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異世界旅館松や  作者: ぎゆり
第1章
83/104

83、儀式のひみつ


大盛りのカレーを2杯おかわりしたユウトとタクマ。

食事を終えてお腹いっぱいになって幸せそうな顔を見てると俺も嬉しい。

それで、早速2人がどうしてこっちの世界にいるのか聞いてみた。


「今から1年前くらいに俺はタクマと一緒にこっちの世界に召喚されたんです。ツェリティーア王国って国です。俺たちの他に2人居たから全部で4人だったんですけど、そのうちの1人は鑑定で勇者に認定されて城の人に連れて行かれました。そんで、残りのあと1人なんですけど…」


2人が言いずらそうにしているから、いい事ではないんだろうなってのは分かったけど

理由を聞いて驚愕した。


「実は召喚する時に稀に魂は元の世界に残して身体だけ召喚される事があるみたいで…」


俺はそれだけ聞いて背筋がゾワっとした。


「って事は、その人は…」


「はい、生きていませんでした…」


そんなのってありかよ…

いきなり召喚されたあげく魂を置いて来ちゃうなんて…惨すぎる。


「俺たちも勇者と一緒に連れて行ってもらえると思ってたんですけど…お金の入った袋を1つずつ持たされて城から追い出されました」


「なんだよ、それ!ひでーな!」


俺は久しぶりに腹が立ってる。

あまり怒らないタイプだと自分で思ってるけど、これはさすがに酷すぎるじゃないか!


「俺はもう帰れないなって悟ったんで、持たされたお金で何とか生きて行こうと思って働きはじめたんですけど…そんなに甘くなくて。色んな仕事をしながら街を転々として、レイスリニア王国にたどり着いたんです」


「ここの隣町のエクルージュに着いたのが1ヶ月くらい前なんですけど、街にマヨネーズがあって!すげー驚きました!そんでユウトさんと絶対日本人がいる!って思って」


「お店の人に聞いてもギルドに行けとしか教えてもらえないし…でも何とか色んな人に聞いて回ってカルニートにマヨネーズの元祖の店があるって分かったんです。だから、和さんに会えて本当に嬉しいです!」


そうかあ、大変だったんだな。

とりあえず、ここに来たからには安心して少しゆっくりしてほしい所だ。

でも、その召喚の儀式をしたっていうツェリティーア王国だったか?

かなりやばい国だな。

前に人族差別はない方の国って事で教えてもらったはず…でも、召喚して勇者じゃない人間は追い出すなんて人のやる事じゃない。

ましてや異世界から来た右も左も分からない人間だ。

それから、その魂と身体が分かれちゃったって人も気の毒だな。

そんなの望んでなかっただろうに…


これはちょっと俺1人の中で解決できる問題でもないな。

今度、マルディニールさんに少し話してみよう。

この2人もマルディニールさんに会わせておかないとな。


「2人とも本当に今までよく頑張ったな!うちならいつまででも居てくれていいけど、2人は元の世界に帰りたいとかあるの?」


俺がその質問をすると、2人は少し目線を落としたので何か訳があるのかもしれない。


「俺は両親も早くに死んじゃってて待ってる人もいないんですよ。だから、帰っても意味ないかなって思ってます」


タクマくんは俺と同じ境遇なのか。

俺にはじいちゃんとばあちゃんがいたけど、タクマくんにはそれさえも居ないんだな。


「俺は…実は…召喚されたのが病院の病室だったです」


「病室?って事は医者とか??あ、はい…そうなんです」


「じゃあ、患者さんとか心配だよね?」


「それはあるんですけど、俺がいたのは大きな大学病院だったので大丈夫だと思います。俺以外にも沢山医者はいますから」


へー、大学病院の医者だったのか。

結構優秀な人なんだな。


「ただ…」


「ただ?」


「夜勤の時にペットホテルに預けた飼い猫が心配で」


「え!そうなの?それは心配だな」


「あのホテルならもし俺が居なくなっても面倒見てくれると思うんですが…でも、お金も未納だし…もし追い出されてたらと思うと辛くて。きっともう二度と会えないだろうけど、その子が幸せでいてくれたらと毎日祈ってます」



ユウトくん、いい奴やー。

これは、俺がひと肌脱いでやらないといけないな!


「あのさ、これは提案なんだけど…もしこの旅館で働いてくれるなら衣食住の保証と毎月のお給料も払うよ。どうかな?」


「え?本当ですか???」


「ああ、本当。ただある条件をのんでくれるならばの話なんだけど…」


2人とも訳がわからないって顔で首を傾げてるんだけど、そりゃそうだよな!条件とは何だろって思うよな。


「実さは、この旅館にはちょっと秘密があって他に知られたくないんだ。それを他に言わないっていう約束、つまり契約をしたいんだよ」


「契約ですか?…俺は犯罪とかでないならかまいませんけど」


「ええ、それなら僕もいいですよ」


「そっか、よかった!ちなみに犯罪とかじゃないから安心して」


俺はユストフさんに魔法契約書を用意してもらった。

とりあえず、魔法契約の事だけちゃんと伝えてみたんだけど…


「すげー!そんなのあるんですか!」


どうやら2人は魔法契約の事は知らなかったみたいだ。

やけに目がきらきらして、魔法って初めて聞いた時の俺のようだなと思ったんだ。




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