86、ガチのマヨラー
今日は、セルトくんとナディアさん
そしてユストフさんと一緒に商人ギルドに来ている。
「王都の学校の試験まで2ヶ月となりました」
いよいよか、と俺も緊張している。
隣のナディアさんはもっと緊張しているみたいだ。
セルトくん本人はと言うと、緊張より楽しみの方が勝っているのかワクワクしているのがうかがえる。
「まず、カルニートから王都までは最低でも10日かかりますので多めに見積もって12日という所でしょう」
「となると、準備には1ヶ月半くらいですね」
日数だけ見ればまだかなり先のように感じるが、王都行きとなると用意するものも多いので急がなければならない。
「まず、王都に行く馬車ですが商人ギルドから貸し出すというのはいかがでしょう?今回は車中泊も考慮して少し豪華な仕様の馬車にするのがオススメです」
商人ギルドでは、馬車を持たない商人に馬車を貸し出すサービスをやっている。
荷台だけの物もあれば、マルディニールさんがさっき言ったような豪華な馬車もある。
もちろん、貸し出し料もその分高くなるのではあるが…
「ええ、マルディニールさん。乗り心地のよい馬車をお願いしますね」
そう言う俺の横で、ナディアさんがアタフタし始めた。
おそらく、貸し出し料の事を気にしているんだろう。
「ナディアさん、お金の事はまた帰ったら話しましょう。今はまずセルトくんの王都行きの準備をしなきゃ」
俺にそう言われて、ナディアさんもとりあえず大人しくなった。
今回はセルトくんの将来を決める大事な事だ。
俺としても旅館の家族として、しっかり準備してやりたいからな。
マルディニールさんとユストフさん、そこに俺が加わってどんどん準備を進めて行く。
セルトくんは、遠慮がちではあるが自分の希望を言ったりしながら話し合いに参加している。
ナディアさんは…どんどんお金がかかって行くのを見て、少し脱力気味だ。
「最後に護衛はどうしましょうかね」
「そしたら、ルドガーさんにお願いするのはどうですか?ルドガーさんAランクだし」
「それはもちろんルドガーさんなら申し分ありませんが…依頼料もかなり高いと思いますが」
確かに…ルドガーさん、旅館の常連さんだから忘れがちだけどすげー有名な冒険者だからな。
しかし、他に誰を?と言うことになる。
「カズ様…前に白馬捕獲の依頼でご一緒した皆さん…確か“疾風の刃”でしたか?」
「あ!そうですね!ユストフさん、いいアイデアですよ!マルディニールさん、“疾風の刃”の皆さんにお願いするのはどうですか?」
「ほほう!“疾風の刃”ですか…確か拠点もカルニートでしたな。いいのではないですかな?Cランクですしね」
善は急げってことで、すぐに冒険者ギルドに連絡して“疾風の刃”へ依頼。
あっという間に王都行きの護衛が決まった。
「最後に王都での滞在ですが、私の旧友がおりましてな。そこにお願いしようかと思っております。その友も私と同じ学校の卒業生です。ナディアさんいかがですかな?」
「ギルドマスターが推薦してくれる人ならあたいに異論はないですよ」
マルディニールさんは、こう言う時きちんとナディアさんやセルトくんに意見を聞ける人なんだ。
さすが、ギルドマスターだなと思う。
身分に関わらず、相手の事を尊重できる人柄だからこそギルドマスターという地位にいるんだと思わせる素晴らしい人だ。
まさか、この人が個人的にマヨネーズの利用登録のお金を払いそのレシピを伝授され夜な夜な自宅で自分専用のマヨネーズを作っているとは思わないだろう。
俺もあの時驚いたよ。
もちろん商人ギルドの方々がまたやって来るのだと思って講習会の準備してたらマルディニールさんが来ちゃったんだもの。
しかも1人で。
別に違反でもなんでもないし、個人でも全く構わないんだけど…
あまり個人でお金払って免状をもらう人っていないらしい。
ガチのマヨラーが爆誕したわけだ。
この前、旅館のお風呂で会った時
マヨネーズの色んなフレーバー違いを研究してるとか言ってた。
最近、プルとリコルのフライドポッツェ屋のマヨネーズにワサビ入りが新たに登場したんだけどマルディニールさん、物凄く気に入ってくれたみたいでさ。
中に入ってる野菜の事をコリーナさんにしつこく聞いてたな。
ちなみにうちで使ってるワサビはスーパーに売ってるチューブのワサビなんだよね。
しかも荒擦りのワサビね。
こっちにもワサビに似たワイップって野菜があって、湖とか川とか水が綺麗な所で栽培されてるらしい。
ワサビも水辺によく生息するから、とってもよく似ている。
「カズさんは、他にどんなフレーバーを検討されておいですか?よろしかったら、私の研究結果も聞いていただきたいのですよ!あ、今度資料にまとめて参りますのでご一読ください」




