87、たまごたっぷりチャーハン
目の前には、マルディニールさんが置いていったマヨネーズのフレーバーについての研究結果だ。
あまりにも資料が多いので、チラッとだけ見たけど…
"チョコレート"
それを見ただけで、ゆっくりと資料を閉じる。
マヨネーズにチョコレートって…
おえっ!考えただけで口の中が甘ったるくなって来た。
「さて、気を取り直して…昼飯作りますか!」
今日は久しぶりに賄いを俺が作る。
最近、何かとバタバタしてたので賄いはコリーナさんにお願いしてたんだけど
今日は出掛ける用事もないからな。
買い出しも、ユウトとタクマが2人で行けるようになったのでだいぶ楽になったよ。
「今日は何を作ろうかな…」
俺は厨房の冷蔵庫を開けて中を探る。
知らない間にプルが俺の足元にやって来て、一緒になって中を覗き込んでいる。
「プル、何か食べたい物あるか?」
プルは一瞬考えてからプルプルと震えて言った。
「プルねー、ちゃーはんたべたい!」
チャーハンか…
どれどれ材料はっと…
「おっ!卵がかなりあるな。うーん…よし!たっぷり卵を使ったチャーハンにしようか!あと、たまごスープな!」
「わーい!ちゃーはんだー!ちゃーはん、ちゃーはん♪」
「じゃあ、プル手伝ってくれるか?」
「うん!プルおてつだいするよー」
2人で綺麗に手を洗って、プルには卵を大量に割ってもらっている。
最初の2つくらいは、力加減が難しかったみたいでぐちゃっとなっちゃったけど
何回かやってるうちにプルも力加減がわかって来たらしい。
ゆっくりだがきちんと卵を割れていた。
さて、その間に…野菜を細かく切って行くぞ。
チャーハンだと普通は長ネギだけど
俺は玉ねぎが好きなんだよね。
玉ねぎとよく似たオルニーンをみじん切りに。
結構炒めるから、量は多めだ。
フライパンで色が少し変わるまでしっかり炒めたら、細かく切ったハムを投入!
ベーコンでもハムでも入れると入れないとじゃ、味の深みが違うんだよな。
しっかり炒まったら、ここで味付け。
塩胡椒をして、次に俺のこだわりの顆粒だしだ。
「これを入れると優しい味になるんだよな」
パラパラと人ひと回し入れたら、全体に馴染ませる。
ここでのポイントはさらっと薄味にしておく事。
何故かと言うと、溶いた卵にも味を付けるからなんだよな。
前は中華料理に使う顆粒の素があったんだけど、ここにはないので卵には塩胡椒と醤油を少しだけ入れる。
具を炒めているフライパンに卵も入れて、素早くかき混ぜる!
固まらないうちにご飯を入れて、ご飯に卵をまとわせるように炒めて行く。
全体的に混ざったら味見して、最後にフライパンを傾けて醤油を入れる。
そこでしばらく火にかけて香ばしくした後、ご飯全体に行き渡らせる。
そして、ここからが俺のこだわり。
フライパンにご飯を少し広げるようにして、弱火で軽く放置!
これで焦げ目が出来るんだよな。
「よし!こんなもんかな?」
更に、綺麗に盛って形を整えたら!
「卵たっぷりチャーハンの完成!」
「わーい!おいしそー!あるじはやくたべたいー」
「よしよし、わかったわかった!じゃあ、みんなの分もテーブルに運んでくれるか?」
「はーい!」
プルがチャーハンを運んでる間に、たまごスープも作るぞ!
沸かしたお湯に鶏がらスープの素と塩胡椒
そこに溶き卵を入れる。
沸騰して火を止めた直後に卵を入れると
ふわふわなたまごスープになるんだ。
「最後にちょっとだけ胡麻油っと…よーし!完成!これは鍋のまま持って行こう」
1階のカフェスペースに鍋を持って行くと
既に従業員のみんなが集まっていた。
それぞれにたまごスープを配って
チャーハンのお供にと福神漬けを出した。
福神漬けってカレーのお供だけのように思われがちだけど、チャーハンにも合うと思うんだよねー。
なので、俺は一人暮らし時代からチャーハンには福神漬けと決まっている。
「「「いただきまーす!」」」
みんなモリモリ食べてくれてるな。
プルなんかチャーハン→福神漬け→チャーハン→福神漬けのエンドレスループに突入だ。
「これ、あまくてしょっぱくてしゃきしゃきしてておいしーねー」
「おっ!プル福神漬け気に入ったか?」
「チャーハンのあとにたべるとさっぱりするー」
周りを見ると意外にも福神漬けが受け入れられていた。
新しい物好きのコリーナさんはスプーンですくったチャーハンの上に器用に福神漬けを乗せて一口でパクリ!
食べた瞬間、目を大きく見開いて
俺の方を見て何度も頷いていた。




