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十脚の椅子が、円を描いて並んでいた。
玉座はない。上下もない。中央は、空白だ。
誰かが説明することはなかった。
それでも、全員がこれから始まることを理解している。
俺のものだ。
周囲を見渡す。
姿形も、態度も、それぞれ違う。
マントを被った者、角を持つ者、翼を生やした者。
視線、沈黙、姿勢。
虐殺してきた者の空気。
国を治めてきた者の余裕。
考える前に殺してきた者の焦り。
能力は見えない。
強さも、分からない。
一人、ドラゴンのような姿をした魔王が口を開いた。
「死んだ後に、このようなものがあったとはな」
そうだ。
この場にいる全員は、共通して死んでいる。
正しく言うなら――殺された。
やがて、理解が追いつく。
まるで最初から知っていたかのように。
争いを好んだ者。
色欲に溺れた者。
食に支配された者。
だが、ただ一つだけ、全員に共通していることがある。
勇者という人間に敗れ、死んだという事実だ。
これから始まるのは、殺し合い。
軍ではない。
王でもない。
個として、相手を殺す。
生き返るために、必要なら殺す。
ただ、それだけだ。




