちょっと良いですか?」

「ええ、良いわよ。そこに座って」

「はい」

集はいつも食事をしているテーブルの近くにあるイスに座り、ゆえの母であるユイに

今朝の男性のことを聞いてみることにした。

「それで聞きたい事って?」

「マグナ・ギルスって知ってますか?」

「――――――ッッ!」

その名前を聞いた時、突然ユイの顔が驚愕に染まった。

集はその表情を見た瞬間に何かを知っていると確信した。

「教えてくれませんか? ユイさん」

「そろそろ寝ないとね。明日も早いし」

「ユイさん!」

集が何度も尋ねているにも拘らずユイは一切答えず

下手くそなはぐらかし方ではぐらかして、自室へとあがって行った。



ゆえは自室で布団にくるまって考えていた。

(あの事を言えば集は必ず私を護ろうとする。

それは、嬉しい。だが、そうするとあいつは

何をしでかすか分からない)

ゆえの頭の中にマグナの顔が浮かび上がった。

(私はどうすれば良いんだ!)

その晩、ゆえはなかなか寝付けなかった。



「おはよう、集」

「あ、ああ。おはよう、ゆえ」

次の日の朝は、二人の間にどこか気まずい空気が流れていて

一緒に歩いていても、一言も話さなかった。

「じゃ、俺は先に行ってるから!」

「お、おい、集!」

集はそのまま走り去っていった。

「は~」

「おやおや、失恋でもしたような乙女ですね~」

「また貴様か! マグナ・ギルス!」

後ろからあの男性の声が聞こえ、振り向くとそこには昨日の男性が立っていた。

「わたくしの事はマグナとお呼びくださいと

前から何度も言ってるじゃないですか~」

「呼ぶものか!」

「ま、良いでしょう。今日の放課後に会議室に来てくれませんか?」

「断る! 貴様のいる場所になど行きたくもない!」

ゆえはそのまま立ち去ろうとしたがギルスがそうはさせなかった。

「おやおや~こんな所に写真があるぞ~」

ゆえは何を言っているのかが全く分からなかったがチラッと見えた

写真は誰にも見せたくない写真だった。

「これは、誰かが生徒を刀で切っている写真の様だけどな~」

「き、貴様! なぜ、その写真を!」

その写真はゆえにある想いを抱いていた男子生徒が人の道を踏み外した際に

起こってしまった不慮の事故の写真だった。

その写真に写っていたのは顔を返り血で赤くしているゆえの写真だった。




「これを学校にばらまけば貴方の地位は下がり

ご両親は働けなくなるでしょうね~」

「くっ!」

確かにその写真をばらまかれるのは不都合だった。

このときの事件は不慮の事故が認められ、何もゆえには罰はなかったのだが

それは父親がまだ、仕事の重役ではなかったころの話だ。

今ではゆえの父親は守護隊という国を守る兵士の長をしている。

「それで今日の放課後来てくれますか?」

「……分かった」

「ふふふ、最初からそうしていればいいんですよ」

マグナはニタニタとにやけながら学校へと向かった。







「や~や~、お待ちしておりましたよ。ゆえさん」

あっという間に、時間は流れ故にとっては苦痛で仕方がない時間がやってきた。

「戯言は良い。さっさと要件を言え」

「ん、もう~冷たいですね~。ま、そういう所も好きですよ」

「良いから、言え!」

ゆえは汚いものでも見るかのような目をしながら彼を見ていた。

「ちっ!分かりました。単刀直入に言いましょう。僕と結婚して下さい」

「付き合ってくれの次は結婚か。断る」

以前、マグナ・ギルスという男はゆえに付き合ってくれと告白をしたのだが

ゆえはそれを一瞬にして断ったのだが今まで、断られたことのないマグナは

躍起になって何度もゆえに告白をしてきていた男だった。

「でも、僕は貴族ですから絶対に結婚しないといけませんよ~」

「それは平民との間だけだ。ランカーはそういう事には縛られない」

ランカーは通常ならば制限される行動もある程度は自由に行える権限を与えられていた。

「一つ話をしましょう。父様は平民というものが大嫌いでしてね。一度、国家の

役職に就いていた平民を辞めさせたこともありましてね~」

突然、ギルスがゆえを無視して一人語りを始めた。

「それがどうした」

「そして、私にお父様の役職は」

そこまで聞いたゆえは一瞬にしてこの後のことが理解できた。

「ま、まさか」

「おわかりですか? 父様の役職は守護隊の管轄長なんですよねー!」

二人しかいない会議室に叫び声が響いた。

「お父様が貴方のお父上など今の役職から外すことなど容易いこと。

それに父様は平民を嫌ってもおりますからね~

それにあの写真も流せばまず、守護隊になどいられないでしょうね~」

「貴様! 汚いぞ!」

「おやおや~そんな口をきいて良いんですか~?」

マグナは気味の悪い声を出しながらポケットから写真を取り出してゆえにちらつかせた。

「それじゃあ、父様に言って」

「ま、待て!」

「待て?」

「……待って下さい」

ゆえは数秒間をあけた後に、言い方を修正した。

「それで良いんですよ。僕と結婚して下さい」

「………考えさせて下さい」

ゆえは悔しさのあまり奥歯を噛みしめながらそう言った。

「ふふ、良いですよ。三日あげます。その間に

考えておいて下さいね~。ま、答えは決まり切っていますがね」

その台詞を残しマグナは去っていった。

「私は……どうすれば良いんだ……集」

マグナが出て行き、ゆえだけになった会議室に少女のすすり泣く声が響いていた。

こんばんわ!!ケンです!!

如何でしたか?ようやくここで第二章です!!

今までは第一章として日常編でした!!

感想もお待ちしております!

それでは!!

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