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1-3

和平の魔王――ピリオス。

第八世代目の魔王。


もし歴史の教科書に載るなら、

おそらくこう記されるだろう。


臆病者の魔王。


魔王と聞けば、

破壊、虐殺、蹂躙。

そういうものを想像するのが普通だ。


だが、個人的な意見を言わせてもらえば、

それをする理由が分からなかった。


相手を殺そうとすれば、当然、抵抗される。

戦争とは、基本的に損しかしない行為だ。


敵を倒し切ったとして、

こちらの損害はどうなる。

兵は? 食料は?

勝った後の統治は?


その先まで考えるなら、

戦争はしない方がいい。


だから俺は、和平の道を選んだ。


先代の魔王については、書物でしか知らない。

だが、どの魔王も和平という選択はしなかったらしい。

魔王らしい魔王の道を辿り、

そして、勇者に殺されている。


勇者の作戦は、実に見事だった。


和平交渉のために、俺を自国へ招く。

書類にサインする、その瞬間。

外から、最大火力の一撃を叩き込んできた。


国は半壊しただろう。

民も、多く死んだはずだ。


だが結果として、

魔王は殺せた。

さらに、自国の人口は減り、

食料問題も解決できる。


簡単に言えば――間引きだ。


いやはや。

恐れ入った作戦だった。


俺の願いは、ただ一つだけだった。

平和に朝のコーヒーを飲み、

昼寝をして、

うまい飯を食うこと。


だから、和平を選んだ。

その方が、コストパフォーマンスが良かったからだ。


勇者に対して、恨みはない。

あちらの選択が、

俺の選択を上回っただけの話だ。


ただ――今回は違う。


殺し切ることが、最終目標なのであれば。

和平という選択肢が存在しないのであれば。


俺は、

全身全霊をもって、殺す。

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