第一章2 『救出』
「私が何者か」は、すでにこの世界に刻まれていた。
「リンゴ・エリカ」。
この名はすでにこの世界に存在していた。いや、むしろ「もう一つの自我」が常にこの世界に存在し、そして目覚めたのだ。
つまり、林檎をかじったもう一人の「リンゴ・エリカ」は死んだのだ。
——私は転生したのだ。
転生とは、死者の魂が生まれ変わり、「存在の輪廻」を全うするという信仰である。
蝋燭の炎のように、それは再び灯る。
リンゴ・エリカとは、その再び灯った炎なのだ。
だが今となっては、なぜ元の火が消えたのかを知る由もない。林檎に毒が盛られていたのか? それとも、林檎をかじった瞬間に誰かに殺されたのか?
しかし、前者が正しいのかもしれない。鉄の鎧の女が自分を『林檎喰らい』と呼んだ時、エリカはそれを悟った。
彼女はもう一人の「リンゴ・エリカ」が林檎を食べたことを知っていたのだろうか。それとも、現在のリンゴ・エリカがこの世界で林檎を食べたことで、「リンゴ・エリカ」の意識が今の彼に繋がったのだろうか?
答えがどうであれ、彼は転生したのだ。
そして何より……どうせまた死ぬというのに、なぜそんなことを知る必要がある?
囚人たちは皆、ついに死の場所に立たされていた。
鎧の女が近づき、夜空のように深い青色の鎧を着た男の横に立った。
「ティティス将軍。貴様はナタンギア領で熊の革命を起こし、マール・カルクスの思想を押し付けようとした。今ここで、ナタンギア領は貴様らの馬鹿げたイデオロギーに終止符を打つ」
「カルクス主義万歳!」
鎧の女は、その言葉を叫んだ男を指差した。
「まずはこいつからだ」
処刑人が彼を見た。
「静かに来い」
男は抵抗することなく、静かに己の最期の場所へと向かった。
鎧の女が彼を蹴り倒し、その頭は処刑台の丸太に乗せられた。
「我らの大義は決して消えはしない」
処刑人は斧を振り上げ、男の首を刎ねた。
人間の首が切り落とされると、残された肉体は脳からの神経伝達を絶たれ、筋肉の痙攣を引き起こす。さらに、斬首された人間は最長で十秒ほど「意識」を保つことがあり、顔面の筋肉が動くこともある。それはまるで、まだ生きている、助けてくれと訴えているかのようだ。
だが、彼は斬首されたのだ。
「カルクス主義者に死を!」
「とても勇敢な男だった」
「次は『黄色い肌』だ!」
鉄の鎧の女が私を指差した。そして処刑人が私を睨みつける。
私には、処刑台の丸太へ向かう以外の選択肢はなかった。
もし首を刎ねられたら、私の体と頭もまた、筋肉の痙攣を起こすのだろうか?
丸太へ向かおうとしたその時、奇妙な風切り音が聞こえた。
一人の衛兵が疑問を口にした。
「何の音だ?」
「気にするな、狩人だろう」
私は再び処刑台へと歩みを進めた。
だが、突然。
空から石が降ってきて、爆発したのだ。
それは哀れな子供を無残に殺した。爆発する石の破片によって、その頭部は完全に吹き飛んでいた。
意識を失った体は、思考なきままに解決策を探るかのように立ったままで、やがて崩れ落ちた。気管から吹き出す血が、頭部を失ってむき出しになった喉の入り口から噴き上がった。脳漿の破片、そして皮膚、歯、二つの眼窩までもが四方八方に散乱していた。
おぞましい光景だった。
母親らしき女が、泣き叫びながら子供の元へ駆け寄った。
「嫌だ、ディエトル……!」
「ジュール将軍、泥人どもです!」
「泥人どもの襲撃だ!」
爆発する石の雨が地面に降り注ぎ、リンゴ・エリカの意識を奪い、処刑人を絶命させた。




