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第15話  ランク3位の男

「つ、疲れた」

「き、貴様が悪いのだぞ! あ、あんな事を言うから」

「別に俺はゆえに悪い事は何も言ってないような気が」

昨日、フルボッコにされた集は模擬戦が終わった直後

意識を失うように眠りについたが、翌日起きると

体中が筋肉痛で歩くだけで体が悲鳴を上げるほどに重症だった。

「集……おはよ」

「ああ、おはよう、フォレス」

後ろからフォレスが呟くように挨拶をした。

「……集……体……辛そう……大丈夫?」

フォレスは心配そうな表情を浮かべて、シュウを見つめていた。

「フォレスだけだ。僕の体を心配してくれる心優しい女の子は」

「な! わ、私だって心配はしているぞ!」

顔を赤くしながら思いっきり集の背中を叩いた。

「痛!」

鞄でたたかれた衝撃が全身に走り、体中の筋肉が悲鳴として痛みを伝えた。

「……集」

「ん? 何? フォレス」

「私…魔法…楽」

「つまり、俺を治療してくれるの?」

なんとか翻訳して文を言うと、フォレスは頷き、集の腕に触れ魔法を発動させた。

「これは……」

フォレスの手の平から白っぽい光が出始めた。

「私……魔法……自然……ホーリー……怪我……治療……可能」

訳すと私の魔法は自然とホーリーで怪我の治療が可能だという意味になる。

「おお! すっげー!」

フォレスが治療し終わるとあれだけ、痛かった筋肉痛が

かなり、ましになった。

「ありがとう! フォレス!」

「……どういたしまして……」

二人の微笑ましい光景を見ていたゆえはイライラしていた。

(イライラする。何でかは分からんが二人を見てるとイライラしてくる)

「ほら、ゆえもフォレスを見習って、ぐぎゃ!!」

「ふん! もう、貴様の事など知らん!フォレスとでも仲よくしていろ!」

ゆえは集の顔面にカバンをおもいっきりぶつけて、走り去っていった。

「い、痛い」

「集……大丈夫?」

「ああ、大丈夫だけど何なんだ? ゆえの奴」

集はぶつけられた鼻の押えながらゆえの後ろ姿を見て溜息をついた。





(何でゆえは怒ったんだよ。さっぱり分かんねえ)

集はあれからずっと考えていたが、授業が始まった今に

なってもゆえが怒った理由が分からなかった。

(今日は一段とキレてたな~)

「……ん」

(謝るべきか?)

「如月君!」

「は、はい!」

考え事をしていると先生に呼ばれている事に気付かなかった。

よりによってフィーリの授業中である。

「な、何でしょうか!?」

「授業中に考え事とはいい度胸ね。如月君」

「……すみません」

その後の授業は立ちながら受けた。



「あ~最悪」

「お前が考え事なんて珍しいな。何かあったか?」

休憩時間になりリラックスしていると隣の席のゼロが

話しかけてきた。

「いや、別に何も」

「ほんとかよ~」

するとあれだけ、騒がしかった教室が一気に静かになった。

「ん?」

集は気になって周りを見渡してみるとゼロを含む

皆の視線が教室のドアに向けられていた。

集もその視線の先を見てみるとそこにはジャラジャラと

貴金属をつけた少年が誰かを探しているのか、首を忙しく動かしていた。

「お! 見つけた、見つけた」

少年は集と目が合うとこちらに近づいて来た。

「お前が如月集だよな?」

「え、ええまあ」

「今日の放課後、1組に来てくれ! じゃあな!」

少年は伝言だけ伝えてそのまま走り去っていった。

「だ、誰だあれ?」

「し、知らないの!? 集君」

隣にいたアミヤが大声を上げて聞いてきた。

「あ、ああ」

「あの人は無機魔法のランカーでレイ・ゼクロスだよ!

ランクは3位でランカーの中でも上位3人は別格だって言われてるんだよ!?」

「そ、そうか」

アミヤの気迫に若干押されながら納得をした。

「でも、何でそんなに強い人が俺の所に?」

「さあ、分かんない」

結局、そのままチャイムが鳴り何も分からずじまいのまま放課後となった。




「えっと、1組はどこだ?」

集は絶賛迷子中だった。

保健室から職員室、学食、闘技場が3つに図書室、etc

施設がありすぎて未だに集は地図を片手に

歩いている。

「えっと……あそこだよな」

すると目の前にやたら、壁の色がキラキラしており天井には

ミニサイズのシャンデリアがあり

しまいには廊下に赤じゅうたんまでも引かれていた。

「何でこんなに差別化されてんだよ」

集はその廊下を歩き出すと廊下にいた生徒達が蔑み始めた。

「ねえ、見てあれ」

「あれって確かワルロス家の長男様と闘ったやつよ」

「ワルロス様があんな奴に負けるはずなんて……ぅぅ。ワルロス様」

突然、端で話していた4人の少女のうち一人が泣き始めた。

既に全校生徒にはワルロスは死んだと伝えられており

1組の女子生徒の大半が涙を流して、死を惜しんだ。

「ほら、しっかりなさい。そんな姿をあの方に見せてはいけませんわ」

そんな事は気にせず集は1組に入ろうとすると誰かに腕を掴まれて止められた。

「お前、一組じゃないだろ」

「そうだけど、何か問題でも?」

「大ありだ。1組でもない貴様がこの教室に入ると汚れる」

「離せよ」

集は手を振り払い教室に入ろうとしたが数人の男子生徒に囲まれてしまった。

「お前! 平民のくせに貴族に逆らってんじゃねえよ!」

「そうだ!」

「は~、ここは小学校か?」

「どういう意味だ!?」

集はため息をつきながら話し始めた。

「そのまんまの意味だよ。お前らは低レベルすぎるんだよ」




「き、貴様! 俺たち貴族を侮辱する気か!?」

「悪いけど侮辱はしていない。馬鹿にしてるんだよ」

『―――――ッッッ!』

集を囲んでいた生徒達は頭に来たのかそれぞれの武器を取りだし始めた。

「もし、今、土下座して謝るのなら許すことも考えてやるが」

「結構、かかって来いよ」

「後悔するなよ!」

剣を持った一人の生徒が集に切りかかった。

「隙だらけだ」

―――――バコォォォン!

しかし、集はそれを避けてその生徒のあごを全力で殴った。

「んぎゃ!」

殴られた生徒は奇声を上げたと思うとそのまま、白目をむき倒れてしまった。

「くそ! 全員で行くぞ!」

「「おう!」」

残った男子生徒達は一斉に集に飛びかかった。

「は~」

集は念のために持ってきていた刀を抜こうと手を置いた瞬間、後ろからチェーンが飛んできて

飛びかかってきた生徒たちを縛りあげてしまった。

「な、何だこれは!?」

「このチェーンは……まさか!」

縛られた生徒がもがいていると後ろから陽気な声が聞こえてきた。

「は~い、そこまで~」

『――――ッッッ!』

貴族たちはこちらにやってくる者の顔を見ると驚愕したような表情を浮かべた。

「あんたは……今朝の」

「いや~悪いね~気分を悪くさせて」

後ろを見ると今朝の貴金属をジャラジャラさせたランカーの

レイ・ゼクロスがいた。

「レ、レイさん!」



「お前たちもそこまでだ。誇り高い貴族がそんな事したらダメだろ」

「で、ですが!」

「何か文句でもあんのか」

「い、いえ何もありません」

レイが反論した生徒を睨みつけるとその生徒は黙った。

一組では暗黙のルールとしてランカーは怒らせてはいけないというルールがある。

その理由は怒らせる=死に直結するからである。

「ここにこいつを呼んだのは俺だしな。じゃ、行こうか、如月集君」

「集で良いよ」

「なら俺もレイで良いや」

レイは集を連れその場を離れた。





「ここら辺で良いだろ」

「ここは……」

集が連れてこられたのは広い庭園のような場所だった。

そこには色とりどりな花が植えられており蝶々等も飛んでおり

非常にのほほんとした場所だった。

「綺麗だろ? ここの花は全部、理事長と俺で植えたんだぜ」

「え? でも、まだレイは1年生じゃ」

「そうだけど、理事長とは家が近所だから良くガキの頃遊んでもらったし

中学の時も学校体験という事で顔パスで入れるようにしてもらって

一緒にこの庭園の花を植えたんだ」

「へ~……それで用ってのは?」

「一度、こうやって話したかったんだよ」

「ふ~ん」

それから数分間、沈黙が流れレイがその沈黙を壊した。





「そういえば今日、あいつと何かあったのか?」

「へ?」

集が例の突然の質問にとっさに答えられなかった。

「ゆえだよ。あいつ、今日一日不機嫌だったからさ」

「何故、おれに聞く」

「お前、いつもあいつと登下校してんだろ?」

観念した集は今朝の事を正確にすべてレイに話した。

「ぶひゃひゃひゃひゃ! 腹痛え~」

聞き終わったとき、レイは大爆笑し始めた。

「何が面白いんだ?」

「まさか、あいつがそんな事をね~あひゃひゃはひゃひゃ!」

「レイは意味が分かったのか?」

集がそう尋ねると涙を浮かべながら集の方を見てきた。

「まあね。ま、自分で考えな」

そういうとレイは帰っていった。

「さっぱ、分かんねえ」




一方その頃、ゆえは……

「まったく! 集の奴はどこに行ってるんだ!」

怒りながら集を探していた。

「どこだ―――! 集―――――!」

この叫びは遠く離れた集にまで聞こえたとか。

こんばんわ!!連続更新です!!

如何でしたか?

それでは、感想もお待ちしております。

さようなら!!

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