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従者。
それは、召喚者の魔力量、スキル、そして性格までもが反映される存在だ。
召喚者が死ねば、従者も死ぬ。
切り離すことはできない。
無機質な紙を見る限り、
俺が召喚できる従者は一体だけらしい。
ならば、選択肢はない。
「来い、ヤト」
その名を呼んだ瞬間、空間が歪んだ。
空気が裂け、
一人の少女が姿を現す。
夜空を思わせる黒髪。
紫紺の瞳。
腰には日本刀のような刀を携え、
紫紺の鎧に身を包んでいる。
少女は周囲を見渡し、困惑した表情で口を開いた。
「……私は、死んだはずでは?
それに、ピリオスさま……?」
無理もない。
主人である俺が和平交渉に赴き、殺され、消滅した。
その後、再び召喚されたのだから。
そして、この反応から察するに――
従者にも、記憶は残っている。
俺は簡潔に説明する。
・なぜ俺たちが再び存在しているのかは分からない
・ここは魔王同士が殺し合う死後の世界であること
・最後の一人になれば、生き返れること
・そのためのルール
ヤトはすぐには言葉を返さなかった。
だが、少し時間を置いた後、静かに頷いた。
「……理解しました」
次は、現在の能力確認だ。
再び、無機質な紙が現れる。
【個体情報】
個体名:ヤト
分類:第八世代魔王従者
スキル:
・身体強化
・絶刀
使用武器:
・霊凱
・黒刀
武器固有能力:
・雷纏
これが、今のヤトの力か。
生前に比べれば、
やはり圧倒的に少ない。
一応、他のスキルを試してもらうが、
制限されているらしく、何も発動しない。
確認は終わった。
次は――方針だ。
俺たちは、十人の魔王の中でも弱い部類に入るだろう。
統治年数は分からないが、
殺した人間の数が少ないのは確実だ。
つまり、正面から挑めば死ぬ。
ならば、取るべき選択は一つ。
「まずは、様子見だ」
ヤトも異論はなかった。
戦闘開始まで、残り十五時間。
時間はあるが、焦っても意味はない。
俺たちは洞窟の奥で腰を下ろし、
今後の方針を軽く話し合った後、休むことにした。
生き残るために、
今は、動かない。




